知っておいて損はない ビジネスにおける問題解決の手法

作成日:2017/02/17

 

そもそも「問題」とは何なのか?

今日から使える!知っておいて損はない 問題解決の手法

「問題解決」という言葉は、いまやビジネスの現場では毎日のように聞かれるのではないでしょうか。

多くの企業は経営戦略・経営効率・組織運営・人材マネジメントなど企業経営全般に関するなにかしらの問題を抱えており、最近ではリスクマネジメントや環境に関する問題も増えています。初めて直面する問題を解決しなければならない、複雑で難しい問題を短期間で解決しなければならない、といった状況は、コンサルタントはもとより、ビジネスパーソンであれば誰にでも起こりうることです。

そこで今回は問題解決の手法について考えてみたいと思いますが、そもそも、「問題」とは何なのでしょうか。産業能率大学総合研究所の定義を要約すると、問題とは、『「期待値(こうしたいのに/こうなっていなくてはいけないのに)」と「現状(そうなっていない)」のギャップのこと』であるとされています。

一般的に、このギャップを解決するためには一定の手順があり、その順序を飛び越えて進むと正しい解は得られないと言われています。

その手順とは、次の通りです。

1.問題の認識

2.原因調査と分析

3.解決策の立案

4.解決策の実施

5.結果評価

 

この手順を踏む際に最も重要なことは、1.の「問題の認識」と2.の「原因調査と分析」であることは言うまでもありません。問題の本質を間違って捉えたり、原因を調べないままリカバリーに走ったりすると、結果的に何も解決されない可能性が高いからです。

☆あわせて読みたい

『【PMOコンサルタントとは】つまらない?意味ない?キャリアに使えない?向いている人と今後の将来性・年収を解説!』

『【PMOとは】PMとの違い(仕事内容・意味・職種)と向いている人、業務に必要な資格・スキルセットを解説!』

『【フリーコンサル PMO】年収は?必要なスキルや資格は?つまらない?メリット・デメリットも解説』

 

問題意識を持つことがビジネスにおいて問題解決を図る第一歩

問題意識を持つことがビジネスにおいて問題解決を図る第一歩

多くの場合、ビジネスにおける問題は複雑であり、営業や企画部門などの非定型業務では、何が問題(ギャップ)なのか、担当者本人ですら、はっきり認識できていないことも珍しくありません。そういった状況に陥るのを避けるためには、日頃から「問題意識」を持って仕事に取り組むことが大切です。普段から問題意識を持っていれば、それだけ気づきが多くなり、同じものを見てもそこに潜む問題に気づく可能性が高くなるからです。

そのようにして1.の「問題の認識」と2.の「原因調査と分析」を終えて、いよいよ3.の「解決案の立案」です。ここでは、米心理学者ジョイ・ギルフォード氏が提唱した「拡散的思考」と「収束的思考」をご紹介させていただきます。

拡散的思考とは、自由な発想で思いつくままにどんどん解決のアイデアを生み出していく手法のことです。これに対し収束的思考とは、既に手元にあるアイデアや情報から実現可能なものを論理的に選択していくという方法です。問題解決は、まず拡散的思考であらゆる可能性を考え出し、収束的思考で実現可能な方策を選んでいくという手順を踏むことで、効率よく進められると言われています。

 

拡散的思考のための技法例

拡散的思考のための技法例

ただし、拡散的思考も収束的思考も、むやみに行なえばいいというわけではありません。限られた時間の中で効果的なプランを出し、業務改善に役立てるためには、既に確立されている問題解決の技法を取り入れることが必要です。

まず拡散的思考を促す技法については、大きく「自由連想法」、「強制連想法」、「類比発想法」の3つに分類され、その中でさらにいくつかの手法に分かれます。下記に、代表的なものをいくつかご紹介します。

 

(1)自由連想法

1.ブレインストーミング

5~7名程度のチームが、予め決められたひとつのテーマに対して意見を出し合い、連鎖的に次々と問題解決のアイデアを生み出す技法。アイデアへの批判禁止などいくつかのルールがあります。

2.カードブレインストーミング

ブレインストーミングでは大きな声を出す人や目上の意見が多くなる、という傾向を補った技法。参加者一人ひとりが「1アイデア1カードの原則」でアイデアを記入し、発表していきます。

