リカレント教育とは?学び直しの必要性とその意味を解説
最終更新日:2025/12/23
作成日:2018/08/17
働き方やキャリアの選択肢が大きく変化する中で、「このままでいいのだろうか」「何か学び直したほうがいいのでは」と感じる社会人は少なくありません。
そんな中で注目されているのがリカレント教育です。
一方で、「リスキリングや生涯学習と何が違うのか」「具体的に何を学べばいいのか」など、言葉や制度が分かりにくく、全体像がつかみにくいと感じている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、リカレント教育の基本的な考え方から必要性、具体的な学び方までを、社会人の視点でわかりやすく整理して解説します。
目次
■リカレント教育とは?学び直しの意味と基本的な考え方
(1)リカレント教育の定義とは
(2)「学び直し」と呼ばれる理由
(3)一度学んで終わりではない教育の考え方
■リカレント教育とリスキリング・生涯学習との違い
(1)リスキリングとの違い(目的・タイミング)
(2)生涯学習との違い(キャリアとの関係)
(3)それぞれが向いているケース
■なぜ今リカレント教育が注目されているのか
(1)技術革新と仕事の変化
(2)終身雇用の変化とキャリアの自己責任化
(3)人材流動化と学び直しの必要性
■リカレント教育のメリット
(1)個人にとってのメリット
(2)企業にとってのメリット
(3)学び直しが組織にもたらす効果
■リカレント教育では何を学ぶ?代表的な学習分野と内容
(1)IT・デジタル分野(DX・データ活用など)
(2)ビジネススキル・専門知識
(3)資格取得や実務直結型の学習
■リカレント教育で活用できる国の支援制度・助成金
(1)教育訓練給付制度の概要
(2)社会人向けリスキリング支援策
(3)制度を利用する際の注意点
■企業がリカレント教育を導入する際のポイント
(1)対象者・目的を明確にする
(2)業務と学習をどう両立させるか
(3)制度を形骸化させない工夫
■社会人がリカレント教育を実践する際に押さえたいポイント
(1)目的のない学び直しを避ける
(2)転職や副業を見据えて学びを位置づける
(3)長期的な視点で学びを設計する
リカレント教育とは?学び直しの意味と基本的な考え方

働き方やキャリアの選択肢が多様化するなかで、「リカレント教育」という言葉を耳にする機会が増えています。リカレント教育は、単に「社会人が再び学ぶこと」だけを指す言葉ではありません。
もともとは、教育と就労を繰り返す循環的なキャリアモデルを示す概念です。
ここでは、リカレント教育の正確な定義や、なぜ日本で「学び直し」と呼ばれるようになったのか、その背景にある考え方について整理していきます。
リカレント教育の定義とは
リカレント教育とは、学校教育を終えて社会に出た後も、個人の必要に応じて教育機関に戻り、再び働くというサイクルを繰り返す教育制度や考え方を指します。
この概念は、1960年代後半から1970年代にかけて、OECD(教育研究革新センター:CERI)などの国際的な議論の中で提起・整理され、北欧諸国の教育政策を背景に広く知られるようになりました。
「リカレント(recurrent)」には「循環する」「反復する」といった意味があり、文字通り「働く」と「学ぶ」の期間を生涯にわたって交互に行き来することを想定しています。
一度社会に出たら学びの機会が閉ざされるのではなく、キャリアのどの段階からでも再び学べる点が、リカレント教育の大きな特徴です。
「学び直し」と呼ばれる理由
日本では、リカレント教育が「社会人の学び直し」という言葉で広く認識されています。
これは、本来の循環的な概念よりも、就労後にキャリアアップやキャリアチェンジのために再度学ぶという側面が強調されてきたためです。
多くの日本人にとって、学校を卒業後、定年まで一つの企業で働き続ける直線的なキャリアパスが長く一般的でした。
そのため、就労期間の途中で教育機関に戻る経験が少なく、社会に出てから再び学ぶ行為が「学び直し」として捉えられやすい背景があります。
近年はこうした前提が変わりつつあり、リカレント教育の普及とともに、学ぶことをキャリアの途中で選択する考え方も徐々に広がっています。
一度学んで終わりではない教育の考え方
従来のキャリアモデルは、学校で得た知識や資格を基に就職し、そのまま働き続けるという直線的なものでした。
しかし、技術革新のスピードが加速し、産業構造や求められるスキルが短期間で変化する現代においては、初期教育だけでは対応しきれない場面が増えています。
こうした環境では、キャリアの各段階で必要な知識やスキルを継続的にアップデートしていくのが不可欠です。
リカレント教育は、このような変化に対応するための考え方であり、「一度学んだら終わり」という固定観念からの転換を促すものといえます。
個人が主体的に学び続けられる環境を整えるのは、結果として社会全体の競争力向上にもつながり、現在リカレント教育の普及が重視されている理由の一つとなっています。
リカレント教育とリスキリング・生涯学習との違い

