<プロ監修>プロジェクトのタイムマネジメント!マネージャーが知るべき基本

最終更新日 2020年9月4日(金)
作成日 2020年4月11日(土)

最終更新日:2020/04/10
作成日:2016/11/18

 

広範かつ膨大な業務を管理しなければならないプロジェクトマネージャー(PM)。求められるスキルは、一つや二つではありません。
プロジェクトには、必ず目的と期限があります。期限内の目的達成を目指すタイムマネジメントは最低限必要なことです。
しかし、実際に期限内に目的を達成させるのは決して簡単なことではありません。期限を守ってプロジェクトを完遂するプロジェクトマネージャーになるため、必要とされるタイムマネジメントの基本をご紹介します。

 

目次

■タイムマネジメントとは
(1)事前に完璧なタスクスケジュールを作るのは困難
(2)大事なのは予実管理

 

■PMが心がけるべきスケジュール作成の基本
(1)スケジュール作成時の注意点
(2)予実管理の状況は常にクライアントに共有すべし

 

■生産性を上げるために必要な3つのポイント
(1)優先順位をつける
(2)得意な分野を割り振る
(3)空いた時間を無駄にしない

 

■タイムマネジメントを成功させるために意識する3つのこと
(1)スケジュールの共有
(2)タスクへの分解化
(3)振り返りを大切にする
(4)PMBOKについて

 

 

※本コラムは、2020年4月10日に「信頼されるプロジェクトマネージャ(PM)は知っている タイムマネジメントの基本」を再構成したものです。
※本コラムは、営業力・マーケティング力支援、経営企画業務支援などを行なうコンサルタントが監修しています。

 

タイムマネジメントとは

(1)事前に完璧なタスクスケジュールを作るのは困難

まず、タイムマネジメントとは何を管理することなのでしょうか。

「あらかじめ抜け漏れのない完璧なタスクスケジュールを作成し、その通りに進めていくことがタイムマネジメントである」と考える方もいるかもしれません。

 

確かに、それができるに越したことはありませんが、そのためには、スケジュール作成時、つまりプロジェクトの開始前に、コンサル案件全体を通して必要となる成果物やそれらを作成するために必要な作業、そして各作業の所要工数などをすべて正確に予測する必要があります。しかし、当然のことながらそのような精緻な予測は現実的には至難の業です。

(2)大事なのは予実管理

では、何をするのがタイムマネジメントなのでしょうか。

 

目的が「プロジェクトを期限内に完遂すること」であることに立ち返ると、大事なのは「事前に“完璧な”スケジュールを作成すること」ではなく「事前に“可能な限り完璧な”スケジュールを作成しておき、以後コンサル案件を通してそのスケジュール(予定)と実態(実績)の乖離が起こらないよう適切な対応をとること」であると言えます。

 

一般的にタイムマネジメントとは、スケジュールの作成とその予実管理を行なうことなのです。

 

 

PMが心がけるべきスケジュール作成の基本

(1)スケジュール作成時の注意点

では、スケジュールの作成時にはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。ポイントは次の2点です。

 

①必要な成果物の予測から必要な作業を漏れなく洗い出し、作業間の順序を設定しておく

②各作業の所要工数は過去のコンサルプロジェクト等を参考に保守的に算出する

 

①に関しては、特に「作業間の順序を設定しておく」ことが重要です。作業を実際に対応する順に並べてみることにより、洗い出しをしただけでは気づけないタスクの抜け漏れに気づきやすくなります。

 

②については、過去の類似のプロジェクトを参考に、なるべく余裕を持ちバッファを持たせるなどして保守的に算出することをおすすめします。保守的にと言っても、プロジェクト全体の納期や各フェーズの終了時期、クライアント側の承認会議といった重要なマイルストーンに影響を及ぼさない範囲で、というのはもちろん大前提です。

(2)予実管理の状況は常にクライアントに共有すべし

このようにして作成したスケジュールは、プロジェクト期間中を通して常に見直され、最新の状態に保たれていなければなりません。スコープの変更があれば、新たなスコープの共有も大切でしょう。

 

この「見直しをすること」および「最新の状態に保つこと」が、スケジュールの予実管理に当たります。この時に大事なことは、見直した結果を常にクライアントと共有しておくことです。

 

ほとんどのコンサル案件では週次や日次で進捗確認のミーティングが開催されるかと思います。その場でスケジュールの状況を報告し、対策を検討したり、リカバリ案に対する承認を得たりするのです。これにより、クライアントからの信頼を損ねるリスクはもちろん、期間延長分のコストを請求できなくなるリスクも回避することができるようになるでしょう。

 

極力、「スケジュールファイルを共有しているから大丈夫」という憶測でやらずに「しっかりと場を設けて、進行状況やスコープを口頭で確認する」という業務プロセスを怠らないようにしたいものです。

 

 

