業務改革コンサルタントに聞くRPAの流れと重要ポイントとは

最新更新日:2023/01/31
最新作成日:2023/01/31

 

コンサルティングファームで実績を上げた後は、フリーランスのコンサルタントとして更なる活躍を目指すのも選択肢の1つです。クライアント企業の事業拡大を支援するという点においては、もちろんファーム所属のコンサルタントでもフリーランスコンサルタントでも仕事の進め方に変わりはありません。フリーランスコンサルタントとして今何が必要とされているのか、企業経営の視点から詳しく解説します。

 

 

目次

■働き方を改善するために頭を悩ませる経営者たち
(1)働き手の減少への対策が急務
(2)今コンサルタントに必要とされる情報やプロフェッショナル性とは

 

■トヨタ生産方式に見る業務改革の手法
(1)代表的な仕組み「改善」「見える化」「原因追及」「無駄取り」
(2)ムダをなくし正味作業の比率を高める

 

■業務量削減を実現するポイントとなる各種システムについて
(1)ホワイトカラーのルーティンワークを自動化するRPA
(2)ERP

 

■コンサルタントが業務改善を進める際のポイントと成功事例
(1)情報の見える化
(2)タスク管理の共有化
(3)ルーティンワークの自動化

 

■まとめ

 

 

働き方を改善するために頭を悩ませる経営者たち

(1)働き手の減少への対策が急務

最初にしっかり認識しておきたいのが、現在企業規模の大小を問わず、多くの経営者が本気で働き方の改善案を探し求めているという現実です。

 

これには政府の働き方改革の方針も当然絡んでいるのですが、事実、働き手の減少による生産性ダウンへの対策が、経営者にとって急務となっていることが挙げられます。

 

業務の担い手が減少している以上、業務量の削減は必須であり、そのためにRPAの導入プロジェクトやERPの見直しプロジェクトなどが次々と立ち上がるのは至極当然でしょう。

 

コストをかけたプロジェクトを成功させるために、多くのコンサルティングファームやフリーランスのコンサルタントが企業経営者から求められているのが現状です。

 

例えばデータを集計するだけのルーティンワークなどであれば、VBAで自動化などすれば多少の業務量削減は企業内でも可能でしょう。無駄を無くして労働の時間短縮やコストの削減を進めている企業はたくさんあります。ただし、全社的に働き方を変えるほどの時間短縮やルーティンの自動化を行なうためには、やはりプロフェッショナルなサポートが必須です。

 

そのため経営管理やITに特化したプロフェッショナルとして、フリーランスコンサルタントなどが企業経営者から求められているのです。

(2)今コンサルタントに必要とされる情報やプロフェッショナル性とは

コンサルタントに必須とされるスキルの1つが、ヒアリング能力です。

 

ヒアリングによってクライアント企業が望む成果を正確に把握し、現場を巻き込んでプロジェクトを成功させることは重要なポイントです。

 

最初に行なうべきなのは、経営者や現場担当者からあらゆる情報を得て、課題や改善案を導き出すという仕事です。まずは経営者の悩みを正しく把握し、業務改善や業務改革の方向性を1つ集約することがポイントと言えるでしょう。

 

生産性を上げるためには経営状況の分析も実施し、クライアント企業の置かれている状況も第三者の目で把握する能力も必要です。単に改善案を提示するだけが任務ではなく、業務改善や業務改革のための戦略を立てた上で検証を進め、経営者の良きパートナーとなることが求められます。

 

そのためには、労働時間短縮や業務量の削減が一昔前とは比べ物にならないレベルで抜本的な改革が迫られているという現状を、経営者に認識してもらう必要があるでしょう。

 

厳しい現状で、少なからぬコストをかけてでも業務改善や業務改革を成功させなければならないほど、経営者は重大な決断を迫られているのが実情です。経営陣が相談しにくい課題について第三者的な立場で客観的に現状を分析し、判断材料を提供できるのがフリーランスコンサルタントなのです。

 

これから先の企業経営を見通したときに、避けては通れないのが業務の自動化です。そうした意味では、やはりIT関連知識を持たないとフリーランスコンサルタントの活躍の場は狭まりますし、プロジェクトの成功率も伸び悩む懸念があるでしょう。

 

もちろん、プログラミングができるほどのプロフェッショナル性は必要ないにしても、RPAやERPに関する最新情報を持っておいたほうがよいでしょう。

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トヨタ生産方式に見る業務改革の手法

 

