テレワークにクラウドサービス活用は不可欠?導入状況とは?

最終更新日:2020/04/17
作成日:2018/08/10

テレワーク導入の波を受け、より一層注目が集まるクラウドサービス。企業の導入状況を中心に確認していきましょう。

目次

■PCとネットワークがあればどこでも働ける。ビジネスを変えたクラウド

 

■「ファイル保管・データ共有」に最も重宝されている

 

■セキュリティ面などにクラウド導入の課題を感じる企業も

 

■クラウド市場規模は2023年に4兆4,754億円まで拡大する見込み

 

 

※本コラムは、2020年4月17日に「どのくらい進んでいる? 企業のクラウド利用」を再構成したものです。

 

PCとネットワークがあればどこでも働ける。ビジネスを変えたクラウド

 

テレワークなどの多様化する働き方に対応していくためにも必要となることの多いクラウド利活用は、企業においても拡大する傾向にあります。

 

ネットワークを介してソフトウェアやストレージ、システムなどを提供するクラウドサービスは、ICT(情報通信技術)の発展に伴い、いまや生活基盤の一つとして広く浸透するようになりました。ブロードバンド回線の普及も相まって、クラウドであることを意識せず使っているようなケースも少なくないでしょう。

 

他方、企業においては、クラウドの利便性を認めつつも利用に対しては慎重にならざるを得ないという傾向も引き続き散見されます。ビジネス上のさまざまな責任が問われる企業においては、セキュリティやシステムの稼働率、導入・運用コストなどの面から業務に支障がないことを総合的に確認し、十分検討しなければ導入を判断できないからです。そのため、日本ではテレワークやリモートワークといった新しい働き方が欧米諸国と比較するとまだまだ発展途上にあるようです。

 

しかし、個人の生活においてクラウドサービスは不可分といっても過言ではないでしょう。かつてはパソコンで電子メールソフトを使っていたのが、今ではWebサイト上でメールをやりとりする形態が多くなり、データの保存もスマートフォンからネットワーク上のストレージサービスに移すというシーンがよくあります。SNSは言うまでもありません。最近街角のカフェなどで見かける「ノマド」といったテレワークを中心とする働き方をしている人が増えてきていますが、上手にクラウドサービスを利用している方が多いようです。

 

企業のテレワーク導入の波が広がり一層注目が集まるクラウドサービス。2018年度の市場規模実績は、約1兆9,422億円。導入した企業の83.2%が一定の効果を感じており、主に「ファイル保管・データ共有」や「電子メール」に利便性を感じています。

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「ファイル保管・データ共有」に最も重宝されている

 

総務省の「令和元年版 情報通信白書」(※)によると、ラウドサービスを利用している企業の割合は約6割(58.7%)であり、前年の56.9%、さらにその前の年の46.9%から増加を続けています。

 

クラウドサービスの導入に対し、「非常に効果があった」あるいは「ある程度効果があった」と回答した企業の割合が83.2%であり、クラウドサービスの効果を実感している企業が多数を占めています。

しかし「非常に効果があった」が28.9%、「ある程度効果があった」が54.3%となっていることから、クラウドサービスを活用しきれていない企業も多く、今後、より一層の発展に期待が集まります。

 

こうしたクラウド利用企業が利用しているクラウドサービスは、「ファイル保管・データ共有」の割合が53.1%で最も多く、次に「電子メール」(52.2%)「サーバ利用」(51.0%)となっています。ご自身のクラウドサービスの利用状況を考えても、納得感のある結果に思う方も多いのではないでしょうか。

 

では、なぜクラウドを利用するのかという問いに対しては、「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」(41.6%)が最も高く、次に「どこでもサービスを利用できるから」(33.8%)という回答結果となりました。

年々増加しているテレワークやリモートワークですが、クラウドサービスの発達が在宅勤務の普及の一翼を担っていることは間違いないでしょう。

 

 

セキュリティ面などにクラウド導入の課題を感じる企業も

 

クラウドサービスを利用している企業にその理由を尋ねると(複数回答)、上位3つは「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」(41.6%)「どこでもサービスを利用できるから」(33.8%)「サービスの信頼性が高いから」(31.9%)という結果になりました。

2017年に3位に入っていた「安定運用、可用性が高くなるから(アベイラビリティ)」(29.6%)が4位になり、サービスへの信頼性が高まっていることが表れています。

 

クラウドサービスを導入しないとしている企業は年々減少傾向にあるものの、導入しない理由の46.0%が「必要がない」から、次いで「情報漏えいなどセキュリティに不安がある」(33.3%)「クラウドの導入に伴う既存システムの改修コストが大きい」(18.8%)と続きます。

「利用していないが、今後利用する予定がある」と答えた企業が一定割合存在し続けていることから、メリットは感じていながらも、クラウド移行に必要な費用面や人員などの工面がままならず先延ばしにせざるを得ない・・・という企業が少なくないことも感じ取れます。

こういったことからも、まだまだテレワークやリモートワークの導入へ切り替えられない企業が多いのかもしれません。

 

「セキュリティ面に不安がある」という意見がある一方、導入した企業の理由の31.9%は「サービスの信頼性が高いから」であり、クラウドサービスの導入は今が過渡期であることがうかがえます。

 

※出典:「令和元年版 情報通信白書のポイント」

 

 

クラウド市場規模は2023年に4兆4,754億円まで拡大する見込み

 

そうしたクラウドサービスを提供するクラウドソリューション市場の動向も、堅調に成長を続けていくと予測されています。調査会社のMM総研が2019年06月に発表した国内クラウドサービス市場動向の調査結果によれば、2018年度の市場規模実績は約1兆9,422億円で、2017年度と比較し18.1%増と大きく成長しています。

 

大半を占めるのは、デディケイテッド/オンプレミス/コミュニティなど「プライベートクラウド」の1兆3,257億円(前年度比18.1%増)ですが、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、FaaS(Function as a Service)などの「パブリッククラウド」の市場規模も前年度比34.1%増の6,165億円と、成長を拡大しています。

 

この調査では、海外事業者であるAWS、Microsoft Azure、GCPによるクラウドサービスの優位性が際立つ結果となりました。PaaS/IaaSでAWSを利用しているとの回答が約半数、Microsoft Azureでは25%強という結果に。クラウドサービス市場をリードするグローバルベンダーの独占化が進んでいることを読み取ることができます。

 

※出典:株式会社MM総研「2019年国内クラウドサービス需要動向調査」

 

まとめ

 

従来の企業では、業務上必要なソフトウェアを導入したり、自社のビジネスを展開するためのシステムを構築しようとする際には、自前のソフトやシステムを開発することが少なくなく、販売されているソフトウェアやシステムを利用するとしても、カスタマイズが必須となる状況が大半でした。そうした利用にはメリットもありますが、導入コストも高額で、導入後もシステム運用体制を継続して持ち続ける必要に迫られることになりました。それが企業の動きを重くし、そのために次なる手を打つのが遅れてしまうということもあったのです。

 

その点、インターネット上の資源を必要なときに必要なだけ使うことができるクラウドサービスは、ランニングコスト自体は必要になっても、導入コストや運用体制などの負担を軽くし、何よりシステムの利便性を向上させて企業のフットワークを軽くすることができるものです。それにより、テレワークの波も大きく広がりを見せています。とはいえ、こうしたクラウドサービスに対する企業の垣根はまだまだ下げる余地があり、クラウドサービスやその開発に携わる企業やビジネスパーソンにとっては、こうした市場動向に引き続き注目していく必要があるでしょう。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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