働き方改革にも重要、Googleが見つけた最強チームビルディングに必要な要素とは

作成日:2018/11/21

 働き方改革により多様な働き方が浸透しつつある現代だからこそ、チーム単位での団結力や生産力の強化が重要視されています。今回はGoogleでも注力されているチームビルディングプロジェクトのプロセスと方法について検証していきます。

成功するチームビルディングのコツをGoogleが本気で研究

成功するチームビルディングのコツをGoogleが本気で研究-1

 

日本で「働き方改革」と耳にするようになってしばらく経ちます。

 

多様な働き方を受け入れ、限られた時間で成果を出すためには、チーム全体のパフォーマンス向上が求められています。とはいえ多様な人材が増えるほど難しくなるのがチームビルディング。プロジェクトマネジメントを担うコンサルタントの方も、苦い経験をお持ちかもしれません。

 

実はあのGoogleでもチームによって生産性が大きく違うことに着目し、「どうしたら生産性の高いチームビルディングができるか?」という研究を2012年にスタートしました。この研究プロジェクトは「アリストテレス・プロジェクト」と呼ばれていて、世界中で注目を集めました。

 

一般的に、成果を出すチームビルディングと言えば、まずは優秀なメンバーを揃えるという発想を持つ方も多いでしょう。ところがGoogleのアリストテレス・プロジェクトでGoogleにある100以上のチームを分析したところ、個人のスキルはチームの生産性に大きな影響がないことが判明。他にも、仕事のボリュームやチームの規模も影響が少ないということがわかっています。

 

では、生産性向上につながるポイントはどこにあるのでしょうか? Googleでは、社会学や心理学の専門家を交えて調査研究を続けた結果、5つの要素が影響することを突き止めました。

1.心理的安全性(Psychological safety)

不安や恥ずかしさを感じることなく、リスクのある行動をとれるか

2.信頼性(Dependability)

チームメンバーが信頼しあい、確実にスケジュール通りに実行できるかどうか

3.構造と明確さ(Structure and clarity)

チームの目標や役割、実行プランが明確になっているか

4.仕事の意味(Meaning of Work)

チームメンバーが自分の仕事をする意味を個人的に感じているか

5.仕事のインパクト(Impact of Work)

自分の仕事がチームに貢献している、影響していると感じられるか

☆あわせて読みたい

『【PMOコンサルタントとは】つまらない?意味ない?キャリアに使えない?向いている人と今後の将来性・年収を解説!』

『【PMOとは】PMとの違い(仕事内容・意味・職種)と向いている人、業務に必要な資格・スキルセットを解説!』

『【フリーコンサル PMO】年収は?必要なスキルや資格は?つまらない?メリット・デメリットも解説』

 

 

Googleの研究結果でチームビルディングに最も重要な「心理的安定性」とは

Googleの研究結果でチームビルディングに最も重要という「心理的安定性」とは-2

 

先ほど紹介した5つの要素は、上から順に重要度が高いとされています。つまりGoogleの研究結果によると、生産性の高いチームビルディングには「心理的安定性」が最も重要ということになります。意外と感じる方も多いのではないでしょうか。

 

心理的安全性(Psychological safety)はあまり聞きなれないワードですが、主に心理学で使われる用語です。具体的には「他のメンバーの顔色や反応を気にせず、自分の意見や考えを発信できる」という心理状態を言います。例えば新しいアイデアを思いついたときに、気軽にチームに相談できる雰囲気がなければ実行には至りません。また意見を述べるだけではなく、質問や報告もチーム内でやりづらいと、メンバー間で認識や仕事の進め方にズレが生じてパフォーマンス低下につながってしまいます。

 

つまり心理的安全性が保てていない中で、単純にコミュニケーションをとる時間を増やしても、あまり効果がないということ。チームビルディングにおいては、まずは本来自分が思っていることを自由に発信できる環境づくりが重要だと言えます。

 

 

心理的安定性を保つためのチームビルディング術

心理的安定性を保つためのチームビルディング術-3

 

チームメンバーの心理的安定性を保つ環境づくりには、どんな方法があるのでしょうか?チームで不安なく仕事をするためには、チームメンバー同士でまずメンバーの個性や置かれている状況を理解しあうというのが有効です。例えば日本の働き方改革で大きな課題となっている長時間労働。一般的には子育てなどの都合で、働く時間が限られている人にフォーカスすることが多いのではないでしょうか。ただしその結果、他のメンバーに負担が増えてしまうと、結局お互いにやりづらい空気が生まれてしまいます。

