コンサルタントの転職!若手のうちに意識しておきたいこと

作成日:2020/10/23

プロジェクト経験がまだそれほど多くない若手コンサルタントの方は「つい目の前の仕事にばかり集中してしまう」という場合も多いかもしれません。プロジェクトの多様化やITコンサルタントやPMOの求人増加など、企業に求められるコンサルタント像に変化が起きています。変化の速度に柔軟に対応できることも若手コンサルタントの武器の一つです。世の中の動向をキャッチして、自分に合ったキャリアプランを練りましょう。若手の求職者がプロジェクトへ参画するとき、「何を大切にすればいいか」「どんなことを意識して仕事をするべきか」「どんな経験が役立つか」について探っていきます。

 

目次

■現在のプロジェクトは多様化が進んでいる

 

■IT系コンサルタントやPMOなどの職種のニーズが高まっている
(1)IT系コンサルタントのニーズが急増
(2)PMのプロジェクトマネジメントを支援するPMO人材へのニーズも高い

 

■コンサルタントに求められていることが、大きく変わってきた?
(1)コンサルティングファームで働く人も経営者視点が求められている
(2)より成果にこだわる姿勢が求められている
(3)コンサルタントにクリエイティブ視点が求められている

 

■プロジェクトに参画する上で、コンサルタントが大事にすべきこと

 

 

現在のプロジェクトは多様化が進んでいる

 

最近のプロジェクトに見られる傾向のひとつが「多様化」です。

例えば戦略コンサルタントの案件と言えば、1年以上の長期のものがほとんどでした。ところが最近では数か月という短期のプロジェクト事例も。こうした短期案件のコンサルティングは「スポットコンサル」と呼ばれ、注目する人も増えてきました。

スポットコンサルは企業側にとって、「コストや時間を抑えつつ専門家に相談でき、アドバイスや最新情報をもらえる」というメリットがあります。一方コンサルタント側にとっても、副業としてプロジェクトに参画、経験値を上げることができるなどのメリットがあります。

 

期間だけではなく、プロジェクトで扱うテーマも多様化している様子。インフラや基幹システム関連などの定番プロジェクトの他、例えば「仮想通貨事業システムの開発・改善」「デジタルサイネージ導入」というようなプロジェクトを計画する会社も出てきています。

また、プロジェクトチームに参画するメンバーも多様化が進んでいます。

戦略コンサルタントであれば、企業の海外進出や海外企業の買収や提携といった案件もあります。それ以外にも、システム開発案件では国内プロジェクトでも海外の技術者が参画するケースもあります。グローバルな案件になると、当然メンバーのバックグラウンドが違うため、考え方や文化、情報の捉え方や業務の推進方法などに大きな違いが出てきます。

 

このようにさまざまな面で多様化するプロジェクト。スムーズに進行していくためには、柔軟に対応できるスキルや経験を持つ人材が求められていると言えるでしょう。コンサルティング業務において、新たなテクノロジーや手法などの情報を仕入れ、積極的に取り入れる姿勢が大切になってきています。

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IT系コンサルタントやPMOなどの職種のニーズが高まっている

 

転職や独立などのキャリアを考えるためには、どんなコンサルタントの職種に対して求人があるかを知っておくことも重要。従来のコンサルタントと言えば、戦略コンサルタントが一般的でした。しかし最近では職種も増えていて、クライアント企業のニーズにも変化が出てきています。

(1)IT系コンサルタントのニーズが急増

特に最近コンサルティング業界で求人が増加しているのがITコンサルタント人材。

少子高齢化長時間労働の問題もあり、人手不足が深刻化している会社が増えています。そのため業務効率化が多くの会社で大きな課題になってきました。そこで業務改革や自動化を目的としたITプロジェクトが増えているというのがその理由です。

そのため、ITプロジェクトの増加にあわせて、ITコンサルタントを求める声も増えていて、ITエンジニアからIT系コンサルタントへの転職を検討する人も増加しています。また2027年問題を抱えるSAP(※1)やAWSなどのシステムに特化したIT系コンサルタントへのオファーも増えてきているようです。