ここで知っておくと役立つ情報の1つとして、トヨタ生産方式についてご紹介しておきましょう。

(1)代表的な仕組み「改善」「見える化」「原因追及」「無駄取り」

トヨタ生産方式は、豊田佐吉氏が考案した自働化と、豊田喜一郎氏が考案したジャスト・イン・タイムをベースとして生み出された仕組みです。

トヨタ生産方式の基礎を築いたのは大野耐一氏ですが、ここでポイントとなるのは単なるマシン化としての自動化ではなく、人の知恵を付与した仕組みであることでしょう。

人が関係することで不良品を出さず、生産現場でムラ・ムリ・ムダを作らないことで生産性向上を成功させました。

代表する仕組みが4つあるのですが、それが「改善」「見える化」「原因追及」「無駄取り」です。

改善は海外でも「Kaizen」と表現されており、より良いものを追及し続ける姿勢が提示されています。

 

「見える化」は現在広く推進されている事業の考え方ですが、現場の見える化や問題の見える化、原価の見える化や進捗状況の見える化など、たくさんの「見える化」が考えられるでしょう。

そして見えた問題に対しては責任追及より原因追究を重視し、表面的な原因ではなく真因をつぶすことを目指しています。

(2)ムダをなくし正味作業の比率を高める

また優れているポイントは、通常現場で仕事だと思ってやっていることの中に、無駄と付随作業とがあることを最初から見抜いていた点でしょう。

特に、本来不要だとわかっている仕事であってもやらざるを得ない扱いになっている作業を積極的に省くことに注力したのが大きなポイントです。

 

こうした付随作業を省き正味作業の比率を高めることで、大幅な業務量削減が実現します。

生産部門で付加価値を生まない無駄な作業を排除したり、サービス部門で顧客に役立たない無駄な作業を排除したりすることで、企業の生産性と労働時間短縮が実現するでしょう。

 

こうした成功事例を踏まえてRPAやERPの導入プロジェクトを考えてみると、コンサルタントとして業務改善や業務改革の重要なポイントが見えてきます。

RPAによるルーティンの自動化、ERP導入による情報管理の見える化など、今多くの企業が規模に関わらず取り組み始めている抜本的な業務改善や業務改革に通ずるものがあると言えます。

※トヨタ生産方式の詳細はこちら:https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/production-system/

 

 

業務量削減を実現するポイントとなる各種システムについて

 

それではフリーランスコンサルタントとして押さえておくべきRPAとERPの概要とメリットについてまとめておきましょう。

(1)ホワイトカラーのルーティンワークを自動化するRPA

RPA構造化されたデータを収集統合し、システムへ決められた通りに入力するシステムです。

フロント業務もバックオフィス業務も自動化可能であり、表計算ソフトウェアのデータ入力やインターネットを介したデータ収集に絶大な業務量削減効果を発揮します。

 

すでに多くの企業で活用されている幅の広いシステムで、特に相性が良いとされているのが一定のルールに従って繰り返すルーティンワークです。

データが構造化されている標準化されたルーティンワークであれば、大きな業務量削減効果を生むことができるでしょう。

 

特にプロセスに3人以上のリソースを求められる作業やヒューマンエラーが起こりやすい作業との相性は抜群で、RPAを活用するだけでプロジェクトが成功する事例も少なくありません。

ただクラス的に段階があり、決められた方法に従って自動処理をしていくクラス1を最初に、大量のデータを解析し結果を出力するクラス2や、より自立した結果を出力するクラス3などがあります。

 

例えばクラス2には画像を元に新たな画像をカテゴリ分けする機能や、ビッグデータから顧客分析する大量データの処理分析機能などがあります。

クラス3CA(Cognitive Automation)と呼ばれ、売上データやマーケティング情報などを多面的に分析できる自動判断能力を持ちます。

例えば顧客データを元に自動・コールセンター・資料配布などを判断して実行することができたり、より高度なデータを加味して多様な選択肢を提案したりする機能を持ちます。

 

現状ではクラス1がRPAのメインとされていますが、実際にはビッグデータの分析も可能とするAI型のシステムもすでにRPAのカテゴリに分類されつつあります。

欧米ではRPAのテクノロジーはすでに浸透し、今後は一般にも市場が拡大すると予想されています。

企業がRPAを導入するメリットは、何を置いても人の業務量の大幅な削減です。

労働者にとっては大きな働き方改革になりますし、経営者にとっては大幅な人件費のコストダウンになるでしょう。

 

人件費は最大10分の1まで圧縮できるとするデータもあり、システムであれば24時間365日休まず働かせることも可能です。

コピー&ペーストによる単純作業ではヒューマンエラーが発生する可能性もなく、人は高付加価値業務へのリソース増強に集中させることができます。

※参照:http://www.artplans.net/rpa/

(2)ERP

ERP「統合基幹業務システム」と呼ばれ、企業経営にはもはや欠かせないITソリューションです。財務会計管理や予算管理、販売管理、顧客管理などあらゆる事業部門で活用できる管理システムであり、すでに多くの企業で活用実績があります。