「学び直し」に関連する言葉として、「リスキリング」や「生涯学習」を目にする機会も増えています。
30代以降などを中心に、「今後のキャリアを考えてリカレント教育を受けたい」と感じる人が増えている一方で、これらの言葉の違いが分かりにくいと感じる方も少なくありません。
いずれも「学ぶこと」を指す言葉ですが、目的・タイミング・キャリアとの関わり方には明確な違いがあります。
ここでは、リカレント教育とリスキリング・生涯学習の違いを整理し、どのような人に向いているのかを解説します。
リスキリングとの違い(目的・タイミング)
リスキリングとは、技術革新や業務内容の変化に対応するために、新たなスキルを習得することを指します。
特にDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈で使われるケースが多く、企業が事業戦略の一環として従業員に学習機会を提供するケースが代表的です。
- ・新しいツールやITスキルの習得
- ・既存職種の業務内容が大きく変わった際の対応
- ・比較的短期間でのスキル獲得
といった特徴があり、企業主導・業務直結型の学びである点がポイントです。
一方、リカレント教育はより広い視点でキャリア全体を捉えた学びを意味します。
30代以降などで「このままのキャリアでいいのか」と考え、専門性を高めたい、あるいは将来の転職や独立を見据えて学び直したい場合に、リカレント教育を受けるという選択がなされることが多いです。
生涯学習との違い(キャリアとの関係)
生涯学習は、人生を通じて行われるあらゆる学習活動を指す概念です。職業能力の向上に限らず、趣味や教養、スポーツ、文化活動なども含まれます。
- ・人生を豊かにする点が主目的
- ・キャリアや収入との直接的な関係は必須ではない
- ・年齢や職業を問わず取り組める
という点が特徴です。
これに対して、リカレント教育は職業能力の向上やキャリア形成を目的とした学びであり、「リカレント教育を受けたい」と考える人の多くは、現在または将来の働き方を強く意識しています。
そのため、リカレント教育は生涯学習の一部と捉えられるケースもありますが、キャリアとの結びつきの強さが大きな違いといえるでしょう。
それぞれが向いているケース
これらの概念は、学ぶ動機や目的によって使い分けられます。
例えば、企業のDX推進担当となり、短期間でデータ分析やITスキルを身につける必要がある場合は「リスキリング」が適しています。
一方で、30代以降、特に30〜50代では、キャリアの方向性や働き方を見直すタイミングが訪れやすく、
- ・将来的にマネジメント層を目指したい
- ・専門性を高めて市場価値を上げたい
- ・異業種・異職種への転職を視野に入れたい
と考え、「体系的に学び直したい」「キャリアの選択肢を広げたい」と感じる場合は、リカレント教育が適した選択肢となります。
そして、趣味として語学や絵画を学んだり、地域活動や教養講座に参加したりする場合は「生涯学習」に該当します。
自身が何のために学びたいのかを整理することで、リスキリング・リカレント教育・生涯学習のどれが最も近いかが見えてきます。
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なぜ今リカレント教育が注目されているのか

近年、メディアや政府の報告書などでも「リカレント教育」の重要性が繰り返し取り上げられています。背景にあるのは、私たちの働き方やキャリアを取り巻く環境が、この数十年で大きく変わった点です。
ここでは、リカレント教育が現代において重視される理由を、3つの側面から整理します。
技術革新と仕事の変化
AIやIoTなどのデジタル技術の進展により、多くの業界で業務の自動化・効率化が進んでいます。その結果、定型業務の比重は下がり、代わりにデータをもとに判断する力や、新しい価値をつくる力がより強く求められるようになりました。
ただし重要なのは、「一度学んだ知識が通用しにくくなっている」点です。技術やツール、業界の常識はアップデートが早く、数年前のスキルセットだけでは対応が難しいケースも増えています。
だからこそ、社会に出た後も必要に応じて学びを取り入れ、スキルを更新し続けることが欠かせません。
終身雇用の変化とキャリアの自己責任化
かつて一般的だった終身雇用・年功序列の前提は弱まり、成果主義の強化やジョブ型雇用の導入など、雇用のあり方は変化しています。
こうした流れの中で、一つの会社に長く勤めること自体が必ずしも安定を保証する時代ではなくなりました。
その結果、企業任せではなく、個人が自分のキャリアを設計し、選択していく「キャリア自律」が重視されるようになっています。自分の市場価値を把握し、強みを伸ばしたり不足を補ったりする取り組みが、これまで以上に重要になりました。
リカレント教育は、専門性を磨き、社内外で通用するスキルを身につけるための有効な手段として位置づけられています。
人材流動化と学び直しの必要性
転職や副業が広がり、キャリアの選択肢は多様化しています。職場や働き方を変えるのが以前より現実的になり、異業種・異職種へのキャリアチェンジも珍しくありません。
新しい環境で成果を出すには、当然ながら不足している知識やスキルを補う必要があります。
企業側も、変化の激しい事業環境に対応できる人材を求めており、特定領域だけでなく横断的なスキルや学習意欲も評価対象になりやすい傾向があります。
学び直しは単なるスキル獲得にとどまらず、変化に適応できる姿勢そのものとして、キャリアの可能性を広げる要素になっています。
リカレント教育のメリット

