SAPフリーランスとは?独立する魅力やSAPコンサルの種類を解説

最終更新日:2025/04/07
作成日:2019/01/29

 

クライアント企業の課題解決を「IT技術」の観点からサポートし、IT・WEBシステムの導入・開発プロジェクトを支援す「ITコンサルタント」。

 

その一種ともいえるSAPコンサルタントの仕事内容は、SAP製品に特化したコンサルティングです。SAPコンサルタントはフリーランスという働き方と相性がいいといわれており、独立する人が多くいます。

 

今回は、SAPフリーランスの定義や独立する魅力、SAPコンサルタントの種類などについて解説します。

 

目次

■SAPフリーランスとは?
(1)SAPフリーランスの定義
(2)SAPコンサルタントがフリーランスに向いている理由
(3)SAPフリーランスになるには何が必要?

 

■SAPとは?どんな製品か解説
(1)ERP分野で圧倒的なシェアを誇る「SAP」
(2)「クラウドERP」が転機に。時代に合わせ展開を図ってきたSAP
(3)SAP R/3の後継製品としてリリースされた「SAP S/4 HANA」

 

■SAPフリーランスの仕事内容
(1)SAP製品の導入支援
(2)SAP製品の開発やカスタマイズ

 

■SAPフリーランスの種類
(1)機能コンサルタント
(2)テクニカルコンサルタント
(3)ソリューションアーキテクト
(4)BIコンサルタント
(5)クラウドコンサルタント

 

■SAPフリーランスに求められるスキル
(1)SAP製品に関する深い知識
(2)業務プロセスへの理解
(3)プロジェクトマネジメント能力
(4)コミュニケーションスキル

 

■SAPフリーランスの将来性は?行く末を予測

 

■SAPフリーランスにおすすめのエージェント

 

■まとめ

 

SAPフリーランスとは?

SAPコンサルタントの仕事

まずは、SAPフリーランスの定義や、フリーランスに向いていると言われる理由を解説します。

(1)SAPフリーランスの定義

SAPフリーランスとは、独立してフリーランスとして働くSAPコンサルタントのことです。

 

コンサルティングファームに所属していないため、自分で案件を選ぶことができます。フルリモートの案件を選べば、場所や時間を問わずに働けるのが特徴です。

 

(2)SAPコンサルタントがフリーランスに向いている理由

SAPコンサルタントがフリーランスに向いていると言われる主な理由は、以下の2つです。

 

  • ・SAP製品に特化した専門的な知識を持っている
  • ・プロジェクトベースの働き方をしている

 

SAP製品に関する知識は独学で身につけることが難しく、SAP社が提供するオンライントレーニングの受講にはおよそ100万円の費用がかかります。

 

SAPの知識を有している人は希少性が高く、多くの高単価案件を獲得できる点が、フリーランスに向いていると言われる理由です。

 

さらに、SAPコンサルタントはプロジェクトベースで仕事をこなしていくことから、フリーランスという自由なワークスタイルとも非常に相性が良いと言われています。

 

たとえば、まとまった単価の一つのプロジェクトを終えたあとに、1~2か月の長期休暇をとるといったスケジュールの組み方も可能です。

 

(3)SAPフリーランスになるには何が必要?

SAPフリーランスになるために必須の資格等はありませんが、SAPコンサルティングの実務経験はあった方が良いでしょう。

 

未経験からSAPフリーランスになるケースはほとんどなく、コンサルティングファームで最低5年の経験を積んでから独立する人が多い傾向にあります。

 

しっかりとした実績・経験がなければ、SAPフリーランスになっても案件を獲得できない可能性があるため、注意が必要です。

 

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SAPとは?どんな製品か解説

世界最大級のソフトウェアベンダーSAP

SAPというのは社名で、正式名称は「Systemanalyse and Programmentwicklung」です。「SAP」はサップと読むのではなく「エス・エー・ピー」と読みます。

 

改めて、SAPについて復習していきましょう。

 

(1)ERP分野で圧倒的なシェアを誇る「SAP」

SAPはドイツに本社を置く企業で、世界全体での売上高は3兆円超(2019年)。マイクロソフトやオラクルといった世界有数の会社と同じく、世界で十指に数えられる有数のソフトウェア会社の一つです。

 

