【監修】会社員からフリーランスになる時の注意点9ポイント!

作成日:2020/04/28

 

会社員からフリーランスへの転身。どんな理由や動機があっても、「見切り発車」で独立しては、案件獲得、金銭面だけでなく、人脈や健康面でも立ち行かなくなるかもしれません。せっかくのチャレンジを失敗で終わらせないよう、独立に踏み切る前に、少し立ち止まって考えておくべきことがあります。会社員からフリーランスになる時に注意したい「9つのポイント」を今一度振り返り、自分自身を後押しできる環境を整えましょう。

 

目次

■「フリーランスになりたい!」と一歩踏み出すその前に
(1)受注先の目星をつけよう
(2)フリーランスの人脈を作っておこう
(3)お金のことや各種手続きは把握しておこう
(4)SNSやウェブサイトを開設して、売り込み準備をしておこう
(5)引っ越しとクレジットカードは今のうちに
(6)貯金は多いに越したことはない
(7)エージェントへの人材登録もおすすめ
(8)周囲の人の理解を得る
(9)失敗のシナリオを準備する

 

※本コラムは、営業力・マーケティング力支援、経営企画業務支援などを行なう独立コンサルタントが監修しています。

 

 

「フリーランスになりたい!」と一歩踏み出すその前に

会社員からフリーランスへの転身。どんな理由や動機があっても、「見切り発車」で独立しては、案件獲得、金銭面だけでなく、人脈や健康面でも立ち行かなくなるかもしれません。せっかくのチャレンジを失敗で終わらせないよう、独立に踏み切る前に、少し立ち止まって考えておくべきことがあります。会社員からフリーランスになる時に注意したい「9つのポイント」を今一度振り返り、自分自身を後押しできる環境を整えましょう。

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(1)受注先の目星をつけよう

フリーランスにおいて、とにもかくにも大事なのは「案件を獲得すること」です。会社員とは異なり、営業部が獲ってきた仕事をこなせばいいのではなく、自分で営業をして案件を獲得しなければ、当然のことながら仕事をしたくてもできません。

 

た、フリーランスは収入に波があり、なおかつ当面は事業がうまく軌道に乗らないことも多くあります。ですから、独立を決断する前に、案件や受注先を、ある程度、見積もっておくことが大切です。同時に複数の案件を持ち、一つの案件が終了しても他の案件がある状態が理想です。他の案件が進行しているうちに新規の案件を探す・・・というサイクルが、自身の知見や経験値のアップ、そしてもちろん報酬面でもプラスに運びます。

そのため、すぐには案件受注につながらなくとも、仕事を発注してくれそうなクライアントを複数名、複数社保有した上で独立に踏み切るのが賢明です。

(2)フリーランスの人脈を作っておこう

Meetupやセミナー後の懇親会など、フリーランスの集まりに参加することも有効です。すでにフリーランスとして活躍している人の話は得るものが大きいはず。会社勤めとはまた違う苦労体験から今準備すべきことをピックアップできるかもしれませんし、フリーランスの良さ、成功体験などの話を聞くことでモチベーションアップにもつながるでしょう。また、同じ志向の人同士の集まりなので、そこでの出会いが仕事にもつながることが期待できます。

 

しかし、人のつてで仕事を獲得する場合、案件の開始時期などに不確定要素があるかもしれません。開始すると見込んでいた時期より、後ろ倒しになった、案件自体が中止になった・・・そういったとき、「横のつながり」がピンチを救ってくれるかもしれません。

 

また、他のフリーランス仲間が自身のキャパシティ以上に仕事の依頼があった時、仕事を紹介してもらえることもあるかもしれません。もちろん逆も然り。持ちつ持たれつの関係で、フリーランス初期を乗り越えたという方々も多いようです。

 

このように、人脈はフリーランサーにおいて非常に大事な要素です。仕事だけでなく、困った時に相談できる人がいることは、フリーランス特有の孤独や不安・疑問を解消し合うことができ、フリーランス生活をより充実させてくれます。

(3)お金のことや各種手続きは把握しておこう

会社員の場合、経理部や人事部が、各種の手続きや金銭関連の事務作業を対応してくれます。深く意識しないまま滞りなく処理が済んでいることもあるでしょう。
しかし、フリーランスになったら、基本的にそれらすべてを自分でやらなくてはいけません。会計処理税務申告のみならず、健康保険年金などの社会保険料についてもよく把握しておく必要があります。
各種手続きの具体例として、個人事業主として独立する場合には、税制上の優遇が受けられる「青色申告制度」があります。この制度を利用するためには、決まった期日までに税務署に申請をする必要があります。
また、独立当初から法人(株式会社)化を検討している場合には、法務局に設立届を提出する必要があり、予め資本金(1円~)と法定費用(約20万円)を用意する必要があります。さらに、法人の場合には、会社として厚生年金と健康保険の半額を負担しなければならず、その手続きも決して簡単ではありません。
実際、これらの知識がないと、独立した後に思った以上に事務処理に時間を取られ、肝心のやりたい業務に専念できなくなります。特に、独立してもすぐには事業が軌道に乗らないことが多いため、会社を辞める前にこれらのことをおおまかにでも勉強しておくことをおすすめします。

