<大阪でフリーランス>知っておきたい現状と未来予想
作成日:2021/02/05
フリーランスや副業といった「新しい働き方」に注目が集まっていますが、大阪など関西在住の方から見ると、関東の話というイメージが強いかもしれません。しかしここ最近、変化の兆しが見えてきました。リモートワークや副業をきっかけに、関西でもフリーランスなどの新しい働き方を取り入れる企業も出てきています。
一方、大阪でフリーランスとして独立起業した後に「仕事があるのか」「収入が減らないか」といった心配を持つ方も多いでしょう。確かに現在は新型コロナウイルス感染症の拡大で、関西経済も大きな影響を受けています。一方で2025年の大阪万博開催などもあり、関西でIT業界を中心に案件が増加するという予測もあります。
ここでは大阪を中心とした関西におけるフリーランスの動向について、現状と今後の予測についてまとめました。
目次
■大阪でフリーランスになる人は東京より少ないのが現状
(1)フリーランスという働き方になじみが少ないことが要因
■2020年から、大阪でも「新しい働き方」への関心が高まる
(1)リモートワークの導入
(2)副業に対する意識の変化
■リモートワークと副業が大阪で浸透すれば、もっとフリーランスは働きやすくなる
(1)企業が外部のプロフェッショナル人材を活用するメリットに気づく
(2)フリーランスにとって仕事探しやスキルアップがしやすい環境になる
(3)政府もフリーランスという働き方を支援する取り組みを始めている
■大阪など関西で求められるフリーランスとは?
(1)スキルだけではなく、長期的な付き合いが重視される
(2)関西ではDXなどデジタル関連の案件に強い人のニーズが増えている
(3)東京でニーズの高い案件が、近い将来関西でも増加する可能性もある
大阪でフリーランスになる人は東京より少ないのが現状
フリーランスの実態を調査した「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書 2020」」の回答者を地域別にみると、東京を含む関東在住が59%、一方関西は約15%となっています(※1)。この数字だけを見れば、フリーランスとして働く人の数は関東が関西の約4倍ということになります。
なお労働者人口全体で見ると、統計局発表の2019年平均では関東(1都6県)は2,460万人、関西(2府4県)は1,087万人となっています(※2)。
労働者全体で見ると首都圏は関西圏の2.3倍。これに対して、フリーランスだけに絞ると首都圏は関西圏の4倍となります。単純な比較は難しいかもしれませんが、「関西は関東と比べてフリーランスを選ぶ人の割合が低い」という現状が見えてきます。
(1)フリーランスという働き方になじみが少ないのが要因
なぜ大阪を含む関西では、フリーランスとして独立する人の割合が関東より少ないのでしょうか。これには関西にある企業の特性が影響していると思われます。
関西(特に大阪)には、もともと古くから続く中小企業が多いという特徴があります。こうした中小企業は昔ながらのビジネス手法や雇用形態を続けているケースが多く、新しい働き方に現状なじみが少ないことが考えられます。つまりフリーランスという働き方そのものに触れる経験がまだ少ないというわけです。
フリーランスという働き方の認知度が低いことで、「フリーランス向けの仕事をどう探せばいいかわからない」「独立後に年収が下がりそう」といった不安要素が生まれ、独立に踏み切れないという事情があるのではないでしょうか。関西でも、IT業界ではエンジニアなど技術系の職種だとフリーランスとして独立する方が増えていますが、技術系以外になるとまだ少ないようです。
現在大阪でフリーランスとして独立して活躍している方々を見ると、コンサルティングファームの経験を持つ方はあまり多くないように見受けられます。事業会社で経験を積み、中小企業診断士などの資格を取得して独立するケースが多いようです。ただし資格があるだけでは独立は難しく、大阪では「経験」や「仕事を紹介してくれる人脈」があるかが大きなポイントとなっています。
2020年から、大阪でも「新しい働き方」への関心が高まる
現状大阪など関西ではフリーランスとして働く人が関東より少ないものの、変化も見られます。その背景には、2020年、新型コロナウイルス感染症の影響によって、大阪を中心に従来の「会社に雇用される働き方」とは異なる働き方に関心が高まったことがあります。これには「リモートワークの導入」と「副業の解禁」という2つのポイントが大きく関係しています。
(1)リモートワークの導入
