フリーランスが加入する社会保険とは?種類や年収別保険料・計算方法を解説
最終更新日:2025/01/23
作成日:2020/05/07
フリーランスとして独立する際、社会保険について「会社員時代とどう変わるのか」「何をすればいいのか」といった疑問や不安を抱える方は多いのではないでしょうか。
そもそも社会保険とは、病気や老齢、失業など、生活に潜むリスクに備えるための公的な制度で、広義では健康保険・年金保険・雇用保険・労災保険・介護保険の5種類を指します。
一方、会社などで「社会保険(社保)」と言う場合は、健康保険・厚生年金保険・介護保険のことをいうのが一般的です。
この記事では、フリーランスが加入すべき社会保険の全体像や選択肢、具体的な手続き方法、保険料を抑えるポイントを詳しく解説します。
目次
■フリーランスと会社員の社会保険の違いとは
(1)フリーランスの場合
(2)会社員の場合
■健康保険だけじゃない 5種類の社会保険
(1)健康保険
(2)介護保険
(3)年金保険
(4)雇用保険
(5)労災保険
■フリーランスが加入可能な「健康保険」の種類
(1)国民健康保険(市町村国保)
(2)国民健康保険組合(特定の職種ごと)
(3)社会保険の任意継続
(4)家族の扶養に入る
■フリーランスが加入可能な「年金保険」の種類
(1)国民年金
(2)国民年金基金
(3)付加年金
(4)iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
■フリーランスの社会保険料の目安はいくら?
(1)国民健康保険料の目安
(2)年金保険料の目安
■フリーランスが払う社会保険料の計算方法
(1)健康保険料の計算方法
(2)年金保険料の計算方法
■フリーランスが社会保険に加入する手続き・方法
(1)健康保険の加入手続き
(2)年金保険の加入手続き
■フリーランスが社会保険料を安く抑える4つのポイント
(1)適切に経費を計上する
(2)免除や減免制度を利用する
(3)フリーランスにおすすめの保険組合に加入する
(4)法人化する
■フリーランスの社会保険に関連するよくある質問
(1)社会保険料を払えないときはどうしたらいい?
(2)フリーランスが家族の扶養に入れる条件は?
(3)健康保険未加入のフリーランスの問題とは?
(4)フリーランスは民間の保険へも検討したほうがいい?
(5)個人事業主は従業員数何人から社会保険に入れる?
フリーランスと会社員の社会保険の違いとは

フリーランスと会社員では、社会保険の仕組みが大きく異なります。特に違いが出るのは、健康保険と年金です。
会社員だと、社会保険には勤務先を通じて加入し、保険料は給与から天引きされます。一方フリーランスは、国民健康保険・国民年金を基本に、加入や支払いをすべて自分で行います。
ここからは、フリーランスと会社員それぞれの加入先と特徴を整理し、どこがどう違うのかを確認しましょう。
(1)フリーランスの場合
フリーランスの場合、国民健康保険と国民年金への加入が基本となるため、会社員が加入する厚生年金や会社の健康保険に比べ、保障内容や保険料の仕組みが大きく異なります。
会社員の健康保険で受けられる傷病手当金・出産手当金・扶養の仕組みは、国民健康保険には原則としてありません。
また、国民年金は定額制のため、将来受け取る年金の金額は厚生年金に加入する社員に比べて少なくなる傾向です。
フリーランスは自身で国民健康保険と年金に加入し、その金額を全額自己負担で支払うことになります。
(2)会社員の場合
会社員の場合、所属する企業を通じて社会保険に加入します。保険料は毎月の給与から天引きされ、会社が保険料の半分を負担してくれる点が大きな特徴です。
会社員の健康保険には、病気やケガで仕事を休んだ際に給与の一部が支払われる傷病手当金や、出産時に支給される出産手当金といった手厚い保障制度が充実しています。
また、厚生年金に加入することで、国民年金に上乗せして将来受け取る年金額の増額が可能です。
健康保険だけじゃない 5種類の社会保険

社会保険は、生活上のリスクに備える公的制度で、次の5種類に分かれます。
- ・健康保険
- ・介護保険
- ・年金保険
- ・雇用保険
- ・労災保険
ただしフリーランスは、会社員と同じようにすべてに加入するわけではありません。必ず関わるものと、原則として対象外のものがあります。
ここで、それぞれの制度が何のためのものか、フリーランスはどこまで加入できるのかを確認しましょう。
(1)健康保険
健康保険は、病気やケガの際に医療費の自己負担を軽減するための公的な医療保険制度です。
日本では国民皆保険制度が採用されており、すべての国民がいずれかの公的医療保険に加入しなければなりません。
