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『関西のフリーランス事情』を関東との比較から紐解く

作成日:2020/09/17

特定の企業などに所属するのではなく個人として独立し、プロフェッショナルとしてのスキルをもって仕事をする「フリーランス」。その存在は日本において、多様で柔軟な働き方を必要とするビジネスパーソンからも、人手不足のなか人材を必要としている企業からも、近年注目されています。

 

大企業を中心に、企業の所在が“東京一極集中”状態にある日本では、フリーランスを求める案件も首都圏に集中していました。しかし、さまざまな状況を受け、企業がフリーランス人材を活用する流れは徐々に日本全国へ波及。関東と同様、多くの企業がある大阪府・京都府・兵庫県・奈良県といった関西エリアでも、フリーランス人材を求める声が高まりつつあります。

 

それでは、関西でのフリーランス案件には、どのようなものがあるのでしょうか。また、その内容は、関東と比較するとどのような傾向があるのでしょうか。関西のフリーランス案件の現状について、関東の状況と比較しながらご紹介します。

 

目次

■日本全国で増加するフリーランスの人口

 

■「関西ではフリーランス活動が難しい」は本当?

 

■関西と関東におけるフリーランス案件の違いは?
(1)関西で多い案件は「IT」「医療」「老舗企業」
(2)関西で多い案件① — IT系案件
(3)関西で多い案件② — 医療系案件
(4)関西で少ない案件? — AI案件

 

■関西と関東でフリーランス案件の報酬額は違う?
(1)事例でみる関西の高額報酬案件
(2)関西、関東の高額報酬のIT系案件

 

日本全国で増加するフリーランスの人口

 

「フリーランス」という言葉はよく聞かれるようになりましたが、社会の多様化をうけて拡大している働き方であるため、その実態は多種多様です。「フリーランス白書」を発行している一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会は、「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」を「広義のフリーランス」と定義しています。

 
そして広義のフリーランスは、雇用関係ではなく業務委託契約などを締結して仕事をする「独立系フリーランス」と、メインの仕事のほかに副業でフリーランスとして仕事をする「副業系フリーランス」に大別されます。

 
日本におけるフリーランス人口については複数の統計データがありますが、内閣官房の試算によれば日本における広義のフリーランス人口は462万人。うち本業が214万人、副業が248万人に達しています(2020年5月、内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果」)。(※1)

 
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「フリーランス白書 2020」でフリーランスの地方分布をみると、東京が37.3%、東京以外の関東が22.1%と、関東全域で全体の半数以上を占めるものの、関西14.5%、九州・沖縄11.5%、中部7.2%……と続きます。ITツールの進化やテレワーク環境の整備によってテレワーク/リモートワークが可能になり、働く場所も選びやすくなった日本では、フリーランスも日本全国で仕事をしている様子がうかがえます。(※2)

 

「関西ではフリーランス活動が難しい」は本当?

 

関西と関東で、フリーランスを求める案件数はどのくらいあるのでしょうか。フリーランス向け案件紹介サイトで公開しているフリーランス募集中の案件から、その実態を調べてみました。

 
株式会社みらいワークスが運営するプロフェッショナル人材向け案件紹介サイト「フリーコンサルタント.jp」の公開案件のうち、勤務地が関東エリアの案件は95.9%と圧倒的多数を占めています。対して、関西エリアは1.1%と、リモートワークの1.2%より少ない結果となりました(2020年9月6日時点/以下同)。

※クライアントの都合上、別途非公開にしている案件もあります。

 
「フリーコンサルタント.jp」で公開している案件はフリーランスのコンサルタントを対象とする案件が中心で、案件数や案件傾向は求められるフリーランスの職種やクライアント企業の業種、案件を取り扱う企業などによって異なります。とはいえ、フリーランス案件は関東に多く、関西ではまだそれほど多くないというのは、さまざまな分野で共通しています。