近年クラウド化によって国内でも普及が広がり、中小企業やスタートアップ企業でも活用事例が急増しました。

 

企業経営プロセスにおいて情報が一元化され、経営陣がマスターデータを管理できることが一番の活用メリットです。

従来の業務システムのように個別に存在し、独立運用されていたシステムによる弊害がなくなり、全社的なソリューションとして集約されています。

また、経営陣が情報を一元管理できるだけでなく、それぞれの部門で個別の管理システムに情報を打ち込むというような二重三重のプロセスが省けることのもメリット。

 

複雑なプロセスを簡素化し、業務量を削減し、情報資源を見える化できることが大きな魅力です。経営の意思決定も迅速化できますし、顧客への迅速なサポートで満足度のアップも図れます。

クライアント企業の抱える課題が複数あるように見えても、実はERP導入ですべてがクリアになる活用事例も少なくないでしょう。

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コンサルタントが業務改善を進める際のポイントと成功事例

 

現在多くの企業が進めている業務改善や業務改革のプロジェクトを成功させるためには、実施可能な計画をスピーディかつ正確に進めることが求められます。

フットワークの良いフリーランスコンサルタントのニーズが高いのも、そうしたスピード感が重視されるためでしょう。

押さえるべきポイントをしっかり押さえて短期集中型でプロジェクトを成功させることが、これからのフリーランスコンサルタントに求められる仕事です。

何からプロジェクトを進めるべきか、どのような視点で進めるべきか、コンサルタント自身が最初にしっかり組み立てられることが成功を導きます。

(1)情報の見える化

最初にコンサルタントがすべきことは、情報共有の徹底と業務の見える化の実施です。

そのために業務フローの洗い出しを行ない、業務のスムーズな進行を妨げているのが何なのかを明確にします。

わかりやすい事例で言えば、情報がペーパー管理されていることで無駄な作業が発生しているような状況でしょう。ファイルからペーパー資料を探すだけで日数がかかるような状況や、部門ごとに個別に保管されており、その都度部門の担当者へ聞かないとわからないような状況が考えられます。

 

データが共有されているかどうかはコンサルタントが最初に確認すべき点で、改善案としては有効なツールを活用して情報をオンライン化することが先決でしょう。

肝心なときに資料が見つからない問題や、場所の離れた事業所間でペーパー資料を輸送しているような事例では、データ化と共有化だけでも大幅な労働時間短縮が実現できます。

(2)タスク管理の共有化

ほとんどの仕事は個人で行なえるものではなく、部署単位・チーム単位で進めるものです。にもかかわらず、誰が、何を、いつまでにやるかの情報が部署内で明確に共有されていないことが非常に多いです。

この場合、タスクをすべて共有化するだけで、業務量の削減や時間短縮を実現できる事例が少なくありません。

同じような作業を重複して行なったり、1人で大量の作業を抱え込んでパンクしたりするようなことがなくなり、スケジュールの厳守を図ることもできます。

 

また、タスク管理が組織内で定着すれば、仕事全体が見える化できます。

業務を振り返って課題を改善することも可能となりますし、問題を放置しないことで現場単位で業務改善や業務改革が実現できるようになるでしょう。

結果的にクオリティの向上やプロセスの改善にも役立ちます。

(3)ルーティンワークの自動化

上記2項目を明確にした上で、ルーティンワークを自動化することは非常に有効な手段です。

システム導入は少なからずコストのかかることですので、コンサルタントとしては最初にしっかりと業務フローを洗い出し、現状でスリム化できる点は改善した上で導入をすすめるのがポイントです。

 

また、最初から大掛かりなRPAを導入するのではなく、まずは単純な作業のみを自動化するところからスタートするのも良い手段でしょう。たとえば、出勤時に勤怠システムにログインし、出社時刻を記録するだけの作業でもロボットに代行させることで、手間を省いた上に人為的ミスの防止を実現することができます。

 

最後に

 

多くの企業が業務改善や業務改革を推進する時代、プロフェッショナルなスキルを持つフリーランスコンサルタントのニーズはますます高まっています。

 

プロジェクトを成功させるためにはクライアント企業の現状を把握し、実施可能なプランをスピーディに提示するのが重要なポイントです。

 

業務改善コンサルタントは、今まさに経営者から大いに期待されている仕事。この時流を逃すことなくチャンスをつかみ取り、その手腕を発揮してましょう。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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