医療コンサルタントは転職や独立をしやすい?

作成日:2020/01/30

 

コンサルティング業界のトレンドのひとつが、「専門分野への特化」ではないでしょうか。他のコンサルティングファームと差別化するため、専門分野に特化した部署を新設したり、新会社を立ち上げたりするところも出てきています。中でも今注目されている専門分野が医療ヘルスケア業界。そこで医療コンサルタントの転職を検討している方に向けて、医療コンサルの仕事内容や必要な経験やスキル、医療業界の転職事情や求人の最新動向についてまとめました。

 

目次

■医療コンサルタントの求人内容とは?どんな経験やスキルが求められる?
(1)医療コンサルタントの仕事内容
(2)医療コンサルタントに求められるスキルや経験

 

■医療コンサルの転職事情とは?年収は?
(1)医療コンサルタントの転職先
(2)医療コンサルタントの年収
(3)医療コンサルタントに転職する方法

 

■世界で医療ヘルスケア産業が成長する中、今後求められる医療系コンサルタントとは
(1)医療ヘルスケア業界のIT化「Healthtech」
(2)ヘルスケア市場規模、2025年には約33兆円にまで成長すると予測

 

■医療コンサルタントとして将来のキャリアは?独立のチャンスはある?
(1)中小規模の病院やクリニック向けに、経営コンサルを手掛けるパターンが多い傾向
(2)事例:大手コンサルファームを経て、遠隔画像診断を手掛ける企業で取締役に就任

 

■まとめ

 

 

医療コンサルタントの求人内容とは?どんな経験やスキルが求められる?

 

医療コンサルタントへの転職を考える上で、まずは基本的な仕事内容を知っておきたいところ。その仕事内容は、大きく分けて2種類あります。

(1)医療コンサルタントの仕事内容

<医療法人向けの経営コンサルタント>
病院やクリニック、介護施設などの法人がクライアントとなり、施設経営に関するコンサルティングを行ないます。
現在、多くの医療機関では、人手不足や労働環境の改善が大きな課題となっています。そのためITを導入して業務改善を進める病院が増えており、医療経営コンサルタントとしての役割とあわせて、ITコンサルティングを担うことも多くなっています。

 

<医療機器メーカーや製薬会社向け戦略コンサルタント>
医療機器メーカーや製薬会社などの企業が主なクライアント。
社内業務改善に関するプロジェクトのほか、新規事業の戦略立案企業買収、海外進出など戦略系コンサルティングのニーズも高まっています。他の業界のコンサルティングと比較すると進め方は近いのが特徴です。他業種からの転職を考えるなら、医療法人向けコンサルより転職しやすいと言えるかもしれません。

(2)医療コンサルタントに求められるスキルや経験

やはり医療ヘルスケア業界に関する知識は、重視される傾向にあります。

例えば医療法人の経営コンサルでは、医療報酬など他の業界にはない特殊性があります。また医療業界ならではの慣習もありますので、こうした転職先では医療業界は全く未経験となると難しいかもしれません。

なお医師や看護師などの資格を持つコンサルタントもいますが、必ずしも資格が必須条件というわけではありません。医療分野の知識や経験がなくても応募できる求人もあり、例えば、医療分野以外での豊富なコンサルティング経験が評価されるというケース。最近の医療ヘルスケア業界ではIT関連プロジェクトが増えてきており、むしろITコンサルタントとしてのスキルや経験が欲しいという場合もあるようです。

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医療コンサルタントとして転職する場合、主に3つの転職先が考えられます。

(1)医療コンサルタントの転職先

<大手コンサルティングファームの医療部門>
マッキンゼーやアクセンチュアなど、外資系大手コンサルティングファームの多くが医療やヘルスケア部門を設けています。日系の大手コンサルティングファームにおいても、監査法人トーマツなどヘルスケア部門を設置しているところもあります。
こうした大手コンサルティングファームが医療コンサルタントの求人を出していることもありますが、やはり求められるのは「即戦力」。求人へ応募するには医療コンサルティングの実務経験が必須というケースがほとんどのようです。若手というより、キャリアを重ねた人向けの求人と言えるかもしれません。

 

<医療系コンサルティングファーム、シンクタンク>
医療ヘルスケア業界に特化したコンサルティングファームやシンクタンクも増えてきています。企業によって製薬会社向けサービスがメイン、医療法人向けサービスがメイン、というようにジャンルに特化しているところも。
大手ファームと比べるとプロジェクトの規模は大きくないものの、医療ベンチャーのスタートアップなどやりがいのある案件に関われるチャンスもあります。

各社、医療コンサルタント職としての採用に積極的なところが多く「コンサルティング経験がなくても医療業界出身者なら応募可能」という求人も見られます。つまり、比較的若手にチャンスがあると言えるかもしれません。

 

<事業会社(医療機器メーカーなどの社員)>
医療機器メーカーや製薬会社などの医療系事業企業に、医療コンサルタントとして転職するというルートもあります。最近ではキヤノンや富士フィルムなど、異業種から医療系事業に進出する企業も増えており、コンサルタントを求める事業会社も出てきているようです。
さらに医療ITベンチャー企業も増えており、事業会社も幅が広がっていると言えるでしょう。こうした事業企業へ医療コンサルタントとして転職する場合は、コンサルティングに関する知識や経験が特に重視されることが多いようです。

(2)医療コンサルタントの年収

医療コンサルタントは専門職のため、基本的に年収は高い水準です。もちろんコンサルティングファームの規模や種類によって異なりますので、年収アップを狙うならそれなりの規模の転職先を考えたいところ。医療コンサルティング経験に加えて、語学力やITなどのスキルがあれば年収アップにつながるケースも多いようです。