SAPが提供しているのは、主に法人(エンタープライズ)向けの業務アプリケーション製品です。経営の効率化を目的として、企業のヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を管理・活用するための基幹システムである「ERP(Enterprise Resource Planning)」製品を中心に提供しています。

 

SAPのソフトウェアの利用は2019年時点で世界190カ国、約4,432万社におよび、ERP分野では圧倒的なシェアを獲得しています。

 

(2)「クラウドERP」が転機に。時代に合わせ展開を図ってきたSAP

ERPシステムは、かつてはほかのソフトウェアと同様にパッケージ形式での提供がメインで、そのパッケージ製品をオンプレミスで運用していました。

 

しかし、次第にインターネットが普及し高速通信が可能になると、SaaS(Software as a Service)やIaaS(Infrastructure as a Service)での提供も登場するようになります。

 

そして、クラウドコンピューティングの波が到来。ITを「所有」する時代から「利用」する時代へと急速に動かしたクラウドコンピューティングの波に影響されたのは、ERPシステムも例外ではありませんでした。

 

パッケージ形式での提供は非常に高額で、そのユーザー企業も必然的に大企業や中堅企業に絞られていたERP製品ですが、「クラウドERP」ともいわれるクラウド形式でのERP製品の登場はその状況も一変させます。

 

クラウドERPの登場でERP製品を低コストで使いやすくなったため、ユーザーのすそ野が小規模企業にまで広がるようになったのです。

 

そうした変遷を経てきたERPの分野で、マイクロソフトやオラクルといった大手ソフトウェアベンダーとしのぎを削りながら、時代に合わせてさまざまな展開を図ってきたのがSAP、そしてSAPの現状のERPアプリケーションです。

 

(3)SAP R/3の後継製品としてリリースされた「SAP S/4 HANA」

SAPが提供するERPシステムの代表製品は、クライアント/サーバーシステムに初対応したERPパッケージである「SAP R/3(エス・エー・ピー アール・スリー)」です。

 

この製品は広く使われ、世界中の企業で人事・財務・会計・物流といった資産を管理・活用する基幹システムとして浸透するようになりました。

 

近年ではSAPのERP製品もクラウド対応が進み、SAP R/3の後継製品として「SAP S/4 HANA(SAP Business Suite 4 SAP HANA、エス・エー・ピー エス・フォー・ハナ)」がリリースされました。

 

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SAPフリーランスの仕事内容

SAPという看板が付いているビル

「ERP製品を自社に導入して会社の資産をきちんと管理し、経営の効率化を図りたい」「会社の規模も大きくなってきたので、基幹システムをSAP製品に変えてスピーディーに意思決定できるようにしたい」と考える企業は少なからず存在しますが、ユーザー企業だけでSAPの基幹システムを導入するのは、非常にハードルが高いものです。

 

そういった企業に対し、SAPフリーランスがどのようなコンサルティングを行うのか解説します。

 

(1)SAP製品の導入支援

クライアント企業がSAP製品を導入する際に支援するのが、SAPコンサルタントの主な仕事です。

 

インプリメーションコンサルタント(インプリコンサル)とも呼ばれるSAPコンサルタントは、以下のような業務をSAP製品の導入に特化して支援します。

 

  • ・クライアントの現状を分析して、その企業にどのような業務や資産が存在するかを整理する
  • ・業務や資産を管理するための基幹システムとして、どのような要件が必要かをまとめる
  • ・システムを設計/開発していくという一連のシステム導入プロジェクトを実行する。

 

(2)SAP製品の開発やカスタマイズ

時代の変遷とともに製品のバリエーションを展開し、ERP分野でのシェアを確固たるものにしているSAPのERP製品群。ラインアップは現状では実に多様になりました。

 

日本法人であるSAPジャパンのWEBサイトを見てみると、その製品領域が非常に広範囲にわたることがよくわかります。

 

そうしたITシステムを導入するには、製品を購入するだけではなく、企業の実態に合わせて開発やカスタマイズを行うなどの対応が必要です。

 

企業活動の重要な部分に密接に関わるシステムなので、スムーズな実装・運用のためにプロジェクトを組んで、入念な準備を重ねなければなりません。

 

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SAPフリーランスの種類

SAPコンサルタントに求められるスキルと案件例

SAPコンサルタントは、企業のビジネスプロセスとITシステムを最適化するための専門家です。クライアントのニーズに応じて様々な専門領域に特化したコンサルタントが存在し、それぞれが独自の役割と専門知識を持っています。

