RPA導入・活用事例を解説!業務効率化を実現した成功例とは?

最終更新日:2026/02/17
作成日:2019/04/12

人手不足が深刻化する中、残業削減とミス防止を同時に実現する手段としてRPAが注目されています。

 

しかし、いざ導入を検討しても、自社のどの業務が自動化に向いているのか、投資に見合う効果が得られるのかといった不安を感じる方は少なくありません。

 

そこで本記事では、管理部門や製造・物流など幅広い業種の成功事例をもとに、RPAで解決できる具体的な課題と導入を成功させる要点をわかりやすく解説します。

 

具体的な削減効果や運用の現実を知るためにも、ぜひ参考にしてください。

 

目次

■RPAとはどんなもの?AIとの関係は?
(1)業務を自動化する「RPA」
(2)RPAがもたらす効果
(3)2026年のトレンドは「AIとの融合」

 

■【共通業務】バックオフィスの活用事例
(1)総務・防災業務の迅速化
(2)財務・経理業務の時間短縮
(3)紙帳票をOCR変換(Jマテ.カッパープロダクツ)
(4)人事の勤怠集計を大幅に自動化
(5)定型入力業務をRPAで効率化

 

■不動産・物流業のRPA活用事例
(1)取引先審査業務に活用
(2)基幹システムと業務ツールのRPA連携
(3)出荷記録アップロードの代行
(4)物流の定型業務を自動化

 

■製造業のRPA導入・活用事例
(1)問い合わせ対応を自動化
(2)在庫引き当てを自動化
(3)23部門でRPAを展開

 

■金融・医療・自治体の具体的なRPA活用事例
(1)業務タイプ別にRPA導入
(2)約600万時間の業務時間を削減
(3)放射線技師業務の一部を代行
(4)事務作業の自動化(滋賀医科大学附属病院)
(5)自治体窓口の後方事務を対応

 

■小売・サービス・飲食業のRPA導入事例
(1)業務部門主導でRPAを現場展開
(2)販売施策のスピードアップに活用
(3)年間2万時間分の作業を自動化
(4)事務作業の自動化で店舗運営をサポート
(5)部門横断的な活用で業務効率化

 

■RPAの導入・活用を成功に導く3つのポイント
(1)柔軟なRPA推進チームを作れるか
(2)外部パートナーと上手に連携できるか
(3)AIとの役割分担ができるか

 

■RPAの事例に関連するよくある質問
(1)RPAができる業務の具体例は?
(2)RPAが使えそうな仕事は?
(3)RPA導入の失敗例とは?

 

■まとめ

 

RPAとはどんなもの?AIとの関係は?

ノートPCを操作する手元と、背景に浮かぶ「RPA」の文字

RPAは近年、企業の業務効率化を実現するのに有効な手段として導入が進む技術です。具体的な活用イメージを掴むには、まず、RPAとは何かを正しく理解しましょう。

 

ここでは、RPAが具体的にどのようなものかを、生成AIとの関係にも触れながらわかりやすく紹介します。

 

(1)業務を自動化する「RPA」

RPAとはRobotic Process Automationの頭文字を取った略称です。人が行う定型的な事務作業を自動化するソフトウェアロボット技術を指します。

 

企業では、日々の業務のデータ入力や転記・照合といった「単純ながらも時間のかかる作業」が生産性向上の障壁となっているケースがよくあります。

 

その突破口となる技術がRPAです。RPAを導入すると、生産性を妨げるルーティンワークをロボットに任せ、業務効率化を図れます。

 

定型作業の自動化といえば、特定のアプリケーション内で動作するExcelのマクロも同じような働きをします。

 

ただし、マクロはExcel中心の自動化になりやすく、複数アプリにまたがる業務全体の自動化は設計・保守の負担が増えがちです。

 

一方で、RPAはブラウザやメールソフト・社内システムなど複数のアプリケーションを横断して一連の作業を自動化できるという大きな特徴があります。

 

☆あわせて読みたい
『RPAとDXの違いとは?推進の事例や自動化ツールの選び方も紹介』

 

