【PMO資格】プロジェクトマネジメント能力を証明!PMOスペシャリストを目指す人におすすめの資格4選
最新更新日:2022/03/01
最新作成日:2022/03/01
プロジェクト案件を扱う企業やプロ人材紹介企業などでは、PMO関連資格を有する人材への注目度が高まっています。PMOを目指し「資格取得にチャレンジして転職や就職に役立てたい」、現職のPMOとして「より業務改善のために資格を取得したい」という方々のために日本や海外でメジャーとなっているPMO関連の4資格について、資格の内容や取得方法について詳しく解説します。
目次
■PMO資格の代表格「PMOスぺシャリスト認定資格」
(1)PMOスペシャリスト認定協会と受講方法
(2)PMOスペシャリスト資格の条件
■情報処理技術者試験の定番「プロジェクトマネージャー試験」
(1)経産省認定のプロジェクトマネージャー試験とは?
(2)プロジェクトマネージャー試験の勉強方法とコツ
■世界で通じるプロジェクトマネジメント資格「PMP」
(1)PMP試験の受験には一定の学歴とPM実績が必要
(2)35時間の公式研修を受講もPMP試験の受験資格
■世界共通エンジニア系資格「CCNA」「LPIC」
(1)シスコシステムズが実施する資格「CCNA」
(2)Linux技術を証明する資格「LPIC」
PMOに知識やスキルを証明する資格は必要?
主に大規模プロジェクトなどでミッション達成のためにPMをサポートするPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)。企業内にPMOが設置されるケースのほか、コンサルティングファームやSIerがPMOのアウトソーシングサービスを提供するケースもあります。
PMOを設けることで「プロジェクトを客観的に管理でき、ミッション達成までがスムーズになる」「PMの負荷が軽減できマネジメントに集中できる」といったメリットがあり、日本でもPMOのポジションが浸透しつつあります。
今後も、IT系プロジェクトなどさまざまなプロジェクトでPMOのニーズが高まることが予想され、転職や就職・再就職では、PMOの現場業務経験が有利になると見込まれています。特に、若手コンサルタントにとってPMO経験は、キャリアアップの絶好の機会です。プロジェクト全体に関わるPMOの経験は、将来PMを目指す方の就職や転職で有利になる可能性があります。
ただし、PMOとしてプロジェクトマネジメント業務(PJM)を円滑に進めミッションを成功させるには、豊富な知識と経験、さらに高度なスキルが求められるため、能力が証明できる資格取得がおすすめです。企業によってはPMOの人材を育てるため、資格取得を奨励しています。現在日本や海外でメジャーなPMO関連の4資格について、資格の内容や取得方法について詳しく解説します。
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PMO資格の代表格「PMOスぺシャリスト認定資格」
日本ではPMOに特化した資格はまだ少ないのが実状です。その中で代表的なものといえば「PMOスペシャリスト認定資格」(NPMO認定PMO-S(TM))。これは日本PMO協会(NPMO)が実施している認定資格制度です。
今後PMOを目指す人、よりPMOとしてステップアップしたい人にとっては、最初の選択肢となるのが、このPMOスペシャリスト資格。資格を取得すると名刺や履歴書に記載が可能です。就職や転職でも資格をアピールでき、有利になります。
(1)PMOスペシャリスト認定協会と受講方法
この認定資格制度を行なっている日本PMO協会は、日本国内のプロジェクトマネジメントの普及とPMOの普及のため2014年3月に設立されました。まだ新しい団体ですが、個人や法人の会員に向けて PMOに関する研修やセミナーも実施していて、個人会員は2017年の時点で100名を超えています。
講座・試験ともにe-ラーニング講座とオンライン試験のWeb完結型です。仕事をしながらでも空いた時間に勉強しやすく、チャレンジしやすい認定資格といえるでしょう。PMOスぺシャリストのeラーニング講座は、タブレットやスマートフォンでも受講可能です。基本的に最新のWebブラウザがあれば視聴でき、移動中などスキマ時間をうまく使うのがおすすめです。
なお、eラーニング講座はプロジェクトマネジメントの基礎を理解していることが前提とされ、PMOをより深く理解するための内容です。具体的にはPMOの役割や事例のほか、PMO導入プロセスやミッションの管理などについて学べます。
(2)PMOスペシャリスト資格の条件
PMOスペシャリスト資格を受験するには、「プロジェクトマネジメント関連の資格をすでに有していること」という条件があります。PMO関連資格を有していない人は、エントリー資格である「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(pjm-a)」からチャレンジしましょう。こちらもWeb完結型のため、時間や場所を問わず受講・受験できます。
また、資格取得後も2年ごとに更新手続きが必要です。更新にはNPMO認定のeラーニングかセミナーを合計20時間受講の必要があります。とはいえ、更新によってPMOの最新動向を把握できるメリットもあります。資格取得後もミッションを意識し続けることで、学び続ける姿勢をキープできます。
情報処理技術者試験の定番「プロジェクトマネージャー試験」
日本の情報技術系の資格といえば、経済産業省が認定する国家資格「情報処理技術者試験」を思い浮かべる方が多いでしょう。1969年に始まり、長い歴史を持つ情報処理技術者試験。現在はキャリアによって試験区分が細分化されています。その中には、プロジェクトマネジメントに特化した試験もあります。
(1)経産省認定のプロジェクトマネージャー試験とは?