学び直しは「個人の自己投資」と捉えられがちですが、実際には組織全体の競争力や持続的成長にも直結します。
ここでは、リカレント教育のメリットを「個人」「企業」という2つの視点から整理し、さらに学び直しが組織にもたらす波及効果について解説します。
個人にとってのメリット
個人がリカレント教育に取り組む最大のメリットは、キャリアの選択肢を主体的に広げられる点にあります。
専門知識やスキルを体系的に習得すると、昇進や昇給、より条件の良い企業への転職といった可能性が高まります。
また、これまでとは異なる分野を学べば、キャリアチェンジや副業、将来的な独立といった新たな道が見えてくるケースもあります。自分の強みや適性を再確認する機会となり、長期的なキャリア設計を考えるうえでも有効です。
さらに、学習を通じて「自分は成長できる」という実感を得られることで、仕事への自信やモチベーションが高まります。
大学院や社会人向け講座などでの学びは、多様なバックグラウンドを持つ人との出会いにもつながり、将来的に仕事で活かせる人的ネットワークの形成にも寄与します。
企業にとってのメリット
企業が従業員のリカレント教育を支援するのは、短期的なスキル向上にとどまらず、中長期的な経営基盤の強化につながります。
従業員一人ひとりの専門性が高まることで、組織全体の生産性や業務品質が向上し、環境変化への対応力も高まります。
特に、DXやグローバル化といった変化の大きい分野では、外部採用だけに頼らず、内部で人材を育成できることが企業競争力の差につながります。リカレント教育は、そのための有効な手段の一つです。
また、学習機会を提供する企業は「人を育てる企業」として評価されやすく、従業員のエンゲージメント向上や離職防止にも寄与します。成長意欲の高い人材が集まりやすくなり、採用面でもプラスに働く点は見逃せません。
学び直しが組織にもたらす効果
個々の従業員による学び直しは、組織全体にも継続的な好影響をもたらします。外部で得た知識や視点が職場に持ち込まれることで、チーム全体のスキルレベルが底上げされ、既存の業務プロセスや考え方を見直すきっかけになります。
また、学び続ける社員の存在は周囲に良い刺激を与え、組織内に「自律的に学ぶ文化」が根づく土壌をつくります。
こうした文化は、変化を前向きに受け入れる姿勢や、新しい挑戦を後押しする風土につながります。
個人の成長が組織の成長へと波及し、結果として変化に強く、柔軟でしなやかな組織体制の構築に貢献する点こそが、リカレント教育の本質的な価値といえるでしょう。
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リカレント教育では何を学ぶ?代表的な学習分野と内容

社会人がリカレント教育を実践しようと考えたとき、「何を学ぶべきか分からない」と悩むケースは少なくありません。
学習分野は非常に幅広く、選択肢が多いからこそ、自身のキャリアプランや今後の働き方を意識して選ぶ点が重要になります。
IT・デジタル分野(DX・データ活用など)
リカレント教育の中でも、近年特に需要が高いのがIT・デジタル分野です。
多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、プログラミング、データサイエンス、AI、Webマーケティングといったスキルを持つ人材は、職種を問わず高く評価される傾向にあります。
専門職でなくても、データをもとに意思決定を行う場面は増えており、データ分析や統計の基礎知識、ITリテラシーは汎用性の高いスキルとなっています。
業務効率化や課題発見の精度を高めるためにも、現職に活かせるレベルから段階的に学ぶ人が多い分野です。
ビジネススキル・専門知識
マネジメント層を目指す人や、専門性を軸にキャリアを築きたい人にとっては、ビジネススキルや専門知識の体系的な学習が有効です。
MBA(経営学修士)に代表される経営戦略、マーケティング、財務・会計などの知識は、組織全体を俯瞰して意思決定を行う力を養います。
また、法律、語学、デザイン思考など、特定分野の知識を深めることで、自身の専門性に厚みを持たせられます。
大学院やビジネススクール、社会人向けプログラムを活用し、実務経験と理論を結びつけながら学ぶケースが多く見られます。
資格取得や実務直結型の学習
スキルや知識を客観的に証明したい場合には、資格取得を目的とした学習も有効な選択肢です。
ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士、中小企業診断士、IT系の各種認定資格などは、転職や独立、副業を視野に入れる際に評価されやすい資格として知られています。
また、大学や専門学校が提供する社会人向けの履修証明プログラムでは、特定の業務に直結する実践的なスキルを、比較的短期間で集中的に学ぶことが可能です。
資格取得に限らず、「今後どのような仕事に携わりたいのか」を起点に、必要な知識やスキルを逆算して学ぶことが重要になります。
リカレント教育で活用できる国の支援制度・助成金

