BIツールとは何？活用例や機能を紹介！メリット・デメリットも

ビジネススキル

最終更新日：2025/11/13
作成日：2018/12/21

働き方の選択肢が多様化する現代において、「企業内に散在する膨大なデータをいかに有効活用できるか」が、ビジネスの成否を分けるポイントとなり得ます。

このような状況で注目されているのが、BIツールです。BIツールは、企業が保有する多種多様なデータを収集・分析できるため、ビジネスの意思決定を支援する味方となるでしょう。

本記事では、BIツールの基本的な機能から活用例、導入によって得られるメリット・デメリット、最適なBIツールの選び方まで詳しく解説します。

BIツールへの理解を深め、ビジネスにおけるデータ活用の可能性を広げていきましょう。

■BIツールの代表的な基本機能・拡張的な機能
（1）基本機能：データ接続
 （2）基本機能：データ整形・モデリング
 （3）基本機能：ダッシュボード
 （4）基本機能：データ分析
 （5）基本機能：OLAP分析
 （6）基本機能：レポート・可視化
 （7）拡張的な機能：データマイニング
 （8）拡張的な機能：シミュレーション

■BIツールの選び方
（1）機能・システム
 （2）操作性
 （3）コスト
 （4）運用面
 （5）無料版やトライアル期間の有無

■まとめ

BIとは？

業績分析やデータの視覚化を示すグラフと表が印刷された複数の資料

BIとは「Business Intelligence」の略で、社内外のデータを共通の基盤に集めて整え、可視化や分析を通じて意思決定を支える考え方・取り組みを意味します。

売上や顧客データなどを集約し、ダッシュボードやレポートでKPIを確認したり、必要に応じて深掘りしたりします。

数字で現状を映し出し、理由を掘り下げる流れによって「今の状況」を把握できるため、素早い判断へつなげることも可能です。

BIツールを用いると、経営やマーケティングの打ち手がぶれづらくなり、組織の競争力向上につながります。

BIツールとは何？

AIやビッグデータを示すホログラムと男女のビジネスマン

BIツールとは、企業のさまざまなデータを指標に沿って分析・可視化し、ダッシュボードやレポートで意思決定を支援するソフトウェアです。

ここからは、BIツールの目的や役割をはじめ、BIツールとMAツール・Excelの違いについて解説します。

「BIツールとは何か」「何のために活用するのか」を理解し、ビジネスに役立てる土台を整えていきましょう。

（1）BIツールの目的と役割

BIツールとはITツールの1つで、企業が保有する膨大なデータを可視化・分析・共有して、ビジネス上の意思決定をサポートすることを目的としています。

売上や顧客データなどをデータ基盤と連携して見える化し、経営戦略の策定やマーケティング施策の立案を支援する役割をもちます。

BIツールを導入すると、データに基づいた素早い意思決定につながりやすく、企業の成長の一助となり得ます。

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（2）BIツールとMAツールの違い

BIツールとMAツールは、どちらもデータを活用して業務効率化を図るツールですが、目的と役割が異なります。

MAツールは、主にマーケティング活動を自動化し、見込み顧客の獲得から育成、営業への引き渡しまでを効率的に行うのが目的です。

メール・SNS・アプリ通知などの自動配信や行動トラッキングを通じて、最適なタイミングで顧客にアプローチします。

一方で、BIツールの目的は、組織全体の多岐にわたるデータを集約・分析し、経営判断やマーケティング戦略の立案などにつなげる、意思決定の支援です。

マーケティングデータも扱いますが、基本的に配信などの実行機能は持たず、あくまでもデータ分析による意思決定サポートに特化しています。

そのため、BIツールとMAツールを組み合わせることで、より効果的なデータ活用が可能です。

（3）BIツールとExcelの違い

BIツールとExcelは、どちらもデータを扱うツールですが、目的と機能に違いがあります。

Excelは表計算ソフトで、データの入力や計算、簡単なグラフ作成に適しています。Power QueryやPower Pivotを用いれば複数データの統合や高度な分析も可能ですが、設計や運用の手間がかかりやすい傾向があります。

一方、BIツールは、複数のシステムに接続してデータを収集・統合し、多角的に情報を分析して意思決定を支援することが目的です。データの可視化や共有、権限管理に強く、経営状況を把握できるダッシュボードも作成できます。