会社員からフリーランスになった場合、退職と同時に会社の健康保険の資格を失うため、新たな健康保険への加入が求められます。
一般的には市区町村が運営する国民健康保険に加入しますが、特定の職種であれば保険料が割安になる組合を選択したり、会社員時代の保険を継続したりすることも可能です。
(2)介護保険
介護保険は、高齢化に伴う介護の必要性に社会全体で備えるための保険制度です。
将来介護が必要になった際に、少ない自己負担で介護サービスを利用できるようにするための仕組みとして、40歳以上の国民は加入が義務となっています。
もちろんフリーランスも例外ではありません。40歳から64歳までの人は「第2号被保険者」となり、加入している健康保険料に上乗せする形で介護保険料を納付することになります。
特別な加入手続きは不要で、健康保険に加入していれば自動的に徴収が開始される仕組みです。
その後、65歳以上になると「第1号被保険者」となり、年金から天引きされる形で保険料を納めることになります。
(3)年金保険
年金保険は、老後の生活を保障するための公的な制度です。日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が、国民年金または厚生年金の被保険者として加入することが法律で義務付けられています。
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員が上乗せで加入する「厚生年金」の2階建て構造になっているのが特徴です。
フリーランスは、このうち1階部分である国民年金のみに加入します。
ちなみに、会社員の場合は給与から天引きされる形で厚生年金保険料を納めており、ここに国民年金保険料も含まれています。
この違いにより、将来受け取れる年金額は、一般的に厚生年金に加入している会社員の方が多くなります。
(4)雇用保険
雇用保険は、労働者が失業した際の生活安定や再就職を支援する制度です。会社に雇用されている労働者を対象とした制度であるため、雇用契約を結ばずに働くフリーランスは、適用範囲に含まれません。
したがって、事業が立ち行かなくなった場合でも、会社員のような失業手当を受け取ることはできません。
ただし、フリーランスとして活動しながら、副業として企業にパートやアルバイトで勤務している場合、加入要件を満たすと勤務先の会社での雇用保険加入義務が生じます。
この場合の手続きは勤務先の会社が行います。
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(5)労災保険
労災保険とは、業務中や通勤中の事故によるケガや病気・死亡などに対して補償を行う制度です。フリーランスは特定の条件を満たすと「特別加入制度」を利用できる場合があります。
例えば、ITエンジニアや建設業の一人親方など、特定の業種で働くフリーランスは「特別加入制度」を利用して労災保険に加入可能です。
この制度に加入すると、業務上の災害が発生した場合に、治療費や休業補償などの給付を受けられるようになります。
業務上のリスクが高い職種で働くフリーランスにとって、万が一の事態に備えるために労災保険の特別加入は有効な選択肢といえるでしょう。
参考:厚生労働省「労災保険への特別加入」
フリーランスが加入可能な「健康保険」の種類

フリーランスに転身する際、特に会社員を経験している方は、会社員時代とは異なる健康保険の種類を比較検討することが非常に重要です。
加入する健康保険の種類によって年収や保障内容が大きく変わるため、自身の状況に最適な選択をする必要があります。
近年は、フリーランス向けのサービスを展開する健康保険会社もあるため、選択肢のひとつとしてはいかがでしょうか。
例えばWebデザイナーなどの特定の職種のフリーランスであれば、通常の国民健康保険以外の選択肢も存在します。
ここでは、フリーランスが加入可能な健康保険の主な種類について、それぞれの特徴を比較しながら詳しくご紹介します。
(1)国民健康保険(市町村国保)
- ・メリット:住んでいる自治体で加入でき、特別な職種要件がないため選びやすい。
- ・デメリット:扶養の仕組みがなく、世帯全体の負担が重くなりやすい。
国民健康保険とは、他の公的医療保険に加入していないすべての国民を対象とする医療保険制度で、フリーランスや自営業者が加入する最も一般的な健康保険です。
会社を退職し、任意継続や国民健康保険組合・家族の扶養といった他の選択肢を選ばない場合、国民健康保険への加入が義務付けられています。
国民健康保険は、お住まいの市区町村が運営しており、保険料や手続きの窓口は各自治体です。