(2)RPAがもたらす効果

RPAは、手順をルール化できて繰り返しの多い、パソコン上の作業の自動化に向いています。このような自動化により、生産性向上や人的ミスの削減が期待できます。

 

設定次第で夜間や休日にも稼働させられるため、処理の手数を増やしやすく、残業で対応していた作業の一部を勤務時間内に収められるようになるでしょう。

 

入力や転記などをルール通りに一貫して実行できるため、ヒューマンエラーを抑制し、手戻りや修正にかかる工数を減らせます。

 

結果として、従業員がより付加価値の高い業務に集中しやすくなり、人手不足への対応にも貢献し得るのです。

 

(3)2026年のトレンドは「AIとの融合」

今後、RPAはAI(人工知能)との融合がさらに進むと考えられています。

 

従来のRPAは、事前に定義したルールにもとづく定型業務の自動化が中心でした。これを機械学習や自然言語処理・画像認識などのAI技術と組み合わせることで、より幅広い業務に対応しやすくなります。

 

例えば、RPAとAI-OCRを連携すれば、請求書や契約書などの書類から情報を読み取り、データ化して入力作業につなげられます。

 

このようにAIと組み合わせることで、従来は難しかった非定型業務の一部まで自動化の対象を広げる考え方が「インテリジェントオートメーション」です。

 

近年は、AIを活用して複数の自動化タスクを状況に応じて組み合わせる「エージェンティックオートメーション」も注目されています。

 

☆あわせて読みたい
『RPAエンジニアとコンサルの役割の違いとは?求められるスキル』

 

 

 

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【共通業務】バックオフィスの活用事例

スーツ姿の男性がノートPCで作業し、背景に業務アイコンが並ぶ

業界や業種を問わず、多くの企業で共通して発生するバックオフィス業務は、RPA導入の効果を実感しやすい領域です。

 

日々繰り返されるデータ入力や書類作成、システム間の情報連携などは、RPAの得意分野といえます。

 

そこで、ここからは総務・経理・人事といった管理部門での具体的な活用事例を紹介します。バックオフィスにRPAを適用するヒントを探している方は、ぜひ参考にしてください。

 

(1)総務・防災業務の迅速化

神奈川県庁では、「通勤手当の認定」と「災害時の職員の配備計画の作成」の実証実験にRPAを導入し、定型的な確認・検索・名簿作成業務の効率化を進めました。

 

「通勤手当の認定」では、職員から提出された通勤届の内容をもとに、職員自宅から職場までの距離確認や最寄り駅・バス停の検索、経路検索といった単純作業をRPAで代行。

 

これにより、1件あたり20分かかっていた処理を7分に短縮しました。

 

「災害時の職員の配備計画の作成」では、勤務時間外・休日に災害が発生した際の配備人員調整に必要な検索作業を自動化。配備名簿の作成期間を約30日から約5日に短縮しました。

 

神奈川県庁は、質の高い県民サービスの実現に向けて、引き続き庁内業務の効率化に寄与するRPA活用を進めています。

 

参考:ITmedia NEWS「行政にもRPA導入の波 「あらゆる業務が対象になり得る」──神奈川県の実証事業で見えてきたもの」、神奈川県「RPAの推進に向けた取組

 

(2)財務・経理業務の時間短縮

ヤマトグループのヤマトグローバルエキスプレス株式会社では、ヤマトシステム開発株式会社の支援のもと、財務・経理部門における定型業務へRPAを導入しました。

 

従来は、グループ内で発生する各種データの集計や加工、会計関連資料の作成・配信などを手作業で行っており、作業負荷の増大や人為的ミスが課題となっていました。

 

そこで、データ収集から集計・加工、帳票作成・配信といった一連の業務プロセスをRPAで自動化し、月間30時間以上の業務時間削減を実現しています。

 

さらに請求書関連業務では、月64時間かかっていた作業が約14時間まで短縮されるなど、大幅な効率化につながりました。

 

参考:ヤマトシステム開発「RPAの推進によって、更なる業務の効率化を実現!