コロナ禍をきっかけに、関西でも在宅勤務などリモートワークの導入が進んでいます。大阪府のリモートワーク実施率は2020年4月現在で29.1%となっていて、これは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に次ぐ実施率です(※3)。東京と比べて大阪のテレワークの導入率が低いのは、製造業やサービス業などの常駐で働く必要がありリモートワークが難しい職種が多いことも要因のひとつでしょう。
とはいえ2020年3月から4月の1か月間で、大阪のリモートワーク導入率は約15%もアップしています。この数字から、大阪を始め関西でのリモートワークも今後さらに導入が進む可能性が見えてきます。
(2)副業に対する意識の変化
コロナ禍による従業員の収入減を賄うため、全国的に企業が副業を解禁する動きが進んでいます。2020年10月にマイナビが実施した調査によれば、副業解禁している企業は49.6%。すでに半分の企業が副業を解禁しているというわけです(※4)。
関西での副業解禁の動きは関東より遅れているようにも見えますが、関西でも大企業を中心にその動きが広がっています。例えば大阪市に本社がある飲料メーカーのダイドーでは、2020年9月から社員の副業を解禁。同じく大阪市に本社がある事務機器メーカーのコクヨでは、2020年10月から社内の他部署の仕事を副業して行なう「社内副業」制度を始めました(※5)。
リモートワークと副業が大阪で浸透すれば、もっとフリーランスとして働きやすくなる
関西の企業がリモートワークや副業を経験することは、フリーランスとして独立する方にとって大きな追い風となります。
(1)企業が外部のプロフェッショナル人材を活用するメリットに気づく
まず、リモートワークによって企業側の「オフィスに常駐して働く」という固定概念がなくなります。これにより、社内だけではなく社外の人材活用への意識が高まるでしょう。自治体の事例ですが、神戸市は2020年9月広報業務ができる外部のプロフェッショナル人材を募集しました。しかも勤務形態は、常駐せず原則リモートワークとなっています。関西の自治体が新しい働き方を取り入れた事例として、大きな話題となりました(※6)。
自社の副業解禁を通して経営者が副業のメリットに気づき、連鎖的に外部からプロフェッショナル人材を受け入れやすくなるということもあります。副業解禁した大阪の企業ダイドーでは、2021年からITや新規事業の知見を持つ外部のプロフェッショナル人材活用を予定していると言います。
「スキルと経験を持つ人材は欲しいけれど、コストが課題」という企業においては、常駐型ではない外部人材の活用は人件費を抑える方法としても注目されています。
(2)フリーランスにとって仕事探しやスキルアップがしやすい環境になる
リモートワークや副業の普及により、働く側にとっては居住エリア以外の案件に参画できるチャンスが広がります。例えば大阪に住む方が、東京にある企業の案件に取り組むことも可能なわけです。関西の仕事が少ない心配もありますが、今後は全国での案件に関わるチャンスが増えるというわけです。
また他の地域の企業と関わることで、幅広い経験を得る機会にもなります。大阪では家業を持つ方や自ら起業した方が、本業を持ちながらフリーランスとして他社のプロジェクトに参画するケースもよくあります。こうした方は本業が軌道に乗るまでの間に収入を得る目的がメインですが、「他社の仕事に関わることで外部との交流が生まれ、本業にも大きく役立った」という声も聞かれます。
またリモートワークや副業解禁によって、フリーランスとしてスキルアップできる機会も増えてきました。リモートワークによって時間のゆとりが生まれ、自己鍛錬の時間にあてることができます。副業は、金銭面のメリットだけでなく実践を通して技術を養う機会にもなりますし、セミナーなどを受講し知識向上を目指すのも良いでしょう。
これまでセミナーやイベントと言えば東京での開催がメインでしたが、現在はWeb上で受けられるものも増えています。住んでいる場所に関係なく、自分の働き方にあわせた情報収集やスキルアップがしやすくなってきていると言えます。
(3)政府もフリーランスという働き方を支援する取り組みを始めている
政府でもコロナ禍によって働き方が多様化することを踏まえ、フリーランスや副業を含めた「新しい働き方」の定着を目指しています。具体的にはフリーランスが大企業と取引するとき不利にならないよう法整備を行なったり、兼業・副業を企業が解禁しやすいようルールを整備したりなどの取り組みを行なう予定です(※7)。
また政府や自治体ではそれぞれ補助金などの制度を設け、フリーランスの起業を今後さらに増やす取り組みも進めています。
大阪など関西で求められるフリーランスとは?