保険料率は自治体ごとに異なり、他の市町村と比較して保険料が高くなることもあれば、安くなることもあります。
(2)国民健康保険組合(特定の職種ごと)
- ・メリット:保険料が一定(定額)になっていることが多く、条件が合えば市区町村国保より負担を抑えられる可能性がある。
- ・デメリット:加入できる職種・地域などの条件があり、保険料やルールも組合ごとにバラつく。
国民健康保険組合は、医師や弁護士・建設業・文芸美術など、同種の事業や業務に従事する人々で組織される健康保険です。
市区町村が運営する国民健康保険とは異なり、職種ごとに設立された組合が運営主体となるため、独自の保険料率や付加給付(傷病手当金など)が設定されている場合があります。
所得に関わらず保険料が一定である組合も多く、高所得者にとっては保険料を抑えられる可能性があります。
加入するには、その組合が定める加入条件を満たさなければなりません。また、審査があるため、条件を満たしていても必ず入れるわけではありません。
(3)社会保険の任意継続
- ・メリット:退職前の健康保険を最長2年間続けられ、扶養や付加給付を維持できる。状況によっては国保より安くなることもある。
- ・デメリット:会社負担がなくなり保険料は全額自己負担。
任意継続とは、会社を退職した後も最大2年間、在職中に加入していた健康保険を継続できる制度です。
退職により被保険者の資格を喪失しますが、一定の条件を満たせば本人の希望により継続加入が認められるため、急な環境変化を避けたい場合に有効です。
ただし、在職中は会社が保険料の半額を負担していましたが、任意継続では全額自己負担となるため、保険料は原則として退職時の2倍になります。
それでも、前年の所得が高い場合は国民健康保険料よりも安くなるケースがあります。また、支払った保険料は、確定申告の際に全額が社会保険料控除の対象です。
(4)家族の扶養に入る
- ・メリット:家計全体の社会保険料負担を大きく減らせる。
- ・デメリット:収入などの認定条件があり、基準を超えると外れて自分で加入手続きが必要になる。
フリーランスとしての収入が一定額以下の場合、会社員や公務員である家族の社会保険の扶養に入ることができます。
扶養に入る最大のメリットは、自分で健康保険料や国民年金保険料を納付する必要がなくなる点です。
被扶養者になると、保険料負担なしに健康保険の給付を受けられ、年金においても国民年金の第3号被保険者として扱われ、保険料を納付したものとみなされます。
ただし、収入の見込みが基準を超えると扶養から外れ、自身で国民健康保険と国民年金に加入する手続きが必要になるというデメリットもあります。
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フリーランスが加入可能な「年金保険」の種類

フリーランスが加入可能な年金制度には、公的年金である国民年金に加え、任意で加入できる国民年金基金・付加年金・iDeCo(個人型確定拠出年金)の3種類があります。
これらの制度は、フリーランスの老後の生活を支える大切な選択肢です。それぞれの制度には特徴があり、ご自身のライフプランに合わせて最適なものを選びましょう。ここで、それぞれの年金保険について解説します。
(1)国民年金
- ・メリット:終身年金で、一生涯受け取れる。
- ・デメリット:将来の受給額が、満額時月額約6.9万円(2025年度時点)と限られている。
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられている公的年金制度の基礎部分です。
老齢年金だけでなく、病気やケガで障害が残った際の「障害基礎年金」や、一家の稼ぎ手が亡くなった際の「遺族基礎年金」という保険としての機能も備わっています。
フリーランスや個人事業主は「第1号被保険者」に分類され、自身の責任で保険料を納付する必要があります。
会社員(第2号被保険者)やその扶養配偶者(第3号被保険者)とは異なり、保険料の納付手続きや管理をすべて自分で行わなければなりません。
会社を退職してフリーランスになった場合、厚生年金から国民年金への切り替え手続きを行う必要があります。
(2)国民年金基金
- ・メリット:掛金の全額が所得控除の対象になり、「終身年金」で一生涯受け取れる。
- ・デメリット:一度加入すると自己都合による「中途解約」ができない。
国民年金基金とは、国民年金に上乗せして加入できる公的な個人年金制度で、フリーランスなどの第1号被保険者の老後の所得保障を目的としています。
会社員には国民年金に加えて厚生年金がありますが、フリーランスにはありません。この差を埋め、より手厚い老後資金を準備するための選択肢として国民年金基金が設けられています。