 

(3)紙帳票をOCR変換

Jマテ.カッパープロダクツでは、紙帳票やFAXによる業務の電子化・自動化を推進するため、AI-OCRとRPAを組み合わせたDX基盤の構築に取り組みました。

 

同社は従来、取引先との受注や各種伝票管理において紙書類を使う場面が多く、その処理には手作業によるデータ入力が必要でした。

 

そこで、AI-OCRを活用して紙の業務情報をデジタルデータに変換する仕組みを導入。紙帳票の読み取り後、RPAツールと連携してデジタルデータを自動処理するフローを実現しました。

 

参考:PR TIMES「RPAテクノロジーズのBizRobo!・デジパス導入でJマテ.カッパープロダクツが社内DXと人材不足解消を実現

 

(4)人事の勤怠集計を大幅に自動化

人材サービスを提供する株式会社エントリーでは、派遣スタッフの勤務時間管理に関わる業務にAI-OCRとRPAを導入し、勤怠管理表の処理を大幅に効率化しました。

 

同社では、派遣先企業からFAXで毎日届く紙の勤怠管理表をPDF化し、その内容を手入力でシステムに登録する作業が発生していました。

 

そこでAI-OCRで勤怠管理表をデータ化し、RPAと連携して仕分けや入力処理を自動化。人手作業を大きく減らしながら、処理のスピードと正確性の向上を図りました。

 

その結果、年間2,842時間の作業時間短縮を実現し、人件費も約50%削減。担当者の残業時間も1人あたり月40時間から10時間へと大幅に減少し、関連業務に充てられる時間が増えました。

 

参考:SmartRead「RPA連携で年間約3,000時間の作業時間短縮!人件費を50%削減

 

(5)定型入力業務をRPAで効率化

総合商社の三井物産では、社内に多く存在する定型作業の効率化を目的にRPAを導入しました。

 

導入以前、取引先メーカーのWebシステムへの「単価訂正」業務では、大量の明細を手入力・確認する必要があり、7人体制で対応していたといいます。

 

RPA導入後は、年間130時間かかっていた入力作業が30時間まで短縮され、入力ミスの削減に加え、作業担当者の精神的負担の軽減にもつながりました。

 

さらに、定型作業から生まれた時間を顧客訪問や提案書作成に振り向けられるなど、営業活動の質向上にも寄与しています。

 

参考:WinActor NTTデータ「WinActor導入事例【三井物産株式会社】入力作業が年間130時間から30時間に短縮 定型作業のRPA化で”攻めのIT経営”を実践

 

不動産・物流業のRPA活用事例

デスクでキーボードを打つ手元に、各種アイコンが重なって見える

不動産業界では物件情報の登録・更新や契約書類の作成、物流業界では配送状況の確認や伝票処理など、日々の業務に定型作業が多く存在します。

 

さらに、複数システムをまたぐデータ入力・照合が発生しやすく、手作業のままでは時間とミスが積み上がりがちです。

 

そこで有効なのがRPAです。システム間の転記や定期処理を自動化できるため、処理速度と正確性を両立しながら、現場の負荷を下げられます。

 

この章では、不動産・物流それぞれの業界特有の問題に対し、RPAがどのように効いたのかを具体的な事例で紹介します。

 

(1)取引先審査業務に活用

不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を運営する株式会社LIFULLでは、デスクトップ型RPAツールを導入し、定型的な事務作業の自動化を進めています。

 

導入後は、現場の担当者を含む少人数体制で複数のロボットを作成し、業務量が増えても負担を抑えながら運用できる体制を整えました。

 

代表的な活用例として、加盟希望の不動産事業者に対する取引先審査(宅建業免許の有無確認)が挙げられます。この一部を自動化し、日次作業の負担軽減や、審査件数が集中した際の処理スピード改善につなげました。

 

さらに、社内の単調なコピペ作業を自動化することで担当者が早く退勤できるなど、働き方の改善にも寄与しています。

 

参考:ユーザックシステム「【導入事例】取引先審査の事務作業など全6業務をRPAのロボットで自動化

 