リカレント教育に取り組みたいと考えていても、受講費用の高さや学習時間の確保がハードルになるケースは少なくありません。特に社会人の場合、「学びたい気持ちはあるが、金銭面が不安で踏み出せない」という声も多く聞かれます。
こうした課題に対し、国は社会人の学び直しを後押しするため、複数の支援制度や助成金制度を整備してきました。
ここでは、代表的な制度である教育訓練給付制度を中心に、近年拡充されているリスキリング支援策の概要と、利用時の注意点を解説します。
教育訓練給付制度の概要
教育訓練給付制度は、働く人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援するのを目的とした、雇用保険制度の一つです。
一定の条件を満たす雇用保険の被保険者、または過去に被保険者であった人が、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を修了した場合、支払った受講費用の一部がハローワークから支給されます。
制度は講座の内容や難易度に応じて、以下の3種類に分かれています。
- ・専門実践教育訓練:高度な専門職向け(大学院・資格取得など)
- ・特定一般教育訓練:速やかな再就職やキャリアアップを目的とした講座
- ・一般教育訓練:幅広いスキル習得を対象とした基礎的講座
それぞれ給付率や上限額が異なるため、受講を検討している講座がどの区分に該当するかを事前に確認する点が重要です。
社会人向けリスキリング支援策
近年、政府はデジタル人材の育成や成長分野への人材移動を目的として、社会人向けのリスキリング支援を強化しています。
その代表例が、経済産業省が推進する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」です。
この事業では、在職者を対象に、
- ・キャリア相談
- ・リスキリング講座の受講
- ・転職支援
を一体的に提供する民間事業者に対して補助金が交付されます。
その結果、個人は受講費用の補助を受けることで自己負担を大きく抑えられ、講座や事業者の仕組みによっては実質的な負担が0円となるケースもあります。
こうした支援策は、IT・デジタル分野を中心に今後も拡充される可能性が高く、リカレント教育を検討する際には注目しておきたい制度です。
制度を利用する際の注意点
公的な支援制度を活用する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。
まず、対象者の条件(雇用保険の加入期間、離職からの経過年数など)や、対象となる講座が細かく定められているため、自分が利用できるかどうかを事前に必ず確認する必要があります。
また、多くの制度では受講開始前に申請手続きが必要であり、受講後に申請しても給付対象にならない場合があります。
さらに、助成金や補助金は年度ごとに予算が設定されていることが多く、募集期間や定員が限られている点にも注意が必要です。
制度の詳細や最新情報については、最寄りのハローワークや各制度の公式サイトで確認し、余裕を持って準備を進めるのが大切です。
企業がリカレント教育を導入する際のポイント