小規模な組織やプロジェクトではExcelを、組織を横断して利用する場合や大規模データ基盤との連携が必要な場合はBIツールを検討するとよいでしょう。

BIツールを活用するメリット

青い背景で、一つだけ点灯している黄色い電球アイコンのブロック

BIツールを活用するメリットや必要性は、企業のデータを「見える化」「統合」「分析」できる点にあります。

それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

（1）企業データが見える化される

BIツールを導入するメリットは、企業のデータが見える化される点です。社内に散らばった売上や顧客、市場などの情報をわかりやすいグラフやダッシュボードで確認できるようになり、勘に頼らず数字をもとに判断しやすくなります。

また、データを集めて整える仕組みと組み合わせることで、必要な情報をまとめて確認でき、経営層から現場まで共通の状況認識を持ちやすくなるでしょう。

BIツールの活用とあわせて、データの整備や指標の決め方、使い方のルールづくりが進むほど、組織の意思決定の確かさとスピードは高まっていきます。

（2）企業データを統合できる

社内のバラバラなデータを統合された形で活用できるようになる点も、BIツールを導入するメリットの1つです。

売上データ、顧客データ、Webサイトのアクセスログなど、別々のシステムの情報を社内の共通データ基盤に集めて整理し、1つの画面から横断的に確認できます。

BIツールによって、部署ごとのサイロ化されたデータではなく、企業全体のデータに基づいた分析が行えるようになるでしょう。

（3）企業データを分析できる

BIツールを導入すると、企業内のデータ分析が行いやすくなります。企業内に蓄積されたさまざまなデータをBIツールで集計・可視化することによって、ドリルダウンやセグメント比較などの探索分析が可能です。

データの見える化にとどまらず、売上の傾向把握や顧客行動パターンの発見、施策KPIのモニタリングなど、ビジネス上の意思決定に役立つ示唆を得られます。

BIツールを活用した分析は、戦略の精度向上や新たなビジネスチャンスの発見につながるといえるでしょう。

BIツールを使用するデメリット

本棚の前のデスクでノートパソコンを使う男性

BIツールの導入は、企業に多くのメリットをもたらす一方で、以下のようなデメリットや注意点も存在します。

・導入コストが高額になり得る
・導入後にツールを使いこなすための教育コストが必要になる場合がある
・選定を誤ると自社の業務プロセスに合わず、期待通りの効果が得られない場合がある
・データ分析結果の解釈を誤ると、誤った意思決定につながるリスクがある

BIツールの導入を検討する際は、導入のメリットとデメリットを洗い出し、最適なツールを選ぶとよいでしょう。

BIツールの活用例

プログラミングコードとデータグラフが表示されたPCを操作する手

BIツールは、企業のビジネスにおいて多岐にわたる場面で活用されています。

ここからは、BIツールの具体的な活用例について紹介します。

（1）経営戦略

BIツールは、経営戦略の策定において活用されています。

BIツールの役割は、企業が保有するさまざまなデータを集約したうえで可視化・分析し、経営層が迅速かつ精度の高い意思決定を行うための情報を提供することです。

市場のトレンドや顧客ニーズを把握し、競争優位性を確立する上で有用なツールといえるでしょう。

予測や施策シミュレーションには必要に応じて機械学習などの手法を併用し、過去の販売実績や市場データ、顧客の行動パターンなどを詳細に分析すると、新たなビジネスチャンスの発見やリスクの早期発見につながります。

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（2）営業分析

営業活動の分析にも、BIツールは活かされています。顧客データや販売実績、営業担当者ごとの成績などの総合的な分析によって、営業戦略の改善点や新たな施策を検討できます。

特定の顧客層の購買傾向を把握したり、売上の伸び悩む製品の仮説を立てたりする動きも可能です。

また、リアルタイムに準じた営業進捗の可視化により、ボトルネックとなっているプロセスを早期に発見し、迅速な対応を促すことで、営業効率の向上と売上拡大に貢献し得るでしょう。

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（3）マーケティング分析

BIツールは、マーケティング戦略の策定においても活用されているツールです。顧客データやWebアクセス、広告指標などを統合して傾向を把握できます。

外部データを取り込み市場のトレンドと自社のデータを組み合わせたり、施策を実行する際に外部ツールと連携させたりすると、より洞察や機会の幅が広がります。

ターゲット顧客の特定や効果的なプロモーション戦略の立案、パーソナライズされたマーケティング施策の検討が可能になるため、データに基づいた客観的な視点からマーケティング活動ができるでしょう。

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（4）財務管理

BIツールは、企業の財務管理においても重要な役割を担っています。売上、コスト、利益などの財務データを見える化することで、キャッシュフローの状況や収益傾向の把握が可能です。