当社でも2019年に関西支社として大阪オフィスを設立し、関西のフリーランス人材へ案件をご紹介するプラットフォームを運営しています。まだ1年という短い期間ではありますが、関東と関西の、外部のプロフェッショナル人材に関わるニーズの違いが見えてきました。
(1)スキルだけではなく、長期的な付き合いが重視される
例えば経営コンサルタントの求人で言うと、スキルも大切ですが、関西ではむしろ経営者とのネットワーク(人脈)や中小企業での経験が重視される傾向にあります。これは関西で中小企業が多いことも、大きな理由でしょう。
また、いわゆる外部視点でコンサルティングを行なうよりも、企業の規模や雰囲気に合わせ社内に入り込めるようなスタンスや、二人三脚で課題を解決していける人材が好まれる傾向があるようです。
一方、人材側も短期的な付き合いではなく長期にわたってプロジェクトに参画できることを望む傾向があるので、ある程度長期的に伴走しながら課題を解決するスタイルが両者のニーズを満たすと言えそうです。
フリーランスのプロフェッショナル人材というと、「コンサルティングファームでの経験が必須」というイメージがありませんか?しかし関西の場合、現状ニーズが高いのは関西の事業会社で人脈や経験を積み重ねてきた人材ではないかと推測しています。
(2)関西ではDXなどデジタル関連の案件に強い人のニーズが増えている
実は関西で増加が見込まれているのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の案件です。これは日本の製造業においてDX推進が遅れている状況が関係しています。
DX推進企業を業種別に調べた調査結果によると、製造業は金融や建設・不動産などの業種よりDXが進んでいないという結果になりました(※8)。
製造業の多くが中小企業のため、社内にDXを推進できる人材がいないことが大きな理由だと考えられます。関西では製造業の中小企業が多く、関東と比べるとDXが遅れているというわけです。
しかし遅れているということは、今後DX関連の案件が増えるという見方もできます。実際に大阪府ではDXを推進するために、IT業界の企業と連携して「大阪DX推進事業」という取り組みを2020年から始めています。
実は外資系コンサルティングファームでも関西でのDX案件増加を見越して、関西エリアに注力し始めました。例えばボストン・コンサルティング・グループは2020年4月に大阪と京都の2拠点を新たに設立。アクセンチュアやマッキンゼーといったコンサルティングファームでも、大阪拠点でのコンサルタントを増員する計画があるそうです(※9)。
また注目したいのが、2025年の大阪万博開催。大阪万博に向けて関西の企業や自治体、大学などがチームとなり、新技術につながるイノベーションへの取り組みが進んでいます。新型コロナウイルス感染症によって延期や変更の可能性はあるものの、今後2025年に向けてデジタル関連の案件は関西で増えてくることが予想されています。IT業界などでDX関連の経験を持つ人材には、関西でも高単価案件のオファーが急増する可能性も考えられます。
(3)東京でニーズの高い案件が、近い将来関西でも増加する可能性もある
DX推進などの状況を見ると、関東と関西では案件の傾向にややタイムラグがあることがわかります。つまり現在東京で増えている案件が、近い将来大阪で増える可能性が高いと言えるわけです(もちろん地域の特性による違いはあります)。
現状関東のフリーランスの求人で言うと、事業戦略などの従来の案件だけではなく、マーケティングや広報関連、RPA(AIなどを搭載したソフトウェアロボットによる業務の自動化)関連などの案件が増えてきました。今後大阪でもフリーランスという働き方が浸透すれば、こうした案件が増えると考えています。
例えばある外資系メーカーでは、「工場のブランディングを強化するため、見学プログラム作成・コーディネート業務について外部人材を活用したい」という事例がありました。マーケティングや広報といった仕事は、これまで社内で対応するケースがほとんど。しかし最近ではさまざまな経験を持つフリーランスのプロフェショナルに依頼して、「外部の知見を取り入れたい」というニーズが増えています。関西でも神戸市のように、広報業務の外部人材を募集するケースもあります。こうしたマーケティングや広報関連の案件についても、関西で増えてくると考えられます。
もう一つ最近関東で求人が増えているRPA関連の案件。RPAは、フリーランスだからこそ客観的な視点でコンサルティングできるという評価があります。IT業界だけではなく、最近は製造業でも業務効率化やコスト削減といった視点で関心が高まっているRPA。この先関西でもRPA関連の仕事が増えることが予想されます。
大阪などの関西ではまだフリーランス人口が関東に比べて少なく、企業の活用事例も少ないという実態があります。しかしリモートワークの普及や副業解禁の広がりを背景に、今後フリーランスという働き方が広がる可能性は十分あると思われます。むしろフリーランスがすでに浸透している関東と比べて、関西はこれからフリーランスが活躍できる余地がたくさんあるという見方もできるのです。
現在関西で注目されているジャンルは、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連。IT業界などでDX関連の経験のある方は、今後ニーズが高まってくるでしょう。ただそれだけではなくマーケティングや広報、RPAといった分野でも、外部のプロフェッショナル人材を求めるケースが増える可能性があります。また2025年開催予定の大阪万博を見据えて、大阪を中心に新しいイノベーションを推進する動きもあります。
こうした状況を見ると、関西でも近い将来は外部のプロフェッショナル人材活用が急増する可能性は高いと言えます。フリーランスとして独立起業を目指すなら、このタイミングをうまく活用してみてはいかがでしょうか。
<参照>
※1:https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2020/06/2020_0612_hakusho.pdf
※2:https://www.stat.go.jp/data/roudou/pref/index.html
※3:https://www.noc-net.co.jp/blog/2020/09/column_378/
※4:https://www.mynavi.jp/news/2020/10/post_28795.html
※5:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63981960X10C20A9LKA000
※6:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2009/24/news174.html
※7:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/portal/new_workstyle/
※8:https://blog.global.fujitsu.com/jp/2020-04-17/01/
※9:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01383/00007/
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)
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