BPRコンサルタントの存在意義とは?プロジェクト推進におすすめのフレームワークと進め方
最終更新日:2024/02/02
作成日:2022/05/13
BPRコンサルタントは、企業のアクションを経営戦略から共に見直すビジネスパートナーの位置づけにあります。
コンサルティングファーム所属のコンサルタントだけでなくフリーコンサルタントも数多くのプロジェクトに参画していますが、プロフェッショナルとして案件を成功させるためには、どのような戦略が必要かをご紹介します。
目次
■BPRコンサルタントの成功に必要な「業務改革の真の意味」
(1)BPRコンサルタントは企業戦略を強化するための存在
(2)マーケティングスキルも必要
(3)内部の抵抗がハードルになることも多い
(4)日本におけるBPRコンサルタントの現状を知る
■BPRコンサルタントは戦略のみならずクライアントの意識改革も行う
(1)外部人材だからこそ打破しやすい場面もある
(2)働く環境が「見える化」できる
(3)BPR実施の主なメリット
■BPRに有効なフレームワーク
(1)MECE
(2)SWOT分析
(3)P分析
(4)STP
(5)AARRRモデル
■BPRコンサルタントのプロジェクトの進め方
(1)業務全体の可視化
(2)目指す姿の定義
(3)実行
(4)結果検証と修正
■多くの企業がなぜBPRに挫折するかを知れば未来が見える
(1)エージェントも賢く利用する
(2)よくある失敗パターンは、「とりあえず」で始める見切り発車
■まとめ
BPRコンサルタントの成功に必要な「業務改革の真の意味」
BPR(Business Process Re-engineering)は、企業の組織や経営戦略を根本から見直すことで事業を再構築するアクションです。業務改革を目標として企業活動のすべての仕組みにメスを入れる作業になりますが、単なる業務改善とは大きく異なるため、決して成功率が高いとは言い難いプロジェクトです。
(1)BPRコンサルタントは企業戦略を強化するための存在
システムの再設計などIT関連のマネージメントも必要ですし、そのプロセスは業務フローの洗い出しや組織の構築、マーケティングなど実に幅広いジャンルにわたります。現在、コンサルティング会社各社のサービスではメインサービスになりつつあり、企業からの依頼も非常に多い案件です。
特に戦略立案に長けたコンサルタントは、コンサルティング会社所属のコンサルタントだけでなく、独立したフリーコンサルタントも依頼案件が途切れない状況と言えるでしょう。
BPRは業務改革であって業務改善とは異なりますが、そもそも改革と改善とでは大きな違いがあります。
業務改善は現状を肯定するのが前提ですが、業務改革は現状の否定から業務がスタートします。今までの経営戦略やルールに基づいて課題を是正するのが業務改善、これまでの経営戦略やルールから変えるのが業務改革です。
そのため、経営者が頭で理解しているつもりでも、いざメスを入れようとすると心理的な抵抗が想像以上に強く浮き彫りになるケースも少なくありません。
BPRコンサルタントはそうした事態も踏まえて戦略立案を行なう必要があり、適切なスキルを持って対処する人材が優秀なコンサルタントと言えるでしょう。
(2)マーケティングスキルも必要
業務改革を進める中で、同時に業務改善も行なわれます。業務改善においては、関係する従業員はもちろんユーザーやステークホルダーなども視野に入れる必要があるため、マーケティングスキルも必要とされます。
不動産や動産などの「物」、ITなどの「情報」を無駄にしない、無理をさせない業務プロセスを施すことで、事業活動やパフォーマンスを上げることがポイントです。
こうした改善にとどまらず、BPRでは業務フローの洗い出しと全企業活動の可視化を行ないます。現状の業務プロセスやルールを一度明るみに出して整理し、研究開発や製造、品質管理といったサービス供給方式の再構築から、経理財務人事など全会社活動を新たに構築することが仕事です。
このため、業務改善は成功できても業務改革は失敗に終わる率が非常に高くなります。その理由はただ一つ、業務改善は従業員目線であるのに対し、業務改革ではすべてが顧客目線で進められるからです。
