【フリーランスコンサルタント】メリットデメリット・領域別の案件数や年収・将来性をランキング
最新更新日:2023/01/31
最新作成日:2023/01/31
読者のコンサルタントの中には、フリーランスとして独立をおすすめされた経験がある人もいるでしょう。フリーランスという働き方、フリーランスコンサルタントの実態はどのようなものか、詳しく解説します。領域別の案件数・平均年収・将来性についてはランキング形式で紹介します。
目次
■フリーランスとは?
(1)フリーランスで活躍しやすい職種
(2)フリーランスのコンサルタントの需要
■コンサルタントがフリーランスになるメリット・デメリット
(1)フリーランスのメリット
(2)フリーランスのデメリット
■フリーランスコンサルタント領域別案件数ランキング
1位 PMOコンサルタント
2位 SAPコンサルタント
3位 システムコンサルタント
4位 DXコンサルタント
5位 BPR(業務改善)コンサルタント
■フリーランスコンサルタント年収ランキング
1位 SAPコンサルタント
2位 BPR(業務改善)コンサルタント
3位 PMOコンサルタント
4位 DXコンサルタント
5位 システムコンサルタント
■フリーランスコンサルタント将来性ランキング
1位 SAPコンサルタント
2位 PMOコンサルタント
3位 システムコンサルタント
4位 DXコンサルタント
5位 BPR(業務改善)コンサルタント
■フリーランスで成功するために必要な4つの準備
(1)事業計画を立てる
(2)独立資金をためる
(3)仕事の受注先を見つけておく
(4)開業や税務・経理業務などの手続きを行なう
フリーランスとは?
ワークライフバランスの見直しを肯定する世論や政府が推し進める働き方改革の影響から、近年フリーランスとして活躍する人材が増えています。フリーランスとは、特定の企業や団体・組織に所属せず、業務委託により自らの技能を提供することで報酬を得る働き方です。
厚生労働省や内閣官房が2021年に公表したガイドラインでは「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、 自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指す」とあります。法人化するなどして組織に属している場合は、フリーランスではなく自営業とするのが正しいでしょう。
出典: フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン|内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省
(1)フリーランスで活躍しやすい職種
どのような職種がフリーランスとして独立しやすいのでしょうか?一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が毎年行っている「フリーランス白書2022」のアンケートでは、回答者の職種割合をランキングにすると以下の通りです。
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1位 クリエイティブ 20.2%
2位 エンジニア技術開発系 17.2%
3位 通訳翻訳系 11.1%
4位 出版・メディア系 9.5%
5位 コンサルティング系 8.5%
5位 企画系(マーケティング・広報) 3.7%
デザイナーなどのクリエイティブ系の職種が上位ですが、幅広い職種に広がっています。勤務形態は、参画する案件によってリモートや出社などさまざまです。エンジニアやコンサルタントといった仕事内容であれば、在宅でのリモートワークも比較的導入しやすいでしょう。勤務場所にとらわれない働き方として、フリーランスを選ぶ人が増えている可能性もあるかもしれません。
また、エンジニアやコンサルタントの場合、専門的に仕事を紹介するプラットフォームもあります。特にコンサルタントのような専門知識と高いスキルを持つ人材が一つの企業に固執せず独立する動きは、今後も進むと予想されます。
出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書 2022」
(2)フリーランスのコンサルタントの需要
フリーランスのコンサルタントの需要は、特に近年伸びています。プロフェッショナル人材と企業を結ぶプラットフォームサービスを複数運営する弊社、株式会社みらいワークスに寄せられた声を参考に、理由を探ってみましょう。
まず、第一にあげられるのは専門性の高さです。特に社内にリソースが少ない場合、新しい分野のプロジェクトにフリーランスのコンサルタントを求める企業が増えています。領域によっては、コンサルタント未経験のSEやPMからでもクライアント企業の考え方次第でフリーランスのコンサルタントとして活躍できるチャンスが与えられるでしょう。