加入者は、複数の給付の種類(終身年金や確定年金など)からライフプランに合わせて自由に組み合わせることができ、掛金の金額も自分で設定します。
掛金の上限は月額68,000円で、全額が社会保険料控除の対象となるため、節税効果も期待できます。
(3)付加年金
- ・メリット:国民年金に月額400円で上乗せでき、年金受給開始から2年で支払った元が取れる。
- ・デメリット:将来受け取れる加算額が少額。国民年金基金との併用ができない。
付加年金とは、毎月の国民年金保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納めて、将来受け取る老齢基礎年金の金額を増やせる制度です。
少額の負担で手軽に年金額を上乗せできる仕組みで、長期間加入するほどメリットが大きくなるため、早期に加入を検討する価値があります。
ただし、国民年金基金に加入している個人事業主は、付加年金に同時に加入することはできません。
(4)iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
- ・メリット:掛金が全額所得控除になり、運用益は非課税。
- ・デメリット:原則として60歳まで資産を引き出せない。元本割れのリスクがある。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)は、自身で掛金を拠出し、好きな金融商品で運用しながら老後資金を形成する私的年金制度です。
公的年金だけでは不安なフリーランスや個人事業主が、税制上の優遇を受けながら自主的に老後の資産を準備できる仕組みとして注目されています。
加入者は投資信託や定期預金といった商品ラインナップから自分で運用商品を選びます。
ただし、あくまで自己責任での資産運用であり、選択した商品の運用成績によっては元本割れするリスクも伴います。
フリーランスの社会保険料の目安はいくら?

フリーランスになると社会保険料は全額自己負担です。会社員時代は給与から天引きされるため意識しにくいのですが、フリーランスは自身で納付するため資金計画に大きく影響します。
ただし、国民健康保険料は自治体や所得によって大きく変動しますが、国民年金保険料は所得にかかわらず一律です。
これらを合計した金額が、年間の社会保険料の目安となります。年収に対して、国民健康保険料をいくら支払う必要があるのかを、事前に把握しておくとよいでしょう。
ここで、フリーランスが加入する国民健康保険と年金の保険料についての詳細を確認しましょう。
(1)国民健康保険料の目安
国民健康保険の保険料は、前年の所得やお住まいの市区町村によって大きく変動します。これは、保険料の計算方法が全国一律ではなく、各自治体が独自に保険料率を定めているためです。
一般的に、所得が高いほど保険料も高くなる「所得割」と、加入者数に応じて課される「均等割」の組み合わせで金額が決定されます。
ご自身の正確な保険料を知るためには、お住まいの自治体のWebサイトにあるシミュレーションツールを利用するか、役所の窓口で試算してもらいましょう。
(2)年金保険料の目安
フリーランスが加入する国民年金の保険料は、所得や年齢にかかわらず一律の金額です。「全国民が共通の基礎年金を支える」という考え方に基づいているため、保険料が定額制となっています。
この金額は、毎年度の物価や賃金の変動を考慮して改定されます。
例えば、令和8年度(2026年度)の国民年金保険料は月額17,920円であり、年間にすると215,040円です。もし付加年金(月額400円)に加入する場合は、合計で月額18,320円となります。
また、国民年金基金やiDeCoに加入する場合は、これらの掛金がさらに上乗せされることになります。
フリーランスが払う社会保険料の計算方法

フリーランスが支払う社会保険料、特に国民健康保険料の具体的な計算方法を理解することは、正確な事業計画や生活設計をするのに欠かせません。
ただし前述のとおり、国民年金保険料は定額であり、計算は比較的容易です。
ここで、フリーランスが主に支払うことになる健康保険と年金保険について、それぞれの保険料がどのように算出されるのか、計算方法を詳しく見ていきましょう。
(1)健康保険料の計算方法
国民健康保険料の計算は、主に「所得割」と「均等割」という2つの要素を合算して行われます。
所得割とは前年の所得に応じて算出される部分、均等割とは加入者一人あたりに均等に課される部分であり、この二つの合計額が年間の保険料となります。
この計算に用いる料率や均等割の金額は、お住まいの市区町村によって異なるため、計算前に確認しましょう。