 

以下は、SAPコンサルタントの主な種類とその特徴です。

 

(1)機能コンサルタント

財務会計(FI)、管理会計(CO)、販売管理(SD)、材料管理(MM)、人事管理(HR)など、特定のSAPモジュールに関する深い知識を持つスペシャリストです。

 

業務プロセスの分析、要件定義、システム設定(コンフィギュレーション)を行い、クライアントのビジネスプロセスをSAPシステムに反映。業界知識とSAPの機能知識を組み合わせ、最適解を提案します。

 

(2)テクニカルコンサルタント

ABAP(Advanced Business Application Programming)というSAP独自のプログラミング言語を使用して、標準機能ではカバーできないカスタマイズ開発を行います。

 

レポート作成、フォーム開発、インターフェース構築、データ移行ツールの開発など技術的な側面を担当します。システムのパフォーマンス最適化やトラブルシューティングも、重要な役割です。

 

(3)ソリューションアーキテクト

クライアントのビジネス要件を理解し、最適なSAPソリューションの全体設計を行います。

 

機能面と技術面の両方の知識を持ち、複数のモジュールやシステムを統合した全体アーキテクチャを設計。プロジェクト全体のロードマップ作成、技術的な意思決定、リスク管理なども担当し、導入プロジェクトの技術的リーダーシップを発揮します。

 

(4)BIコンサルタント

SAP BW(Business Warehouse)やSAP Analytics Cloudなどのツールを使用して、データ分析や報告システムの構築をします。

データモデリング、ETL(抽出・変換・ロード)プロセスの設計、ダッシュボードやレポートの開発を行い、経営判断に必要な情報基盤を整備。データの品質管理やパフォーマンス最適化も重要な業務です。

(5)クラウドコンサルタント

SAP S/4HANA Cloud、SAP SuccessFactors、SAP Aribaなど、クラウドベースのSAPソリューション導入を支援します。

 

クラウド環境での最適な設定、統合、移行戦略を提案し、オンプレミスからクラウドへの移行プロジェクトをリード。継続的なアップデートを前提としたクラウドサービスの特性を理解し、変化に強いシステム環境の構築をサポートします。

 

 

SAPフリーランスに求められるスキル

SAPコンサルタントに求められるスキル

SAPコンサルタントとして成功するためには、技術的な専門知識だけでなく、ビジネスへの深い理解とソフトスキルが不可欠です。

 

クライアント企業の業務改善とデジタルトランスフォーメーションを効果的に支援するために、以下のようなスキルセットが求められます。

(1)SAP製品に関する深い知識

導入・最適化するSAPモジュールの機能や設定オプションを熟知していることが不可欠です。

 

システムの標準機能とカスタマイズ可能な領域を理解し、クライアントの要件に合わせて最適な設定方法を提案できる専門知識が求められます。

 

また、SAP製品の新機能やアップデートに常に関心を持ち、最新の技術トレンドや機能改善に対する知識をアップデートし続ける姿勢も欠かせません。

(2)業務プロセスへの理解

クライアント企業の業種や業界特有のビジネスプロセスを理解する能力が求められます。

 

財務、調達、販売、生産、人事など、担当する業務領域の実務知識を持ち、業界のベストプラクティスを理解していることが重要です。

 

クライアントの現行プロセスの課題を特定し、SAPシステムを活用した効率的なプロセス再設計を提案することができます。

(3)プロジェクトマネジメント能力

SAP導入プロジェクトは複雑で多岐にわたるため、スケジュール管理、リソース配分、リスク管理などのプロジェクトマネジメントスキルが必要です。

 

プロジェクトの各フェーズ(要件定義、設計、開発、テスト、トレーニング、本番稼働)を適切に計画し、進捗を管理する能力が求められます。

 

また、予期せぬ問題が発生した際の迅速な対応や解決策の提示ができることも重要です。

(4)コミュニケーションスキル

技術的な知識を、非技術者であるクライアント側の担当者にわかりやすく説明する能力も求められます。

 

クライアントの要件を正確に理解し、それをSAPシステムの言葉に翻訳できるよう、ビジネス部門とIT部門の橋渡し役となります。

 

