Iot、ICT、ビッグデータ、AIの4つが現代のIT社会を支える
作成日:2017/07/05
モノのインターネット(IoT)の黎明期だった1990年代
今から20年ほど前の1990年代中盤、未来の社会を表す姿として「ユビキタス」という言葉が盛んに使われていました。Ubiquitous(ユビキタス)とは、 ラテン語で遍在を意味するubiqueに由来し、「いつでもどこにでもそこにある」状態を示します。
転じてそれは、コンピュータやネットワークがどこにでも存在する「ユビキタスコンピューティング」や「ユビキタスネットワーク」の意味で使われるようになりました。
今日、それはIoTという形で、私たちの身の回りの生活に存在し、役立っています。
例を挙げれば、その日の降水確率に応じて5段階に光るauの傘立て、ウェアラブル端末の血圧計・体温計などから取得した身体データを一括管理するドコモのアプリ「わたしムーヴ」、それぞれの猫に合った適切な量のごはんと水を与えることが出来る自動給餌機CATFi、防災用としてはスカイロボットが開発した、ドローンと赤外線サーモグラフィカメラによる人命救助システムなど枚挙にいとまがありません。
このように今日のIoT時代は、実は「ユビキタスコンピューティング」や「ユビキタスネットワーク」の開発が現実のものになった社会といえるでしょう。
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身近な「モノ」をより便利にするIoT
IoTとは、「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と訳されています。その意味は、身の回りにあるありとあらゆる「モノ」をインターネットに接続し、センサーやコンピュータなどの制御機器を通した情報をやりとりするものです。それによって「モノ」の機能が最適化されたり、情報を受け取ったユーザーが離れた位置から情報を知る、操作をしたりすることができるというものです。
IoTを活用すれば、たとえば温度や湿度などの環境を遠方からモニタリングすることや、衝撃、振動、転倒、落下などのモノの動きを知ることができるようになります。また、外部から遠隔地の機器を操作することも可能になります。
具体的には、スマホなどからの操作により、留守中のペットの状態を知る、帰宅前にエアコンの操作をする、お風呂のお湯を入れるといったことがその場にいなくてもできるわけです。
もちろんIoTは、家庭生活向けの商品・サービスだけでなく産業分野での業務改革にも活用されています。ドイツでは、IoTの産業分野への応用として、世界中の工場をインターネットでつなぎ、あらゆる設備の状態をセンサーで収集し、ネットワーク経由でデータを集積する施策をすすめています。そしてこのデータを活用することで、製造業の業務効率化や新サービスの創造をめざす「第四次産業革命」(Industrie4.0)の活動に取り組んでいます。同様に、日本や米国でもIoT技術を活用して製造業を効率化することがクローズアップされています。
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未来のITのカギを握るIoTとICT
現在、IoTを導入とした製品のなかでとくに興味深いと思われる事例に、次のようなものがあります。
①スマートバスケットボール「94Fifty」
ボールに内蔵されたセンサーによってシュート角度、シュート速度、バックスピンのかかり方などのデータを測定。データはスマホに転送され、バスケットボールの上達の足がかりとすることができます。2015年、TIME誌で「今年最もイノベーティブな製品TOP25」にも選ばれました。
②睡眠を学習し、最適な睡眠環境を提供するマットレスカバー「Luna」
快適な睡眠がとれるように、マットレスが使用者の睡眠パターンや睡眠習慣を学習。自動的にベッドの温度を調整。また他の機器と連携して、ベッドに入ると戸締まりを確認したり、起床したらコーヒーを自動で沸かすように設定することもできます。
③紛失防止用キーホルダー「TrackR bravo」
かばんや財布など身の回りのものに付けておくことで、紛失時にスマホから位置情報を確認し、ベルを鳴らすこともできるグッズ。また、逆にTrackR bravoからスマホのベルを鳴らすこともできるので、スマホの置き場所を忘れてしまった場合にも利用できます。
このほかにも医療・産業分野への応用として、腕着用型ウェアラブルデバイスによる健康状態の記録・管理、医師との共有、日射量や土壌の状況をもとにしたハウス栽培での水やりや肥料の自働化システムなどがあります。
また、実用化が急がれている「完全自動運転システム」も、IoTの一種といえます。ただ、ハウス栽培の自働化システムのように、産業分野におけるモノと制御機器の連携は、一般にはICT(Information and Communication Technology)と呼ばれ、業務効率化をめざすものです。その点、エンドユーザーの利便性などを向上させることが主な目的のIoTとはややニュアンスが異なります。