3.ブレインライティング

ブレインストーミングの「同時に1人の人しか話せない」というデメリットをカバーし、同時に複数名のアウトプットを生めるようにした技法。5~7名程度のチームに分かれ、3つずつのアイデアを5分ごとに考え出し、「ブレインライティングシート」という1枚の紙(縦軸にチームメンバー名を記入し、横軸に一度に出すアイデア数である3つの枠を作ったマトリックス図)にアイデアを書き込んでいくものです。

4.欠点列挙法と希望点列挙法

ブレインストーミングの変形版。欠点列挙法は、まずテーマを決め、そのテーマについて不満点や欠点を出し、それを元に、改善点についてブレインストーミングで発想していくという手法です。希望点列挙法はその逆で、テーマに関する希望を出し、その中から実現できそうなアイデアを発想していくという手法です。

(2)強制連想法

1.入出法(インプット・アウトプット法:いりでほう)

米GE社がオートマチックシステムの設計アイデアを求めるために開発した技法。「テーマを決める」までは自由連想法と同じで、「こうなる時」という「入(インプット)の設定」に続き、「こうしたい」という「出(アウトプット)の設定」を行います。その後「制限条件」を決め、拡散的思考と収束的思考を繰り返してアイデアを練っていきます。

2.属性列挙法

アイデアを考える前にまず、テーマとなる「モノ」がもっている属性(性質や特徴)をできるだけ洗い出し、それぞれを整理して変更や改善をするとどうなるのかを検討して、改良に結びつけようとする技法です。

3.チェックリスト法

今あるものを「転用したら?」、「他の活用は?」、「変更したら」、「拡大したら」、「縮小したら」、「(別のもので)代用したら」、「(形などを)再配列したら」、「(位置や上下を)逆転してみたら」、「(他の要素と)結合したら」の9項目(ナイン・チェックリスト)の観点から見直していくという問題解決の技法です。

4.マトリックス法

縦横それぞれ3~4マス程度のマトリックス図を用い、各マスのテーマに対応した切り口を記入していく方法です。

(3)類比発送法

1.ゴードン法

会議のリーダーがメンバーに本当のテーマを教えず、「抽象的なテーマ」だけを与えて自由な発想を促す技法。そして会議の最後に本当のテーマを打ち明け、会議で出たアイデアを元に実現化を図るものです。

2.NM

発明者である創造工学研究所所長 中山正和氏のイニシャルを採った問題解決技法。テーマに対するキーワードを設定し、キーワードに類似したものを発想して、それらからヒントを得てアイデアを創造するという手法です。

収束的思考のための技法例

次に、拡散的思考で生み出された問題解決策のアイデアから、実現可能なものを選び出すための収束的思考の技法をご紹介します。

(1)帰納法

1.KJ

文化人類学者の川喜田二郎が開発した技法。5~7名程度のチームに分かれ、テーマについて思いついた事をカードに記入(拡散的思考)した後、集まったカードをチームメンバー全員で話し合いながら分類し、模造紙に貼り付けてレイアウトします。その後、分類されたグループごとの関係性を囲みや矢印で示すことで認識し、それをもとにアイデアをまとめるという手法です。

2.セブンクロス法

テーマに関する問題点や意見を7×7のセブンクロス表を使って整理していく技法。ポストイット等の小さな紙やカードに記入(拡散的思考)した意見を7つのカテゴリに分類し、横軸にカテゴリ、縦軸に意見の重要度を記入したセブンクロス表に並べていきます。並べ替える途中でカード同士を連結させたり修正を行ったりして、アイデアのブラッシュアップを行います。

(2)因果法

1.特性要因図

問題に影響している要因を系統的に図解し、「特性(=問題)」を引き起こした要因を探る技法です。出来上がった形が魚の骨の形(特性が頭で要因が背骨や肋骨)に似ているのでフィッシュボーンとも呼ばれます。

 

 

ビジネス上の問題は、さまざまな事情が絡み合って複雑になっているケースがほとんどです。そんな時、解決の手法をひとつでも知っていれば、まずはその方法を試してみるという選択ができるのではないかと思います。

今回は代表的な方法の簡単な内容のみご紹介しましたが、興味のあるものがあれば、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

コンサル登録遷移バナー

 

◇こちらの記事もオススメです◇

「業務改革に効果大! 制約条件の理論とは?」