 

こうしたIT系コンサルタントのニーズが高まっている状況を踏まえると、IT系コンサルタントはもちろん、それ以外の職種でもIT関連プロジェクトに関わる機会は増えるはずです。ITへの対応力はもはやコンサルタントには必須と言えるでしょう。

また、新型コロナウイルスの流行により社会情勢は刻一刻と変化していますが、テレワーク、リモートワークに向いている職種として改めて注目を集めている側面もあります。

(2)PMのプロジェクトマネジメントを支援するPMO人材へのニーズも高い

IT系コンサルタントと同じく、ニーズが高まっているのがPMO。PMO(Project Management Office)とは、いわばプロジェクトマネージャー(PM)のサポート役。大規模なプロジェクトにはPMOが置かれることも増えてきました。PMOの仕事内容は、事務的な業務を代行するような支援だけではありません。高度なPMOになると、その仕事内容は進捗管理からメンバーのマネジメントに至るまでプロジェクト全体をカバーすることもあります。

 

最近の大規模プロジェクトは内容も複雑化していますが、その一方で、コストを抑えるために、会社からは限られた時間で成果を出すことが求められています。そこで案件を効率的に進められるPMOのニーズが高まっているというわけです。

若手コンサルとして、PMの補佐という立場でプロジェクトに参画する機会は多いかもしれません。PMOとしての役割も意識しつつ、マネジメントスキルを学び、情報を入手し経験を積むチャンスととらえることも大切です。マネジメントの専門性を高めて、PMOとして転職や独立するというキャリアプランも考えられるかもしれません。

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コンサルタントに求められていることが、大きく変わってきた?

 

変化のスピードが速いコンサルティング業界。最近では、コンサルタントが参画する方法や求められている役割、プロジェクトの報酬形態などにも少しずつ変化が出てきています。これはコンサルタントに求められているものが変わってきているため。代表的なものを3つご紹介しましょう。

(1)コンサルティングファームで働く人も経営者視点が求められている

コンサルティングファームで働くコンサルタントの場合、クライアント企業に常駐することはあってもあくまで社外の人間という立場。

ところが最近では、コンサルティングファームがクライアント企業に出資して、ビジネスパートナーとしてプロジェクトに参画するケースも出てきています。この場合コンサルタントは、ビジネスオーナーという立場で実際の事業開発や運営に携わることになります。コンサルティングファームとしては、出資することで新たな事業を展開したり、クライアント企業との関係強化につなげたいというのが大きな狙い。

 

こうした状況を踏まえると、例えば今まで戦略立案がメインだったという戦略コンサルタントも、アドバイザーというスタンスだけではなく経営者の視点も必要になってきます。

(2)より成果にこだわる姿勢が求められている

「コンサルティングファームがリスクを持つ」という意味では、報酬の面でも変化が出てきています。一般的なコンサルティングの場合、コンサルタントの人数やレベル、経験、稼働時間によって費用がおおよそ決まります。しかし今では、成果報酬型というコンサルティング会社も出てきました。

ある経営コンサルティングを手掛ける企業は、完全成果報酬型のビジネスによって急成長を遂げています。費用が後払いという点が企業から見ると利用しやすく、受注増加につながっているとのこと。成果報酬型はまだ多くはありませんが、今後増えてくることも考えられます。

 

成果報酬型ではなくとも、クライアント企業側もプロジェクトの成果に対してシビアになってきています。その理由のひとつが、元戦略コンサルタントという人が事業会社へ転職し、クライアントの立場にシフトするケースが増えていること。コンサル業務の知識や経験を持つ人がクライアントに転職することで、より厳しくプロジェクトの成果をチェックできるようになったわけです。

(3)コンサルタントにクリエイティブ視点が求められている

最近コンサルティング業界のトレンドと言えば、外資系コンサルティングファームのマーケティングやデザイン系の企業への出資でしょう。日本でも2016年にアクセンチュアがデジタルマーケティング企業であるIMJの株式過半を取得し、大きな話題となりました(※2)。海外でも大手コンサルティングファームが広告代理店やデザイン会社を買収する事例が増えてきています(※3)。