(2)基幹システムと業務ツールのRPA連携

三菱地所ハウスネット株式会社では、業務効率化プロジェクトの一環としてRPAを導入し、基幹システムと業務アプリケーション間のデータ連携を自動化しました。

 

さらに、別RPAツールからの移行や運用に合わせたロボットの整備、保守体制の強化を進め、転記・入力などの定型作業を削減。

 

その結果、初年度は年間5,800時間、翌年度には年間22,800時間の業務時間削減を実現し、賃貸部門における残業削減や顧客対応品質の向上につなげました。

 

参考:パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社「RPAツール見直しで年間業務を20,000時間削減。CS/ES向上にも貢献

 

(3)出荷記録アップロードの代行

建材メーカーの日本インシュレーション株式会社では、出荷量などのデータを記録してシステムにアップロードする作業にRPAを導入し、業務負担の軽減につなげました。

 

同社では、その日の出荷量などのデータが定時後に完成するため、物流部門の担当者が残業して対応していたといいます。

 

この作業をRPAで自動化したことで、データの抽出・転記・アップロードをロボットが担うようになり、人手作業はほとんど不要になりました。

 

作業時間は15分から5分程度に短縮され、毎日発生していた残業も不要になっています。

 

参考:BizRobo!「社内公募でRPAチームを発足。 現場の担当者がロボットを開発し、幅広い部署で導入が進む

 

(4)物流の定型業務を自動化

SGホールディングスグループでは、データの集計・管理などの定型業務を自動化するため、RPAの導入を推進しています。

 

RPAによって業務時間が創出でき、その分をより付加価値の高い業務に振り向けられるなど、効率化の効果が現れました。

 

また、グループ全体の業務効率化に向けて、RPAをはじめとする技術を活用した効率化・省力化を推進する体制も整備しています。

 

2019年3月度の実績では、グループ各社で合計2,814時間の自動化を達成しました。

 

参考:SGホールディングス「CSRコミュニケーションブック2019

 

製造業のRPA導入・活用事例

光る回路基板の上に、ネットワーク線と数字が広がる

製造業は、サプライチェーン管理から部品の発注・在庫管理・品質データの記録、そして製造プロセスの監視まで、RPAによって効率化できる業務が多岐にわたります。

 

RPAを導入し、コスト削減やリードタイムの短縮・現場主導の業務改善を実現した企業の事例を、詳しく見ていきましょう。

 

(1)問い合わせ対応を自動化

パナソニックコネクト株式会社では、サービスデスク業務の効率化と顧客体験の向上を目的に、RPAによる業務の自動化を進めています。

 

施策では、問い合わせ受付のポータル化や、対応状況・問い合わせ傾向を一元管理できる仕組みを整えました。

 

その一環として、店舗向けシステムのID・パスワード再発行依頼(毎月約1,300件)については、RPAを活用して申請から処理までを自動化しています。

 

従来は1件あたり約15分かかっていた対応が不要となり、月間325時間相当の作業時間を実質ゼロにしました。

 

参考:ServiceNow「「つなぐ力」で顧客体験を高める パナソニック コネクトの 「カルチャー&マインド改革」

 

(2)在庫引き当てを自動化

コニカミノルタジャパン株式会社では、RPAによって在庫引き当て業務を自動化し、手作業で1日12時間かかっていた処理時間を85%削減しました。

 

2020年3月、新型コロナウイルスの影響で複合機部品の入荷が遅れ、在庫調整のために物流スタッフが1件ずつ在庫を引き当ててシステム入力する突発業務が発生。1日400件の対応が必要でした。

 

そこで構築したのが、受注システムから受注データを抽出し、在庫調整リストと突合する処理をRPAで実行し、対応すべきオーダーを確認・整理できる仕組みです。

 

整理結果をもとに物流スタッフが優先順位を付けて処理を進める「人とロボットの協働」により、年度内の処理完了と年間2,460時間の削減につなげました。

 

参考:コニカミノルタ「RPAでできること!RPAのメリットや導入手順

 

