ITコンサルタント人材に求められるスキルと素養を解説
作成日:2019/11/21
ITコンサルタントになりたい人材が必ず取得しなければならない資格などはありませんが、IT知識や論理的思考はもちろん、クライアント企業の業務知識や経営的視点を持つことはベーススキルと言えます。ITコンサルタント転職時に必要な要素と、クライアントや人材紹介業を行なうエージェントの人事コンサルタントから求められる人材像について解説します。
目次
■ITコンサルタントとして採用されるために必要なベーススキルとは
(1)コンサルの中でも専門性の高い「ITコンサルタント」
(2)「下流工程」と「上流工程」
■コンサルタントになるための第一歩とは何か
(1)今後も高いニーズが予想される「ITコンサル」
(2)知っておきたい「ポテンシャル採用」
■ITコンサルタントに必要な資質とスキル
(1)ITの知識はもちろん、「リレーションシップを築けるか」も大きなポイント
(2)エンジニアとスムーズに会話できる業務知識が必須
■ITコンサルタントに求められる人材像
(1)8割の完成度でも良い。最も重要なのは「前に進む力」。
(2)経営的視点に立つ重要性
■まとめ
ITコンサルタントとして採用されるために必要なベーススキルとは
(1)コンサルの中でも専門性の高い「ITコンサルタント」
コンサルタントの中でもITコンサルタントとして専門的に活動する人材には、専門性の高いIT知識が必要とされます。一言にIT知識と言っても仕事内容によって求められる幅は非常に広いですが、いわゆる下流工程を理解していることも大切であり、開発プロセスや設計手法を熟知したプロジェクトマネジメントスキルを備えた人材であれば理想的でしょう。
更に、クライアント企業の求めるソリューションを提供するためには経営的視点も必要ですし、そのためのシステム設計も求められます。
また、論理的思考を踏まえた上で円滑にプロジェクトを進められるコミュニケーション能力があれば、ITコンサルタントとしてベーススキルを有していると評価できます。人材紹介の際にも、人事コンサルタントからのスキル評価のひとつにつながるはずです。
経営的視点と高い専門性、コミュニケーション能力が必要というものの、やはり言うは易く行なうは難し、決して簡単なことではありません。しかしコンサルタントとして必要な情報を授受伝達するためには、必要なベーススキルと言えます。
近年の急激な企業のIT化に比例して、大手コンサルティングファーム以外にもスピンアウトや業界特化型コンサルティングファーム、人材紹介を行なうエージェントなどが台頭して来ました。
多種多様なファームや人材紹介エージェントなどの人材サービス利用時に武器になるのは深い専門性と業務知識であり、コンサル業界でいかに他社にないサービスを提供できるかがポイントとなっています。
そうした意味では、SEが培ったIT知識をベーススキルとしてITコンサルタントを目指すのは、描きやすいキャリアパスです。
事実、Slerからコンサルタント転職し、業務範囲を広げて活躍している人材もたくさんいます。
また、すでにコンサルタントとしてコンサルファームで活躍している人材が、IT知識を得て専門性の高いITコンサルタントへ転職を目指すルートもあります。
もしくはフリーランスのITコンサルタントとして起業し、プロ人材派遣サービスや人材紹介エージェントを利用してやりがいあるプロジェクトに参画する道もあります。人材派遣や人材紹介を活用すると、案件ごとの仕事内容だけでなく、人事コンサルタントからのアドバイスも期待できます。自分が気づかずにいたポイントなどを見つける機会につながるかもしれません。
(2)「下流工程」と「上流工程」
SEがコンサルタント転職を目指す際、動機として月給の他に「上流工程に関わりたい」という、仕事内容に対する希望が多く見受けられます。
その結果ITコンサルが選ばれることが多いですが、SEにとっての上流工程とITコンサルにとっての上流工程には、大きな違いがあることを知っておくべきでしょう。
ITコンサルにとっての上流工程は、クライアント企業の経営課題の設定とビジネスソリューションとしてのシステム設計です。
これに対してSEなどエンジニア側にとっての上流工程は、方針が固まった後のシステム要件定義となります。
ITコンサルの仕事内容ですが、まずクライアント企業から情報を集め、現行ビジネスに隠れた問題を発見してビジネスソリューションを導き出します。その結果として、パッケージ(製品)の導入や独自アプリの開発などが見えて来るわけですが、何よりそれを導き出すまでの工程が非常に重要です。
SEなどエンジニアが担当する範囲は、パッケージ(製品)の導入など、方針がある程度決まった後の要件定義やアプリ設計が上流工程となります。
これはエンジニアとITコンサルという仕事内容の担当範囲の違いですが、これが結果的に思考法の違いとなり、コンサルタント転職時の意識の相違につながるケースも少なくありません。
エンジニアは枠組み後のプロダクトに対するシステム要件の定義や実装がメインの仕事ですから、網羅的な思考プロセスが必須です。
