フリーランスが今知っておくべきポストコロナ(アフターコロナ)の働き方

作成日:2020/06/12

新型コロナウイルス感染症の影響により、日本を含め世界中で働き方や生活に劇的な変化が起こっています。フリーランスにとってもその影響は大きく、仕事が減少したフリーランスが半数以上という調査結果もあり、厳しい状況が浮き彫りになりました。新型コロナウイルスによって今社会にどんな変化が起こっているかをまとめ、ポストコロナ時代にフリーランスの働き方はどうなっていくかを探っていきます。

 

目次

■withコロナからポストコロナ(アフターコロナ)へ
(1)コンタクトレス(非接触)ビジネスの台頭
(2)強みを生かして社会貢献に取り組む個人や中小企業の増加

 

■フリーランスが直面している課題と働き方の変化

 

■ポストコロナ(アフターコロナ)時代にフリーランスの働き方はどう変わる?
(1)テレワークの定着によって、働く場所や住む場所への意識が変わる
(2)ポストコロナに向けてフリーランスが磨くべきスキルとは

 

 

withコロナからポストコロナ(アフターコロナ)へ

 

現在のいわゆる「withコロナ」という状況において、大きな社会の変化として挙げられるのが「コンタクトレスビジネスの台頭」「社会貢献活動の広がり」です。

(1)コンタクトレス(非接触)ビジネスの台頭

新型コロナウイルスの影響で外出自粛となったため、日本でも急激に広がりを見せているテレワーク。特にテレワークによって、会議や営業などビジネスのオンライン化が進んでいます。

 

こうしたオンライン化によってリアルな接触がない、いわゆる「コンタクトレス」なビジネスのスタイルが一般的になりつつあります。そこでオンラインツールやクラウドサービスを扱う業界は、新型コロナウイルスの影響によって活況とも言われています。

 

一方でこうしたサービスを活用して、コロナ禍でも事業を継続させようと新たな取り組みを始めたところもあります。例えば、革製品の製造・販売を行なうブランド「マザーハウス」では、緊急事態宣言により全店舗を一時的にクローズせざるをえない事態となりました。

 

もともとオンラインストアを展開していたマザーハウスですが、全店舗クローズ中に下記のような新サービスをスタートさせています。

●実店舗のスタッフが商品の質問にオンラインで答えてくれる「ストアチャット」
●YouTube動画で実店舗のスタッフが商品紹介をする「マザーハウスTV」

 

こうした取り組みによって、コンタクトレスな環境でもユーザーとの接点を維持しています。中小企業だからこそ、状況に合わせながらリソースを活用できる対応がスピーディーにできたのでしょう。

 

日本はもちろんですが、世界的にもコンタクトレスビジネスの成長が予想されています。あるアメリカのあるベンチャーキャピタルでは、ポストコロナに成長が見込める分野として「非接触で食品を受け取れるサービス」「遠隔医療」「AI技術とオートメーションに関連する製造業」「オンライン教育」という4業種を上げています。

 

日本でもコロナ禍の中、オンライン診療オンライン教育の導入が急激に進んでいます。こうした分野で特に存在感が高まっているのが、スマートフォンアプリでオンラインサービスを展開するようなスタートアップ企業。スタートアップならではのアイデアとスピードで、成長を続けるところが増えています。

 

ある調査では、コロナ禍によって企業の売り上げは下がっているものの、新型コロナウイルスによる変化を新たなビジネスチャンスと捉えている人が3割いるというデータもあります。

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(2)強みを生かして社会貢献に取り組む個人や中小企業の増加

コロナ禍によって中小企業やフリーランスを含む個人は、大変厳しい状況に置かれています。一方で、中小企業や個人が、医療や飲食店をサポートする側に回るという動きも広がっています。ここでは2つ事例をご紹介しましょう。

 

①異業種の中小企業や個人がマスクやフェイスシールドの製造を開始

シャープによるマスクの製造や日産による医療用フェイスシールドの製造など、異業種による医療支援が広がっています。しかし大企業だけではなく、中小企業や個人が強みを生かして社会貢献に取り組む動きも進んでいます。

 