続いて、経営戦略策定に外部から俯瞰した視点を求める経営層が増えたことも理由として考えられます。フリーランスのコンサルタントを利用した経営層からは「社員にはない新しいアイデアが生まれやすい」「経営者に寄り添った意見がもらえる」という声が聞かれます。
また、企業の外部からプロジェクトを俯瞰することで「しがらみや私情を挟まずにプロジェクトを推進するため、スピード感がある」こともフリーランスコンサルタントのニーズの高さにつながっています。
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コンサルタントがフリーランスになるメリット・デメリット
コンサルタント自身にとっては、フリーランスという立場にはメリットもデメリットもあります。人によって向き・不向きもあるでしょう。コンサルタントがフリーランスになる場合感じやすいメリット・デメリットを見ていきましょう。
(1)フリーランスコンサルタントのメリット
コンサルタントがフリーランスになるメリットとして代表的なのが、案件報酬の高さです。弊社、株式会社みらいワークスのマッチングエージェントサービス「フリーコンサルタント.jp」の紹介案件をもとに、会社員とフリーランスの報酬の違いをみていきましょう。
たとえば、現在ニーズが非常に高いSAPコンサルタントの場合、企業所属の会社員SAPコンサルタントの年収は、700万~1000万円ほどです。フリーコンサルタント.jpの公開案件では、SAP領域のコンサルタントの報酬は、100%稼働と仮定して月額80万~200万円、平均すると120万~150万円程度の月額報酬を提示する求人が目立ちます。1年間フル稼働と仮定すると平均1400万~1800万円程度の年収が見込めます。
また、フリーランスは、自分が磨きたいスキルや興味・実績がある領域の案件を選んで参画できます。リモートか常勤か、長期休暇の有無や期間、就業時間やフレックス制の導入など、就業スタイルについても「フリーランスなら自分に選択肢がある」のが大きなポイントです。
クライアント企業を外部から支援するため、俯瞰した視点を重宝されたり、プロジェクトチームや社内の人間関係と一線を引いて仕事ができるというのもメリットといえるでしょう。
(2)フリーランスコンサルタントのデメリット
フリーランスで働く人は職種を問わず、この先も仕事が続くかどうか、ある程度不安を抱えているものです。収入や仕事量などの心配をバネに業務や自己研鑽にまい進できる人もいれば、不安に押しつぶされてしまう人や休暇を楽しめなくなる人もいるでしょう。知識や経験、スキルが十分でも繊細なタイプの人は「フリーランスに向いている」とはいえないかもしれません。
フリーランスになれば、個人事業主として税金を納める必要がありますが、コンサルタント職に就けるハイクラス人材だと、納税額は高額になるでしょう。確定申告などの手続きも複雑化する可能性があります。税務処理のために税理士を依頼するコストも負担になりかねません。個人事業主の場合、年収によっては、国民健康保険や年金の積立金が社会人時代より高額になり、報酬や額面での収入が上がっても会社員時代より、手取り年収が減るケースもあります。
また、外部コンサルタントとしてプロジェクトチームへの支援を行うのが職務ですが、いつまでたってもお客様として扱われるといった事態も考えられます。プロジェクト内で存在感を発揮しようとするあまり、会社員時代より激務に陥ってしまう人もいるようです。
フリーランスコンサルタント領域別案件数ランキング
ビジネスシーンで需要が高いフリーランスのコンサルタントですが、専門領域を広げ、多くの案件の中から参画する案件を選べる立場になるのがおすすめです。デメリットの一つ「仕事がなくなるかも」という心配を軽減させられます。
2022年6月現在、弊社株式会社みらいワークスのサービス、フリーコンサルタント.jpに寄せられた案件の中から案件数の多い領域をランキングで紹介します。(2022年6月現在)
1位 PMOコンサルタント
案件数の多さでいうとPMOコンサルタントは堂々の1位です。PMOコンサルタントの中でも資料作成や進捗管理などでプロジェクトを支援する、PMOアドミニストレーターの募集が特に多い傾向です。PMやPMO経験者を求める企業が多く、案件数は常に安定しています。
2位 SAPコンサルタント
2025年問題・2027年問題を直前に控える現在、SAPコンサルタントも非常に需要が高いです。「PMOコンサルタント」で募集をかけていても、案件情報をよく確認するSAP4HANA関連という求人もよく見かけます。SAPの知識はもちろん、プロジェクトを率いるコミュニケーションスキルが必要とされます。
3位 システムコンサルタント
システムコンサルタントは、システムの構築や刷新プロジェクトに関する案件が多い傾向です。ただし、導入システムの選定など上流工程から関わる戦略コンサルタントとしてのポジションをこなせる人材が求められています。システム開発や構築プロセスの知見や実績にプラスして、経営戦略に関する知見があるとよいでしょう。
