【監修】週末起業で独立の腕試し!会社員が起業を試す方法
最終更新日:2024/01/18
作成日:2016/11/18
企業に勤めている一般的なサラリーマンにとっても、お金を稼ぐ方法として “副業”や“起業”が遠くない存在になりつつあります。とはいえ、なかなか起業に踏み切れないものです。それならば、まずは「お試し」で週末だけ起業してみるのはいかがでしょうか。普段は会社員、週末だけ起業家として働く方法です。
目次
■週末起業のメリット・デメリット
(1)アルバイトとの違い
(2)メリット①:定収入を得ながら自分のビジネスを始められる
(3)メリット②:本当に自分のビジネスで独立開業できるのかが見えてくる
(4)デメリット:自分のビジネスに割ける時間は限られる
■週末起業のビジネスモデル例
(1)インターネットビジネスで週末起業
(2)リアル店舗ビジネスで週末起業
(3)オフィスを構える必要がある時は
■週末起業は起業家として独立する助走にもなる
(1)起業家としての資質があるかのジャッジ
(2)今の自分に足りないものをピックアップ
■サラリーマンが副業をするには
(1)要確認!会社に副業を認められているか
(2)副業が認められていない場合
(3)確定申告・住民税の申告が必要
■完全独立して起業家を目指す足掛かりとしても有効
(1)週末起業は通過点という考え方
(2)引き返す選択も考慮すること
※本コラムは、2020年7月22日に「「週末起業」という副業、複業の始め方」を再構成したものです。
※本コラムは、営業力・マーケティング力支援、経営企画業務支援などを行なうコンサルタントが監修しています。
週末起業とは?メリット・デメリット
(1)アルバイトとの違い
会社勤めをしながら、週末の土日だけ自分のビジネスで収入を得ることを「週末起業」と言います。収入源を1本に絞らず、まずは腕試しのような感覚で起業できる方法のため、「お試し起業」と呼ばれることもあります。
以前から、お小遣い程度のお金を得るために土日だけアルバイトをする人はいましたが、週末起業はアルバイトではなく、あくまで自分のビジネスに従事することです。雇用されているか否か、収入が保証されているか否か、それがアルバイトと週末起業のもっとも大きな違いでしょう。
アルバイトも週末起業も「副業」に当てはまりますので、勤務先で副業が認められている場合は、週末起業も認められていると解釈して問題ないでしょう。アルバイトは良くて週末起業は不可とするのは考えにくいですが、副業が認められているか否か不安が拭えない場合は、会社の人事に相談するとより安心です。
(2)メリット①:定収入を得ながら自分のビジネスを始められる
独立した人がもっともリスクに感じるのは、固定された月収がないことでしょう。しかし、会社員を辞めることなく副業の状態で起業をすれば、これまで通りの月収を得ながら自分のビジネスを始めることができます。
これは、想像以上に重要な意味を持ちます。たとえ貯金があっても、いきなり独立開業をした結果仮に月収がゼロになってしまったら、事業を軌道に乗せることだけでなく、収入という大きなプレッシャーとも戦わなければなりません。会社に依存しないというのはそういうことでもあるのです。
人によっては、独立開業後に「少額でも月収が欲しい」と考えてアルバイトを始める方もいらっしゃいます。しかし、それでは会社を辞める選択をしてまで独立開業した意味合いは薄れてしまいます。
独立開業を果たしたのであれば、アルバイトに時間を費やすより、その時間を利用して自分に必要な知識を得るためのセミナーや勉強会などに参加したり、資格取得のための学習に費やした方が、将来に繋がる時間の使い方と言えます。
ちなみに、独立開業のためのセミナーは、有料と無料、初心者から経験者までと実にさまざまな会が開催されていますので、インターネットで検索して、信頼できそうなセミナーなどに参加してみるのもおすすめです。
(3)メリット②:本当に自分のビジネスで独立開業できるのかが見えてくる
週末起業は、「起業の準備期間」とも捉えられます。どのようなビジネスであっても、そのアイデアが通用するのか、そこにマーケットがあるのか、それが本当にビジネスとして成立するのかは始めてみないと分かりません。もしも「このビジネスモデルはお金にならない」と判断した時には、独立を見合せればいいのです。これは大きなメリットといえるでしょう。
ひとつの独立開業方法に固執せず、一度自身の独立起業方法や考えをリセットするのも良いでしょう。その時は、ロールモデルとなる起業家の方から成功のノウハウを聞いたり、新聞などの紹介記事を読んだりすると大いに参考になります。
また、セミナーや勉強会などで学び、自身の起業プランを練り直すのも十分に前向きな行動のひとつ。特に、すでにプロフェッショナルとして活躍しているコンサルタントの方が開いているセミナーは、参考になることが多いのではないでしょうか。