例えば岐阜県のベビーカーなどの製造販売事業を行なうキュリオ社。医療用だけではなく、新たに店舗・学校・オフィス向けフェイスシールドを製造する事業に取り組み始めています。この事例では香川大学教授も務めるプロダクトデザイナーの協力のもと、デザインや装着性にこだわったフェイスシールドを開発(※5)。一歩先の課題やニーズをうまくつかんでいるケースではないでしょうか。

 

②ITスキルを活かし、フリーランスが地元のテイクアウト情報サイトを立ち上げ

コロナ禍で深刻な影響を受けている業種のひとつといえば、外食産業でしょう。この状況の中、フリーランスのデザイナーやエンジニアがテイクアウト情報サイトを構築して飲食店を支援する動きもあります。

 

例えば神奈川県横浜市金沢区のテイクアウト情報をまとめた「金沢区テイクアウトマップ」。このサイトは個人で活動するグラフィックデザイナーの山﨑真実氏が作成しました。店舗で使えるPOPなどのデザインデータもダウンロードできるようにするなど、飲食店のニーズを汲んださまざまなサポートにも取り組んでいます。

 

実は同じ金沢区エリアでは、横浜市立大学の大学院生である岩本雄氏も、近隣テイクアウト情報をまとめたサイトを構築しています。中小企業や個人による社会貢献は、大企業の事業と比べれば規模は小さくなります。しかし上記のような事例を見ると「規模が小さいからこそスピーディーな対応ができる」「現場や地域のニーズにきめ細かく対応できる」といった強みがあることがわかります。

 

新型コロナウイルスの影響が長期化すると言われる中、こうした社会貢献の動きは一時的なものではなく、定着していくと考えられます。このような活動が広がることで「多様な業種の人たちが強みを生かして助け合える社会」に変化してきている、とも言えるのではないでしょうか。

 

今後は社会貢献をきっかけに、新規事業など新たなイノベーションが生まれるケースも増えてくるかもしれません。

 

 

フリーランスが直面している課題と働き方の変化

 

新型コロナウイルスによって社会の不可逆的な変化が起こりはじめた現在、フリーランスの人たちがどんな課題を抱えているか、というのも気になるところではないでしょうか。

 

みらいワークスでは、プロフェッショナル人材を対象に新型コロナウイルス感染症の影響に関するアンケートを2020年4月に実施しました。仕事量の変化については「仕事が減少した」という方が半数近くいる一方、「影響なし」「増加した」という回答も約半数という結果となりました。収入についても、仕事量と同じく影響があった方とない方が半数ずつとなっています。テレワークの急増などの影響もあり、IT系職種で収入が増えた人が多い傾向が見られます。

 

フリーランスの働き方も大きく変化しており、常駐からテレワークに変更になったという方が約8割。今後フリーのプロフェッショナル人材活用においても、テレワークがメインになる案件が増える可能性もあるかもしれません。

 

なお新規案件の受注においても、直接会うことが難しいため対面取引ではなくオンライン面談がメインになっていて、この流れは今後も加速することが予想されます。つまり個人が自分で営業をかけづらくなっている、とも言えるのではないでしょうか。今後は人材マッチングサービスなどを活用して、オンラインで受注ができるかどうかもカギになってくるはずです。

 

なお今回実施したプロフェッショナル人材のアンケート結果については、以下のページで詳しく紹介しています。

※新型コロナウイルス拡大の影響に関して実態調査を実施しました。
https://mirai-works.co.jp/topics/release022/

 

 

ポストコロナ(アフターコロナ)時代にフリーランスの働き方はどう変わる?