計算式は「(前年の総所得金額等-基礎控除額)×所得割率+均等割額」が基本です。40歳以上の方は、これに「介護分」の計算が加わります。
正確な金額を知るには、各自治体のWebサイトで提供されている保険料のシミュレーションを利用するのが最も手軽で確実です。
ちなみに、会社員から任意継続に切り替える場合、保険料は退職時の標準報酬月額に基づいて計算され、会社負担分がなくなるため原則2倍の金額となります。
(2)年金保険料の計算方法
国民年金の保険料は、所得に関わらず定額であり、計算方法は非常にシンプルです。保険料の具体的な金額は、物価や賃金の変動を反映して毎年見直されています。
令和8年度(2026年度)の保険料は月額17,920円です。 したがって、1年間の保険料総額は17,920円×12ヶ月で215,040円となります。
もし付加年金(月額400円)に加入する場合は、合計で月額18,320円となります。
ただし、保険料を口座振替やクレジットカードなどで前払いする「前納制度」を利用すると割引が適用され、支払総額を抑えることが可能です。
例えば、最も割引額が大きい「口座振替での2年前納」を利用すると、2年間で約16,000円〜17,000円程度の割引を受けられます。
フリーランスが社会保険に加入する手続き・方法

会社を退職してフリーランスになる際は、社会保険の切り替え手続きを自分自身で、かつ期限内に行う必要があります。
手続きを怠ると、保険証がない「無保険」状態になったり、将来受け取る年金が減額されたりするなどの不利益が生じるため、注意しましょう。
退職直後は様々な手続きが集中するため、社会保険加入や切り替えの流れを事前に把握しておくことが重要です。
ここで、健康保険と年金それぞれの具体的な加入手続きの場所や期限・必要書類などを解説します。
(1)健康保険の加入手続き
フリーランスとして活動を開始するにあたり、健康保険の加入手続きは退職後速やかに行う必要があります。
例えば国民健康保険の場合、手続きが遅れても保険料は退職日の翌日まで遡って請求されますが、その間の医療費は全額自己負担となる場合があります。
国民健康保険に加入する場合は、退職日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村役場またはマイナポータルからのオンライン申請で手続きをしてください。
一方、会社の健康保険を任意継続する場合は、退職日の翌日から20日以内に、加入していた健康保険組合への申請が必要です。
どちらを選択するにしても、会社から発行される「健康保険資格喪失証明書」が必要となるため、退職前に発行を依頼しておきましょう。
(2)年金保険の加入手続き
会社を退職してフリーランスになった場合、年金制度を厚生年金から国民年金へ切り替える手続きが必須です。
この手続きは「種別変更手続き」と呼ばれ、会社員(第2号被保険者)から自営業者(第1号被保険者)に変わったことを日本年金機構に届け出るために行います。
手続きをしないと保険料の未納期間が発生し、将来の年金受給額が減少する原因となります。
手続きは、退職日の翌日から14日以内に、住民票のある市区町村役場の国民年金担当窓口またはマイナポータルからのオンライン申請で行いましょう。
その際、次のような書類などが必要です
- ・年金手帳または基礎年金番号通知書
- ・退職日がわかる書類(離職票や健康保険資格喪失証明書など)
- ・本人確認書類 など
手続きが完了すると、後日、日本年金機構から国民年金保険料の納付書が郵送されます。
フリーランスが社会保険料を安く抑える4つのポイント

フリーランスにとって社会保険料は大きな固定費となるため、合法的な範囲で負担を抑える方法を知っておくことは非常に重要です。
国民健康保険料は所得に応じて変動するため、所得を適切にコントロールすることや、利用できる制度を最大限活用することが、保険料の節約に直結するからです。
例えば、経費を漏れなく計上して課税所得を抑えたり、収入によっては保険料が固定の国民健康保険組合に加入したりする方法があります。また、事業が軌道に乗れば法人化も視野に入れられるでしょう。
ここで、フリーランスが社会保険料、特に国民健康保険料を安く抑えるためのポイントを解説します。公的保険への加入は必須ですが、賢い選択や手続きによって負担を軽減しましょう。
(1)適切に経費を計上する
社会保険料の中でも、国民健康保険料を抑える基本は、確定申告で経費を“漏れなく・正しく”申告することです。
多くの自治体では国保の所得割が「前年の所得(収入−必要経費)」をもとに決まるため、経費が抜けるほど保険料も税金もムダに高くなりがちです。
たとえば、仕事用のパソコン・通信費・交通費などは経費になり得ます。ポイントは「事業に必要だった」と説明できることです。
