フリーランスと会社員を比較。フリーランスのメリット、デメリット
作成日:2021/04/23
新型コロナウイルスによってリモートワークが急激に広がり、オンライン会議も当たり前の社会になりました。コロナ禍で転職した人の中には、面接から入社まで一度も会社に出向くことなくすべてオンラインで完結したという方もいるようです。
少し前には考えられなかったほど急速に働き方が変化したこの1年間。実際に、「副業元年」の2018年からフリーランスとして働く人は500万人以上増え、1,670万人になっているという統計もあります。その経済規模は28兆円を超えました(※1)。
副業や、複数の仕事・活動の軸を持つパラレルキャリア(パラレルワーク)への関心の高まりから、今後会社員からフリーランスに転向する人口は増えることも予想できます。
しかしながら、フリーランスで自分のスキルを活かせるのはメリットですが、会社員と比較した時のデメリットもあります。いざ独立して後悔のないように、まずは情報収集から始めましょう。会社員と比較した時のフリーランスのメリット、デメリットを解説します。
目次
■フリーランスのメリット
(1)自分らしい働き方を実現できる
(2)自由度の高い働き方ができる
(3)必要なことを自ら選択し、時間を使える
(4)自分のスキルを活かせる
(5)自分で時間を管理できる
(6)高収入も目指せる
■フリーランスのデメリット
(1)収入が安定しない
(2)充実した福利厚生は期待できない
(3)プライベートとの境目がなくなりがち
(4)税務処理の手間がかかる
(5)主業務以外にも対応することが多い
フリーランスのメリット
(1)自分らしい働き方を実現できる
リモート型フリーランスの場合、会社員のように決まった時間に出社するルールがない案件も多数存在します。満員電車に乗らずに済むことが想像以上にストレス軽減になると、コロナ禍でリモートワークとなった会社員の人たちも実感されていることでしょう。この「今まで当たり前だったルール」から抜け出すことができるのは大きなメリットです。
しかし何より一番の魅力は、専門性の高い仕事に集中して取り組めることではないでしょうか。
会社員からフリーランスになる理由として、「自分が得意とする分野を伸ばしていきたい」という声がよく聞かれます。もちろん、成果が重視される厳しい世界でもありますが、得意分野に打ち込める環境に身を置き経験を積むことで、自身の専門性を高めることができ、よりハイレベルな案件獲得を目指せる…というプラスの連鎖が期待できるのも特長の一つです。
(2)自由度の高い働き方ができる
コロナ禍においてはこの限りではありませんが、会社員の場合、多くは毎日決まった時間に決まった場所に出勤する働き方が中心。
しかしフリーランスの場合、そもそも稼働がフルタイムではない案件やリモート型の案件もあり、場所や時間の選択肢が増えるため、自分で予定や環境をカスタマイズしながら仕事をすることが可能です。
「今年は自分のビジネスを立ち上げるための時間を確保したいから、マネタイズのための案件は週〇日以下で探そう」「子育て期間中だからフルタイムでは働けないけれど、これまで培ったスキルを活用して低稼働のリモートワークに挑戦してみよう」など、会社員ではできなかった働き方を実現できる可能性を秘めています。
(3)必要なことを自ら選択し、時間を使える
会社員の場合、会議や後輩の育成、社内調整など、自分の専門分野以外の仕事にも時間や労力を割かなければならないことが多々あります。また、勤務時間外の飲み会や休日開催の社内イベントへの参加など、正直付き合いがおっくうに感じる時もあるのではないでしょうか。会社に属さないフリーランスの場合、コミュニティへの参加はすべて自分次第。「参加必須が暗黙の了解」というような強制力のある縛られ方はなくなります。
しかし良くも悪くも組織に属さないため、自らアンテナを立てなければ最新の業界情報なども入ってきません。特にフリーランスになりたての時期は、人脈から案件を獲得するケースがとても多いので、人とのつながりも大切にしたいところです。
注力したいことがある時期は、懇親会への参加は控えスキルを上げることに集中。時間が許すときはフリーランス仲間とのつながりを深める。限りある時間を自分で調整しながら有効に使い、自分が目指すキャリアに近づく努力ができる。それが大きな魅力の一つと言えるでしょう。
(4)自分のスキルを活かせる
会社員時代に蓄積したノウハウや経験、そして自身が持つスキルを活用することでキャリアアップを目指すことも可能です。前述したように、自分の得意分野の仕事を受注して技術を高めていけば、経験値も上がりさらにスキルも磨かれていきます。
会社という組織の場合、たとえ技術があっても会社が目指す方向や人事的な社内事情など、スキルとは関係のない部分によって仕事が任されないケースがどうしてもでてきてしまうものです。会社という枠組みを外せば、あなたの専門知識を求める会社や人が見つかるかもしれません。
(5)自分で時間を管理できる
案件により異なりますが、特にリモートワークやアウトプット(成果)型の案件の場合、自分で時間の調整をしやすい点は大きなメリットの一つ。
子育てや介護などのプライベートと両立させたいとき、仕事の合間に少し家事をするといった柔軟性を持たせられるのは精神的な負担が軽減されるはず。
また、どの時間に何をするのかを自分で決められるので、複数の本業を持つ「複業」も進めやすいでしょう。
とはいえ、家事や育児をしながら仕事をしたり本業をいくつも持つことは、より一層集中力が問われるのもまた事実。またキャパオーバーになるほど仕事を受けすぎて休養時間がなくなってしまうのも、フリーランスでよくある落とし穴です。
せっかく自分で時間調整できるのですから、休暇も自分のタイミングで楽しみたいものです。ある旅好きのフリーランサーは、航空券や宿泊費の安いオフシーズンの時期を狙って海外旅行に行くのだそう。コロナ禍の今は難しいですが、それもまた普通の会社員ではなかなか得られないメリットといえるでしょう。