(4)デメリット:自分のビジネスに割ける時間は限られる
「週末起業」ですから、基本的に自分のビジネスに関わるのは週のうちの1日もしくは2日。そのため、思ったように活動できないと感じる方が多いかもしれません。
また、独立を前提に自身がやっていきたいことが具体的になってくると、どうしても目の前の仕事に魅力を感じ難くなってしまいます。本業が疎かになってしまうことのないよう自制することも大切です。
しかし、本業で手を抜いてしまうようでは、独立、創業しても成功は難しいかもしれません。
成功する起業家の多くは、あらゆるものを自分のビジネスのヒントにします。たとえ、今の仕事内容と独立後の仕事内容がまったく違うものだったとしても、今の仕事から何かを吸収しようという意識を必ず持っています。その意識の違いが成功率を左右することにもなるのです。
また、週末起業が軌道に乗ることで本業への依存心が薄れると、より中立的・客観的に仕事を見つめ直すことができるようになります。結果的に、本業にも良い影響を及ぼすこともありますので、常に本業から何かを学び取る姿勢はとても重要と言えます。
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週末起業のビジネスモデル例
(1)インターネットビジネスで週末起業
週末起業で多く選ばれているのは「インターネットビジネス」と言われており、メディアでも数多くの成功例が紹介されています。
ネットビジネスは、店舗や事務所を構える必要がなく、在宅で気軽に始められるのが最大のメリット。週末起業を選択する理由が「開業資金不足」であることも多く、ネットビジネスで週末起業するというケースも少なくないようです。
ネットビジネスには在宅で稼働できるという大きな魅力がありますが、同時に集客が難しいという難点もあります。しかも、すでに独立開業している同業者が沢山いる中で、細々と週末起業している人へ仕事を依頼するメリットは、なかなか見当たりません。
そのため、在宅でのビジネスで週末起業をするのであれば、最初はフリーランスに仕事を紹介するマッチングサイトなどに登録して仕事を探すことをおすすめします。
フリーランスに在宅仕事を紹介するマッチングサイトを上手に活用し、ビジネスチャンスを広げるよう心掛けてください。
このように、マッチングサイトを活用してまずは実績と経験を積んでいくやり方も、週末起業には効果的です。しかし早期に独立開業を目指すのであれば、常にクライアントから直接仕事が来るように働きかけていく必要があることも忘れないでください。
また、仕入れたものを販売するビジネスでは在庫を抱えるリスクが生じるため、週末起業やお試し起業にはやや荷が重いかもしれませんが、自分で作ったものをインターネットで販売するのであれば、初期投資も比較的安く済むため現実的なビジネスと言えるでしょう。
例えば、自作のアクセサリーや洋服をネット販売するようなケースです。自作のショッピングサイトで販売しても良いですし、ヤフオク!やメルカリなどのネットオークションやフリマアプリを利用し、集客・販売を行なっても良いでしょう。ただし後者の場合は、集客力はあるもののシステムの利用料金が発生するため、販売するものの特性や目標とする売上高、利益率などを考慮して、どちらに注力するかを検討する必要があります。
このようにネットビジネスはとても幅が広く、物販やコンサルタントなどの他に、サイト制作や記事の執筆、インターネットを介してのセミナーやコーチングをビジネスとしている人もいます。
ネットビジネスで成功した事例などを調べてみると、自身の得意分野に特化したサービスを提供しているサイトがたくさん見つかるはずです。「自分には独立できるほどの得意分野なんて…」と思わず、人より少し得意なことがないか探してみましょう。
特にネットビジネスの世界では、「ニッチな需要と供給のマッチング」や「得意なことの掛け合わせ」で新しいビジネスが生まれることも良くあります。大企業が真似できないあなただけのサービスを考えてみましょう。
(2)リアル店舗ビジネスで週末起業
前述した通り、週末起業の対象となる業種は幅広く、決してネットビジネスだけが対象となるわけではありません。中には店舗を借りて、土日だけ営業している起業家もいます。店舗の定休日だけ場所を借りてビジネスを行なうことを「間借りビジネス」と呼びます。
間借りビジネスがもっとも有効なのは飲食業でしょう。もともとある厨房を利用できるため、初期投資がほとんどかからないからです。飲食業で独立開業をしようと思えば最低でも数百万の資金が必要ですし、週末起業でそれを準備するのも現実的ではありませんが、店舗を間借りできれば、十分な資金が無くても開業できるのが大きなメリットと言えるでしょう。
