「経営者」兼「コンサルタント」兼「書籍執筆者」兼「YouTuber」……多様な領域での活動が「線」でつながるキャリアとは

「独立・起業して、AIやDX推進など先端的な分野を中心としたコンサルティングを手がける会社経営者」、そう聞くと多忙を極めるビジネスパーソンを想起するでしょう。しかしその活動に加え、アプリ開発、書籍執筆、オンラインスクール講師にYouTuberとしての活動も手がけ、さらには子育てもおろそかにしない起業家がいます。

今回インタビューした倉嶌洋輔さんは、会社員時代には不足しているスキルを自分で学んで補いながらキャリアを重ね、SEとして仕事をしつつ大学院に通ってMBAも取得。現在は、ご自身が設立した会社の社長としてコンサルティング案件の業務委託を請け負うかたわら、多種多様なライフワークをもち精力的に活動しています。

“文系”の学生生活からエンジニア・コンサルタントとしての道を進むことになった経緯、会社員時代の経験から得たもの、独立・起業で追求した思いやその成果などについて語ってくださった倉嶌さんのお話には、多くの学びが詰まっていました。

倉嶌 洋輔

今回のインタビューにご協力いただいたプロフェッショナル人材・コンサルタント

1985年生まれ。2010年明治学院大学法学部卒。2019年グロービス経営大学院修了(MBA)。 大学時代に参加した株式会社ワークスアプリケーションズのインターンシップでプログラミングと出会い、インターンシップの上位成績者として入社資格を得て同社にエンジニア職で入社。その後、スマホアプリのベンチャー企業やSE企業でTech領域の知見を広げる。MBA通学をきっかけに、2017年にコンサルタントとして独立。2018年7月に株式会社Focus on​を設立し、代表取締役に就任。IT系証券企業、グルメレビューサービス企業、東大系AIベンチャーなどの法人をクライアントとして、ビジネス×テクノロジーの複合領域でのコンサルティングに従事。並行して、個人向けにはiPhoneアプリの開発やYouTube・Udemyでの情報発信などを展開している。   株式会社Focus on:https://www.focuson-inc.com/

倉嶌 洋輔

ものづくりの楽しさと成長を追求し、エンジニアの道へ

倉嶌さんは大学では法学部在籍で、いわゆる“文系”の学問をなさってこられました。その学生生活のなかで株式会社ワークスアプリケーションズ(以下、ワークス)のインターンシップに参加された理由、そしてエンジニアを職業にしようと思った理由をうかがえますか?

 

倉嶌さん(以下、敬称略):インターンシップに参加したきっかけは、大学の友人の勧めでした。「問題解決能力発掘インターンシップ」と銘打たれたそのプログラムは、プログラミングの教科書を一冊渡され、企業の課題を解決するシステムの企画書作りとモックアップを作るという内容で、あとは自分の頭で考えてプログラミングせよというものでした。PCはWEBに繋がらずGoogleで調べるのもNG、隣の人に聞くのもNGで、NG行為をすると即日クビという、自分の問題解決能力だけが頼りという環境で、1カ月間、事業企画とプログラミングに取り組みました。

 

プログラミングは私にとって初めての体験でしたが、実際に経験してみるとそこまで難しくないという印象でした。それに、つくる楽しさがありました。私は小さい頃、ブロックのおもちゃ(レゴ)で遊ぶのがとても好きで、何時間でもブロックを組み立てているような子どもでした。答えのないものについて、想像した完成像に向かって手を動かして作り上げるブロック遊びのプロセスの感覚と、このプログラミングには通じるものがあって、自分としてはとても楽しかったのです。

 

また、インターンシップではワークス創業社長の牧野正幸さんの講演を何度か聞く機会があり、「20代のうちはとにかく苦労して成長せよ」という話に強く影響を受けました。ITのものづくりであれば、工場ももたず在庫も抱えずに低リスクでトライアンドエラーができる。となれば、早く苦労して早く成長できるのではないか——。そう考えて、エンジニアの道を選びました。

 

ワークスでは3年半、エンジニアやITコンサルタントとして経験を積まれました。

 

倉嶌:エンジニアとしては会計製品の機能追加・改修などを経験できましたし、コンサルティングのノウハウもここで教わりました。「課題を時間で解決するな」と言われたことも印象に残っています。時間をかければ誰でも解決できる。それを短時間で実現できるからこそ価値があるというわけです。仲間と切磋琢磨しながらハイレベルなことを学ぶことができた3年半でした。

 

転職をお考えになった理由は何でしょうか?