(3)医療コンサルタントに転職する方法

医療コンサルタントは、やはり専門分野に特化しているため非公開の求人も存在します。

そういった案件を獲得するためには、企業との間に入って転職支援を行なう、転職エージェントを上手に活用するのも良い方法です。

 

ただ医療コンサルタントに特化した転職エージェントは現状ほとんどなく、まずはあくまでコンサルタントとしての転職というスタンスで、転職エージェントを選んでいくのがポイントです。そして、その中でヘルスケア分野の案件打診を依頼してみるのもおすすめです。

 

 

世界で医療ヘルスケア産業が成長する中、今後求められる医療系コンサルタントとは

(1)医療ヘルスケア業界のIT化「Healthtech」

医療やヘルスケア産業は世界規模で成長が見込まれています。

特に注目されているのが医療IT分野。アメリカのリサーチ会社フロスト&サリバンでは、「ヘルスケアの世界市場は2018年に前年比4.82%で成長し、同市場規模は1兆8,537億米ドルに到達する」という予測をプレスリリースで発表。特にAIビッグデータなど、医療ヘルスケア業界でのIT活用が進むことに触れています。(※1)

 

実際にGoogleやAppleなどいわゆるGAFAも、自社の持つプラットフォームやウェアラブルデバイスを活かした医療ヘルスケアサービスに進出しています。こうした巨大IT企業のほか、医療ITベンチャー企業も増えています。金融業界のIT化を意味するFintechというワードも一般的になってきましたが、同じように医療ヘルスケア業界のIT化を「Healthtech(ヘルステック)」と呼ぶケースも増えているようです。

(2)ヘルスケア市場規模、2025年には約33兆円にまで成長すると予測

日本でも、世界と同様に国内のヘルスケア市場は成長が見込まれています。経済産業省はヘルスケア産業の市場規模が2016年の約25兆円から2025年には約33兆円にまで成長すると予測(※2)。

超高齢化社会に突入するとともに、人手不足が深刻化する日本。こうした状況の中AIやロボット、VRといったIT技術を医療・介護業界に応用したサービスも増えてきていますよね。従来の医療関連企業だけではなく、さまざまな業種の企業が医療ヘルスケア分野にこれから進出することが予想されます。

 

医療ヘルスケア市場がITを活用して成長する中、医療コンサルタントがIT系プロジェクトに関わる機会が増えてくるのではないでしょうか。例えばIT企業が新規事業として医療系サービス立ち上げ案件、IT企業と医療系企業の業務提携やM&Aに関する案件、医療法人のITサービス導入支援案件など、さまざまなタイプのIT系案件があります。

 

つまりニーズが高まっている医療コンサルタントではありますが、「高度なIT知識があるかどうか」も差が出るポイントのひとつになります。

医療業界の知識や経験ももちろん重要ではありますが、これからはITコンサルタントとしての経験や知識も重視されるようになってくるはず。もともとITコンサルタントとして活躍している方にとっては、このトレンドは新たな転職のチャンスが広がっていると言えるのではないでしょうか。

 

転職エージェントの中には「転職するなら医療業界経験は必須条件」というところもいますが、その傾向は変わりつつあるというわけです。

 

 

医療コンサルタントとして将来のキャリアは?独立のチャンスはある?

(1)中小規模の病院やクリニック向けに、経営コンサルを手掛けるパターンが多い傾向

これからも医療ヘルスケア分野の市場拡大にあわせて、ニーズの高まる医療コンサルタント。他のコンサルタントと同じように転職だけではなく、将来独立起業のチャンスももちろんあります。

 

医療法人向けのコンサルティングサービスをメインにする場合は、独立して中小規模の病院やクリニック向けに経営コンサルティングを手掛ける、というパターンが多いかもしれません。

 

一方、医療機器メーカーなど企業向けのコンサルティングサービスをメインにする場合は、中小企業やベンチャー企業はもちろん、大手企業の大規模プロジェクトにフリーランスとして参加するというパターンもあります。

(2)事例:大手コンサルファームを経て、遠隔画像診断を手掛ける企業で取締役に就任

フリーランスの医療コンサルタント自体まだ人数が多いわけではありませんが、独立というキャリアはもちろんあります。ここで実際に医療コンサルタントの方が独立・起業した事例を紹介しましょう。

 

大手コンサルティングファームを経て、遠隔画像診断を手掛ける企業で取締役に就任した林さんは、自身でオンライン診療ビジネスを立ち上げ起業。実際には国の制度改正などの影響でビジネスの方向転換を余儀なくされたそうですが、日本の医療が抱える課題の解決に向けてチャレンジを続けています。

 

林さんはインタビューで「医療の分野にはビジネスパーソンがほとんどいません。企画ができる人材も少ない」と語っていました

 

これまで専門性が高くクローズドな業界だった医療ヘルスケア業界ですが、ITがきっかけで新たなイノベーションが起きる余地は大きいとも言えそうです。医療・ビジネス・ITの各分野に詳しく、コンサルティングスキルを持つ医療コンサルタントの役割は、ますます重要になってくるのではないでしょうか。

 

林さんのインタビュー記事はこちら:「“医療×IT”で業界を変える!医療業界の変革を目指す不屈の起業家の新たな挑戦」

 

医療ヘルスケア市場が世界で成長が見込まれる中、医療コンサルタントのニーズも高まっている状況。大手コンサルティングファームの医療ヘルスケア部門のほか、医療に特化したコンサルティング会社や事業会社など転職先もさまざま。転職のチャンスは広がっています。

 

また医療ヘルスケア業界の案件でも、ITなど他業種と連携したプロジェクトが増えてきています。つまり医療コンサルタントとして参画する際にも、ITスキルが求められくるというわけです。そこで医療業界出身ではないITコンサルタントなども医療コンサルとして転職するチャンスが広がってきています。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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