現在13の試験区分がある情報処理技術者試験の中で、最もPMO領域に関わるのが、1994年からスタートしたプロジェクトマネージャー試験(PM)。ITプロジェクトの要員・資源・予算・工程・品質などを管理するスキルを問う内容です。情報処理技術者資格試験の中でも、PMOキャリアパスに最も近いといえるでしょう。
情報処理技術者試験全体では年に2回(春期・秋期)実施されますが、プロジェクトマネージャー試験は年に1回(秋期。※平成31年度まで春期実施)なので注意が必要です。試験は全国の主要都市で受験可能です。
プロジェクトマネージャー試験の2017年の実績を見ると、約18,000人が試験に応募。その合格率は14.7%です。なお、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験などの区分では、合格率は約20%。「以前に比べれば難易度はやや下がった」という声もありますが、合格率を見ると難易度は高めといえるでしょう。
(2)プロジェクトマネージャー試験の勉強方法とコツ
プロジェクトマネージャー試験の勉強には、参考書と過去問題集を組み合わせる方法が一般的。ちなみに、応用情報処理技術者試験の合格者は、試験の一部が免除になる制度もあるため、合格していると有利でしょう。
長い歴史があり、日本国内では知名度の高い情報処理技術者資格試験。難易度が高いこともあって、日本企業においては従来から評価されやすく持っていると有利な資格。また、大企業では情報処理技術者試験を奨励しているケースもあり、受験料を企業が負担するケースも多いようです。
プロジェクトマネージャー試験の内容は、プロジェクトのミッションを達成するための予算やメンバーの管理に関することがメインです。主にプロジェクトマネージャーとしての知識を問うものが中心ですが、PMOのキャリアにおいても有利に働くと考えられます。
世界で通じるプロジェクトマネジメント資格「PMP」
グローバルなプロジェクトマネジメント関連資格として知名度が高いのは、PMP(Project Management Professional)です。アメリカに本部があるPMI(Project Management Institute:プロジェクトマネジメント協会)が認定する国際資格としても知られています。プロジェクトマネジメントに関する知識やスキルを、グローバルに証明できる資格です。
PMP資格は、「PMBOK (Project Management Body Of Knowledge)」というドキュメントがベースになっています。PMBOKはPMIが発行しており、2021年現在で第7版が最新版です。PMBOKはプロジェクトマネジメントに関する知識を体系的にまとめたもので、いわば世界標準ともいえるドキュメント。PMP資格にチャレンジするにはPMBOKは必須の教材です。
PMPの資格取得はややハードルが高いとも言われます。その理由のひとつが、試験を受けるための条件があること。以下の2つの条件を満たさなければ受験資格がありません。
(1)PMP試験の受験には一定の学歴とPM実績が必要
PMP試験を受けるには、一定の学歴とプロジェクトマネージャーとしての実務経験が求められます。PMIが発表するPMP受験資格の要件は次の通りです。
つまり、PMPは、すでにプロジェクトマネージャーとして多くのミッションを達成した経験者向けの資格と言えます。
学生が就職向けに習得する資格ではなく、キャリアを積んだマネージャーが取引先にスキルを証明するために取得したり、転職に向けてスキルを習得するためにPMP認定資格を得るための勉強をしたりするケースが主流です。
もちろんPMOとしての役割を担う上でもプロジェクトマネジメントスキルの証明につながります。就職・転職とあわせて、さまざまなキャリアアップにおいてPMPは有効な資格といえるでしょう。
(2)35時間の公式研修を受講もPMP試験の受験資格
PMP試験は受験する前にあらかじめ35時間の決められた研修受講も必須条件です。研修はPMIが認定した教育機関のほか、PMI支部や大学などで実施されています。基本は通学で学ぶタイプで、数十万円かかる講座もあります。
通学以外にはeラーニングで学べるオンライン完結型の講座もあります。eラーニングは通学と比べて費用が安い場合もあり、数万円で受講できる場合も。予算と時間を考えて勉強方法を検討しましょう。
