コンサルタントが知っておくべき著作権の基本

作成日:2018/04/04

 

コンサルタントにとって著作権の基礎知識が必要な理由

コンサルタントにとって著作権の基礎知識が必要な理由_1

 

2016年に大きく報道されたキュレーションサイトの著作権問題。新聞やニュースで大きく報道されたのは記憶に新しいところです。実はこうした著作権のトラブルは、コンサルタントにとっても他人事ではありません。

 

コンサルティング業務の中でレポートやプレゼン資料を作るとき、他の資料から情報を引用することも多いのではないでしょうか?こんなときも著作権の扱いには注意が必要です。内部資料だからといって気にしないでいると、トラブルになる可能性もあります。他にも、例えばご自身がコンサルタントとしてコラムの執筆を頼まれたケース。こんなときも著作権が関連してきます。契約上著作権についての取り決めに問題がないか、フリーランスの方は自分自身で確認しておく必要があります。

 

コンサルティング業務だけではありません。例えば自分のブログで情報発信するときも、実は著作権を意識する必要があります。著作権関連でトラブルにならないために、今回はコンサルタントが知っておきたい著作権の基礎知識についてまとめました!

☆あわせて読みたい

『【PMOとは】PMとの違い(仕事内容・意味・職種)と向いている人、業務に必要な資格・スキルセットを解説!』

『【フリーコンサル PMO】年収は?必要なスキルや資格は?つまらない?メリット・デメリットも解説』

 

コンサルティング資料などで、他人のテキストやイメージ画像を利用するときの注意点

コンサルティング資料などで、他人のテキストやイメージ画像を利用するときの注意点_2

 

まず知っておきたいのが、資料などで他のサイトや文献などからテキスト・図版を引用するとき。引用は著作権法で認められていますので、一定のルールのもとに引用すれば著作者の許諾を事前に得る必要はありません(つまり引用ルールを守らないと無断転載になってしまいます!)。

文化庁のサイトをもとに、知っておきたい引用ルールをまとめました。

1)引用部分を明確にする

特にテキストを引用する場合、本文と引用部分を明確に分けないと盗用になってしまうことも。資料を作るときも、引用部分がわかるよう区切り線を使ったり、枠線で囲んだりして対策しておきましょう。図版の場合はキャプションなどに出典情報を記載して、引用であることを明確にしましょう。

2)引用する必要性がある、引用部分がメインではない

当然ながら本来のコンテンツがメインであくまで引用部分は補足になっていないと引用とは言えません。例えばまとめサイトのようにいろいろな情報源から引用部分ばかりを集めた、というコンテンツは本来の引用としてはズレています。コンサルティング資料で引用ばかり集めたという資料は基本的にないと思いますが、メインの部分と引用部分のバランスは注意したほうが安心です。

3)出典を明記する

引用部分はどこから引用したか出典元を明記するのが基本です。書籍であれば著作者、書籍名、出版社などを明記します。Webサイトの場合はサイト名(もしくはサイト運営者)、ページ名、URLを載せておきましょう。

4)引用部分は改変しない

改変しないというのも重要なポイント。引用する場合は、あくまで情報源に記載されている内容をそのまま載せる必要があります。勝手に要約するなどの変更はNGなので注意しましょう。

 

まとめサイトやキュレーションサイトは引用のルールが十分守られておらず、著作権侵害ではないかという声が上がってしまいました。Webサイトとコンサルティング資料は公開される範囲が違いますが、著作権への配慮が必要な点は共通です。ある大規模なイベントで使われたプレゼン資料に使われた画像が無断転載だった、という事例も過去にありました。

 

意図的ではなくても他人の著作権を侵害してしまうと、コンサルタントとしての信頼に関わるかもしれません。引用の基本的なルールを知っておくことは基本ですが、可能であれば著作者へ事前に使用許諾を得ておくと安心です。

出典:文化庁 著作権制度に関する情報

 

 

素材集などを使ってイメージ画像を載せるときのルール

素材集などを使ってイメージ画像を載せるときのルール_3

プレゼンなどの提案資料を作る際、素材集サイトからイメージ写真を利用するケースも多いのではないでしょうか。でも実は素材集だから著作権に関係なく自由に使える、とは限りません。まずは利用規約をチェックしておきたいところです。

素材集サイトの中には、画像によって権利のタイプが違うということもあります。例えば国内の大手素材集サイト「アマナイメージズ」では、権利タイプが2種類あります。

◆ロイヤリティフリー

一旦素材を購入すれば、使用目的や媒体などの制限がないのがロイヤリティフリー。繰り返し利用することができます(ただし画像の加工などはNGとなっているケースもあります)。

◆ライツマネージメント

期間や媒体など、使用範囲が限定されている権利形態。印刷物に使うときは発行部数の上限があるものもあります。あらかじめ使用範囲や使用条件に問題がないか、チェックしてから購入する必要があります。

 

 

業務委託契約でチェックしたい著作権関連の項目

業務委託契約でチェックしたい著作権関連の項目_4

コンサルティング契約などコンサルタントが業務を請け負う契約だけではなく、反対にコンサルタントの方が外部業者へ業務を委託するケースもあります。こうした業務委託契約を交わすときにも著作権についてチェックが必要です。そこで基本的な著作権に関するポイントを2つご紹介します。

1.著作権の扱いは?

制作物がかかわる業務委託契約では、納品物について著作権の扱いを明記するのが一般的。よくあるパターンとしては、業務を委託する側へ著作権を譲渡するケース(こうした内容が契約に含まれていないと、著作権は著作者が持ち続けることになります)。

2.著作者人格権の扱いは?

著作権とは別に、著作者が持つ権利著作者人格権。著作物を公表するときに自分の氏名を出す権利(氏名表示権)勝手に改変されない権利(同一性保持権)が含まれます。つまり著作権を譲渡しても、著作者の許諾なしに勝手に改変することはできないというのが基本的な考え方です。著作者人格権は著作権のように譲渡ができません。そのため業務委託の契約を交わす際に「著作者は、著作者人格権を行使しない」という内容を盛り込むケースもあります。

契約内容があいまいだと後からトラブルになることも多くなります。事前にチェックしておきましょう!

 

 

コンサルティング業務にはあまり関連がないと思いがちな著作権。でも実はコンサルティングに関連する資料を納品するときや、プレゼン向け資料を作るときなどに関わる機会が多いのが実状です。今ではWeb経由でさまざまなテキストや画像を転載しやすくなっていますが、安易に無許可で使うと大きなトラブルに発展する可能性もあります。

コンサルタントとして著作権に関することとして、コラムでご紹介した以下の3つのポイントはおさえておきましょう。

・引用するときはルールに基づいて行なう
・素材集を使うときは使用条件を確認
・業務委託契約時にも著作権の項目をチェックする

(※本コラムでは、著作権に関する一般的な知識をまとめています。著作権法などの法律については、弁護士などの専門家へご相談ください)

 

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

コンサル登録遷移バナー

 

◇こちらの記事もおすすめです

「誰でも公共データをビジネス活用できる「オープンデータ」の可能性」