 

ある企業では、全てのメンバーにプライベートな目標を発表してもらうという取り組みをしているそうです。例えば子育て中の方なら「子供と接する時間を増やしたい」、単身の人なら「趣味や学びのために時間をとりたい」というように、それぞれの目標を共有。相互理解が深まるとともに効率的に時間を使う目的が共有でき、生産性のアップにつながったそうです。

 

このケースでは、事情があるメンバーだけではなく全てのメンバーに対して、平等に発言機会を与えた点も大きなポイントです。「自分が発言してもいいんだ!」という心理的安定性につながります。

 

 

すでに働き方改革で「心理的安定性」を取り入れている事例

すでに働き方改革で「心理的安定性」を取り入れている事例-4

 

みらいワークスでは、新しい働き方に取り組む企業の方へインタビューを実施しています。こうした企業の中には、実はすでにGoogleが定義するチームビルディングに必要な5つの要素をうまく取り入れているところも。そこで、過去にインタビューした2社の事例をご紹介します。

■25年前から在宅勤務を導入するアイ・シー・ネット社の事例

国際協力分野のコンサルティングを手掛けるアイ・シー・ネット株式会社。海外で仕事をするコンサルタントが多いため、なんと25年前から在宅勤務を導入しています。リモートワークのよい点も悪い点も熟知している中で、重視しているのがやはりチームの信頼関係。誰でも在宅勤務OKではなく、まずは社内との信頼関係を築くというスタンスは、まさに心理的安定性を重視している姿勢と言えます。また水族館勤務やダイビングインストラクターなどユニークな経歴を持つ多田さんのパーソナリティも、多様な人を受け入れる社内環境づくりに影響しているようです。

※多田さんのインタビューはこちら:『25年前から働き方改革を実践!海外勤務の多いコンサルティング会社が、多様な働き方を継続できた理由とは』

 

■トライアンドエラーできる環境が必要、リクルートグループの働き方改革事例

リクルートグループの働き方改革を推進する林 宏昌さんは、他社の働き方改革のコンサルティングも手掛けるエバンジェリスト(伝道師)としても活動。リクルートで新しい働き方を導入する際に意識したのは、フィジビリティ(実現できるかを調査すること)だったそうです。いきなり導入せずにトライアンドエラーを繰り返すというスタイルは、「リスクをとってもいい環境づくり」という心理的安定性つながるポイント。またGoogleが掲げる5つの要素に含まれる「信頼性」や「明確な目標」についても、林さんは重要性を感じているようです。特に日本企業に多い曖昧な目標は大きな課題で、人材活用には明確な目標が不可欠という林さんの考えは、Googleの研究結果と通じるものがあります。

※林さんのインタビューはこちら:『リクルートの働き方改革を進める林 宏昌氏に聞く!新しい働き方を実践できる会社とできない会社の違いとは』

 

 

 

生産性の高いチームビルディングと言えば、従来はスキルの高い人を集める、相性がよさそうな人を集める、チームワークのために交流を増やす、という手法がメインでした。

もちろんこうした要素も大切ですが、Googleの研究プロジェクト「アリストテレスプロジェクト」が導き出したのは「心理的安定性」や「信頼性」が重要ということでした。最も重要な心理的安定性とは、チームの中で不安や恥ずかしさを感じることなくリスクをとることができるという心理状態。つまり本来の自分でいられる状況がチーム全体のパフォーマンスに大きく影響します。さらに信頼性や明確な目標、仕事の意味、自分の与える影響も含めて5つの要素が重要だとGoogleは研究結果として発表しています。

 

日本で大きな話題を集めている「働き方改革」。実際にみらいワークスがインタビューした働き方改革を実践している企業においても、その取り組みの核の部分で「心理的安定性」や「信頼性」を重視していることがうかがえました。これからチームビルディングに取り組む方は、ぜひ5つの要素を意識して取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

コンサル登録遷移バナー

 

◇こちらの記事もおすすめです◇

やる気が劇的に上がる!スポーツ生まれのペップトークでビジネスも成功する」

働き方改革はオフィスから? 企業のオフィス改革による新しい働き方とは」

組織づくりの参考にしたい「こんな働き方改革がほしかった!」事例」