RPAとDXの違いとは?推進の事例や自動化ツールの選び方も紹介

最終更新日:2025/11/18
作成日:2021/06/17

RPAとDXは、どちらもビジネスの効率化や競争力の強化に影響を与える要素ですが、目的やアプローチは異なります。

 

本記事では、RPAとDXの定義と違いを解説し、それぞれの関係性やRPAをDX推進に活用するメリットを紹介します。

 

また、具体的な導入事例や自動化ツールを選ぶ際のポイント、導入における注意点も解説しているので、ぜひデジタル変革を検討する際の参考にしてください。

 

目次

■DXとRPAとは
(1)DXとは
(2)RPAとは

 

■RPAとDXの違い・関係性

 

■DX推進に向けてRPAを導入するメリット
(1)生産性が向上する
(2)社内リソースが確保できる
(3)業務プロセスや社内システムを整理できる
(4)DX推進に向けた体制構築につながる

 

■DX推進に向けたRPAの導入事例を紹介
(1)製造業:有限会社東亜工作所
(2)医療:奈良県総合医療センター
(3)自治体:北海道恵庭市・税務課

 

■RPA導入に向けた自動化ツール選びのポイント

 

■DX推進に向けたRPA導入における注意点
(1)システム管理者を社内につくる
(2)業務プロセスの整理をしっかり行う

 

■まとめ

 

DXとRPAとは

タッチスクリーンでデータ分析グラフを操作する手のクローズアップ

DXとRPAは、どちらもビジネスの効率化や競争力を強化する上で重要な要素ですが、目的やアプローチには違いがあります。

 

それぞれの定義を理解することで、「企業がどのような戦略でデジタル変革を進めるべきか」の方向性を見出すヒントになるでしょう。

 

ここでは、DXとRPAの定義をそれぞれ確認し、両者の基本的な違いについて整理します。

 

(1)DXとは

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」の略称です。製品やサービス、ビジネスモデル、企業文化に至るまで、企業がデジタル技術を駆使してあらゆる側面を変革する取り組みを指します。

 

単にITツールを導入するだけにとどまらず、顧客体験の向上や競合他社に対する優位性の確立を目指し、企業全体の抜本的な変革を推進するものです。

 

経済産業省の「デジタルガバナンス・コード」においても、企業はDXを能動的に推し進め、その結果を自社の価値向上に結び付けていく姿勢が求められています。

 

参考:経済産業省「デジタルガバナンス・コード

 

☆あわせて読みたい
『DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義や推進の背景と業種別DX実現事例』

 

(2)RPAとは

RPAとは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略称で、人間が行っていた定型業務をソフトウェアロボットによって自動化する技術です。

 

データ入力や情報収集、レポート作成など、繰り返し行われる作業をロボットが代行することで、業務効率の大幅な向上や社内リソースの確保に貢献するとされています。

 

デジタル技術を活用して業務プロセスを効率化し、生産性向上を目指す点で、RPAはDX推進において重要な役割を果たすと考えられています。

 

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『RPAとは?日本で多く普及している理由や導入時の効果、注意点を解説』

 

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RPAとDXの違い・関係性

思案ポーズで背中合わせに立つ男女のビジネスパーソン

RPAとDXは混同されやすい概念ですが、それぞれの役割は異なります。

 

DXは企業全体の変革を目指す長期的な戦略であり、ビジネスモデルや企業文化の刷新を通じた企業価値の向上を最終目標としています。

 

一方、RPAは定型業務の自動化に特化した具体的な手段であり、業務効率の向上や生産性向上を図ります。

 

RPAはDX推進における入り口として活用されるケースも多く、従業員がより付加価値の高い業務に集中できるようサポートすることで、DXの土台を築く重要な役割を担っているのです。

 

RPAはDXを効果的に推進するためのツールとして連携し、企業のデジタル変革を加速させる関係にあります。

 

 

DX推進に向けてRPAを導入するメリット

ラップトップで飛び出すデータグラフを操作するビジネスパーソンの手元

ここでは、DX推進に向けてRPAを導入するメリットを4つ紹介します。

 

(1)生産性が向上する

RPAの導入によって、これまで人間が手作業で行っていた定型業務をソフトウェアロボットが代行するため、多くのケースで作業時間の大幅な短縮が期待できます

 

企業の業務処理能力が向上し、全体の生産性向上につながるでしょう。

 

また、ヒューマンエラーの削減により業務品質の安定化も期待でき、さらに効率的な業務運営が可能です。

 

(2)社内リソースが確保できる

RPA導入によって定型業務を自動化すると、自動化した業務に費やされていた従業員の時間を削減できます

 

削減した時間を使って、従業員はより戦略的な業務や創造性を要する業務に注力できるようになり、企業価値向上につながることが期待されます。

 

人手不足に悩む企業では、RPAが貴重な労働力となり、既存の従業員の負担軽減にも貢献し得るでしょう。

 

(3)業務プロセスや社内システムを整理できる

RPAの導入を進める過程で、現状の業務プロセスや社内システムの課題が明確になる点もメリットの1つです。

 

自動化対象となる業務の分析を進める中で、非効率な手順や重複する作業、データ連携の不備などが可視化され、組織全体の業務フローを見直す良い機会となるでしょう。

 

RPA導入における整理を通じて、業務プロセスの最適化や標準化が促進され、よりスムーズで効率的な組織運営へとつながります。

 

(4)DX推進に向けた体制構築につながる

RPAの導入は、DX推進を支えるITシステム基盤を活用した業務自動化を進めるうえで大きく役立ちます。業務プロセスの整理と自動化を通じて、現状の社内データやIT製品の状況が明確になり、DXの現状把握に役立つためです。