月曜日はパスタ屋、火曜日は和食、水曜日はラーメン屋…というように、それぞれ経営者は別で、さまざまなタイプのお店が日替わりで営業している店舗もあるようです。このような形態でテナントを貸してくれるケースもあるようなので、アイデアを試したい、お試し起業をしたい人にとっては、起業しやすい環境と言えるかもしれません。
また、特に休業日がハッキリと決まっている店舗の場合、休業日だけ別のオーナーに貸すということもあります。週末起業、しかも店舗型ビジネスを始めたい方にとって、低資金で始められる間借りビジネスは、積極的に検討する価値ありと言えそうです。
(3)オフィスを構える必要がある時は
場合によっては、週末起業でもオフィスを構えた方が有利にビジネスを進められることも少なくありません。
たとえば、コンサルタントとして週末起業するケースなどです。ご自身のオフィスを持っていることをクライアントに伝えれば、起業家としての信頼を得ることができます。オフィスを構えることは、クライアントを獲得する上で一定の効果があるため、コンサルタントとして起業する際にはオフィスを構えても良いかもしれません。コストゼロの在宅起業はたしかに魅力的ではありますが、ビジネスの種類によっては、あまり在宅にこだわらないことも必要でしょう。
とはいえ、週末起業やお試し起業で自分のオフィスを構えるのは、資金的に難しい場合も少なくないでしょう。そこで有効なのが、レンタルオフィスやコワーキングスペースです。両者の違いは、レンタルオフィスが個室であるのに対して、シェアオフィスは個室ではなく、複数社で同じオフィスを共有する点です。
一見、個室であるレンタルオフィスに軍配が上がりそうですが、コワーキングスペースには横の繋がりが生まれるというメリットがあります。業界は違えど、同じ場所で働く仲間たちと情報交換をすることで、互いに刺激を与えあえることに大きなメリットと感じる人も多いようです。また、コワーキングスペースを通じて新しいビジネスが生まれるといったように、交流が生まれたことでアウトプットへとつながったケースも稀ではないようです。
ただし、コンサルタントのように顧客の情報を守る必要があるビジネスの場合、多数の人が出入りできるスペースはリスクとなる可能性もあります。コワーキングスペースで活動する際には、セキュリティが確保されたクラウド環境を整えるなど、情報管理に十分な配慮が必要となります。ビジネスモデルによって、準備すべきこと、配慮すべきことは異なりますので、週末起業と言えども、準備万端に備えることが重要です。
週末起業は起業家として独立する助走にもなる
(1)起業家としての資質があるかのジャッジ
週末起業は、現時点の自分が起業家としての資質やノウハウがあるのかジャッジする場としても活用できます。もちろん「起業したい」と考えるからには、独立開業してもやっていける自信があるはず。しかし、自信だけではやっていけない厳しい世界でもあります。
週末起業は、事業を実際に行ないながら「起業家としてやっていけるのか?」「どのようにすれば起業家として成功できるのか?」を自問自答する猶予期間でもあります。
会社組織の中ではいかんなく能力を発揮できていた人が、起業した途端に右往左往してしまうことは良くあることです。週末起業は、独立開業への準備期間でもあり、自分を見つめ直す期間でもあるのです。
(2)今の自分に足りないものをピックアップ
週末起業を始めたばかりの段階で、完璧に自分のビジネスを遂行できるスキルを持つ人はほとんどいないでしょう。これは、週末起業に限らず一般的な起業の場合も同じです。
上手くいかなければ、少しずつ軌道修正をします。そして、その期間中に今の自分に足りないスキルをピックアップして、積極的に補っていく必要があります。
また、週末起業にチャレンジしている期間は、多くのセミナーや起業家同士の勉強会に参加したり、インターネットで起業した人の体験談などの記事から情報収集することをおすすめします。
特に、コンサルタントなどが主催しているセミナーでは、多くの実績・経験を踏まえた情報収集ができるため、「自分には宣伝力が足りない」とか「自分の企画は弱い」など、ご自身のウィークポイントが見つけやすくなるようです。
コンサルタントの言葉から自分のウィークポイントを見つけて、そのウィークポイントをどのようにして補っていくのか、自分と向き合ってみましょう。もしかしたら、他の人の力を借りる必要も出てくるかもしれません。その場合には、独立開業する前に、協力者とのネットワークの構築やコラボレーションを視野に入れた独立準備が、必要になるかもしれません。
サラリーマンが副業をするには
(1)要確認!会社に副業を認められているか
以前は副業禁止とする企業が主流でしたが、副業を認める会社も徐々に増えてきた昨今。自身の会社で副業が認められているかどうか、認められている場合、どのような申請が必要なのかなど、会社の就業規則にて確認しましょう。
(2)副業が認められていない場合
問題は、今の会社では副業が認められていないケースです。その場合、副業していることが会社に知られれば、処分の対象になってしまう可能性もあります。