(3)内部の抵抗がハードルになることも多い
BPRでは全体コストの削減だけでなく組織の体質改善や商品やサービスのクオリティアップが望めますが、企業内ではなく企業外に目が向いているために、内部的な抵抗が高いハードルになるケースが非常に多いのです。
そのため、BPRの実施にはコンサル会社やフリーコンサルタントなどの外的要素が必要となります。社員や経営陣では状況を脱却できない部分にもメスを入れ、企業活動を客観的に俯瞰できるのが外部のBPRコンサルタントです。
クライアント企業の経営戦略や現状を踏まえた上で戦略立案し、真に価値のある企業に生まれ変わらせることができるのが、プロフェッショナルなコンサルタントと言えます。
コンサル会社のコンサルタントだけでなく、独立して活躍するフリーコンサルタントの中にも、数多くのBPRプロジェクト案件を成功させる実力者が増えてきました。常にユーザーを向き、抜本的に企業活動の仕組みやルールを改革することができるBPRコンサルタントの力を得れば、クライアントは飛躍的な生産性向上を得ることができるでしょう。
(4)日本におけるBPRコンサルタントの現状を知る
BPRの原型は、1990年代初めにアメリカで提唱されたコンセプトです。日本では2014年に全企業の7割もがBPRへ取り組んでいるという統計データもありましたが、残念ながら成功率が非常に低いことから長年疑問視されてきました。
社会が超高齢化し労働力が低下しつつある現在、政府が働き方改革に本気で乗り出したこともあり、あらゆる企業でBPRが再び注目されつつあります。ワークライフバランスの見直しや労働環境整備など、無理なく企業活動のパフォーマンスを上げる経営テクニックが必要とされているのが現状です。
本気でBPRに取り組む覚悟を決めた企業経営者は、業務改善だけでは不十分かつ、社内の手による改革は難しいことを知っています。そのためコンサル会社やフリーコンサルタントなど外部のプロフェッショナルに依頼し、BPRを積極的に推進する動きが活発化しているのです。
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BPRコンサルタントは戦略のみならずクライアントの意識改革も行う
(1)外部人材だからこそ打破しやすい場面もある
BPRに関わるコンサルティング会社やフリーコンサルタントは、BPRがどれほど企業経営に大きなメリットを与えるかを熟知していなければなりません。また、経営者や戦略室だけでなく、実務を行なう企業の現場従業員にも理解させることが重要な役割です。
社員では立場的にどうしても状況を打破することができなくても、外部のコンサル会社やフリーコンサルタントならそれができる立場にあります。ただし、現状を壊す作業を進める以上、なぜそれが必要なのか、その結果どのようなメリットが享受できるのかを理解させる努力が必要となります。
そうでなければ、協力を得られず必要な情報も集まりにくいですし、業務フローの洗い出しやマニュアルの見直しも進まないでしょう。現場を説得するには、コミュニケーションスキルも必要ですが、真に得られる価値をコンサルタント自身が理解していなければ、口先だけで何も伝わりません。
(2)働く環境が「見える化」できる
BPRを導入することで得られる一番のメリットは、働く環境がハッキリと見えるようになることです。
たとえば、業務フローの洗い出しは最たる例ですが、BPRでは明確になった業務フローから生産性向上を阻害する要因を発見することができます。面倒なだけで無駄な作業が減れば労働時間も短縮しますし、従業員満足度の向上にもつながるでしょう。
業務パフォーマンスが向上すれば製品やサービスのクオリティが上がり、結果的にユーザーも満足度が向上します。経営者層は別ですが、現場従業員が目の前の仕事にばかり目を奪われると、顧客利益が企業利益につながり、自分の利益に直結することすら認識が薄くなる状況が生まれがちです。
コンサルティング会社やフリーコンサルタントは企業の外から新しい視点を現場にもたらし、ターゲットとする市場を中心とする従業員の意識改革も実現することが大切な業務の一環となります。