(6)高収入も目指せる
個人事業主として働くフリーランスは、当然ながら仕事によって得た利益はすべて自分の収入となります。
多くの会社では、社員の給与の伸び率は組織内で相対的に決められているもの。それに対し、フリーランスは自分の裁量で仕事量や仕事内容をコントロールできるので、得意な領域で高単価の案件を多く受注するなど、活動が収入アップに直結します。すべては自分の力量次第ですが、年収1000万を超えるほど活躍しているフリーランサーたちも存在するのです。
フリーランスのデメリット
一方で、フリーランスという働き方にはデメリットも存在します。会社に所属している場合と大きく違う点もありますので、よく理解しておきましょう。
(1)収入が安定しない
会社員の場合、月々、決まった日に決まった金額が給与として振り込まれます。しかしフリーランスには、この安定性がありません。高収入を望めると前述しましたが、それは事業が軌道に乗った場合。誰もがそうなるわけではもちろんありません。たとえ一時的に軌道に乗ったとしても、それがずっと続くとも限りませんし、場合によっては事業が立ち行かなくなることもあるでしょう。
仕事がコンスタントには入ってくるとは限らず、収入が安定しないなどのことから、社会的信用は会社員より低く見られがちなのが現実です。クレジットカードやローンの借り入れも会社員より厳しいようです。
◆「お金」に関する詳しい記事はこちら:<プロ監修>個人で起業するには?独立前に知っておきたいこと
(2)充実した福利厚生は期待できない
正社員であれば多くの企業で保障される充実した福利厚生がないのことも、フリーランスのデメリットの一つです。
組織の相対評価で給与の伸び率が決められてしまうことがない反面、フリーランスには賞与や定期昇給がありません(最近では正社員でも保障されているわけではありませんが)。
また、万が一自身や家族の身に何か起きて急遽仕事を休まざるを得なくなっても、会社員と違い給与保障がないばかりか、代替人員を探さねば仕事に穴をあけることにもなってしまいます。
他にも、就業中のケガ・病気に対する労災保険がなくなったり、住宅手当や健康診断、交通費の支給や退職金などの福利厚生を受けることもできないのがほとんどです。
しかしここ数年で、フリーランスを守る保険が登場するなど環境が整備され始めており、独立しても働きやすい環境づくりの促進に期待が高まっています(※2、※3-1、※3-2)。
(3)プライベートとの境目がなくなりがち
クライアント先への常駐型案件であれば、フリーランス人材であってもクライアント社員と同様のタイムスケジュールで動くことが多く、時間管理はしやすいかもしれません。
しかし特にアウトプット(成果)型の案件や複数の案件を同時に抱える場合、就業時間の概念が希薄になりやすく、オンとオフの切り替えが難しくなってしまう人も少なくないようです。気持ちの切り替えがうまくできず、仕事とプライベートの境目があいまいになってしまうという声もよく聞こえてきます。
とはいえ、なかには「仕事とプライベートに区切りがないからこそ柔軟性のある働き方ができ、ストレスを感じずに済む」という人もいるため、自分に合う働き方を見極めることが最善策と言えそうです。
(4)税務処理の手間がかかる
これまで会社が対応してくれていた税務関係の手続きも、独立したら自身で行なわなければなりません。その代表的なものが確定申告です。いつのどの取引でどれだけの収入を得て、どういった経費がかかったかなどを税務署に細かく申告する必要があります。
税務関係の処理は税理士に委託することもできますが、相応のお金もかかります。まずは「クラウド会計ソフトフリー」など、税務処理ソフトウェアの活用を考えてみるのも良いかもしれません。税務処理で賢くやりくりすれば節税対策にもなります。
(5)主業務以外にも対応することが多い
例えばデザイン関連の仕事をするために独立しても、デザインの仕事だけに従事していれば仕事が回るわけではありません。
ある程度の規模の組織になれば職種ごとに役割を分け、案件獲得は営業が専任で行なうことが多くなります。そのため、デザインなど専門職の人は営業が獲得してきた仕事を対応することになるわけですが、フリーランスになると自分で営業しなければまず仕事そのものが獲得できません。
もともと勤めていた会社が大企業であればあるほど、営業することに対して負担の増加を感じることでしょう。気づけば慣れない広範な業務に追われ、自分のやりたい仕事に時間を使うことができなくなってしまった…という事態に陥ってしまうことも。独立した目的を見失わないよう、エージェントを上手に活用するなど営業にかける時間を減らすテクニックも身に付けましょう。
フリーランスと会社員を比較して、フリーランスのメリットとデメリットをご紹介しました。良くも悪くも、フリーランスは自分の腕一つで仕事をしていくのが会社員との一番の違いです。
フリーランスは、会社員に比べ安定した仕事や生活ができる安心感はありませんが、さらなるキャリアアップや自分らしい働き方を実現できる可能性が広がっています。リスクなくして成長はありません。取るべきリスクか?見極めが肝心です。会社員からフリーランスへの転職を考えている方は、まず現在の働き方と比較し、生活や働き方、収入などにどんな変化が起きるかを考えてみてはいかがでしょうか。
<参照>
※1:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000107.000010407.html
※2:https://www.freelance-jp.org/benefits#insurance
※3-1:https://bit.ly/2QlHKoT
※3-2:https://freeconsultant.jp/support
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)