企業の財政状況の可視化を通じて、予実管理や投資判断、リスク対応といった意思決定を支援します。

財務の健全性を維持し、企業の持続的な成長を目指すための心強いツールといえるでしょう。

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（5）人事・採用分析

人事や採用活動も、BIツールが活用されている分野の1つです。

例えば、従業員のエンゲージメントや離職率、採用経路ごとの入社実績などをBIツールで分析すると、人材配置や採用プロセスの改善につながる示唆を得られる可能性があります。

また、各部門のパフォーマンス指標と人事評価データをあらかじめ検証したうえで組み合わせ、評価制度の見直しに活かす使い方などもできるでしょう。

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BIツールの代表的な基本機能・拡張的な機能

産業用デジタルデータ、グラフが合成された画像

BIツールには、多くのサービスに導入されている基本的な機能や、専門性の高い拡張的な機能など、さまざまな機能があります。

搭載されている機能はサービスによって異なりますが、ここではBIツールの代表的といえる基本機能を6つ、拡張的な機能を2つ紹介します。

（1）基本機能：データ接続

BIツールのデータ接続機能は、企業内に散在する多様なデータソースに接続し、必要なデータを収集またはリアルタイム照会する役割を果たします。

社内のデータベースや基幹システム、クラウドサービス、Excelファイルなど、異なる場所に存在するデータの連携が可能です。

データ接続機能により、複数のデータソースからデータを抽出して統合することで、BIツール上で一元的に扱えるようになります。

分析や可視化の基盤となるため、データ接続機能は多種多様なデータソースに対応できる柔軟性が重要です。

（2）基本機能：データ整形・モデリング

BIツールのデータ整形・モデリング機能は、BIツールに接続された複数のデータソースから収集された情報を、分析に適した形に加工する役割です。異なる形式で保存されているデータを結合したり、集計したり、データ型を整備したりします。

また、既存のデータから新しい情報を生み出す計算列やメジャーを定義したり、散在するマスターデータを参照・結合して一貫性のある分析用ビューを構築できたりします。

データ整形・モデリング機能の活用によって、効率的なデータ分析が可能です。

（3）基本機能：ダッシュボード

BIツールのダッシュボードは、複数の分析結果を1つの画面に集約し、ビジネスの状況を一覧で把握できるようにする機能です。

データが視覚的にわかりやすく表示され、経営層や各部署の担当者は設定された更新頻度で情報を確認できます。

例えば、売上データ、顧客データ、Webサイトのアクセスログなど、異なる場所のデータをまとめてダッシュボードに表示することで、企業の全体状況の俯瞰が可能です。

ダッシュボードは一度作成すれば自動またはスケジュール更新が可能になるため、日頃から確認しやすい画面でデータを参照できます。

（4）基本機能：データ分析

BIツールのデータ分析は、収集・整形されたデータからビジネスに役立つパターンや傾向、相関などを見つけるための機能です。

多くのBIツールでは統計集計や可視化、基本的な時系列解析、予測分析を支援する分析機能が備わっているため、使用者は売上の推移や顧客行動などの特徴を把握できます。

適切なデータ前処理と指標設計を行ったのちデータ分析機能を用いれば、単なる可視化にとどまらず、より具体的な課題解決や意思決定につながる示唆を得やすくなるでしょう。

（5）基本機能：OLAP分析

OLAP分析とは、多次元的な視点からデータを分析するための機能です。

例えば、売上データを「地域別」「商品別」「期間別」といった複数の切り口で効率的に集計・比較し、内容を深掘りできます。

特定の顧客層の購買傾向や、売上の増減要因などを多角的に把握できるため、より詳細な分析が可能です。

（6）基本機能：レポート・可視化

レポート機能・可視化機能は、分析結果をグラフや表などを用いて視覚的に表現し、わかりやすく関係者に共有するための機能です。

複雑なデータを理解しやすい形に加工し、経営層や各部署の担当者の素早い状況把握と、的確な意思決定をサポートします。

また、多くのBIツールでは定期的なレポート作成を自動化する機能も持ち合わせており、業務効率の向上にも貢献するでしょう。

（7）拡張的な機能：データマイニング

データマイニングは、蓄積された大量のデータの中から、統計学や人工知能などの技術を用いて、これまで知られていなかった法則性やパターン、傾向などを発見する機能です。

データ集計だけでは見えてこない顧客の購買行動の変化や市場のトレンド、隠れたリスクなどを予測し、新たなビジネスチャンスの発見や経営戦略の策定に役立てられます。

顧客の購買履歴から関連性の高い商品を特定し、クロスセルやアップセル施策を検討するなど、マーケティング分野にも効果的に活用できるでしょう。

（8）拡張的な機能：シミュレーション

シミュレーションは、定義された前提条件や関係性に基づき、「もし何々したらどうなるか」を仮想的に計算する機能です。

例えば、「価格・需要・在庫・リードタイムといった要因を変更した際に、売上や利益、在庫回転率にどのような影響があるのか」などを事前に可視化できるため、施策実行前のリスクを抑えた効果的な打ち手の検討が可能です。