(3)23部門でRPAを展開

化粧品・健康食品メーカーの株式会社ファンケルでは、パートナー支援も受けながら各導入部署が中心となって社内開発を推進してきました。

 

製造・流通・販売の各領域を含む23部門で活用が進み、約200体のソフトウェアロボットが稼働しています。

 

例えば、次のような作業を始めとした日々の定型業務を、現場の負担が大きい部分から自動化しています。

 

  • ・取引先のWebサイトから売上データを抽出・集計
  • ・自社システムへの登録や商品別実績表の作成
  • ・担当者へのメール通知までを一連で自動実行する など

 

こうした取り組みが、年間およそ6,700時間相当の人的リソース創出につながりました。

 

さらに、RPAの理解・活用を促進する社内研修を実施し、修了者が自部署の効率化に取り組むことで、社内開発者の育成と活用範囲の拡大も進んでいます。

 

参考:BizRobo!「【製造・販売業×RPA】“余白”を生み出し、新たな発想を。化粧品・健康食品製造販売の担い手が自ら挑むBizRobo!活用

 

金融・医療・自治体の具体的なRPA活用事例

白衣の人物がファイルを持ち、ノートPCのデータを確認している様子

金融・医療・地方自治体の各分野は、情報の正確性やセキュリティに対する要求水準が極めて高く、また、膨大な量の事務処理を伴うという共通点があります。

 

RPAは、これらの分野における厳格なルールに基づいた定型業務を正確かつ迅速に処理する上で大きな力を発揮します。

 

ここで、サービスの質の向上や職員の負担軽減に貢献している具体的なRPA導入事例を見ていきましょう。

 

(1)業務タイプ別にRPA導入

株式会社みずほ銀行は2016年度からRPA導入に取り組み、社内展開の結果、年間77万時間分のPC作業を自動化しました。

 

デジタル技術の適用領域を整理した上で、手順が決まったPC作業の自動化手段としてRPAを採用しています。

 

導入時のポイントは、事務センターの「データが多く種類が少ない」業務と、銀行本部の「データが少なく種類が多い」業務でアプローチを分けたことです。

 

前者はミス防止のため、グループ会社やベンダーのITエンジニアが開発を担って自動化。後者はコストを抑えるため現場主導の内製化を進め、社員が開発しやすい環境整備やサポート体制を用意しました。

 

参考:日経クロステック「みずほ銀行がRPA導入で年77万時間分の効率化、効果てきめんの「2大作戦」とは

 

(2)約600万時間の業務時間を削減

SMBCグループでは、RPAを2017年に導入。グループ会社のSMBCバリュークリエーションとも協力しながら社内展開を進めています。

 

当初はトップダウンで大規模な定型業務の自動化を推進しました。その結果、2022年度末時点で、導入開始時と比較してグループ全体で600万時間弱の業務時間削減を実現しました。

 

現在は、従業員自身が手元の業務を自動化するRPAを開発する「市民開発」に注力しています。

 

参考:DX-link「RPAで約600万時間削減、印刷量半減。SMBCグループが本気で取り組む、生産性向上と業務効率化の極意。

 

(3)放射線技師業務の一部を代行

医療現場では、放射線技師の業務負担軽減のためにRPAが活用されるケースがあります。

 

そもそも放射線技師は、CTやMRIといった画像撮影だけでなく、撮影した画像をシステムに登録し関連情報を入力するなど、多くの事務作業を担っています。

 

この画像システムへの登録作業や、読影レポート作成の補助などをRPAが代行できるようになりました。

 

これにより、技師は撮影業務や患者への対応といった専門性の高いコア業務に集中できるようになり、医療サービスの質の向上と待ち時間の短縮に貢献しています。

 

参考:全国病院経営管理学会「2022年度アンケート調査 「放射線部門の効率化」

 

(4)事務作業の自動化

滋賀医科大学医学部附属病院では、精神的負担が大きい事務作業の軽減を目的に、RPAで定型作業の自動化を進めています。導入の背景には、医療現場・事務部門で発生する繰り返し作業の負担がありました。

 