これに対してITコンサルは業務知識を駆使し、ビジネスソリューションのグランドデザインからスタートする必要があります。
仮説モデルを組み立て、思考プロセスを逆算し、あるべき姿から課題と解決策を発見する視点が最も重要ですので、親和性の高い職種でありながら大きな違いを実感する転職者も少なくないようです。
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『【ITコンサルタントとは】激務?学歴や資格は必要?未経験からなるには?仕事内容や年収、SIerとの違いを解説!』
コンサルタントになるための第一歩とは何か
(1)今後も高いニーズが予想される「ITコンサル」
ITコンサルタントの求人数は多く、各コンサルティングファームの採用状況は大手コンサルファームなら年間で数百名程度、中小規模のコンサルファームでも数十名単位で推移しています。
これまでコンサルタントと言えば非常に狭き門であり、有名大学の新卒をポテンシャル採用するのみという時代が長く続いていました。
現在はITの台頭と企業課題の複雑化から、専門性の高い多様なコンサルティングのニーズが高まっており、そのような人材を獲得するため、人材紹介エージェントを活用する大手企業も増えています。
そのためコンサル業界は慢性的な人手不足状態が続き、コンサルタント転職者にとってはチャンスが広がっていると言えるでしょう。
またクライアントが企業だけでなくパブリック関連や地方活性事業、スポーツ関連などにも広がっており、幅広い領域でのコンサルティングサービスが提供されるようになっていることも背景にあります。
コンサルティング市場は間違いなく拡大しており、特にIT知識を必要とする専門性の高いコンサルティングサービスは、今後も高いニーズが予測されます。
コンサルファームがITコンサルタントを採用する場合、もちろん一定のIT知識は必要ですが、ほとんどがポテンシャル採用となっています。
SEなどエンジニア経験を問うコンサルティングファームもありますが、それ以上にコンサルタントとしての資質を見るコンサルファームのほうが多いでしょう。
コンサルタントの資質は論理的思考能力であり、特に経営に近い戦略コンサルティングを提供しているコンサルファームでは、業務知識や経営的視点を重要視しています。
クライアントが企業である場合、いかなるプロジェクトも最終目的は経営力の強化ですから、経営的視点なくして務まる仕事ではありません。
コンサルタントへの転職を目指す場合、月給ももちろん重視したい点ですが、ひとりのコンサルタントとして自分はどんなことがやりたいのか明確にする必要があります。
コンサルファームを探すにも業界情報が必須ですし、どんなコンサルファームがどんなプロジェクトをどんな環境で進行しているのかしっかり認識する必要があるでしょう。当然、給与や働き方、昇進など、キャリアパスを考える上で必要な求人情報は山のようにあります。
すでにコンサルタントとして活躍している人も、これまでの経験からどんなファームへの転職が可能なのか、人材採用において重視されている点などを明確にしたほうがよいでしょう。
そんなときに活用したいのがプロ人材派遣事業のサービスの人材紹介コンサルタントです。自分で営業を掛ける傍ら、人材派遣登録も並行して行なうことで案件を探す時間を有効活用できます。
人材登録すると専任の人事コンサルタントが付く場合もありますし、コンサルティング業界の動向や各社の採用情報を入手できるほか、キャリアパスについても相談できる環境を得ることができるでしょう。紹介予定派遣や、大人のインターン(R)といったさまざまなサービスを知り、自分の志向に合った方法を見つけましょう。
(2)知っておきたい「ポテンシャル採用」
ポテンシャルのポイントは論理的思考能力とコミュニケーション能力で、この2点はITコンサルや経営コンサルなどの種類を問わず、すべてのコンサルタントに求められます。
論理的思考能力は、コンサルタントがクライアント企業の課題を解決するために必須のスキル。
コンサルファームの中にはケース面接を実施し、論理的思考能力の有無を測る場合もあるようです。ケース面接は独自の面接スタイルですが、実は正しい答えが決まっているわけではありません。重要なのはなぜその答えを導き出したかを論理的に説明できることで、問題集の答えを丸暗記したかのような解法では、仕事に適性があるとは評価されません。
コミュニケーション能力はコンサルタントとして確実に必要なスキルのため、クライアントの立場に立って現場を巻き込んだプロジェクト遂行ができるセンスが見られます。
コンサルタントは個人で行なう仕事ではなく、プロジェクトチーム全体で課題を解決するものですので、メンバーと意思疎通ができるかどうかが重要です。
ITコンサルタントに必要な資質とスキル
(1)ITの知識はもちろん、「リレーションシップを築けるか」も大きなポイント
それでは、ITコンサルタントに必要とされるスキルと資質について、あらためてまとめてみましょう。