 

現状の変化とあわせて、今後新しい「ポストコロナ」時代を想定していく必要があります。そこで「実際にどんな変化がこれからさらに起こるのか」「フリーランスの方々の働き方にどう影響するのか」について2つの視点で予想してみました。

(1)テレワークの定着によって、働く場所や住む場所への意識が変わる

ポストコロナ時代はテレワークという働き方が主流になる可能性が高まってきました。テレワークは直接対面して打ち合わせや営業活動ができないという課題がありますが、通勤や移動時間がなくなることで業務を効率化できるメリットもあります。

 

例えば、従来はお客様のオフィスへ赴いて打ち合わせをするため、数週間前から予定をおさえる必要がありました。ところがオンライン会議の形態になると、お互いの時間の工面が容易になり、また会議室をおさえるなどの手間もなくなったため、「今日の夕方空いているので30分くらい話しましょう」という迅速なミーティング開催が可能になるのです。テレワークによって、今までよりビジネスのスピードが上がるというわけです。

 

またテレワークでは、常に上司や管理者が近くにいて働くというスタイルではなくなります。つまり指示待ちではなく、自ら提案できる力や自己管理スキルの重要性が高まってくることが想定されます。「テレワークの定着によって働く側の主体性がさらに求められ、プロセスより結果を重視する傾向が強まる」と予想する声もあります。

 

テレワーク導入によって、住む場所やオフィス所在地に関係なくビジネスができるようになります。そこで「必ずしもオフィスの近くに住まなくてもよい」という考えも広がっているようです。実際に2020年5月実施されたある調査によると、「東京圏に住む約半数が地方に住むことに関心がある」という結果が出ています。特に20代など若年層にその傾向が強いそうです。

 

実際に北海道などの地方では、企業のサテライトオフィスを誘致してテレワーク環境を整え、地元に人を集めて経済活性化を目指すところもあります。地方に住むプロフェッショナル人材にとっては、これからどんどんチャンスが広がっていくのではないでしょうか。反対に地方企業が都市部のプロフェッショナル人材を活用するケースも増えてくるでしょう。

 

コロナ以前からこうした動きは少しずつあり、例えば鹿児島の企業が東京に住むIT系人材を活用して課題解決につなげたケースもあります(※8)。地方経済も厳しい状況ですが、今後こうした地方と都市の人材・企業の共創事業が増えることが予想されます。

(2)ポストコロナに向けてフリーランスが磨くべきスキルとは

いつか迎えるポストコロナに備えて、フリーランスとしては今後どんなスキルが必要とされるかを考える必要もあります。今特に求められている2つのスキルをご紹介します。

 

①先を見据える力

変化が激しい今は現状の課題だけではなく、先のことも見据えた行動が必要になってきます。現状仕事が減少しているフリーランスの方なら、少し先を見た営業活動ができるか、先を見たスキルアップができるかによって今後の収入も変わってくるはずです。

 

例えば関西エリアで言えば、現状コロナ禍によって訪日観光客が激減しており、関西経済の低迷が懸念されています。一方で5年後の2025年に予定されている大阪万博を見据えると、今後ガラッと経済的な変化が起こる可能性もあるのではないでしょうか。

今のうちから5年後を見据えて情報収集していくと、チャンスが広がるかもしれません。

 

 

②営業力(セルフブランディング力)

住む場所と働く場所が離れていてもOKということは、、企業から見れば世界中の人材を採用できるということになります。フリーランスにとって競争相手が増える可能性もあります。

 

また仕事の受注方法にも変化が出てきており、すでにその流れが始まっていますが、今後も対面が前提ではなくオンラインでの面談や打ち合わせが基本となることも多いでしょう。対面できないからこそ、これまで以上に営業力やセルフブランディング力がフリーランスに求められてくるわけです。こうしたスキルを自ら磨いていけるかが課題になってくるのではないでしょうか。

 

フリーランスに必要な営業力やセルフブランディング力などのスキルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

 

 

日本ではわずかな増減は見られるものの、全国的な感染者は減少傾向にあります。しかし当面は世界全体で「withコロナ」の状況が続くと見られています。フリーランスにとっては厳しい状況が続きますが、「持続化給付金」など少しずつフリーランスを支援するための補助金(助成金)も出てきました(※9)。手続きなどさまざまな課題はあるものの、こうした支援制度を利用しながら事業の継続を目指したいところです。

 

また今を乗り切った後の「ポストコロナ」についても、見据えていく必要があります。「世界的なコンタクトレスビジネスの増加」「社会貢献活動の活発化」といった状況を見越して、フリーランスとして新しい働き方にシフトしていけるかが大きなカギでしょう。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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