4位 DXコンサルタント
現在多くの企業が、何らかの業務のDX化に取り組んでいることから、DXコンサルタントの需要も高い状況が続いています。SAPやSCM・CRMなどの知見があると重宝されるでしょう。起業のDX支援へのコンサルティング案件が大半ですが、データアナリスト的な役割を求める企業もあります。
5位 BPR(業務改善)コンサルタント
近年、働き方改革やリモートワークの普及に伴い、BPR(業務改善)コンサルタントの需要も伸びています。特に、SCMや医療などの領域に強いBPRコンサルタントは需要が高く、案件数も安定しています。DXやシステムの知識だけでなく、クライアント企業の業界についての知識も必要とされるでしょう。
フリーランスコンサルタント年収ランキング
フリーランスのコンサルタントは高年収というイメージを持つ人もいるでしょう。一般的に、企業所属の会社員コンサルタントの年収は、400万~1000万円ほどです。
弊社、株式会社みらいワークスのサービス「フリーコンサルタント.jp」の公開案件を参考にすると、100%稼働と仮定して月額報酬は50万~250万円、平均だと100万~130万円程度を提示する求人が多いです。1年間フル稼働と仮定すると平均で1200万~1600万円程度の年収が見込めます。
中でも、高収入が見込めるのはどの領域のコンサルタントなのでしょうか?ランキング形式で紹介します。(2022年6月現在)
1位 SAPコンサルタント
先述した通り、SAPコンサルタントのニーズは年々高まっています。フリーコンサルタント.jpで紹介している案件を見比べても、SAPコンサルタントはダントツで報酬が高いです。100%稼働と仮定して月額報酬は80万~240万円、一番多いのは130万~160万円の報酬を提示する案件です。年収にすると12カ月間フル稼働として、1600万~2000万円弱程度になります。
2位 BPR(業務改善)コンサルタント
BPRコンサルタントは、戦略コンサルタントとしての側面を持つため、高い報酬を提示する企業もあり、最高月額報酬は100%稼働と仮定して、200万~300万円です。ただし、平均的な月額報酬でいうと100万~130万円程度です。1年間、長期休暇を取らずフル稼働するとして1200万~1600万円弱といったところでしょう。
3位 PMOコンサルタント
PMOコンサルタントは、案件数が多いため、報酬の提示額も幅広いです。100%稼働と仮定して月額報酬は60万~180万円、一番のボリュームゾーンは90万~130万円といったところです。PMOでもアドミニストレータ―なのか、マネージャーなのか職種によって報酬が異なります。年収にすると1100万~1600万円程度といえるでしょう。
4位 DXコンサルタント
DXコンサルタントの案件で報酬提示額を見てみると、月額70万~230万円が提示されています。ただし、DXコンサルタント案件は、稼働率が10~70%など、副業やパラレルワーク的に参画できる案件が多い印象的です。平均的な月額報酬額は100万~120万円、年収にすると1200万~1400万円ほどです。
5位 システムコンサルタント
システムコンサルタントは領域によって、提示される報酬にばらつきがある印象です。SAPやSCMといった特定のシステムに関しては最高額200万円を超える月額報酬が提示されています。一般的な案件だと、ボリュームゾーンは100万~120万円。年収にすると1年間フル稼働として1200万~1400万円程度の収入が見込めます。
フリーランスコンサルタント将来性ランキング
フリーランス人材、もしくはフリーランスを目指している人が心配しているのが将来性についてです。主要としたい領域のコンサルティングにどのくらいの将来性が見込まれるのか、知りたい人もいるでしょう。今後も需要が高い、もしくは数年のうちに需要が上がるとみられている領域をランキング形式で紹介します。
1位 SAPコンサルタント
まず、SAPコンサルタントの需要は2027年を迎えるまで高い推移で伸び続けるといえます。
「2027年を迎えたら、SAPコンサルタントニーズは下火になるのでは」と危ぶむ声もあるようですが、世界最大級のソフトウェアメーカーSAP社のシステムに精通しているというのは、今後も武器になるでしょう。SAP社は今後も魅力的なツールを開発すると期待されているからです。
もし、SAPコンサルタントの中でも差別化を図り、自身の将来性を高めたいなら、ほかのERPソフトにも明るいとよいでしょう。より広いスキルや知見を取り入れていきましょう。
2位 PMOコンサルタント
大規模なITプロジェクトにPMO設置が通例化した2010年代後半から、国内プロジェクトの成功率は飛躍的に伸びています。PMO設置は今や当たり前といえるほどで、今後もPMOコンサルタントを求める企業やプロジェクトは増え続けるでしょう。
