分断勤務・勤務間インターバルとは?どんな制度?

作成日:2017/09/06

 

多様な働き方を可能にする新しい制度

分断勤務、勤務間インターバル……どんな制度_1

 

子どもや親のことは妻に任せて、夫は何の憂いもなく会社で働く――かつての日本では当たり前の光景だったこのようなスタイルの家庭は、今は少なくなっているのではないでしょうか。自らの意思を持って、子どもが生まれてからも働き続けることを選ぶ妻も増えていますし、その他さまざまな事情から共働きの夫婦は増えています。そのような家庭環境の変化に伴い、男性の育児参加も強く求められるようになりました。

 

また、長寿命化で親の介護の負担も無視できない状況になってきており、家族の介護と仕事の両立ができず、会社を辞めざるを得なくなる″介護離職″も課題となっています。職を失うビジネスパーソンにとっても、働き手を失う会社にとってもいいことがありません。

 

環境の変化にともなって、かつての年功序列、終身雇用といった日本独特の働き方は変わっていき、人々の価値観も刻々と変化しています。多様化するライフスタイル、多様化する労働環境を前提として、働き方の多様化を可能にする「働き方改革」は、日々そのバリエーションを増やしています。

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時間を有効活用する分断勤務制度具体事例

 

 

NTTドコモが10月1日から「分断勤務制度」を導入する方針を固めたという報道があったのは、今年の4月のことです。この報道で初めて分断勤務制度という言葉を見聞きした方も多いのではないでしょうか。

 

会社では、1日に働く所定労働時間が決められています。これは、「原則1日8時間」という法定労働時間の範囲内に収めることになっており、7時間30分としている会社や8時間としている会社が多いようです。NTTドコモも、所定労働時間は7時間30分です。

 

この所定労働時間の勤務の間には休憩をはさみますが、それ以外で働く時間が分断されることは基本的にはありません。朝出社して働き、お昼の休憩をはさんで午後も定時まで仕事。残業して所定労働時間以上働くことも少なくありませんが、出社から退社まで、休憩時間以外は一連の「勤務時間」が続いているのです。

 

分断勤務制度(分割勤務)では、この1日の勤務時間を分割して働くことができるようになります。そうすると、さまざまな働き方が可能になります。たとえば、「勤務時間の半分は会社で働いて、残りの半分は家で仕事する」「午前中は会社に在席し、午後は子どもの送り迎えで一旦勤務から外れる」といった働き方が実現できるのです。

 

子育て中のビジネスパーソンや要介護の家族を抱えていれば、用事が細切れに入ることも多いものです。有休にも限りがありますし、「ちょっと出られれば、そのあとはまた仕事できるのに……」と時間が無駄になってしまうことも。そこに分断勤務制度が取り入れられれば、用事を済ませてから仕事に戻ったり、自宅で仕事するといったような柔軟な対応が可能になります。会社にとっても、海外のワークタイムに合わせて日本側の勤務時間をずらしたり、夜間業務といった仕事に分断勤務を適用すれば、残業の抑制にもつながると期待されています。

 

 

時間を確保する勤務間インターバル制度

分断勤務、勤務間インターバル……どんな制度_3

日本において、長時間労働の問題は深刻さを増しています。過労死の報道は残念ながらなくならず、ビジネスパーソンの負担も増す一方。ワークライフバランスの改善や、多様な働き方を可能にする社会へ進む道の高いハードルのひとつともなっているのです。

 

そんな長時間労働の解決策のひとつになり得る制度として、厚生労働省を中心に期待が集まっているのが「勤務間インターバル制度」です。勤務間インターバル制度とは、勤務の終了から次の勤務開始までの間に、一定以上の休息期間を設けることが義務づけられる制度です。この制度の狙いは、働く方々の生活時間や睡眠時間など、人間らしく生活したり、きちんと寝て休むための時間を制度で確保することにあります。

 

多くの会社員の方は、平日は毎日仕事があります。仮に定時が9時30分から18時だとすると、翌日の勤務開始までは15時間30分の時間があることになります。しかし、残業の必要があれば23時に勤務終了となることもあるでしょう。その場合であっても、翌日は9時半には出社して仕事を始めなければなりません。となると、翌日の勤務開始までの時間は短くなってしまいます。

 

長時間勤務が恒常化してしまうと、勤務から勤務までの時間が少ない状態が毎日のように続きます。その時間には、通勤時間や出社準備の時間も含むわけです。最終的には食事や睡眠の時間を削ることにつながります。さらに休日出勤も求められれば、文字どおり休む間がないのです。勤務間インターバル制度を導入した場合、「翌日の勤務開始までは○時間」が常に確保されることになります。この制度が義務化されたEU加盟国では、勤務と勤務の間隔には「24時間につき最低連続11時間」「7日ごとに最低連続24時間」を付与することになっています。

 

今年、2017年からこの制度を導入した、日本のIT企業のAGSでも最低11時間のインターバルを設けました。定時が9時30分から18時、勤務間インターバルが11時間だとすると、残業で23時に勤務終了となった次の日は10時に勤務開始すればいいということになります。

 

「残業を減らそう」「効率化しよう」「がんばれば何とかなる」――そうしたお題目や精神論だけで仕事の仕方を変えることは難しいものです。「早く帰れと言われても仕事が減らない」といった声は、プレミアムフライデーのときにも多く聞かれました。無理に数字目標だけ押し付ければ、仕事の持ち帰りやサービス残業にもつながって問題がかえって悪化することも。新しい制度も、導入しただけでは効力が十分に発揮できません。その実態を会社がきちんを管理し、振り返って改善していくというサイクルを回すことが重要です。

 

前述のAGSでは、PCのログイン・ログオフの時間を管理して勤務記録の時間の比較するなどして、きちんとインターバルをとったかどうかが一目で分かる仕組みを作ったといいます。

 

一方で、新しい制度を導入すると、「仕事の管理がしづらくなるのでは」「仕事が疎かになるのでは」と懸念する方もいます。確かに、さまざまなケースを想定して検討することは大切ですが、何でも不安がって何も始めないようでは、現状がより良く改善されることもありません。その精神は、仕事をすること自体にも通じるものがあるのではないでしょうか。

 

そのような対応も含め、新しい制度にはリスクも導入コストもあります。会社も働く人々自身もいろいろな苦労があるでしょう。それでも、その試行錯誤は未来志向でとても意義のあること。その経験も、企業やビジネスパーソンの強みになっていくことでしょう。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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