 
その理由としては、冒頭で述べたようにフリーランス活用の流れが全国に波及している過程にあるということに加え、関西ならではの企業特性も影響しています。

 
関西、特に大阪には老舗企業や中小企業、個人メーカーなどが数多く存在しています。そのため、“自前主義”を貫く姿勢が根強いのです。そもそも日本企業では社内の人材を重用する考えが多数派で、外部の人材に仕事を依頼するというスタイルがなかなか浸透しません。東京を中心とする関東以外では、その傾向がいまも強く表れるケースもあるということでしょう。

 
特にコンサルタントという職種のフリーランスに対しては、「口は出すが手は出さない」というイメージを描いている企業担当者も多いとされ、その点でも企業から敬遠されがちということもあるようです。こうしたことからいままでは、関西のフリーランスが活躍することは難しいといわれてきましたが、その状態も変わりつつあります。まさにいまが、その過渡期なのです。

 

関西と関東におけるフリーランス案件の違いは?

 
企業におけるフリーランス人材の求め方をみてみると、関東では個々のプロジェクト単位でフリーランスを採用する、ある種“割り切った”スタイルが目立ちます。

 
他方、関西では、フリーランスといえどもできれば長く付き合いたい「長期契約型」を希望する企業が多くみられます。これも前述のように、老舗企業や個人メーカーの多い関西ならではの特性といえそうです。関西では、具体的にどのようなフリーランス案件が多いのでしょうか。

(1)関西で多い案件は「IT」「医療」「老舗企業」

関西の企業がフリーランスを求めるケースとしては、情報システム関連などのIT系案件が多くみられます。多くの企業を擁する関西では、その数に比例してITニーズも高くなります。そのニーズに対応すべくIT企業も関西に集まり、その企業がフリーランスの人材を求める…というわけです。加えて、ゲーム企業も多いため、フリーランスのエンジニアを求める案件も増えています。

 
また、関東と関西にそれぞれ本社機能を置き、関東本社ではマーケティングや新規事業推進を、関西本社では人事・総務などのバックオフィス業務を担当するといった分業制をとっている企業も多いと聞きます。そうした状況で情シス機能が関西に置かれ、そこでフリーランスを必要とする案件が増えてきているということもあるのです。

 
そのほか、医療・製薬系の案件、中小企業における事業承継案件、老舗企業やメーカー企業での組み込み系案件などもよくみられる傾向にあります。ここからは、「フリーコンサルタント.jp」の公開案件をベースに、関西の案件傾向をみていきましょう。

(2)関西で多い案件① — IT系案件

冒頭でご紹介した「フリーコンサルタント.jp」の公開案件における関西の案件は、職種カットでいうとすべてIT系案件でした。その内訳をみると、最も多いのが「SAP系案件」で8件21.6%、次いで「PM/PMO系案件」で16.2%という結果となりました。

 
SAP系案件については、SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「SAP ERP 6.0」のメインストリームサポートが終了する2027年を境に、案件が減少するのではないかと懸念される「2027年問題」がささやかれているものの、システムの導入・刷新プロジェクトでプロフェッショナルの支援を求めるニーズは引き続き高い状況です。

 
PM/PMO系案件では、製造業やベンチャー企業など幅広い分野で、プロジェクト管理およびその支援を求める案件がみられます。ほか、Salesforceなどの案件も、関東はもちろん関西でも需要が高いといえます。

(3)関西で多い案件② — 医療系案件

「フリーコンサルタント.jp」公開案件中の関西案件を業種カットで分析してみると、最も多いのが「製造系」と「医療・製薬系」でそれぞれ29.7%でした。

 
製造系案件に多いのは、前項の「SAP系」や「PM/PMO系」などのIT系案件です。医療系でもシステム導入支援やプロジェクト管理支援などの案件もありますが、臨床研究業務に関するコンサルタントや戦略コンサルタントなど、医療分野の専門的な知見を要する案件も目立ちます。

 
もともと大阪・道修町は“日本の医薬品産業発祥の地”といわれる地域でした。関西に大手製薬企業が多いのも、こうしたことに由来しています。このような関西の地域特性をふまえると、医療製薬系案件が大阪を中心とする関西に多いのもうなずけます。

