通勤疲れから解放!テレワークや在宅勤務は働き方改革で定着する?

最新更新日:2022/05/13

 

ワークライフバランスにつながる働き方として、政府もテレワークを推進

ワークライフバランスにつながる働き方として、政府もテレワークを推進

 

ここ最近の「働き方改革」で大きく話題となっているのが、「ワークライフバランス」(仕事と家庭の両立)。共働き世帯が増える中、子育てをしながら働く女性(もちろん男性も)にとって大きな課題です。

 

ワークライフバランスの実現に向けて、政府が進めているのがテレワーク。テレワークとは従来のオフィスに出勤するのではなく、自宅や他の場所で働くスタイルです。多様な働き方が広がることで、女性や高齢者の活躍につながることが期待されています。さらに通勤者が減ることで、「交通機関の混雑緩和」「オフィスの消費電力減」など社会的な効果も見込めます。

 

2017年7月には、官公庁や民間企業などが一斉にテレワークを実施するプロジェクト「テレワーク・デイ」が実施されました。その結果、なんと豊洲や浜松町などのビジネスエリアで、午前11時ごろの人口が15%近く減少したという結果も出ています。テレワーク導入企業というと、富士通や日本IBMなどのIT関連企業というイメージがあります。ただし最近では花王やカルビー、ベネッセコーポレーションなどさまざまな業種でテレワークを導入するところが増えています。政府はテレワーク関連イベントを開催したり、中小企業向けにテレワーク導入時の助成金を設けたりといった取り組みで支援しています。

 

とはいえ、周囲でテレワークや在宅勤務を実践している方は少ないのではないでしょうか?一般的にテレワークが普及しているとは言えない状況です。そこで現状のテレワークを取り巻く事情をまとめました。

 

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「テレワーク」と「在宅勤務」「リモートワーク」は同じ意味?

「テレワーク」と「在宅勤務」「リモートワーク」は同じ意味?

 

「テレワーク」はまだビジネスパーソンにとってなじみの薄いワードかもしれません。あらためて、テレワークの定義をおさらいしましょう。まず、テレワークとは、「情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない働き方」を言います。

 

テレワークの主な種類

(1)在宅型テレワーク(いわゆる在宅勤務。自宅でネット・電話等を使って業務を行なうスタイル)
(2)モバイルワーク(営業担当者などが移動中にモバイル端末を使って業務を行なうスタイル)
(3)サテライトワーク(シェアオフィスなど、本来のオフィス以外で業務を行なうスタイル)

 

在宅勤務以外にもテレワークにはいくつか選択肢があることがわかります。なお、遠隔で業務を行なう「リモートワーク」は、ほぼテレワークと同じ意味で使われます。

テレワークのメリット

テレワークは働く側(従業員)だけではなく、企業にとってもメリットがあります。

 

従業員におけるテレワークのメリット

(1) 勤務時間を自由に設定できる
(2) 通勤時間が短縮できる
(3) 業務の効率化につながる(電話対応や会議に時間を取られにくい)

 

企業におけるテレワークのメリット

(1) 人材確保につながる(多様な働き方を受け入れることで人材を確保する)
(2) コスト削減につながる(光熱費や印刷費などの削減につながる)
(3) 業務の効率化につながる(モバイルワークで営業の効率化につながる)
(4) 災害発生時のBCP(事業継続計画)対策になる

 

特に子育てや介護などを担っている方にとって、自宅や移動中に業務ができるテレワークは大きなメリットがあると言われています。

例えば女性の中には、配偶者の転勤によってやむを得ず退職するケースもありました。こうした場合でもテレワークを導入すれば、働き続けるという選択肢も出てきます。企業にとっても、優秀な人材が流出することを防ぐというメリットがあります。

 

日本でテレワークが普及しづらい理由とは?

日本でテレワークが普及しづらい理由とは?

