プロフェッショナルとアマチュアとを分かつコンピテンシーとは

作成日:2017/04/03

 

多くのナレッジと高いスキルがあればサバイバルできる?

多くのナレッジと高いスキルがあればサバイバルできる?

近年、若年層を中心とするビジネスパーソンには、研修参加や資格取得などによりナレッジを蓄えたりスキルを高めたりする方が多く見られます。終身雇用制度や年功序列制度が実質的に崩れ、将来の独立・起業を検討する方が増えたことも動機の一つになっているかもしれません。さらに、自身への投資(お金・時間)についての有効性がよく話題にされることも、この傾向に拍車を掛けている可能性があります。

ところで、多くのナレッジと高いスキルを身に付けておけば、企業に残るにせよ独立するにせよ、ビジネスパーソンとしてサバイバルできるのかと言えば、必ずしもYESではありません。仮にYESなのであれば、高学歴の人材や、資格を多く持つ人材を集中的に採用する傾向がある一部の大手企業などでは、社員は押し並べて高いパフォーマンスを発揮し、社内外から将来を嘱望されていることでしょう。周囲を見渡してみた時、現実は必ずしもそうではないことは、皆さんも肌感覚で理解されているのではないでしょうか。

 

「知っている・できる」と「いつでもできる」は別のもの

「知っている・できる」と「いつでもできる」は別のもの

ナレッジ・スキルは、「知っている・できる」に相当する概念ではあっても、「いつでもできる」とイコールではありません。つまり、自身の業務に関するナレッジ・スキルを十分に持ち合わせていたとしても、必ずしも成果には結び付かない、ということを意味します。分かりやすく、アスリートの比喩で説明してみましょう。

例えば、サッカーのフォワードであれば、まずナレッジ「知っている」の段階では、正しいシュートの形を頭で理解している状態になります。次にスキル「できる」の段階では、練習中などに実際に身体を使って正しいシュートを打てる状態です。そして「いつでもできる」の段階になると、どこのチームと戦っても、どのようにパスが回って来ても、相手のディフェンスを突破して、正確なシュートを打つことが可能な状態、得点力がある状態になります。

仮の話、サッカーにもフィギュアスケートのように規定演技が存在するならば、シュートを打つタイミングの正しさや、シュートを打つフォームの美しさなどが得点につながるかもしれません。しかし、現実にはそうではありません。本番試合中の安定した得点力、「いつでもできる」能力があって初めて、プロのフォワードとしてチームに貢献できる訳です。

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プロフェッショナルとしてのサバイバルに必須のコンピテンシー

プロフェッショナルとしてのサバイバルに必須のコンピテンシー

どのような業界に身を置くのであれ、いかなる状況下でも安定して成果につなげる、「いつでもできる」の状態にあってこそのプロフェッショナルであり、これを可能にするのが「コンピテンシー」の概念です。持ち合わせているナレッジ・スキルを効果的に活用する、ベースとしての位置付けです。ビジネスパーソンがプロフェッショナルとしてサバイバルするためには、ナレッジ・スキルに加え、必要なコンピテンシーも備えていることが欠かせません。

コンピテンシーの定義については、学術的にまだ確定していませんが、最大公約数的には、「ある職務・役割における高業績者に共通の行動特性」と言えるでしょう。馴染みやすい日本語の表現に置き換えてみると、「いつでも、どこでも成果に結び付きやすい、良い意味での行動の癖」といったところでしょうか。

先ほどのアスリートの例で具体化してみると、「メンタル的に安定し、小さなことで動揺しない」、「状況判断に優れ、現実の環境に速やかに適応する」、「チームメンバーの個性を尊重し、自ら信頼関係を築く」などが、プロのサッカー選手として活躍するためのコンピテンシーである、と考えることができます。

言うまでもなく、求められるコンピテンシーは職務・役割により差異があり、企業によっては評価指標に加えるところも出てきました。業務に必要なコンピテンシーを持ち合わせていることは、会社員として働く方はもちろん、独立や起業を考える方にとっても、看過できないものになるでしょう。「世間で通用する」ビジネスパーソンであるために必要な「行動特性」を身に付けていることは、組織の看板に頼らずに独立して歩むために組織人以上に必須となるのではないでしょうか。

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コンピテンシーを効果的に身に付ける方法

コンピテンシーを効果的に身に付ける方法

それでは、必要なコンピテンシーを身に付けたければ、どのようにするのが効果的でしょうか。結論から言えば、プロのアスリートが試合に参加して、都度改善点を振り返るのと同じ理屈で、その職務・役割に求められるコンピテンシーは体験(疑似体験含む)を通じて徐々に養われると考えられます。当該の「行動特性」を用いる体験を積み重ねることが、コンピテンシーを身に付けるためには有効なのです。企業内であれば、OJTや実務を活用することになるでしょう。

それでも、マネジメント層から指示されるままにOJTを受けたり、漠然と実務に就いたりしても、効果は不十分になりがちです。効果を上げるためには、以下2点に留意されるといいでしょう。

1.身に付けようとしているコンピテンシーを意識する

まず第一に、身に付けようとする、もしくはブラッシュアップしようとするコンピテンシーを常に意識することです。例えば、「人的ネットワークを自ら拡げる力」を身に付けたいならば、絶えずそれを念頭に置いて実務をこなすように努めるべきでしょう。

また、コンピテンシーを身に付けるためには中長期に渡る鍛錬が必要なため、1年間であればせいぜい1~2種類に絞って意識を集中し、常に「私は今○○○力を身に付けて磨いている」、という意識を保ち続けることが肝要です。そして、必ず「今週の自分は○○○力を使っただろうか?」と自らの行動を振り返る時間を確保することがお勧めです。

2.繰り返し実践する

そして第二には、コンピテンシーが身に付く過程を理解して、繰り返し実践することです。アスリートは「身体で覚える」ことをモットーとしていますが、ビジネスパーソンも必要な「行動特性」が身に付いた状態であれば、持っているナレッジ・スキルを反射的に有効活用して、安定したパフォーマンスを発揮できます。実践を反復するほどにそのコンピテンシーは自分の血肉となり、必要な状況下で考えなくても適切なアクションをとることが可能になるでしょう。

加えて、繰り返し実践する際には、身近に存在する高業績者の先輩・上長などのアクションを真似して、可能ならば適宜アドバイスを受けることができる間柄になっておくと、一層効果的です。ビジネスパーソンとしての理想像を漠然とイメージするよりも、目標とする具体像が目の前にいてくれる状態で鍛錬を積む方が、必要なコンピテンシーは身に付きやすくなります。

 

 

プロフェッショナルとアマチュアとを分かつ概念こそが「コンピテンシー」であることを、実感していただけたでしょうか。繰り返しの実践を中長期で経験すれば、どのような「行動特性」であっても、ある程度は身に付きます。それでも、過去に形成してきた性格や価値観によって、身に付ける難易度が高いコンピテンシーと、比較的難易度が低いコンピテンシーがあることはあらかじめ理解しておくといいでしょう。転職や、独立・起業を検討する際にも有効ですし、周囲と比較して、むやみに焦燥感を覚えずに済むためです。

もともと持っているコンピテンシーを自覚して活かしつつ、足りていないコンピテンシーを身に付けていくことで、より高いパフォーマンスを発揮できる日が近くなるかもしれません。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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