なお、PMPは資格取得後も3年ごとに資格更新のための研修があります。資格取得後3年の間に決められた時間の研修を受け、スキルを習得することが更新の条件です。
世界共通エンジニア系資格「CCNA」「LPIC」
ネットワークやインフラの再構築などに関するプロジェクトでは、技術系資格が条件となることもあります。ここでは、ベンダーが実施している代表的な技術系資格2つ、CCNAとLPICをご紹介しましょう。いずれも日本国内だけではなく世界で通じる資格のため、取得しておくとさまざまなシーンで有利になるはずです。
(1)シスコシステムズが実施する資格「CCNA」
大手IT機器ベンダーのシスコシステムズ社が認定する資格が、CCNA( Cisco Certified Network Associate )(※5)。シスコシステムズ社の機器に関する知識を有する証明だけではなく、ネットワーク全般の深い知識を持つ証明にもなります。ベンダー系資格でありながら世界で通じるという点では転職・再就職などに有利な資格といえます。
シスコシステムズ社の認定資格は大きく5つのレベル(エントリー、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパート)に分かれていて、CCNAは下から2つめのアソシエイトにあたりますが、実質、最も基礎的なレベルといわれています。またCCNAの中でもCloudやWirelessなどカテゴリによって認定資格は細分化されています。
種類が多いため、資格にチャレンジする際はまず自分に適しているレベル・種類をしっかりチェックしましょう。いずれもプロジェクトマネジメントに直結するものではありませんが、PMやPMOを担う上で、技術系プロジェクトでは必須の知識となることも。また、例えばエンジニアがPMやPMOとして転職・再就職したいときに有利になることも考えられます。
CCNAは独学で勉強する方法もありますが、ITスクールではCCNA対策講座なども開催されています。費用はかかるものの、こうした方法も活用すると効率的に学べます。
(2)Linux技術を証明する資格「LPIC」
Linuxの技術を認定する資格がLPIC (Linux Professional Institute Certification:Linux技術者認定試験)(※6)です。Linux技術の証明ができる資格として国際的にも認められています。3つのレベルがあり、上位資格を受けるには下位資格をクリアしていることが条件となります。
こちらもCCNAと同様本来はエンジニア向けの資格ですが、インフラ系プロジェクトにおいてはLinux管理の知識が求められるケースもあります。こうした案件に応募する場合に役立つ資格といえるでしょう。
注目度が上昇するPMO資格を取得し知識を証明しよう
PMOは、弁護士や税理士のように資格必須の職業ではありません。ただし、プロジェクトによってはプロジェクトマネジメント系資格を有することが案件へのエントリー条件になることも。
PMOに特化した資格は少ないものの、日本PMO協会が実施する「PMOスペシャリスト認定資格(NPMO認定PMO-S(TM))」の知名度が上がり、話題になっています。これからPMOを目指す人(就職・転職を考えている人)にとっては、Web上で学習・試験が受けられるオンライン完結型でチャレンジしやすい資格です。今後さらなる普及が見込まれています。
一方で、PMとして経験がある場合、自分のスキルを証明する手段として情報処理技術者試験やPMPの取得を検討しましょう。こうしたPMO領域の資格は転職や再就職など、キャリアパスで役立つシーンは多いはずです。IT案件においてはCCNAやLPICといった技術系資格が求められることもあり、こうした資格を持っていればやはり有利です。
PMO領域の資格取得は、スキルの証明だけではなく、体系的にプロジェクトマネジメントの知識やスキルを学ぶ機会にもなります。通常忙しい日々を送っていると改めて学びの時間を設けるのは厳しいものですが、社会人の学び直しが推奨される近年は、転職や再就職のタイミングで資格取得を目指す人が多いようです。資格取得の目標があれば、スキルアップへのモチベーションも維持できそうですね。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)