(4)SNSやウェブサイトを開設して、売り込み準備をしておこう

 

先にも述べましたが、なんといっても仕事がなければ生計を立てることはできません。会社員は、会社によってある程度安定が確保されていますが、フリーランスは自分の腕一つで戦っていくタフな世界です。そのため、顧客になり得る人や会社に対するPRが重要です。
これまでの実績や得意分野、造詣が深い領域など、自身を理解してもらえる宣伝をして、まずは知ってもらう必要があります。既に使っている人も多いと思いますが、SNSやブログ、Webサイトを開設することはやはり有効です。
特にSNSでは、FacebookTwitterは押さえておきたいところ。ある現役コンサルタントは、「Facebookは40代以上の経営者やビジネスパーソンの比率が多いように思う。Twitterは比較的若い層で、最近は20代から40代くらいの起業家や経営者が再びやり始めているイメージが強い」と話します。そのほかにも、InstagramのアカウントやYouTubeチャンネルを開設している人も増えています。

 

こうした場での「見る・見られる」の関係が、「フォロー・フォロワー」の関係になり、投稿が糸口となって共通の分野の知人ができたり、DM(ダイレクトメッセージ)で事業コラボの声が掛かることが実際にあるのです。

 

また、SNS以外にも、Webサイトやブログなど「自分の営業のプラットフォーム」を作ることも大切です。「note」もセルフブランディングに役立ちます。ご存じの方も多いと思いますが、noteとは、文章・写真・映像などの作品配信サイトで、近年、多くのクリエイターやフリーランス事業者から人気を集めるサービスです。
自分をPRできる媒体は持っておいて損はないですし、Webサイトの有無は信用性にも影響します。ちなみに、名刺も早いうちから準備しておくことをおすすめします。

 

特に、フリーランサーにとって、ビジネスの案件は、いつどこで発生するかわかりません。いざチャンスが来た時に、いつでも売り込みができるように、ウェブサイトのURLやSNSのアカウントも載せた名刺を作っておくとよいでしょう。
フリーランサーは、工夫を凝らし個性的な名刺を作っている人も多くいます。名刺を作成する際は、多少お金をかけてでも、印象に残る名刺を作るというのもPRの一つの手です。

(5)引っ越しとクレジットカードは今のうちに

 

フリーランスになって「会社はありがたい存在だったのだな」と気づく事のひとつに、クレジットカードの審査ローン契約などがあります。フリーランスになると、社会的な肩書きが「自営業」となります。たとえ会社員時代を上回る収入を得ていたとしても、一般の会社員と比較すると社会的信用が劣るとされ、審査が通りづらくなります。

もし、1枚もクレジットカードを持っていないのであれば、万が一に備えて会社員として働いている間に、クレジットカードを作っておきましょう。また、法人(株式会社)で独立を目指す場合には、法人としての実績・信用が蓄積されるまでは、法人名義のクレジットカードを作るのは至難の業となります。

 

一方で、独立後はクレジットカードによる決済シーンは多くなりますので、その間の代用として、独立前に仕事専用の個人名義のクレジットカードを必ず作っておきましょう。

 

引っ越しについても同様のことが言えます。クレジットカードと同様、「信用」が関わってくるのが不動産です。引っ越す予定が決まっているのであれば、独立前に引っ越しておいたほうがスムーズかもしれません。家を買う予定や借りる予定がある場合は、フリーランスになる前に手続きを済ませておくべきです。
実際、独立後に仕事用のワンルームマンションを借りる予定が、事業実績がないことを理由に断られたり、毎月100万円以上稼いでいる人ですら、フリーランスであることが理由で新居を借りることができなかったりすることもあるそうです。

 

特に、引っ越しの予定がなくても、更新が近い人は、会社員のうちにできることをしたほうが良さそうです。また、独立して収入が安定していたとしても、住宅ローンの審査をパスするためのハードルはかなり高くなります。会社員時代であればなんの問題もなく借りられた金額の数分の1しか借りられないことに愕然とするかもしれません。

 

独立前に新居を購入することは、かなり勇気のいることですが、ご自身の人生設計と独立後のさまざまなリスクを熟慮した上で、新居を手にすることを決意したならば、会社員時代に実行しておくことをおすすめします。

(6)貯金は多いに越したことはない

どのような分野でフリーランスになるのかにもよりますが、コンサルタント業のように自分の能力や腕を資本に独立する場合、カフェを開店するような多額の初期費用は不要です。

 

しかし、フリーランスになる場合、貯金は多いに越したことはありません。当面の生活費の確保のためです。仕事が軌道に乗るまでには長ければ1年以上かかることもありますが、それを見越して、その分のお金は貯めておくべきです。税金や社会保険料のことも考慮しておくことをお忘れなく。

 