生産性を上げるために必要な3つのポイント

(1)優先順位をつける

マネジメント計画の1つとして、「生産性を上げなければならない」というものがあります。人材も時間も資源は限られているのですから、生産性を上げるためのコントロールは、最も大事なマネジメント計画の一つと言えるでしょう。

 

生産性を上げるための業務改革として最初に手がけていきたいプロセスは、それぞれの作業への優先順位をつけることと考えられています。

 

時間管理マトリクス(アイゼンハワーマトリクス)をご存じでしょうか。

対象となることを「重要性」の高い・低いと「緊急性」の高い低いを2列×2行のマトリクスで捉え、

①「重要性」高い×「緊急性」高いものは即実行

②「重要性」高い×「緊急性」低いものは時間をかけて実行

③「重要性」低い×「緊急性」高いものは最小限に実行または他に任せる

④「重要性」低い×「緊急性」低いものは実行しない

という行動基準を設ける手法のことで、最も活用されている優先順位付けの手法とも言われるものです。

 

時間管理マトリクスでも提唱しているように、優先順位をつける際に意識するべきポイントは「重要性」と「緊急性」。そしてより優先するべき仕事は重要性の高いものと考えられることが多いようです。

重要なものは何か?緊急性の高いものは何か?と考えていくと、それぞれのタスクの優先度は自ずと決まるでしょう。マネジメント計画書にも優先度を記載すれば、全員に情報が知れ渡り、全体の流れもスムーズになることが期待できます。

(2)得意な分野を割り振る

とくにIT業界などでは、さまざまなプロセスを踏みながら一つのプロジェクトを完成させることも少なくありません。その場合のマネジメント計画では、それぞれの人材資源を得意分野に配置したほうが時間効率は良いでしょう。また、得意分野を担当するのですから、リスクも軽減できます。

 

決められた期間内にプロジェクトを遂行するためには、一緒に働くメンバーが何を得意とし、何を苦手としているのかを把握しておくことも大切です。

 

もちろん、限られた人材資源ですから、あえてあまり知識エリアのない分野に配置して相手の能力や可能性を伸ばしてあげたくなる気持ちもあるでしょう。しかし、乏しい知識エリアの中で仕事をさせるのは、やはりリスクが伴います。マネジメント計画に人情を挟めるのは、よほど作業時間に余裕がある時のみとするべきでしょう。

 

本来ならばプロジェクトのための研修などを行ない、プロジェクトメンバーの知識エリアを共有できれば良いのですが、残念ながらそこまで計画に時間的な余裕のあるプロジェクトは稀でしょう。

(3)空いた時間を無駄にしない

例えば、9:00〜11:00、13:00〜14:00、16:00〜17:00と、それぞれ予定が入った場合。当然ですが、その日は3時間以上時間を要する作業にはまったく手をつけることができません。でも、本当にそうでしょうか?その仕事は、3時間ぶっ続けでしかできな仕事かどうかを考えてみてください。もし、3時間の作業を何回かに分けてやろうと決めてしまえば、その日の内に作業が終わると考えられないでしょうか。

 

そこでお勧めしたいのが、「クラスタリング」と言われる仕事術。用語としての「クラスタリング」は、使われる業界によってさまざまな意味を持ちますが、ここでは、本来の「まとめる・集める」と言うイメージで捉えてください。

多くのビジネスパーソンは、3時間の仕事は3時間で完成させようとします。この考えに囚われてしまうと、3時間の時間が空いているタイミングまで仕事に取り掛からなくなってしまいます。

ところが、この3時間の仕事を30分単位にまとめて、6種類に分けて取り掛かると考えた場合はどうでしょう。この考えが出来るようになると、30分のすき間時間があれば、その時間にも仕事をするクセが身に付きます。その結果、作業時間の効率化が一気に進み、生産性も格段に向上するというわけです。

 

「クラスタリング」のやり方は、仕事の単位時間を(20~30分程度)決めて、単位時間が終わったら小休止(5分程度)するのを実践するだけなので、決して難しくはありません。

ただし、「クラスタリング」で仕事をするよりも、3時間の仕事は3時間掛けて一気にやった方が作業効率が良いと言う意見も耳にしますが、ヒトの脳の処理量は作業開始10~20分でピークに達し、その後は下降の一途をたどると言う研究結果が示す通り、「クラスタリング」を実践すれば、常に脳の処理量の高い時間帯を利用して作業するようになるので、作業効率においても有利であることは理解しておきましょう。

 

「クラスタリング」は、単位時間以上のすき間時間があれば仕事が出来るようになる、さらに連続して仕事をする際にも小休止を入れることで作業効率が上がる、仕事が中断しても直ぐにやり直すことができるなど、たくさんのメリットがある仕事術ですので、ぜひ身に付けておくことをおすすめします。

 

 