ITは目的を達成するためのツールのひとつに過ぎません。IT知識と業務プロセスの構築力とが合致したときに、初めて実現できるビジネスソリューションを提供するのがITコンサルタントの仕事です。
ITコンサルには、論理的思考能力を持ってプロジェクトを推進し、体力と忍耐力で成功させる資質が求められます。そのため必要なのは、論理的思考能力と問題解決能力、プロジェクトチームをまとめるコミュニケーション能力です。
当然、クライアントへの説明責任がありますので、何か問題が発生した場合は迅速に原因を分析し、解決策をクライアントに提案するワークフローの実行力も欠かせません。
個人でできる仕事ではありませんので協調性も重要ですし、たとえフリーランスになってもこの点はまったく変わらないことを認識しておく必要があります。
特にクライアント企業に大規模なインフラを導入する際などは、既存のビジネス部門と大きな軋轢が生じることは多々あります。
これは致し方無い部分もありますが、いかに経営陣の意を汲み取って、現場で円滑なリレーションシップを築けるかが腕の見せどころと言えるでしょう。
(2)エンジニアとスムーズに会話できる業務知識が必須
一方スキル面で言えば、パッケージ(製品)に関する知識とプログラム言語(構造)の理解力、業務知識が必須となります。
ビジネスソリューションによってどのパッケージ(製品)を導入すべきかは変わりますが、いかなるパッケージ(製品)であってもその思想を理解した上でシステムインフラ改革を実現する必要があります。
また、プロジェクトを進める上でクライアントのエンジニアや外部エンジニアと協力しなければなりませんので、プログラム言語(構造)についてまったく知らないというわけにはいきません。
専門性の高い部分はエンジニアに任せるとしても、コンサルタント自身もプログラム言語(構造)について一定の知識は必要です。
ほかには、クライアントの業種や業務の専門性の理解、ソリューションを導き出すマーケティングスキル、プロジェクトマネジメントスキルなどがあれば理想的です。
一部分だけを見るのではなく、全体だけを見るのでもなく、マクロとミクロを同時に見ながらシステムの基本設計に落とし込めればベストでしょう。
ITコンサルタントに求められる人材像
(1)8割の完成度でも良い。最も重要なのは「前に進む力」。
コンサルファームやクライアント、人材紹介を行なうエージェントが求めるITコンサルタント像は、何を置いてもプロジェクトを推進するパワーを持つ人物でしょう。
プロジェクト進行中、障害や問題がまったく起こらないわけはありません。そうした場合にどのようにして物事を進めるか、しかもスピーディに進められるか、ここで評価は大きく変わります。
よく言われるのは、8割の完成度でもとにかく前に進める力が必要だということです。100%きちんと完成するのを待ったほうが安全なのは当然ですが、コンサルタントの仕事はそれを待っている時間が許されるスピード感ではありません。
この点は、すでにコンサルタントとして実務経験のある人なら常日頃実感しているでしょうし、エンジニアの仕事と比べ大きく異なる点でしょう。
プロジェクト推進の役割を担うコンサルタントには、インプットした課題からその場で改善策一覧をアウトプットし、修正しながら走って行くようなスピード感が求められます。
事実、経営者はそうして日々走り続けているのですから、同じ速さで走りながら思考できる人材を求めるのは至極当然と言えるでしょう。
(2)経営的視点に立つ重要性
ITコンサルに限らずあらゆるコンサルティングには経営的視点が必須と言われますが、特にITコンサルに必要なのが経営とシステムのバランス感です。
経営に必要なことをいかにシステムに落とし込めるか、しかもクライアントの予算内、期日内にしっかり収められるかは非常に重要な事項です。また、人材紹介を行なうエージェントも、そのようなスキルを持った人材を求めています。
どのクライアントにとっても決して安くはないシステム投資を進める以上、費用対効果を得る責任は大きいと認識する必要があるでしょう。
また、そうまでして導入したシステムを、現場が無理なく継続して運用できる工夫も求められます。
まとめ
ITコンサルタント転職を目指すときに必要なベーススキルは、論理的思考能力とIT知識、コミュニケーション能力です。IT知識を持ってクライアントの経営課題に取り組む以上、対応する人材には強い責任感が必要ですし、現代のスピード感も要求されます。
たとえフリーランスで活動する人材であったとしても、プロジェクトは個人で進められるようなものではありません。コンサルタントという仕事は常に人と関わる職業ですので、クライアントだけでなく現場のメンバーや外部スタッフとリレーションシップを築き、プロジェクトを円滑に進めるスキルが問われます。
体力と精神力を必要とするパワフルな仕事ですが、それだけに大きなやりがいのある仕事です。
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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)