PMOコンサルタントは職種の違いはありますが、基本的に経験がものをいう職業です。現在PMOコンサルタント未経験の人でも、今後の経験次第で、将来的には実績豊富なPMOコンサルタントとして高い評価を受けられるでしょう。より、将来性に担保が欲しい人は、専門分野や技術をのばしたり、資格取得を目指したりなど自己研鑽が必要です。
3位 システムコンサルタント
「今後も各ベンダーやソフトウェアから新たなシステムが開発されていくだろう」というのはIT関連の職種にとっては共通認識といえます。そのため、システムの選定や既存システムの刷新指針策定など、上流工程からコンサルティングできるシステムコンサルタントの将来も安泰だとみられています。
システムコンサルタントとして、差別化を図りたいのであれば、企業運営や経営の知識、開発チームとうまく連携するためのコミュニケーションスキルなどの向上を目指しましょう。
4位 DXコンサルタント
DXコンサルタントは、コロナ禍を受けて需要が急激に伸びた時期もありましたが、現在落ち着きを見せています。しかし、今後もあらゆる企業や地方・業界でDX化が検討されており、何らかの需要がある職種です。
また、DXコンサルタントとはいえ、DX化するシステムやツール、規模感によって、PMOコンサルタントやシステムコンサルタント・戦略コンサルタントとしての知見と実績が養われることでしょう。「最近はDXばかり担っている」というコンサルタントでも、DXに近い領域での採用が増えるとみられています。
5位 BPR(業務改善)コンサルタント
コロナ禍やさまざまなコストの急増などに伴って、需要の高まりを見せたのがBPR(業務改善)コンサルタントです。ここ数年はニーズが高いまま推移しそうですが、今後落ち着くかもしれないと言われています。
BPRを実行するのに必要とされたPMOコンサルタントや戦略コンサルタントとしての側面を磨いていけるとよいでしょう。併せて、資格の取得なども検討しましょう。
フリーランスで成功するために必要な4つの準備
独立したてのスタートアップから活躍し、近い将来事業を成功に導くには、独立前にしっかりとした準備が必要です。フリーランスで成功するために必要な準備を4項目に分けて紹介します。
(1)事業計画を立てる
フリーランスとして成功をつかむスタートラインとして、事業計画を立てましょう。
起業計画は簡単にはまとまらないものです。「どんな顧客がいてどんな仕事で収入を得るのか?」「毎月どのぐらいの収入を見込むのか?」などは、ざっくりと思い描いておきましょう。取り組むうちに現実的に足りないものや必要なスキル、独立にかかる費用などが見えてきます。
(2)独立資金をためる
コンサルタント業は、開業にさほど費用がかかりませんが、それでもフリーランスとして独立開業したら、毎月安定した収入が得られる保証はありません。しばらく仕事が少ない可能性もあるため、半年分くらいの生活資金は貯めておきたいところです。
また、貯金をしながら、開業助成金や補助金で利用できそうなものはないか、調査を始めましょう。こうした助成金は、独立のための資本がいくらあるか、も審査の要件です。しっかり独立資金を貯めている人は、計画性と経営者感覚があると評価され、独立する側に有利な条件の助成金の審査に通りやすい側面があります。
(3)仕事の受注先を見つけておく
フリーランスは、人脈やエージェントを活用し自分で仕事を探す必要があります。フリーランスになってすぐに仕事を始められるよう、仕事を発注してくれるところをある程度見つけておきましょう。SNSを活用したり「フリーコンサルタント.jp」のようなマッチングエージェントに登録したりするとよいでしょう。
(4)開業や税務・経理業務などの手続きを行なう
個人事業主として事業を始める場合、開業届の提出が必要です。法人を立ち上げてひとり社長になる場合は、法人化の手続きも別途必要になります。また、年金や保険なども個人事業主と法人それぞれ仕組みが異なりますので、事前にチェックしておきたいところです。
働く場所をどこにするかも具体的に検討しましょう。コンサルタントならオフィスを設けず自宅やカフェなど好きな場所で働けますが、シェアオフィスやコワーキングスペースなどもおすすめです。
また、フリーランスになれば経理業務も自ら行う必要があります。クラウド会計ソフトを使って、経理処理を簡単に安く済ませることもできます。初めから順調な事業運営ができそうであれば税理士と契約することも考えておきましょう。
綿密な準備をしてフリーランス活動のスタートを有利に
フリーランスはメリットだけでなく、デメリットもある働き方ですが、フリーランスを目指す人は増えています。中でも、コンサルタントは、高収入でフリーランス人材の中でも需要が高い職種のため、独立・開業がしやすい状況だといえます。
需要が高い複数分野のコンサルティング実績や各領域で名の通った難関資格があるコンサルタントはフリーランスでも十分勝負していけるでしょう。今回紹介したランキングをもとに専門領域を広げるのもおすすめです。
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)