タイムマネジメントを成功させるために意識する3つのこと

(1)スケジュールの共有

クライアント企業やプロジェクトメンバーの中でスケジュールの共有を徹底しましょう。自分がプロジェクトのどの部分を担っているのかを全員が知ることで、計画通りに作業を終わらせようという義務感の芽生えにつながります。システムトラブルなどで何らかの変更が余儀なくされた時も、臨機応変な対応を取りやすくなるでしょう。

 

また、IT業界などではプロジェクトの一部を外注することも少なくありませんが、外部の人ともスケジュールの共有をしておくと、より計画は遂行しやすくなるでしょう。

(2)タスクへの分解化

大きな仕事をそれぞれの作業へと分解していく、それが一般的なタスクの定義です。マネジメント計画の一つとして、プロジェクト完成のためには、全部でどのようなタスクが必要なのかを洗い出すプロセスも大事です。

 

このプロセスをプロジェクト計画の初期段階に行なうことによって、どのくらいの資源が必要なのかも見えてきます。ここで言う資源とは、時間であり人材なので、プロジェクトに必要な時間と人数なども掴みやすくなるでしょう。プロジェクト全体をタスクに分解するプロセスは、マネジメント計画の核となる部分ですので、知識エリアの異なる数人で行なうことが望ましいでしょう。

(3)振り返りを大切にする

長期のプロジェクト計画の場合、定期的に振り返りも必要です。計画通りにプロジェクトが遂行できているのかはもちろん、これまでの仕事の品質もチェックするべきでしょう。外注しているタスクがあるのならば、それらのチェックもしなければなりません。たとえば、週一回あらかじめ振り返りの時間を設定しておくと、何らかのトラブルがあった時のリスク回避もしやすくなるはずです。

 

振り返りをしていて、これまでのプロセスで想定以上のコストがかかっていたと判明することもあります。過去のプロセスでのオーバーコストをどこで挽回するのかも決定しなければなりません。

 

人材や時間などの資源を移動させることで問題を解決させるなど、プロジェクトマネージャーはプロジェクトの途中でも臨機応変に計画を変更させていく手腕も必要です。

(4)PMBOKについて

すでにご存知の方も多いかと思いますが、プロジェクトマネジメントを体系化したPMBOK(Project Management Body of Knowledge)というガイドがアメリカの非営利団体PMIから発表されています。

 

PMBOKが最初に発表されたのは、1987年。それまで定義が曖昧だったプロジェクトマネジメントについて、定義を一律化する目的で発行されました。

 

その後、PMBOKは、時代に合わせて4年に1度程度のペースで改訂されています。現在、最新版のPMBOKは2017年に改訂されたものですが、プロジェクトマネジメントに関わるのであれば、ガイドとして一度は目を通しておくと良いでしょう。

 

ちなみに、PMIではプロジェクトマネジメントに関する国際資格PMP(Project Management Professional)も認定しています。PMPはPMBOKでの知識をベースラインとしているため、PMP試験に合格するためにはPMBOKを学ぶことが求められます。

 

PMPは、まだまだそれほど認知の高い資格ではないかもしれませんが、PMPの取得は一定の標準以上のプロジェクトマネジメントの知識を持つ証になりえます。とくに、コンサルタントとして起業をし、プロジェクトマネジメントの依頼を受けたいのであれば、PMPは有効な資格の一つだと言えそうです。

※参照:https://products.sint.co.jp/obpm/blog/serial-umeda01

 

 

今回のプロジェクトマネージャーにとってのタイムマネジメントに関する内容は、日々コンサルティングファームやフリーランスのコンサルタントとして活躍する方にとっては、当たり前のことだったかもしれません。

ただ、実態として計画通りにコンサルプロジェクトがスムーズに進むことがないとするのであれば、やはりそのプロセスのどこかに問題・課題があるからに他なりません。

 

また、着手前にスケジュールを立て、随時見直しを行ない、関係者に状況を共有しながらタスクを進めるというプロセスは、プロジェクトマネジメント以外の仕事をしている方にも役立つ考え方でしょう。

これまでタイムマネジメントに縁がなかったという方も、タイムマネジメントを意識して、より効率的に取り組めるよう日常の仕事にこの方法を採り入れてみてはいかがでしょうか。

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

< 監修者プロフィール >
大野 晴司(おおの せいじ)

東京都立大学(現首都大学東京)卒業後、日産自動車で国内のマーケティング部門や系列ディーラーでの営業マンや本社販促部署長などを経験。中小企業診断士資格取得のために退職、2003年3月資格取得。その後、マーケティングリサーチ会社、自動車関連メーカーを経て、2008年にビズ・エキスパート株式会社を設立。神奈川・東京の中小・中堅企業の営業力・マーケティング力支援のほか、経営企画業務、新規事業支援を主な事業として活動中。また、企業向けセミナー講師なども務める。

ビズ・エキスパート株式会社:http://b-ex.biz/index.html
プロフェッショナリズムインタビュー:https://freeconsultant.jp/workstyle/w020

 

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