従業員の自律的な学びを促し、変化に強い組織をつくる手段として、リカレント教育を支援する制度を導入する企業が増えています。
しかし、目的や運用設計が曖昧なまま制度を導入すると、「使われない制度」「一部の社員だけの福利厚生」で終わってしまうケースも少なくありません。
従業員のスキルアップと事業成果の両立を実現するためには、戦略的な設計と継続的な運用が不可欠です。
ここでは、企業がリカレント教育を導入する際に押さえておきたい3つの重要なポイントを解説します。
対象者・目的を明確にする
制度設計の第一歩は、「誰に」「何を」「何のために」学んでもらうのかを明確にすることです。
例えば、
- ・全社員のITリテラシー底上げ
- ・次世代リーダー候補の経営・マネジメント知識習得
- ・特定部門におけるDX推進や専門スキルの獲得
など、経営戦略や事業課題と連動した具体的な目的を設定します。
目的が明確であれば、適切な学習プログラムを選定しやすくなり、投資対効果(ROI)の検証もしやすくなります。
また、従業員に対して「なぜこの学びが必要なのか」を共有することで、制度を「やらされ感」のある研修ではなく、納得感のある成長機会として受け止めてもらいやすくなります。
業務と学習をどう両立させるか
リカレント教育が定着しない最大の要因は、日常業務との両立が難しい点にあります。
そのため企業側には、従業員が安心して学習に取り組める環境づくりが求められます。
具体的には、勤務時間内での研修受講を認める、学習専用の休暇制度(スタディリーブ)を設けるといった支援策が考えられます。加えて、時間や場所に縛られにくいeラーニングやオンライン講座を活用して、学習のハードルを下げることも有効です。
重要なのは、制度だけでなく現場の理解です。上司が部下の学習計画を把握し、業務量を調整するなど、現場レベルでの協力体制を築いて、学習が「特別なこと」ではなく日常業務の延長として定着しやすくなります。
制度を形骸化させない工夫
制度を導入しただけで満足してしまうと、利用率が伸びず形骸化する恐れがあります。
これを防ぐためには、学んだ内容を実務で活かす場を意図的につくることが重要です。
例えば、学習成果を社内で共有・発表する機会を設けたり、習得したスキルが活かせる新規プロジェクトや業務にアサインしたりすることで、学びと仕事を結びつけられます。
また、学習履歴や資格取得を人事評価、昇進・昇格要件の一部に組み込むことで、従業員の学習意欲を継続的に引き出す効果も期待できます。
制度の利用状況や従業員の満足度を定期的に確認し、実態に合わせて改善を重ねていく姿勢が、リカレント教育を企業文化として根づかせる鍵となります。
社会人がリカレント教育を実践する際に押さえたいポイント

リカレント教育は、取り組み方次第でキャリアに大きなプラスをもたらす一方、目的や計画が曖昧なまま始めてしまうと、途中で挫折してしまうケースも少なくありません。
忙しい社会人にとって、学習に使える時間やエネルギーは限られているからこそ、事前の考え方や進め方が重要になります。
ここでは、社会人がリカレント教育を実践する際に意識しておきたい3つのポイントを紹介します。
目的のない学び直しを避ける
「将来が不安だから」「周囲が学び始めているから」といった漠然とした理由だけで学習を始めると、目的が定まらず長続きしにくい傾向があります。
まずは、「なぜ学ぶのか」「学んだ知識やスキルを将来どのように活かしたいのか」を言語化するのが不可欠です。
自身のこれまでのキャリアを振り返り、今後どのような役割を担いたいのか、どんな働き方を目指したいのかを整理したうえで、不足している知識やスキルを洗い出します。
目的が明確であれば、数ある学習プログラムの中から自分に合ったものを選びやすくなり、学習中のモチベーションも維持しやすくなります。
転職や副業を見据えて学びを位置づける
リカレント教育は、転職や副業、キャリアチェンジといったキャリアの転機において、大きな力を発揮します。
特に、未経験の業界や職種に挑戦する場合、関連する知識やスキルを事前に身につけておけば、採用選考時の評価を高めたり、新しい環境への適応をスムーズにしたりすることが可能です。
また、現在の業務に直結する専門性を深める学びは、社内での評価向上だけでなく、副業や社外活動としてスキルを活かす道を広げることにもつながります。
学び直しを「勉強そのものが目的」ではなく、キャリアの選択肢を増やすための戦略的な自己投資として捉える視点が重要です。
長期的な視点で学びを設計する
リカレント教育は、一度きりで完結するものではなく、キャリア人生を通じて継続していく取り組みです。
そのため、短期的な成果だけを求めるのではなく、5年後、10年後を見据えた長期的な視点で学習計画を立てなければなりません。
最初から難易度の高い目標を設定するのではなく、基礎的な講座や入門レベルから始め、段階的に専門性を高めていく方が、仕事や私生活と両立しやすく、結果的に学習を継続しやすくなります。
また、社会や技術のトレンドは常に変化するため、定期的に自身のスキルセットを見直し、必要に応じて学習計画をアップデートしていく柔軟さも欠かせません。
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まとめ

リカレント教育の必要性が高まっている背景には、技術革新の加速や雇用環境の変化、キャリアの多様化があります。
一度身につけた知識やスキルだけで長く働き続けるのが難しくなった現代において、学び直しは特別な選択ではなく、キャリアを維持・発展させるための前提条件になりつつあります。
これからの時代、自ら学び続ける姿勢そのものが価値となります。
リカレント教育とは何かを正しく捉え、自身のキャリアと向き合う手段として、学び直しを前向きに検討していくことが求められていると言えるでしょう。
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