前述した不動産だけでなく、金融機関から社会的信用を得ることも、会社員に比べるとハードルが高くなります。経済的な余裕を持ち独立をすることをおすすめします。

(7)エージェントへの人材登録もおすすめ

フリーランスを考えている方ならすでにアクセスしたことがあるかもしれませんが、エージェントに登録するのも有用です。クライアントとフリーランスの要望をヒアリングし、適切に両者をマッチングさせ案件を紹介する、いわば営業を肩代わりしてくれる存在であるエージェント。Webサイトにて無料で有益な情報を提供していることも多いので、情報収集の際に活用しない手はありません。

また、さらに手っ取り早く仕事を探すのなら、クラウドソーシングに登録するのも手段として有効です。業種や内容にもよりますが、クラウドソーシングなら、独立する前の小手調べとして仕事を受託することも可能です。ただし、勤務先での副業が認められているか否かは確認する必要があります。

エージェントサービスでは、webには非公開の案件を紹介してもらえることもあります。コンサルティング案件に特化したプロフェッショナル人材とクライアントのマッチングサービスをご希望の方は以下より登録いただけます。

 

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(8)周囲の人の理解を得る

 

「フリーランスとして独立すれば、バラ色の人生が待っている」わけではないことは十分承知していることでしょう。独立後には、会社員時代では想像もできないほどの波乱万丈の人生が待ち受けている可能性もあります。もし、あなたに愛する奥様あるいは旦那様がいて、成人前のお子さんがいるとなると、ほとんどの場合、否応なしにご家族に対して、何らかの影響を与えることとなります。

特に、経済面や精神面は、独立した本人以上に、周囲の人は自分ではどうすることもできないがゆえに、想像以上の負荷をかけることになります。もしあなたにご両親がいれば、ご両親にも相当の心配をかけることになるでしょう。
まずはご家族、ご両親には、独立を決心する前の早い段階から相談しておくことをおすすめします。ご家族、ご両親に十分な理解が得られた上で独立すれば、たとえ窮地に陥った時にも、心の底からあなたを支えてくれることでしょう。

 

また、これまでお世話になった人、あなたの周りにいる社会人として尊敬できる人や、場合によっては勤務先で信頼のおける上司、先輩。周囲の人に相談することで、あなた自身では気付けなかったさまざまな情報を得ることができます。
独立に向け、あなた自身の決意をより確かにするきっかけとなることもありますので、積極的に相談することにも目を向けてみましょう。

(9)失敗のシナリオを準備する

最後に、縁起でもないような話をします。これから独立しようとする人であれば、四六時中成功のシナリオを思い描いていることでしょう。ただし、あくまで経験則であり、絶対的な計測値ではありませんが独立して普通に食べて行ける人は全体の2割、何とか食い繋いでいる人が6割、廃業してしまう人が残り2割程度です。
「失敗を恐れず果敢に攻めること」は重要ですが、あなた自身のリスクマネジメントとして、もしフリーランスとして立ち行かなくなった場合のシナリオも準備しておく必要があります。

実際に、フリーランスにこだわるあまり、売上げも上がらないのに借り入れで生活費を賄い、ほどなく破綻してしまうケースは少なからずあります。破綻する前にフリーランスに区切りを付けておけば、最悪の事態は防げるのですが、事前のシナリオがないとパニックに陥り、冷静な判断ができなくなってしまうようです。

 

ぜひ、独立する前に、成功のシナリオと同時に失敗のシナリオも綿密に作成しておくことをおすすめします。具体的には、3年~5年程度の人生プラン(事業計画)を作ること。計画を作る際に、フリーランスを継続するバロメーターとしてのマイルストーン(中間評価点)を半年に1回程度設定し、その時点での経済状況や売上高の目標値と下限値を決めます。
そして、下限値を下回った場合には、フリーランスの道を軌道修正するということを独立前に決心しておくことです。フリーランスとして独立するのであれば、大成功を収めるという強い意志は必要ですが、同時に「転ばぬ先の杖」を冷静に準備しておくことも必要であることを理解しておきましょう。

 

まとめ

フリーランスという働き方は、甘くないシビアな世界です。「スキルアップやキャリアアップができ、プライベートと仕事を両立させた充実した生活が送れそう」という夢は、愚直に努力を重ねた人が手に入れることができるのです。

しかし、大企業の倒産も珍しくなく、働き方改革という名のもとに会社に依存することなく働くことが求められている現代、フリーランスという働き方は公私ともに自分らしさを手に入れられる方法でもあるのかもしれません。

 

フリーランスという働き方、生き方で良いスタートダッシュが切れるよう、情報収集をして準備をしっかり整えましょう。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

< 監修者プロフィール >
大野 晴司(おおの せいじ)

東京都立大学(現首都大学東京)卒業後、日産自動車で国内のマーケティング部門や系列ディーラーでの営業マンや本社販促部署長などを経験。中小企業診断士資格取得のために退職、2003年3月資格取得。その後、マーケティングリサーチ会社、自動車関連メーカーを経て、2008年にビズ・エキスパート株式会社を設立。神奈川・東京の中小・中堅企業の営業力・マーケティング力支援のほか、経営企画業務、新規事業支援を主な事業として活動中。また、企業向けセミナー講師なども務める。

ビズ・エキスパート株式会社:http://b-ex.biz/index.html
プロフェッショナリズムインタビュー:https://freeconsultant.jp/workstyle/w020

 

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