 

戦略系コンサルタントに代表されるように、コンサルティングと言えば戦略策定がメインでした。しかし最近では戦略だけではなく、施策を実行するところまでまとめてコンサルティングファームが請け負うこともあります。こうなるとプロダクトデザインやマーケティングも関わってきます。こうした状況に対応するため、マーケティングやデザイン関連会社の買収が進んでいるというのがその理由です。

 

つまりコンサルタントも、このトレンドに対応していく必要があります。従来のスキルだけではなく、クリエイティブスキルもコンサルタントに求められてきていると言えるでしょう。

戦略コンサルタントと言えば従来は論理的思考スキルがメインでしたが、今後はさらにデザイン思考スキルも重視されていくのではないでしょうか。こうしたスキルを若手のうちから意識して経験を積んでおけば、将来の転職などのキャリアにも大きく役立つはずです。

 

 

プロジェクトに参画する上で、コンサルタントが大事にすべきこと

 

戦略系コンサルタントをメインにポイントをご紹介してきましたが、こうしたコンサルティング業界のトレンドを意識した対応は、他のコンサルタントにとっても必要です。そこで組織や人事のコンサルティングを行なう人事コンサルタントを例に、コンサルタントとして意識すること、大事にすべきことを整理しました。

 

海外企業のM&Aなどにより、組織人事コンサルタントも海外の人材に対応したコンサルティングを担うケースは増えています。海外での求人計画を立てたり国内外の人事制度を標準化したりするような、グローバルな対応を意識する必要があります。

 

組織人事コンサルティングにおいては、ITと関連性がないようにも見えますが、実際はITとの関わりは増えています。求人対応や人事評価システムなどにAIを導入して、業務効率化を図るプロジェクト事例もあります。

また拠点の多い大企業の組織人事コンサルティングでは、当然プロジェクト規模も大きくなります。こうしたケースでは、PMOに近いマネジメントスキルが求められることもあるでしょう。ITコンサルタントやPMOに近いスキルが必要になってきているわけです。

 

またコンサルタントの役割が変化しているという点は、組織人事コンサルタントにも影響してきています。

例えば成果重視という点では、組織人事コンサルの場合「客観的な成果が見えづらい」というイメージが強いのではないでしょうか。とはいえ人事評価制度を見直し社員のモチベーションが向上、その結果会社の収益も上向きになったというプロジェクト事例もあります。組織人事コンサルにおいても、企業の収益や求人コストといった数字が成果として重視されていると言えるでしょう。

またデザイン思考についても、実は組織人事コンサルティングに導入される事例があり、デロイトトーマツでは人事アプリの開発においてデザイン思考を取り入れています(※4)。

 

 

 

コンサルティング業界のトレンドとして「プロジェクトの多様化」「ITコンサルタントやPMOの求人増加」「コンサルタントに求められていることの変化」をご紹介しました。

こうした変化は、戦略系コンサルタントだけではありません。組織人事コンサルタントをはじめ、あらゆるコンサルタントに今起こっている変化と言えるのではないでしょうか。若手コンサルとしてはこのあたりの状況やトレンドをおさえ、普段プロジェクトに参画するときに意識し、自分の価値向上に活用したいところです。

 

またコンサルティング業界全体だけでなく、新型コロナウイルスによって社会全体が大きく変化している中、プロジェクトに参画する上で最も大事なことは「変化に対応できるかどうか」ではないでしょうか。転職者は対応力を鍛えていくことで、将来の転職や独立などキャリアプランも幅広くなっていくはず。もちろん今すぐ転職するつもりがなくても、将来のキャリアに向けて対応力を意識し、自分自身の価値を高めていきましょう。

<出典一覧>
※1:「2027年問題によるSAPコンサルタントの将来性は?」
https://freeconsultant.jp/column/c278
※2:https://www.accenture.com/jp-ja/company-news-releases-20160704
※3:https://goodpatch.com/blog/why-designagency-purchase/
※4:https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/articles/hcm/reimagine-and-craft.html

 

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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