IoT普及に向けての課題と懸念とは?

作成日:2017/05/01

 

IoTの市場規模

IoT普及に向けての課題と懸念とは?

 

以前のコラム(IoT時代の到来 普及が見込まれる代表事例)において、2017年に更なる成長・拡大が見込めるIoTの代表的事例として「スマートロック」と「テレマティクス自動車保険」をご紹介させていただきました。

調査会社IDC Japanの発表によると、2015年の国内IoT市場の市場規模は前年比15.2%増の6兆2232億円に達する報告され、14年から20年にかけての年間平均成長率は16.9%となり、20年には13兆7595億円にまで拡大すると分析されています。このように成長が確実視されているIoT市場ですが、その拡大とともに抱える課題や懸念はないのでしょうか?今回は、その視点でIoTを見ていきます。

IoT普及への課題①:バッテリー寿命

IoT普及への課題①:バッテリー寿命

 

WIRED誌創刊編集長であり、テクノロジー界の思想をリードする存在として知られるケヴィン・ケリー氏は、IoTの普及を阻害する要素を「バッテリーの寿命」と述べており、その解決には高いハードルがあると見ています。ケリー氏はあるインタビューで以下のように語っています。

 

「バッテリー技術は着実に向上してはいるが、私たちの予想を超えるほどに著しいとは言えず、すべてのモノが「ずっと」つながり合っている状態に行き着くには時間がかかるのではないか。たとえば、毎週土曜日の朝に家中のバッテリーを替えないといけないなんて考えられるかい?」

 

IoTデバイスは常にインターネットに接続していることがその機能を十分に活かすための必須条件です。それ単体で稼働するだけであれば数週間充電不要だった“モノ”も、インターネットにつながるとなると数日でバッテリー切れをおこしてしまいます。昨今、大きな話題となりApple WatchやGoogle Glassに代表されるウェアラブルデバイスを使用しているユーザの一番の不満点は「充電が面倒」だといいます。

 

このように、IoT普及における一番のクリアすべきハードルは、バッテリーの技術革新だといっても過言ではないようです。しかしそんな中、このバッテリーの課題を解決すべき動きも各所で始まりつつあります。「エネルギーハーべスティング」という言葉をご存知でしょうか?日本でエネルギーハーベスティングの実用化を目指している“エネルギーハーベスティングコンソーシアム“の定義によると「周りの環境から微小なエネルギーを収穫(ハーベスト)して電力に変換する技術」とされます。

 

つまりは、電池や配線等が全くない中で、自然環境から電源を得る技術だと言えます。エネルギーハーベスティングに利用するエネルギー源は「動き・振動」「熱・温度差」「光」「電磁波」などがそれにあたります。どのエネルギー源も、得られるエネルギーは非常に微小であるため、これから更なる実用化に向けた研究・技術革新に期待が寄せられるところですが、今後発電効率が向上していくことで、IoTに適した電力供給技術になっていくでしょう。

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IoT普及への課題②:セキュリティ

IoT普及への課題②:セキュリティ

 

普及への課題の二つ目はやはり「セキュリティ」でしょう。セキュリティソフトを提供するトレンドマイクロ社の大三川彰彦副社長は、ある挨拶の中で以下のように述べています。

 

「(IoTによって)企業が扱う情報量が爆発的に増え、センシティブな情報も集まるようになると、当然ながらセキュリティリスクも増大する。ビジネスや社会にイノベーションを引き起こすためにもセキュリティの強化は不可欠となる」

 

例えば、電力使用量を測るIoT“スマートメーター”の情報が外部からの攻撃により漏洩した場合、その家庭の電気使用状況から生活パターンが割り出されます。それにより留守の時間帯が特定され、泥棒や放火などの被害へのリスクが高まることが懸念されます。これは、既存のPCやスマートフォンのデータが漏洩した場合の影響範囲以上に、生活に結びついた情報につながりやすいIoTだからこそだといえるでしょう。

 

また、インターネットに接続されるということは、利便性が享受できる反面、外部からのアクセスが可能になることを意味しています。今後、車の自動運転やロボットが医療手術をする段階に至ったとしても、自動走行中に何かしらの攻撃を受けたら……医療機器が手術中に外部からの影響を受けたら……。既存のPCやスマートフォンが外部からの攻撃を受けても、直接的に人命が危機にさらされることはありませんでしたが、IoT化する“モノ”によってはその可能性も否定できず、セキュリティの重要性は高まらざるを得ないのは容易に想像がつくでしょう。

 

そんな中、セキュリティに関しても、IoT特化型のセキュリティソリューションが登場しはじめています。先日、2017年1月23日には「ソフトバンクコマース&サービス」がIoTデバイスの保護に特化したセキュリティ製品を提供する「ZingBox」と販売代理店契約を締結し、法人向けのIoT特化型セキュリティソリューション「ZingBox」の取り扱いを2017年2月10日から開始しました。

 

この「ZingBox」は、様々な企業で使われているデバイスとその通信の状況を可視化することができる新しいセキュリティソリューションであり、監視対象のネットワーク内に存在するIoTデバイスの棚卸し、分類、動作把握を自動で行なう“マシンラーニング技術”によってリアルタイムで異常検知するといいます。

 

まさに上述したような、医療IoTといった「止まってはいけないIoT」に対しても、リアルタイムで問題を検知することでリスクを最小限に抑えることができる有効なセキュリティソリューションといえそうです。このように、IoTだからこその特化型セキュリティソリューションも登場し始めており、IoT普及に向けてその環境が整備されてきています。

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今回は「バッテリーの長寿命化」「セキュリティの強化」という2つをIoT普及の課題として挙げさせていただきました。とはいえ、課題や懸念はあるもののIoTの潮流は間違いなくこの数年、ものすごいスピードで拡大していきます。

IoTそのもののサービスのみならず、それを取り巻くバッテリーや電力供給技術、セキュリティなど、周辺環境においてもさまざまなビジネスチャンスがでてきています(弊社のセキュリティ案件はコチラ※既に募集が終了している場合もあります。予めご了承下さい)。あなたも一度、IoTの周辺環境ビジネスについて考えてみてはいかがでしょうか?

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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