 

国土交通省が2016年に行なった「テレワーク実態調査」によると、何かしらテレワークをしたことがあると回答した方は約14%という結果となりました。この回答者には在宅型テレワークだけではなく、モバイルワークやサテライトワークの経験者も含まれています。また会社員として雇用型テレワークを行なっている方だけではなく、フリーランスの方による自営型テレワークも含まれています。

それでもテレワーク経験者が全体の14%にとどまるということは、やはり日本ではテレワークが浸透していないと言えます。また、この調査において雇用型テレワークの実践者にヒアリングしたところ、「自由な時間が増えた」「通勤時間が減った」というプラス効果とあわせて、以下のようなマイナス効果も挙げられています。

テレワーク実践のマイナス効果

1位 仕事時間(残業時間)が増えた(46.5%)
2位 業務の効率が下がった(28.6%)
3位 職場に出勤している人に気兼ねした(15.9%)
4位 職場に出勤している人とコミュニケーションが取りづらかった(15.9%)
5位 職場に出勤している人に迷惑をかけた(14.3%)

出典:国土交通省「平成28年度テレワーク人口実態調査」

「仕事時間が増えた」「業務効率が下がった」というのは、仕事とプライベートの区別がつきにくくなるというテレワークの問題点によるところではないでしょうか。実際にテレワークを実践した結果、昼夜関係なく仕事をしてしまい労働時間が長くなってしまったというケースもあります。

 

子育て中の女性が子どもを寝かせたあと深夜まで仕事をするような、従来の勤務よりもむしろ過酷な労働になってしまいます。「気兼ねした」「迷惑をかけた」というのは、まだテレワーク利用者が少なく特例扱いとなっていることが大きいかもしれません。

 

「コミュニケーションが取りづらかった」というのは現状のテレワークのシステムがまだ使いづらいため、うまくコミュニケーションできていないということが背景にあります。ほかにも、セキュリティシステムや労務管理システムなど、テレワークを推進するために改善が必要なシステムは多くあります。

 

 

海外で広がる新しいテレワークのトレンド「ABW」とは

海外で広がる新しいテレワークのトレンド「ABW」とは

 

日本よりもテレワークが浸透している海外では、新たな働き方としてABW(Activity Based Working)が注目されています。

 

ABWとは、「最も効率よく仕事をするために、働く場所を働く人が自由に選べる」という考え方。例えばオフィスの中なら、固定席を設けずフリーアドレス制にして好きな場所で働けます。オフィスの外では自宅やカフェ、シェアオフィスなど自分の好きな場所で働けるというスタイル。

 

現状の日本ではテレワークというと「個人的事情を抱えた人向けの在宅勤務」と考えがち。でも、ABWではテレワークをしたい人・したくない人それぞれに選択肢があります。周囲に気兼ねをしたり、迷惑をかける心配をしたりという心理的負担は少なくなります。

 

もちろん企業側にとってもメリットがあります。生産性が上がるだけではなく、オフィススペースをコンパクトにできるため大幅なコストダウンが見込めます。日本ではまだABWを導入している事例はほとんどありませんが、一部の外資系企業などでは、ABWの取り組みが進んでいるところもあるようです。

 

 

時間も場所も自由に働けるテレワークは、女性などの活躍を目指して政府としても推進しています。働く側にとっても多くのメリットがあると言われている一方、現状では長時間労働やコミュニケーションの難しさといった課題を抱えているのも事実です。

ただしテレワークは在宅勤務に限るものではなく、シェアオフィスやWiFi環境の整ったカフェのように、集中してテレワークができる場所も増えてきています。システム面でも、ビジネスチャットツールをはじめ、コミュニケーションが取りやすくなる仕組みも整いつつある状況。女性や高齢者だけではなく、育児や介護に参加する男性や、がんなどの治療をしながら働く人など、多くの人にとってワークライフバランスが必要な時代。今後もテレワークやABWといった新しい働き方に注目が集まりそうです!

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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