自宅を仕事にも使っている場合は、仕事で使った分の家賃や光熱費などを経費にできることもあります。
この場合、仕事に使っている割合(例:作業部屋の面積や使用時間)をメモしておきましょう。仕事に使った割合(事業使用分)だけを計算して経費に計上する家事按分の際に役立ちます。
ただし、国民健康保険料の計算方法は自治体で大きな差があるため、詳細はお住まいの自治体ルールを必ず確認しましょう。
(2)免除や減免制度を利用する
収入が大きく落ちたときや、災害・病気などで支払いが厳しいときは、公的な救済制度を検討しましょう。
国民健康保険は、市区町村ごとに減免や分割納付などの相談窓口があり、条件を満たすと保険料が軽減される場合があります。実際のルールは自治体で異なるため、住所地の国保担当窓口に早めに相談するのが確実です。
一方、国民年金は全国共通の制度で、所得が一定以下などの要件を満たすと「保険料の免除」や「納付猶予」を申請できます。
ただし、免除・猶予を使うと将来の年金額に影響が出るため、余裕ができたら10年以内の追納も選択肢になります。追納すれば、年金額を満額に近づけることが可能です。
いずれも、滞納してから動くのではなく、支払いが厳しい時点で相談するようにしてください。
(3)フリーランスにおすすめの保険組合に加入する
自身の職種に対応する国民健康保険組合がある場合、そこに加入すると、市区町村の国民健康保険よりも保険料を安く抑えられる可能性があります。
国民健康保険組合の中には、所得にかかわらず保険料が一律の組合や、市区町村国保よりも保険料率が低く設定されている組合があるためです。特に所得が高いフリーランスにとっては、大きな節約効果が期待できます。
例えば、文芸美術国民健康保険組合や、関東ITソフトウェア健康保険組合などがあります。
加入するには、特定の職種に従事していることや、組合の指定する地域に居住していることなどの加入条件を満たさなければなりません。
まずは自身の職種が対象となる組合が存在するかを調べ、保険料や加入条件を市区町村の国民健康保険と比較検討しましょう。
(4)法人化する
事業が拡大し、利益が一定額を超えてきた場合、法人化(法人成り)は社会保険料の負担を見直す選択肢の一つです。
ただし、必ずしも社会保険料が下がるとは限らず、個人事業主より負担が増えるケースもある点には注意しましょう。
法人化すると、国民健康保険・国民年金から、健康保険(協会けんぽなど)・厚生年金へ切り替わり、原則として社会保険への加入が必要です。
法人では役員報酬の設計により負担水準が変わるため、状況によっては社会保険料の総額を抑えられる可能性があります。
社会保険料の会社負担分は法人の経費になりますが、法人設立・維持のコスト・事務作業の増加といったデメリットがあることも念頭に置いておきましょう。
社会保険料・税金・手取り・維持費を含めてシミュレーションした上で判断してください。
フリーランスの社会保険に関連するよくある質問

フリーランスの社会保険に関しては、手続きのタイミングや保険料の支払いなど、多くの疑問が生じやすいものです。
会社員時代とは制度が大きく異なり、すべての手続きや判断を自分で行う必要があるため、不安を感じる方が少なくありません。
特に、健康保険への加入は法律で定められた必須事項であり、正しい知識を持つことが求められます。
例えば、「保険料が払えなくなった場合はどうすればいいのか」「家族の扶養に入るための具体的な条件は何か」といった質問は、多くのフリーランスが抱える共通の悩みではないでしょうか。
ここからは、これまでに解説した要点を振り返りつつ、フリーランスの社会保険に関するよくある質問とその回答をまとめました。
(1)社会保険料を払えないときはどうしたらいい?
経済的な理由で社会保険料を支払えない場合、滞納する前に必ず公的な免除・減免・猶予制度の利用を相談することが重要です。
国民健康保険や国民年金には、所得が著しく低い場合や失業した場合などのために、保険料の負担を軽減するセーフティネットが用意されているからです。
これらの制度を利用せずに滞納を続けると、延滞金が発生したり、最悪の場合は財産を差し押さえられたりする可能性があります。
国民健康保険の場合、所得に応じて保険料が7割・5割・2割軽減される制度があります。
国民年金にも、所得に応じて保険料が全額・4分の3・半額・4分の1免除される制度や、納付が猶予される制度が存在します。
これらの制度を利用するには、市区町村役場や年金事務所への申請手続きが必要です。支払いが困難だと感じたら、まずは公的窓口に相談し、利用できる制度がないかを確認しましょう。
(2)フリーランスが家族の扶養に入れる条件は?