導入にあたっては業務フローを整理し、手順が定まっている作業から自動化の対象にしています。

 

現場主導で改善を重ねることで、職員の精神的負担を減らしつつ、日々の業務をより安定して回せる体制づくりにつなげています。

 

参考:「医療事務をどんどん自動化したくなる――病院のRPA導入体験談 雑務なくして精神負担減

 

(5)自治体窓口の後方事務を対応

愛知県大府市や千葉県市川市をはじめとする多くの自治体で、窓口業務の後方で行われる事務処理にRPAが導入されています。

 

例えば愛知県大府市では、税務・福祉・保険などの定型事務にRPAを適用し、データ入力や抽出・通知文書作成を自動化しました。

 

千葉県市川市では、紙の申請書などをAI-OCRでデータ化し、RPAと組み合わせて業務改善を進める方針が示されています。

 

RPA導入による自動化で、職員は住民への丁寧な説明や相談対応といった窓口本来の業務により注力しやすくなりました。行政サービスの質の向上や待ち時間短縮につながる効果も期待されています。

 

参考:ソフトバンク「職員の働き方を改革し、市役所の業務を効率化RPA 実証実験の結果を公表します」、市川市「市川市DXアクションプラン

 

小売・サービス・飲食業のRPA導入事例

ノートPCのキーボードを入力する手元に、デジタルUIが重なる

店舗運営や顧客管理・受発注・在庫管理など、多岐にわたる業務が発生する小売・サービス・飲食業界では、システム間のデータ連携や日々の事務プロセスの自動化が大きな課題です。

 

人手不足が深刻化する中で、RPAは従業員の負担を軽減し、より質の高い顧客サービスを提供するための重要なツールとなり得ます。

 

ここからは、RPAを活用して業務効率を抜本的に改善した企業の事例を紹介します。

 

(1)業務部門主導でRPAを現場展開

株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)はRPAを導入し、業務部門主導で社内の業務効率化を進めています。

 

導入初期には、準備期間1週間で重要なセール対応にRPAを投入し、システム部門に依存せず業務部門主体で成果を出しました。

 

HISは「まずロボットをローンチして投資回収(黒字化)を優先する」という考え方で、短期で価値が出る業務から自動化を推進しています。

 

現在は開発者が増え、全員がシステム部門ではなく業務部門所属という体制で、販売支援やキャンペーン運用などの現場業務を中心に改善を積み上げています。

 

参考:BizRobo!「ヘビーユーザー エイチ・アイ・エス様に学ぶ! BizRobo!コミュニティ会(第1回)開催レポート

 

(2)販売施策のスピードアップに活用

ホームセンター大手の株式会社カインズでは、既存システムを前提とした業務改善策としてRPAに着目し、社内の定型作業やシステム間の連携業務の効率化を進めています。

 

2019年4月時点で、経営企画部や財務部、人事部、Eコマース事業部など35の業務をロボット化しました。これにより、1か月あたり約500時間の手作業リソースを削減。

中でも売価変更関連の作業では約200時間分の余力を生み出しています。週あたり数千件規模の処理を人手に頼らず実行できるようになり、単なる効率化にとどまらず、大量処理への安定した対応が可能になっています。

 

参考:BizRobo!「【小売・製造業 RPA事例】ホームセンターの商品管理でRPAが活躍

 

(3)年間2万時間分の作業を自動化

中古車販売大手の株式会社IDOMは、事業拡大で店舗運営が煩雑化したことを受け、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を導入して業務改革を進めています。

 

同社は全国に550以上の店舗を展開する中、買収先ごとに異なるシステムが増えて業務が煩雑化していました。

 

そこで検証を経てRPAを導入。パートナー企業のサポートを受けながら、普段使っている業務システムを題材にロボット開発を行いました。

 

検証フェーズだけで年間8,000時間の削減効果が見込まれ、正規導入後は年間約2万時間分の作業をロボットが担っています。

 

参考:株式会社デジタルフォルン「お客様事例:株式会社IDOM様

 