過去のデータや統計モデルを基盤とし、「現状」「楽観」「悲観」といった複数のシナリオを比較することで、「どの条件であれば目標達成が可能か」を検証できます。

BIツールの選び方

3つ縦に並んでいるチェックマーク（レ点）が描かれた水色のブロック

世の中にはさまざまなBIツールが存在するため、「選び方が難しい」と感じる方も多いようです。

ここでは、最適なBIツールを選ぶためのポイントを5つ解説します。

（1）機能・システム

BIツールの選定において、機能やシステムは重要な要素の1つです。

「自社が抱える課題を解決するためには、どのようなデータ分析が必要なのか」を明確にし、それに合致する機能を持つBIツールを選ぶ必要があります。

例えば、最新の数値を常に確認したい場合は、画面の自動更新間隔を細かく設定できるか、データを直接つないで表示できるか、社内データに安全に接続できる仕組みがあるかを確認しましょう。

データ集計が中心であれば、ピボットのように切り口を変えてすぐに集計できる機能が役立ちます。需要予測など機械学習まで行う場合は、R/Pythonとの連携や社内外のAI基盤とつなげられるかを確認すると安心です。

（2）操作性

BIツールの操作性は、導入後の利用状況や定着率に大きく影響するため、選定において重要なポイントです。

分析対象となるデータの種類や分析者のスキルレベルに応じて、直感的で使いやすいインターフェースを持つBIツールを選ぶことが求められます。

例えば、専門的な知識がなくてもドラッグ＆ドロップで簡単にレポートが作成できるか、グラフやチャートのカスタマイズが容易かなど、ユーザーフレンドリーな設計であるかを確認するとよいでしょう。

操作性の高いBIツールは、導入後のトレーニングコストを抑え、社内でのデータ活用を促進します。

（3）コスト

BIツールの導入費用は、選定する製品や機能によって大きく異なります。

無料版や有料のクラウド型、ライセンス型、オンプレミス型まで幅広い選択肢があり、自社の予算規模や利用したい機能に応じた検討が必要です。

一般的に、高機能なツールほどコストは高くなる傾向があるため、必要な機能を明確にした上で、費用対効果を十分に考慮して選ぶとよいでしょう。

（4）運用面

BIツール導入後の運用をスムーズに行うために、サポート体制や機能の拡張性を事前に確認しておく点も選定のポイントです。

ベンダーによるサポート内容や、万が一トラブルが発生した際の対応、システムのアップデート頻度などを確認し、長期的な運用を見据えてツールを選びましょう。

また、ビジネスの変化に合わせて機能を追加できる拡張性があるかどうかも、社内にBIツールを普及させる上で必要な視点となります。

（5）無料版やトライアル期間の有無

BIツールの選定では、無料版やトライアル期間の有無も確認すると安心です。

実際にBIツールを試用することで、操作性や機能が自社のニーズに合っているか、導入後の運用イメージを具体的に把握できます。

多くのBIツールが無料版や期間限定のトライアルを提供しており、これらを活用することで、コストをかけずに複数のBIツールの比較検討が可能です。

無償期間中に得られるBIツールの使用感は、本契約後のミスマッチを防ぐ上で役立ちます。

まとめ

PORTFOLIOと表示されたWebサイトの画面が映るノートPC

BIツールは、企業が保有する膨大なデータを収集・分析し、ビジネス上の意思決定に役立てるためのツールです。

経営戦略の策定から営業分析、マーケティング施策の最適化まで、幅広い場面で活用できます。そして、データの見える化や統合、分析といった機能を通じて、客観的な数値に基づいた迅速な意思決定を支援し、企業の競争力向上に貢献します。

コストや機能、操作性などを考慮し、最適なBIツールを選び、効果的なデータ活用を目指しましょう。

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（株式会社みらいワークスフリーコンサルタント.jp編集部）

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