フリーランスが家族の社会保険の扶養に入る、つまり、被扶養者として認定されるには、主に収入に関する条件を満たす必要があります。
被扶養者の認定には、保険に加入している家族(被保険者)によって生計が維持されていると認められなければならないためです。
この判断基準として、具体的な収入の基準額が設けられています。一般的な条件は、年間の収入見込みが130万円未満であることです(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)。
ここでの「収入」とは、売上から経費を差し引いた所得ではなく、売上そのものに近い金額を指す場合が多いため、注意しましょう。
また、組合によっては「開業届を出している個人事業主は一律不可」としている場合もあります。
認定基準の詳細は加入先の健康保険組合によって異なるため、事前に家族の勤務先を通じて正確な条件を確認してください。
(3)健康保険未加入のフリーランスの問題とは?
健康保険に未加入の状態は、法律違反であると同時に、経済的・社会的なリスクを伴います。
日本では国民皆保険制度により、すべての国民がいずれかの公的健康保険に加入することが義務付けられているためです。この義務を怠ると、様々なペナルティが課せられます。
具体的な問題として、まず医療費が全額自己負担となります。風邪のような軽い病気ならまだしも、大きな病気やケガで入院・手術が必要になった場合、数百万円単位の医療費が発生する可能性があります。
また、保険料は加入手続きをしていなくても、資格が発生した時点(退職日の翌日など)まで遡って請求され、さらに延滞金が加算されることもあります。
健康保険への加入は、万が一の事態に備えるための重要なセーフティネットであり、フリーランスとして活動する上での最低限の義務です。
(4)フリーランスは民間の保険へも検討したほうがいい?
フリーランスは会社員と比較して公的保障が手薄になるため、民間の保険で不足分を補うことを検討する価値は十分にあります。
フリーランスが加入する国民健康保険には、会社員の健康保険にある傷病手当金(病気やケガで働けない間の収入保障)や出産手当金が原則としてありません。
また、労災保険の適用もないため、業務上のリスクに自分で備える必要があります。
リスクへの備えには、例えば、病気やケガで働けなくなった際の収入減に備える「就業不能保険」や、医療費の自己負担に備える「医療保険」への加入が挙げられます。
将来の年金額が会社員より少なくなる傾向があるため、個人年金保険で老後資金を上乗せすることも有効な対策です。
公的保険でカバーされないリスクを洗い出し、自身のライフプランや経済状況に合わせて民間の保険を組み合わせることで、より安心して事業に集中できるようになるでしょう。
(5)個人事業主は従業員数何人から社会保険に入れる?
個人事業主が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する義務は、従業員の常時雇用数と事業の種類によって決まります。
常時5人以上の従業員を雇用し、かつ法定の業種(製造業、卸売・小売業、運送業、不動産業、出版・報道業、および2022年に追加された法律・会計事務等の士業など)に該当する場合、社会保険への加入が義務付けられます。
これらの条件を満たさない場合(5人未満、または飲食・宿泊・美容等の除外業種)でも、従業員の半数以上の同意を得て申請すれば、「任意適用事業所」として加入することが可能です。
なお、2029年10月からは業種による除外が原則撤廃され、5人以上雇用するすべての個人事業所が強制適用の対象となる予定です(※既存の事業所には一部経過措置あり)。
まとめ

フリーランスの社会保険は、会社員時代と比べて自己管理の重要性が格段に高まります。加入する保険の選択から手続き、保険料の納付まで、すべてを自分で行う必要があるからです。
特に健康保険は複数の選択肢があり、どれを選ぶかによって保険料や保障内容が大きく異なります。
国民健康保険・任意継続・国民健康保険組合・家族の扶養といった選択肢の中から、自身の所得や家族構成、職種を考慮して最適なものを選ぶことが大切です。
また、国民年金に加えてiDeCoや国民年金基金を活用し、将来への備えを厚くすることも検討しましょう。
本記事で解説した内容を参考に、ご自身の状況に合った社会保険制度を理解し、計画的に手続きを進めてください。
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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

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