(4)事務作業の自動化で店舗運営をサポート

社員食堂や病院・介護施設など約1,600拠点を運営する西洋フード・コンパスグループ株式会社は、店舗業務の煩雑さを解消するためRPAを導入しています。

 

導入前は、各店舗で発注・請求処理やメニュー作成などの事務作業に追われ、スタッフがサービス提供に集中できない状態でした。

 

そこでRPA導入を推進し、店舗で行っていた請求書作成とメニュー作成を本部へ集約。RPAによりデータ収集と帳票作成を自動化し、店舗スタッフは提供業務に専念できるようになりました

 

RPA導入初年度の2019年度だけでも、10人分相当の作業時間削減を実現しています。

 

参考:パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社「RPAで店舗の人手不足解消に挑む

 

(5)部門横断的な活用で業務効率化

総合酒類事業グループの飯田グループ(株式会社飯田)では、高齢化による人材不足や属人化した業務の標準化を目的に、RPAを活用して定型業務を自動化しています。

 

導入前の課題は、限られた人員で売掛金や支払の入力・受注監視などの定型作業をこなすことが難しくなっていたことでした。

 

導入後はまず規模が小さく繰り返しの多い業務を対象にし、経理部の画面入力やシステム部の基幹システム監視、業務部のWeb受注補助など39業務をロボット化

 

定型業務から解放された従業員は付加価値の高い業務に集中でき、業務の可視化・標準化が進みました。

 

グループ内でもRPA活用が広がり、月末処理の負担軽減や顧客対応の迅速化につながる体制づくりが進んでいます。

 

参考:BizRobo!「【卸売 RPA事例】人材難や市場競争激化に先んじて、部門横断型のRPA活用による業務生産性向上を目指す

 

RPAの導入・活用を成功に導く3つのポイント

青いデジタル背景に大きく「RPA」と表示された画像

RPAの導入は、単にツールを導入すれば成功するわけではありません。むしろ、導入後の運用を見据えた周到な準備と、組織全体での取り組みが不可欠です。

 

課題を乗り越えRPAの導入効果を最大化するには、全社的な業務設計の見直しや、推進する体制づくりが重要となります。

 

ここで、RPA導入が成功する会社が行っている3つの重要なポイントを解説します。

 

(1)柔軟なRPA推進チームを作れるか

RPA導入を成功させる鍵は「部署の垣根を越え、状況の変化に即応できる横断的な推進チームを組織できるかどうか」にあります。

 

なぜなら、RPAの効果を最大化するには、特定部署の課題解決に留まらず、全社的な視点で優先順位を柔軟に判断し、開発したロボットを他部署へ横展開する「拡張性」が求められるからです。

 

従来の縦割り組織だと、業務フローの変更やトラブルへの対応が遅れ、部分最適化に留まるリスクがあります。

 

そこで、RPA担当者・現場の業務に精通した担当者・IT部門・経営層までを巻き込んだ専門チームを立ち上げ、全社で取り組む姿勢を明確にすることが、スムーズな導入と活用の成功につながります。

 

(2)外部パートナーと上手に連携できるか

RPAの活用を成功させるには、「専門知識を持つ外部パートナーと強みを補完し合える関係を築けるか」が重要な鍵となります。

 

自社のみで導入から運用までを完結させようとしても、対象業務の選定やワークフロー設計・継続的な保守管理といったフェーズで、技術的・リソース的な限界に直面することが少なくありません。

 

RPAの定着には、ツール操作スキル以上に、客観的な視点での業務分析や改善ノウハウが求められるためです。

 

そこで、導入初期のコンサルティングや高度な開発を外部へ委託し、パートナーの知見を吸収しながら進めるやり方が効果的です。自社担当者はコア業務に注力しつつ、RPAの導入効果の迅速な最大化を目指せます。

 

(3)AIとの役割分担ができるか

RPAによる自動化の効果を最大化するには、AIとの適切な役割分担、いわば「手足と頭脳」の連携が重要です。

 

RPAはルールに基づいた定型作業を正確に実行することを得意としますが、曖昧な指示の解釈や、データの意味を汲み取って判断する業務には限界があります。

 