 

また、RPA導入プロジェクトに社内メンバーが参画することで、データ管理やIT活用に関する知識と経験が蓄積され、将来のDX推進を担う人材育成につながるでしょう。

 

DXは自動化や効率化だけではなく「デジタルによる変革」が求められるため、社員が定型業務に充てていた時間をクリエイティブな業務へシフトできる点も、DXの実現に役立つと考えられます。

 

 

DX推進に向けたRPAの導入事例を紹介

タブレットで生産管理データを分析する男性の手元

ここでは、DX推進に向けたRPAの具体的な導入事例を3つ紹介します。

 

3つの事例を通じて、RPAがどのようにDXを加速させ、各企業や業界に効果をもたらしているかを理解できるでしょう。

 

自社のDX推進におけるRPA導入のヒントとして活用してください。

 

(1)製造業:有限会社東亜工作所

有限会社東亜工作所は、時代のニーズにマッチした金属加工を手掛ける製造業の企業です。

 

受注処理や現場への情報展開など、担当者に負荷が集中していた定型事務をRPAツール「RoboTANGO」で自動化した結果、月40時間程度の作業時間の削減と作業漏れの防止につながりました。

 

RPAツール導入と業務の見直しや標準化を進めたことで、業務状況が明確化し、DX推進の土台づくりにもつながっています。

 

参考:RoboTANGO「導入事例・実績『有限会社東亜工作所様』

 

(2)医療:奈良県総合医療センター

奈良県総合医療センターは、地域医療を支える大規模病院です。診療・検査に加え、検査リスト作成や医療情報のデータ入力などのPC作業がスタッフの残業要因になっていました。

 

そこでRPAツール「WinActor」を導入し、既存の医療用システムの操作を自動化したところ、スタッフの患者と向き合う時間が増加

 

RPAツールの操作や更新も現場のスタッフが対応しており、組織内で改善を回せる医療DXの好循環を生み出しています。

 

参考:NTTドコモビジネス「奈良県総合医療センターさま

 

(3)自治体:北海道恵庭市・税務課

北海道恵庭市の税務課は、市民の税務手続きを支える部署です。紙の税務帳票への手入力に、繁忙期は多数の職員が膨大な時間を費やしていました。

 

業務効率化を目的にRPAツール「WinActor」と「AI-OCR」を組み合わせ、紙帳票の読み取りからシステムへの入力までを自動化し、16業務で最大65%の業務削減に成功。入力ミスの解消も実現しました。

 

恵庭市税務課のRPA導入の取り組みは、自治体DX推進の一歩となっています。

 

参考:北海道庁「北海道Society5.0事例集(恵庭市『RPA・AI-OCR導入』)

 

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『なぜ今RPAが注目されるのか?業界別成功事例を踏まえて解説』

 

RPA導入に向けた自動化ツール選びのポイント

ホログラムのデータ画面を指で操作する女性

RPAツールを選ぶ際は、自動化したい業務の範囲と、それに適した機能が備わっているかを確認する点がポイントです。

 

ツールの操作性は導入後の運用に大きく影響するため、実際に利用する従業員が無理なく扱えるかを考慮しましょう。

 

また、初期費用だけでなく、ライセンス費用や保守費用、運用コストを含めた総費用を把握し、費用対効果を検討する視点も大切です。

 

さらに、導入後のサポート体制が充実しているか、将来的な拡張性があるかも選定のポイントになり得るので、自社の環境や状況をふまえて検討しましょう。

 

☆あわせて読みたい
『【RPAツール13選】時代を変える!主要なツール紹介と各業界の導入事例』

 

DX推進に向けたRPA導入における注意点

群衆の中で腕を組み、不満げな表情のシニアビジネスマン

ここでは、DX推進に向けてRPAを導入する際の主な注意点について解説します。

 

RPAは「導入すればすぐに課題が解決するツールではない」という前提をあらためて認識すると、より現実に根差した効果的な検討が可能です。

 

注意点を確認して、自社のRPA導入に活かしてください。

 

(1)システム管理者を社内につくる

RPAツールを導入する際は、システムの管理・運用を担う人材を社内に配置するとよいでしょう。

 

外部ベンダーに任せきりにするのではなく、トラブル発生時に社内で迅速に対応できる体制を構築することで、RPA導入が止まるリスクを低減できます。

 

社内管理者による運用は、システムの安定稼働だけでなく、RPA活用の幅を広げる上でも重要です。

 

(2)業務プロセスの整理をしっかり行う

RPA導入による業務効率化を目指すには、現状の業務プロセスを整理し、自動化に適した業務を明確にする必要があります。

 

業務が定型化されているか、繰り返し発生する業務かといった観点で選定するのが重要です。

 

業務の整理を怠ると、RPA導入の効果が薄れるだけでなく、業務が複雑化するリスクも考えられます。

 

事前に業務フローを見える化し、非効率な部分を特定するプロセスによって、RPAの効果を大きく引き出せるでしょう。

 

まとめ

オフィスでラップトップを見ながらアイデアを共有する4人の男女

DXとRPAは、どちらもビジネスを効率化し競争力を高め得る要素ですが、それぞれ目的とアプローチが異なります。

 

DXは企業全体を変革していくための中長期的な取り組みであり、RPAは定型的な業務を自動化するための具体的な手段です。RPAを活用することで、業務効率や生産性が高まり、DXを実現するための基盤づくりを支援します。

 

RPA導入の際は、システム管理者の配置や業務プロセスの整理を徹底し、DX推進へつなげていきましょう。

 

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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

 

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