(3)BPR実施の主なメリット
BPRはクライアント企業が望む形や進め方によって結果が変わるため、すべてのプロジェクト案件に共通するメリットを挙げることは簡単ではありません。ただし、基本的には、業務フローを再構築することで非効率な業務環境から脱却できることや、無駄な業務をやめて労働時間の短縮が大きなポイントとなります。
経営者層にとっては人的コストの削減ができますし、従業員にとってはワークライフバランスの向上にもつながるため大きなメリットと言えるでしょう。
また、意思決定のボトルネックが可視化されるため、各所での意思決定が迅速化し、経営スピードが上がる期待もあります。特に近年のBPRではIT化が外せませんので、ITの導入による作業の効率化は大きなメリットとなるでしょう。
新しいシステムは導入後も継続して運用するためマニュアル化なども必須ですが、情報の共有と一元管理による無駄の削減は、多くのメリットを生み出すベースとなります。
コンサルティングファームでもIT知識を持つコンサルタントの採用や育成が進んでおり、ITコンサルタントの求人や依頼は年々急増しています。
BPRコンサルタントが実施するフレームワーク
ビジネスにおけるフレームワークは、関連するすべての人や組織間で共通で用いられる分析や問題解決、戦略立案といった枠組みを指します。
プロジェクト全体でのロジカルシンキングには必須です。世界的に知られるフレームワークにはBPRの進行にも有効活用できるものが多数ありますので、いくつか紹介しましょう。
(1)MECE
Mutually Exclusive and Collective Exhaustiveの略で、ダブりと漏れを分析するフレームワークです。
(2)SWOT分析
内部的要因の強みと弱み(Strengths/Weaknesses)、外部的要因の機会と脅威(Opportunities/Threats)の4点から企業の現状を洗い出すためのフレームワークです。
改善すべき点の絞り込みに有効です。
(3)P分析
商品(Product)、価格(Price)、販促(Promotion)、流通(Place)といった4つのPを分析し、戦略立案する方式です。
業務のスピード化が図れます。
(4)STP
セグメント化(Segmentation)、ターゲット選定(Targeting)、ポジション取り(Positioning)から事業の戦略立案を行なう方式です。
企業が目指すべき理想の形を可視化することが可能です。
(5)AARRRモデル
近年話題のフレームワークで、商品やサービスを成長させる戦略立案に効果を発揮する考え方です。
メインとなるのがユーザー行動の変化であり、現状の課題分析と改善に有効なフレームワークとして注目されています。
ユーザー獲得(Acquisition)、利用開始(Activation)、継続(Retention)、紹介(Referral)、収益の発生(Revenue)の略で、特にユーザーによる紹介が事業の活性化につながるとする考え方です。
インターネットビジネスを考える上では重要になるフレームワークと言えるでしょう。
紹介したフレームワークは必ずしも活用しなければならないものではありませんが、プロジェクトにおいて立ち戻れるベースの考え方を固めるのに役立ちます。
BPRで重要なのは終始一貫して顧客目線で改革を行なうことですので、市場においてクライアント企業がどのような価値を持つか、持たせるかはブレてはいけないポイントです。
ちなみに改革部署が人事総務の場合には、従業員が顧客の立場に定義されます。あくまでも顧客にとって高い付加価値を与える組織にすることが改革の主題です。
BPRコンサルタントのプロジェクトの進め方
コンサルタントとしてBPRを進める場合のステップを紹介します。
(1)業務全体の可視化
目標設定と対象範囲を定め、横断的に業務の現状を可視化します。業務フローの作成と工数や費用などコストの洗い出し、生産性を数値化することも必要です。
(2)目指す姿の定義
本来どうあるべきか業務の理想像を定めます。ここでフレームワークを取り入れることもできます。