また、プロジェクト内の様々なステークホルダー(経営層、ユーザー部門、IT部門、他のコンサルタント)と効果的にコミュニケーションを取り、チーム全体が同じ方向を向いて進められるよう調整する能力も必要です。

 

SAPフリーランスの将来性は?行く末を予測

フリーランスのSAPコンサルタントの将来性

かつてのSAP製品のユーザー層は大手企業中心で、プロジェクトの規模も非常に大きいものでした。その分、案件紹介を受けたコンサルの報酬としても高い単価を見込むことができたわけです。

 

そうした時代を経てERPシステムの導入も一巡した感がある今、SAPコンサルタントの仕事も一段落かと思われるかもしれません。

 

しかし、SAP製品の導入を検討する企業は今やそのすそ野を拡大し、中小規模の企業にまで及んでいます。SAPの現在の主力製品の一つであるS/4 HANAも多くの支持を獲得しています。クライアントとなる企業は幅広く、フリーコンサルタントにとっては、開拓する価値が十分に潜んでいる市場の一つと考えられます。

 

また、すでにSAPのERP製品を導入している企業でも、新しい拠点を立ち上げるにあたってシステムを導入することもあるでしょう。実際に、オンプレミスからクラウドへのシステム刷新のニーズは増加しています。

 

さらに2025年末には、SAPのERP製品群のなかでも最も多く使われている「SAP ERP(SAP Business Suite 7)」のサポート終了を迎える予定で、ユーザー企業はS/4 HANAへ移行するのか、それともクラウド形式のERPシステムへリプレースするのか、検討や準備を進めなければなりません。

 

S/4 HANAへ移行するとしても、DBインスタンスとSAPインスタンスが同じサーバーに存在する構成であったSAP ERPからの移行は、インフラ一つとっても細かな検討や検証が必要です。

 

そのような状況からSAPコンサルタントの仕事は、案件数が多く、今後も継続して案件が生まれるであろう将来性の高い仕事といえるのです。

 

フリーランスのコンサルタントにとって「案件紹介が多く、今後も案件の発生が続く分野」というのは、それだけコンサル案件を獲得する市場が広いことを意味します。フリーコンサルタントが案件紹介を受ける方法がさまざまなものがある現状も追い風となる要素です。

 

IT・WEB関連のシステム導入プロジェクトを支援するITコンサルタント、PMO支援といったコンサルの案件も近年高いニーズを集めている仕事の一つですが、SAPコンサルタントの仕事も同様に案件紹介も多く、フリーコンサルタントであれば今後も注目すべき仕事といえるでしょう。

 

 

 

SAPフリーランスにおすすめのエージェント

屋外でパソコンを操作するスーツ姿の男性

SAPフリーランスとして独立したものの、なかなか良い案件に出会えないという人もいるでしょう。

 

そんな人におすすめなのが、フリーコンサルタント.jpです。

 

上場企業である株式会社みらいワークスが運営しており、取引実績は1,000社以上、サービス登録者は22,500人います。

登録すると、自身の希望や適性に合わせ、担当者が案件を紹介してくれます。稼働中も企業とフリーコンサルタントの間に立ってサポートをしてくれるため、仕事に集中できる環境をつくれるのが魅力です。

 

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まとめ

ユーザー企業にとって、IT・WEBの活用やシステムの導入は、経営課題の解決や事業の推進に不可欠です。

 

しかし、常に技術のアップデートがあるIT・WEBの現状をユーザー企業が把握するのは簡単なことではなく、システムの導入を自社だけで行なうのは困難をきわめます。

 

本来、事業を展開し企業の課題を解決するために割かれるべきリソースが、それを助けるためのシステム導入に必要以上に割かれてしまうことになっては、本末転倒です。

 

特にERPシステムは、人事、財務、会計といったように、企業の重要なところに密接に関わるシステムであり、失敗が許されません。

 

そうしたユーザー企業を支援するSAPコンサルタントの仕事は、求められるハードルも高いですが非常にやりがいもあるものです。

 

SAP製品を通じてERP領域の経験を重ねること、SAPコンサルタントとして活躍できるスキルを身につけることは、単に高い単価を狙えるというばかりでなく、フリーコンサルタントとしても仕事の幅を広げ、深みを増すことになり、ビジネスチャンスの拡大につながるでしょう。

 

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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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