ICTの有名な例としては、建設機械を手がけるコマツの「スマートコンストラクション」があります。これは建設現場での人手不足や建設機械オペレーターの高齢化など、安全やコスト、工期に関する課題解決のために生み出されたものです。スマートコンストラクションとは、ドローンによる測量データ、現場の地質、施工計画、現場の機械など、建設・土木の事業に関わるものすべてをICTで有機的に結び、安全で生産性の高い「未来の現場」を創造していこうというものです。
このほかにも公共分野で導入されているIoT、ICTとして、NECの「NECの土砂災害察知サービス」、大成建設が津波の影響を把握するための実験施設「水理実験棟」などさまざまなものがあります。とくにこれらはIoT、ICTだけでなく、いわゆる「ビッグデータ(巨大で複雑なデータ集合の集積物)」の解析・活用技術が開発されたことで初めて可能になったといえます。このように未来のITは、まずIoTやICT、そしてビッグデータが発展のカギを握るといってもいいでしょう。
さて、未来のITを占う上でIoT、ICT、ビッグデータの発展は重要な指標になりますが、ITの未来を左右する、より大きな要素があることも確かです。それが近年進歩の著しいAI(人工知能)です。いうまでもなくAIとは、コンピュータなどで人間と同様の知能を実現させようという試みのことです。
2016年3月、世界最強の棋士といわれた韓国の李世ドル(イ・セドル)九段をグーグルグループ・ディープマインドが開発したAI「AlphaGo(アルファ碁)」が4勝1敗で破り、AIが驚くほど進化を遂げていたと世界的に有名になりました。
現在、AIのもっとも身近な実用化例のひとつが、アイロボット社のお掃除ロボット「ルンバ」。ご存知のようにこのロボットは、センサーが作動・察知して障害物を避けて掃除をします。さらに機械が部屋の形や家具の位置などを地図データとして作成。無駄の少ない効率よい掃除をAIが考えて行ないます。また、掃除終了後は充電アダプターの場所を自分で探して充電するという機能も有しています。
ビジネス用としては、日本の各メガバンクのコールセンターに導入されているIBMの質問応答システム・意思決定支援システム「ワトソン」が比較的知られています。「ワトソン」は、コールセンターでのやりとりのなかで、質問の趣旨を理解し、ビッグデータの中からAIが適切な回答を選択してオペレーターに表示するというもの。これにより顧客対応時間が約20%減少したといわれています。
また、AIは文学といった創造的分野にまで進出をはじめています。2016年、AIが書き、AIであることを伏せて応募した短編小説が、文学賞の星新一賞の一次選考を通過したことで話題になりました。このようにAIは、製品やビジネスだけではなく、さまざまな分野に進出しようとしています。そのために、AIの進歩によって職を奪われるケースも出てくるのではないかともいわれています。
オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授の研究によれば、将来AIなどを搭載した機械に奪われる仕事のベスト15として次のものを挙げています。
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1.小売店販売員
2.会計士
3.一般事務員
4.セールスマン
5.一般秘書
6.飲食カウンター接客係
7.商店レジ打ち係や切符販売員
8.箱詰め積み降ろしなどの作業員
9.帳簿係などの金融取引記録保全員
10.大型トラック・ローリー車の運転手
11.コールセンター案内係
12.乗用車・タクシー・バンの運転手
13.中央官庁職員など上級公務員
14.調理人(料理人の下で働く人)
15.ビル管理人
一方で、AIの進展によって新たに生まれる職業もあるとする向きも存在します。たとえば米サンフランシスコのエクスペリエンスデザイン会社「btrax (ビートラックス)」は、AIが進化する時代にあっては、
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1.ロボット・アドバイザー
2.企業文化エキスパート
3.単純化の専門家
4.輸送アナリスト
5.マインド(幸福度)インストラクター
が、新たに登場すると予測しています。
ただいずれにせよ、これらの職業は未だ存在してはいません。それだけに、同社は今後AIの発展によって仕事を奪われないようにするためには、AIがもち得ないであろう能力を磨いておくべきともしています。そしてその能力に、
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1.クリエイティビティ
2.リーダーシップ/マネジメント
3.ホスピタリティ・課題解決力
の3つを挙げています。
出典:ダイヤモンド・オンライン
しかしながら、これら3つの能力は、AIの進化にかかわらずいつの時代にもビジネスに求められている力です。
逆にいえば、これらの力を磨いてさえいれば、AIの極端な進化など、どのような状況が訪れようとも将来にわたって仕事が保証されるということになるといえるでしょう。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)
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