ここで抽出される課題や理想とのギャップを元に施策と優先順位を決め、プロジェクトのスケジュールを定めます。
(3)実行
施策によりますが、現在はITシステムの導入が外せない手法として挙げられます。特に、ERPシステムの導入やRPAの導入などがメインになる場合も多いでしょう。
(4)結果検証と修正
実行した結果は必ず検証し、成果が見込み通り上がっているかを確認します。ギャップがあれば再分析し軌道修正が必要です。
また、ITシステムを導入した場合は継続して運用されなければ意義はありませんので、マニュアルの見直しや改善も必須となります。
多くの企業がなぜBPRに挫折するかを知れば未来が見える
(1)エージェントも賢く利用する
現在コンサルティングファームにもフリーコンサルタントにも多くのBPR依頼が集まっています。
案件が多い中、コンサルティングファームから独立してフリーコンサルタントを目指す人も増えていますし、事実独立にも適している時代と言えるでしょう。
特にBPRプロジェクトにおいては、独立したフリーコンサルタントのほうが相性の良い面もあります。
もちろん強いリーダーシップが必要ですが、経営戦略にも長けた人材であれば紹介案件も非常に多い状況です。
プロ人材派遣サービスにおいても、コンサルティングファームから独立したフリーコンサルタントの人材登録が多くなっています。
コンサルティング業務はプロジェクトとの親和性が高ければ高いほど成功率が上がりますし、独立して自由に動けるフリーコンサルタントは紹介しやすい人材です。
理想の案件を探すために、人材派遣サービスのエージェントを活用するのも一つの方法です。
また、コンサルティングファーム求人なども増えていますので、エンジニアからコンサルティングファーム入りを目指す場合にもエージェントが活用できます。
(2)よくある失敗パターンは、「とりあえず」で始める見切り発車
ただBPRコンサルタントとして活動するのであれば、認識しておきたいのがBPRに挫折するクライアント企業が少なくないという点です。
こうしたクライアント企業には特定パターンがあると言われていますので、フリーコンサルタントとして活動する場合は特に頭に入れておくと有利でしょう。
よくある失敗例が、経営者が「とりあえず」で見切り発車してしまうパターンです。
この場合、多くが業務改善とBPRとを混同していて、現場業務の問題点を修正すれば事足りると考えているケースが大半です。
今やBPRはIT戦略が必須ですので、ITソリューションを導入する覚悟があるかないかは雲泥の差と言えるでしょう。
業務改革は必然的にプロジェクトが大きくなりますので、いずれにしても「とりあえず」や「ひとまず」という発想はあり得ません。
また、BPRプロジェクトが成果を生むと認識できていないクライアント企業も少なくありません。
スタートしても何のためのプロジェクトなのか、ゴールがどこなのか、明確にしないまま進行すると本質を見失うでしょう。
逆に、大胆なことをしさえすれば効果が得られると勘違いする事例もあります。
中にはパフォーマンス向上どころか、業務負荷が倍増し、立ち行かなくなった事例もあります。
こうした事例を踏まえた上でしっかりと案件をチェックしコンサルタントとして実績を上げるためには、紹介会社から間違いのない紹介案件を得るのが一番です。
BPRコンサルタント業務をとりまく求人状況や現状を紹介しました。
現在の多くの企業がコンサルティングファームや独立したフリーコンサルタントへ依頼を行なっており、抜本的な業務改革に取り組み始めています。
BPRはフットワークの軽いフリーコンサルタントとも非常に相性が良く、やりがいの大きな仕事と言えるでしょう。
BPRは改善ではなく改革である以上、成功させるためには綿密な戦略立案に基づくコンサルティングが必須です。
フリーコンサルタントとして独立し、培ったスキルを活かして実績を上げる際には是非プロ人材派遣サービスに人材登録をおすすめします。
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)