(4)関西で少ない案件? — AI案件

反面、ディープラーニングや機械学習といった人工知能(AI)に関する案件、IoTなど最先端技術を駆使するような案件は、関西に比べて関東のほうが多いとされています。これは、前述のような関西の企業特性から、既存システムの保守・運用・改修といった案件や組み込み・汎用機などの開発案件が多い一方で、先端分野の研究などに対する投資はそれほど大きくないという傾向があるためとみられています。

 
とはいえ、関西でもAIやIoT案件は増えつつあり、「フリーコンサルタント.jp」の公開案件でもAI関連のプロジェクト支援やデータコンサルタントを募集する案件がみられます。

 
そして、製造業が多いという関西の特性を考えれば、工場のIoT化、製品の検品、AIを活用した購買の自動発注や配送の最適化など、AIやIoTに関するニーズが今後深掘りされていく可能性は十分にあるといえるでしょう。

 

関西と関東でフリーランス案件の報酬額は違う?

 
報酬額は、プロジェクト期間や求められるスキルによっても異なるので一概にはいえませんが、関西のフリーランス案件の平均的な月額報酬は関東の1〜3割減の傾向があるとされています。これを金額に換算すると、ある案件の平均報酬が関東で月額70万円である時、関西では月額49〜63万円ということになります。

 
ただし、先に述べたように関西では長期案件も多いため、案件全体の報酬額でみると多くなるというケースもありますし、業種によっては関東と同程度の報酬傾向を探しやすい案件もあるようです。

(1)事例でみる関西の高額報酬案件

「フリーコンサルタント.jp」で公開している関西のフリーランス案件から、高額報酬案件の一部をピックアップしてみると、次のようなものがありました。

 
・大手メーカーのSAPロールアウトプロジェクト:月額150万円
・大規模なシステム導入プロジェクトのPMO案件:月額150万円
・大手製薬会社におけるAIデータ活用プロジェクトのコンサルタント:月額200万円

 
医療・製薬系の案件、グローバル案件などでは、関西でも関東と同程度の報酬や高額報酬の案件を狙いやすくなるといえます。そして関西は、フリーランスのコンサルタントの人数が関東ほど多くないため、企業のニーズがニッチな案件では高額報酬を狙いやすいといえそうです。

(2)関西、関東の高額報酬のIT系案件

関西に多いIT系案件の報酬傾向は多様ですが、SAPやSalesforceの大規模プロジェクト、データサイエンティストなどの高度な知識や経験を必要とするプロジェクトなどの案件では、報酬が高額になる傾向があります。

 
他方、関東で募集している月額150万円以上のIT系案件の一例を挙げると、グローバル企業における財務業務支援、SAPの導入・展開プロジェクトの支援、大手企業のITデジタル企画推進といったものがみられます。関東は企業の数もフリーランス活用案件も多いため、高額報酬の母数も増えやすくなるといえるでしょう。

 
 
 
すでにフリーランスの活用が広がっている関東に比べると、現在の関西ではフリーランスが活躍できる案件はまだそれほど多くないかもしれません。しかし、企業において労働人口の減少は喫緊の課題ですし、新型コロナウイルスの感染拡大はテレワーク/リモートワークをはじめとする多様な働き方を後押しする動きにつながっています。

 
そうした状況をふまえ、関西の企業においても優秀なプロフェッショナルの支援を請うケースは今後どんどん増えていくことが見込まれますし、関西のフリーランスの方々が思う存分活躍できる案件は多くの地域で拡大していくでしょう。そのとき必要となるのは、クライアントのニーズに応えるスキルです。すでにフリーランスとして働いている方はもちろん、今後フリーランスとして働くことを考えている方も、ぜひいまのうちに経験や知識を蓄え、スキルを身につけておきましょう。

 

<出典一覧>
※ 1:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/
suishinkaigo2018/koyou/report.pdf

※ 2:https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2020/06/2020_0612_hakusho.pdf

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 
 

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