PMOはきつい?存在意義や年収は?大変だけど一生食うに困らない理由を解説!
作成日:2022/07/22
需要が高い「PMO」。しかし、PMO経験者からは時折「PMOはつまらない」「きつい」「やりたくない」といった声も聞かれます。PMOという仕事がなぜそれほど大変といわれるのか、存在意義や必要なスキルを交えて解説します。未経験でPMO職に就く場合の平均年収にも触れた内容です。
目次
PMOとは
PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)とは、Project Management officeの略です。さまざまな分野のプロジェクトを進行するPM(プロジェクトマネージャー)をバックアップ、サポートする部署・組織です。
PMOには、PMの意思決定とプロジェクト進行を支援するPMOコンサルタントが参画し、PMのバックアップのほか、プロジェクトの補助や管理業務、リスクマネジメントをPMに代わって行います。一般的にPMOとよばれる人材は、このPMOコンサルタントをさすケースが多いです。
PMOの存在意義
PMOコンサルタントは、PMとともにプロジェクトを成功に導くコンサルタントです。プロジェクトの取りまとめと品質・能率の向上、進行管理と調整、コストマネジメントなどの経営戦略を期待し、PMOコンサルタントを外部から招く企業も多いです。 また、PMが社内の人間関係などに邪魔されず意思決定を行えるように、PMを支えるPMOはアウトソースする企業も多いようです。
PMOの存在意義は、PMのサポートを通じて、プロジェクトマネジメントの質を高めることです。特に、規模の大きなプロジェクトや複数のプロジェクトが同時進行する企業では、マネジメントに必要な業務が多岐にわたります。もはや、PMだけではプロジェクト管理しきれない事態もあるでしょう。そこで、PMOがプロジェクトの進捗やコスト、課題やリスクなどの管理やその他の業務を担います。
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PMOに必要なスキル
PMOコンサルタントは業務によって3つの職種に分類されます。職種によって必須スキルが異なります。
- 事務的な管理業務を行う「PMOアドミニストレータ」
- プロジェクトのクオリティ管理を行なう「PMOエキスパート」
- プロジェクト管理全般を行なう「PMOマネージャー」
PMOアドミニストレータには、資料作成・進行管理・情報管理など事務能力やタイムマネジメント能力が必要とされます。PMOエキスパートには、開発責任者としての知見と進捗管理力が求められます。PMOマネージャーは戦略の策定をはじめ、予算管理や人員管理など複数プロジェクトの統括などが期待されるため、豊富なPM・PMO経験や経営のセンスが求められます。
また、PMOコンサルタントには「コミュニケーション能力が高い人が向いている」といわれています。他のPMOコンサルタント・PM・プロジェクトメンバーとのコミュニケーションはもちろん、クライアント企業との交渉や進捗報告などもPMOの重要な任務です。プロジェクトの品質を安定させ、スムーズに進行させるために、チームとメンバー一人ひとりのタスクやスケジュールを注視し、問題点があれば指摘、解決に導くスキルも求められます。
そのため、リスクマネジメント能力や進捗管理力も必要ですが、なによりメンバーが相談しやすい雰囲気やヒアリング能力といった、きめ細かいコミュニケーション能力を持つ人材が求められています。
PMOがきついといわれる理由
仕事量や仕事内容が大変そうなPMより「PMOの方がきつい」という意見があります。PMOがきついといわれる理由の一つには、PMOが必須とされる大規模なITプロジェクトの成功率が依然として低いことがあげられます。
国内のあらゆるITプロジェクトを対象にした調査では、2018年にやっと半数を超すプロジェクトが成功をおさめるようになったとされています。ただし、この調査が始まった2003年の結果では26.7%、5年後の2008年に31.1%、2018年の52.8%と、成功率は徐々に上がってはいます。
成功率が上がった背景には、PMOの設置が常識となったことが挙げられます。ただし、それにより、PMOへの期待値も上がったため、参画するPMOコンサルタント一人ひとりのプレッシャーは、大変きついといえるでしょう。
また、PMOには、外部からPMOコンサルタントを招く企業が多いです。そのため、プロジェクトマネジメントが期待されているのに、PMOコンサルタントが受け身になってしまったり、アウトプット資料の制作に追われてしまったりと主体的に業務をこなすのが難しい現状もあるようです。
「どこまでがPMOの仕事で、どのような職種のPMO人材に、何を任せるのか」というPMO設置やPMOコンサルタント参画の意図がはっきりしないと、PMOの業務と責任が過剰に重くなりがちです。
PMOコンサルタントも「スキルを活かせずつまらない」「邪魔もの扱いされている」といったネガティブな気持ちになりやすいのかもしれません。このネガティブな感情こそが「PMOはつまらない」「PMOはきつい」「やりたくない」といわれる所以といえるでしょう。
未経験からのPMOは年収がきつい?
PMOとして企業に勤める場合、所属先が大企業か中小企業かによって幅がありますが、400万~700万円程度の年収です。PMO未経験の場合、年収400万円台からのスタートになるケースが多いでしょう。仕事量が多く、ナイーブな交渉にも携わるPMOという仕事柄、その年収だときついと感じる人も少なくありません。
とはいえ、PMやPL(Project Leader)やエンジニア、ITコンサルタントとしての十分な実績があれば、PMOとして活躍が期待できるとして、それなりの年収を提示されるケースも多々あります。特に、PMO未経験からフリーランスPMOコンサルタントとして安定した収入がほしい場合は、自分のストロングポイントをクライアント企業に売り込んでくれるマッチングエージェントなどを利用するのがおすすめです。
また、PMO未経験から、PMOコンサルタントとして安定した収入とポジションを得るなら、資格取得にもチャレンジしましょう。PMPやPMOスペシャリスト認定資格などは将来性が見込まれる資格です。未経験からこうした難関資格取得に向けて努力できる人材こそが、PMOに向いている人物像といえるでしょう。
PMO人材になれば一生食うに困らない
「PMOはきつい」といわれる現状だからこそ、豊富なPMO参画経験やスキルがあるPMO人材は将来性が高く、一生食うに困らないといわれています。プロジェクト進行が大変だと根を上げてしまう人や「PMOだけはしない」「やりたくない」と決めつけている人がすくなくないため、現在進行形で活躍している人には新しいプロジェクトが舞い込みやすい側面があるでしょう。
また、人間は経験を積むことで、前の失敗を次に活かせるようになるものです。PMOコンサルタントとして実績がある人は、成功体験だけでなく失敗体験すらも評価され次の案件が見つかりやすいかもしれません。
さらに、プロジェクトの大小に限らず、一度走り出したプロジェクトには、数年の間は運用・保守といった対応業務も生じます。現場で手を動かすPLやエンジニア、事務方のスタッフだけでなく、プロジェクトを管理する人材が必要です。参画したプロジェクトの進行中は、上流から関わってきたPMO人材の仕事がなくなることはないといわれています。
PMOはきつい仕事だからこそ成長や安定が望める
PMOコンサルタントは「きつい」「大変」といわれる仕事ですが、その分需要や将来性が高い職種です。PMやエンジニア・ITコンサルタントとしての実績、PMO向けの資格やコンサルタントとしてのスキルがあれば未経験でもPMOとして職に就ける可能性があります。
安定した収入や継続的な案件参画を望むなら「PMOは一生食うのに困らない」ともいわれる、おすすめの職種です。「きつい」「つまらない」という噂に惑わされて、「やりたくない」と決めつけることはしないほうがよいでしょう。
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)