処分の対象となりうるのは、主に「公務員の場合」と「本業に悪影響を与えると考えられる場合」の2つです(公務員は一般的な会社員とは違い、法律で副業を禁止されています。しかし『公益的活動を目的とする活動は解禁となる可能性がある』とする動きもあり、公務員に該当する方の副業は事前にしっかりと調査することをおすすめします。※1)。
「本業に悪影響を与える」と考えられる場合ですが、もっとわかりやすく言えば、副業によって会社が不利益を被るケースです。たとえば、ライバル会社の仕事を手伝う副業や、会社の情報を利用した副業がこのケースに当てはまります。つまり、今の会社と同じ業界内で副業を行なうためには、十分な注意が必要です。
「会社に不利益を与えた」という理由で処分対象となる可能性があることは、しっかりと認識する必要があります。
(3)確定申告・住民税の申告が必要
会社員が副業をして所得(収入ー経費)を得た場合、自分で確定申告や住民税の申告が必要となります。副業で売上があっても20万円以上の年間所得がなければ確定申告は必要ありませんが、たとえ20万円未満の所得であっても住民税の申告は必要なので気をつけましょう。つまり、収入がいくらであっても、何らかの申告が必要となることを覚えておきましょう。(※2)
完全独立して起業家を目指す足掛かりとしても有効
(1)週末起業は通過点という考え方
週末起業ではなく完全独立を見据える方にとっても、週末起業は有効な手段のひとつです。週末の“お試し起業”で実践を通して学びや課題を得て改善し、「今だ」というタイミングがきたら本格的に独立するという考え方です。
本業を持った状態で、週末起業と称して起業準備を始めれば、副業の収入の不安定さもカバーできますし、いきなり独立してライスワーク(生活のための活動)を余儀なくされるよりも、じっくり起業準備を進めることができるでしょう。
独立準備期間中には、たくさんの情報を集めることをおすすめします。その中でも、既に起業家やコンサルタントとして活躍している方々の考え方は参考になります。とはいえ「個人の考え」に基づくアドバイスでもあるので、なるべく色々なタイプの方の話を聞くのがベターでしょう。
できるだけ多くの起業家と出会い、話を聞いたり、独立起業セミナーに参加し人脈を広げることをおすすめします。
(2)引き返す選択も考慮すること
週末起業のメリットとして「会社員として引き返す選択肢」があることも忘れないでおきましょう。将来独立することをゴールとして週末起業を始めたとしても、実際に取り組んでみたら計画を練り直す必要性が見えてくることもあります。
また、完全に独立するのではなく、週末起業をゴールとする選択肢もあります。独立起業を急ぎすぎず、柔軟な発想で最終的に叶えたい目的へとたどり着きましょう。
「起業」や「独立」という響きには、つい憧れの気持ちを抱いてしまうもの。しかし、人には向き不向きがあります。起業や独立に向いていない人、会社に属しながら大きな幸せを手にする人もいます。その人自身の特性を活かせる方法がベストな選択であり、それが起業や独立ではない場合もあります。
週末起業は、自分にはどのような働き方が向いているのか、身をもって判断できる方法の一つです。「失敗したらどうしよう」という不安も、週末やお試しでの起業であれば、ぐっとハードルが下がります。“たられば”でしり込みしてしまうよりも、自分を試す意味で、週末起業やお試し起業にチャレンジすることも非常に有意義なのではないでしょうか。
無料セミナーなども活用し、多くの情報を集めてみましょう。組織に依存せず自分の力だけで起業しようと活動して得た経験や知識、人脈は自身のキャリア計画に大いに役立つはずです。
※1参照:https://agent-network.com/bitwork/news1659
※2参照:https://www.freee.co.jp/kb/kb-fukugyou/side-job-20/
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)
< 監修者プロフィール >
大野 晴司(おおの せいじ)
東京都立大学(現首都大学東京)卒業後、日産自動車で国内のマーケティング部門や系列ディーラーでの営業マンや本社販促部署長などを経験。中小企業診断士資格取得のために退職、2003年3月資格取得。その後、マーケティングリサーチ会社、自動車関連メーカーを経て、2008年にビズ・エキスパート株式会社を設立。神奈川・東京の中小・中堅企業の営業力・マーケティング力支援のほか、経営企画業務、新規事業支援を主な事業として活動中。また、企業向けセミナー講師なども務める。
ビズ・エキスパート株式会社:http://b-ex.biz/index.html
プロフェッショナリズムインタビュー:https://freeconsultant.jp/workstyle/w020