一方、昨今のAIは、画像認識や自然言語処理に加え、生成AIによる要約や高度な推論を通じて、非構造化データから文脈を読み取ったり、状況に応じた判断を行ったりすることに長けています。

 

例えば請求書処理において、AI-OCRが多様な形式から項目を抽出・構造化し、その後の照合やシステム入力をRPAが担うといった連携も可能です。

 

AIが「判断」をサポートし、RPAが「実務」を完結させれば、これまで自動化を諦めていた複雑な業務へと活用範囲を広げられるようになります。

 

☆あわせて読みたい
『RPAソリューションでコンサルタントに求められることとは?』

 

 

RPAの事例に関連するよくある質問

ビジネスパーソン3人の前に、分析画面のようなUIが重なって見える様子

RPAの導入事例を見ていると、「自社でも使えるのか」「どの業務から始めるべきか」といった疑問が浮かびやすいものです。実際、成果を出している企業ほど、導入前に共通するポイントや悩みを抱えています。

 

そこでここでは、RPAの事例を検討する際によく寄せられる質問をまとめて解説します。

 

(1)RPAができる業務の具体例は?

RPAが得意とする業務は、手順が明確で繰り返し発生するパソコン上の定型業務です。

 

具体的には、Excelへのデータ入力や集計、複数のシステム間でのデータ転記・照合、ウェブサイトからの情報収集とリスト作成、定型文でのメール自動送信、ファイルの移動やリネームといった作業が挙げられます。

 

RPAが活躍する業務は、他にも次のようなものがあります。

 

  • ・経理・財務:経費精算のチェック、売掛・買掛データの入力、請求書発行、支払処理、月次・日次の集計など
  • ・人事・総務:勤怠データの集計、給与計算用データの作成、入退社手続きの事務処理など
  • ・営業・マーケティング:顧客データ入力、見積書や請求書の作成、Webサイトからの情報取得など

 

これ以外に、物流分野における在庫・出荷管理や、医療分野のレセプト業務など、様々な業務にRPAが採用されています。

 

(2)RPAが使えそうな仕事は?

RPAが活用できる仕事は、経理・人事・総務・営業事務といったバックオフィス部門に多く存在します。

 

これらの部門では、月次や週次で定期的に発生するレポート作成、データの集計・突合、各種申請処理など、手順が決まっている定型業務が頻繁に発生するためです。

 

例えば、経理部門であれば請求書発行や入金消込、人事部門なら勤怠データの集計や社会保険関連の手続き、営業事務部門では受発注データの入力や在庫確認といった仕事がRPA化の候補となります。

 

RPAの導入を検討する際は、まず、担当者が多くの時間を費やしている単純作業やミスが発生しやすい作業から洗い出してみましょう。

 

(3)RPA導入の失敗例とは?

RPA導入でよくある失敗例には、「自動化対象の業務選定ミス」や「運用・保守体制の不備」、「費用対効果の不一致」が挙げられます。

 

業務プロセスが複雑すぎたり、例外的な処理が頻繁に発生したりする業務のRPA化は、ロボットの開発が困難で頓挫する原因の一つです。

 

また、現場担当者が個人でロボットを作成した結果、担当者の異動や退職によって誰もメンテナンスできなくなり、ロボットが使われなくなる失敗例もあります。

 

RPA開発費や高額なライセンス料が削減工数を上回り、赤字に陥ってしまうケースも見逃せません。

 

こうした失敗を避けるためには、まず簡単で効果の出やすい業務からスモールスタートし、全社的な管理ルールを定めた上で展開していきましょう。

 

まとめ

RPAは、バックオフィスから製造・金融・小売まで、定型業務を自動化することで生産性向上とミス削減に役立ちます。

 

導入の成功には、効果が出やすい業務から小さく始め、部門横断で運用できる体制を構築することが重要です。

 

業務改革への確実な第一歩を踏み出すために、本記事で紹介した事例を参考に、自社の課題と照らし合わせ、自動化できそうな身近な業務から検討を始めてみてはいかがでしょうか。

 

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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

 

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