 

倉嶌:ワークスが扱うのは基本的にBtoBのソリューションで、自分では使うことがありません。幼少期に自分でブロックを組み立て自分で遊んでいた感覚からすると、つくっても自分が使わないというのはあまり楽しくない。そこで独学でiPhoneアプリをつくるようになったものの、仕事でもiPhoneアプリの開発に携わりたいと思い、開発支援を手がける株式会社ビジネストータルマネージメント(現・株式会社BTM)に転職しました。

 

自分も使っているような有名なアプリにエンジニアとして携わり、機能を追加したりOSバージョンアップに対応したりするのはとても楽しかったです。自分が実装した機能が今も動いているのを目にすると、感慨深いものがあります。

 

ただ、当時の私はフロントエンジニアで、システムの要件周りのスキルが不足していましたし、ビジネス全体を俯瞰して見るということもできませんでした。ですから、アプリに対する改善アイデアが浮かんでも浅い提案となってしまい、現場でディレクターに提案しても実際に採用されるには至りませんでした。そうした経験を経て、自分の足りないところを変えるべきだと考えるようになったのです。

 

それが次のステップ、富士ゼロックスシステムサービス株式会社(現・富士フイルムシステムサービス株式会社/以下、富士ゼロックス)への転職につながるのですね。同時に、グロービス経営大学院(以下、グロービス)にも通われたと。

 

倉嶌:スキル不足を補うためにソフトウェア開発の上流工程を学ぼうと転職したのですが、その転職の面接でグロービス出身の方と話す機会がありました。そこでビジネス的なスキルが足りないという話をしたところグロービスを勧められ、体験クラスの受講を経て入学を決めました。

 

富士ゼロックスでのご経験は、どのような学びになりましたか?

 

倉嶌:富士ゼロックスではSEとして主に要件定義を担当していましたが、そのなかで前任者では話がなかなか進まない案件が回ってきました。私は「これはもう実際にUIをつくりながら話をしたほうがいい」と考え、自分でUI/UXをデザインしてイメージをつくり、それをお客様に毎週見ていただきながらすりあわせる方法をとりました。するとイメージのすり合わせや課題点の解消を着々と進めることができ、短期間でプロジェクトを完了することができました。

 

会社が私に求めていた業務範囲からいえば、UI/UXのデザインは“余計なこと”だったでしょう。しかしお客様の立場で考えれば、その“余計なこと”がなされたからこそ物事を早く進めることができたわけで、“余計なこと”が成果につながったといえます。

 

近年、イノベーションを起こす組織や人材に求められるのは「ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ(BTC)の有機的な結合」であるとして、BTC型の組織や人材を求める考え方が提唱されています。このBTCでいうと、私にとってこの経験は、テクノロジーとクリエイティブをまたいだ初めての経験だったと言える非常に大きな経験でした。

 

UI/UXのデザインも業務経験を通じて学ばれたのでしょうか?

 

倉嶌:「Delight U(デライトユー)」という無料のオンラインスクールがありました。これは、株式会社ディー・エヌ・エーと教育に関する事業を手がける株式会社クスールが、日本のUI/UXデザイン業界活性化のために立ち上げたもので、私はそこで学びました。

 

私はiOSアプリを開発する中で、自分にデザインのスキルが足りないことを感じていたため、そのスキルを補うために受講していたのですが、それが本業でも生きる結果になりました。

独立・起業で自分の「したい」と「さらなる成長」を実現

そうして2017年にコンサルタントとして独立されました。もともと独立・起業志向をお持ちだったのでしょうか?

 

倉嶌:持っていました。ワークス時代の学びから、成長するためには小規模の組織で仕事をするのが重要で、自分で企業を立ち上げるのが一番成長できるという考えはずっとありました。ワークスもすでに社員数千人規模の大企業で、大企業にいるとどうしても会社の歯車になってしまいますから。

 

実は富士ゼロックスでも、それを実感する出来事がありました。私を採用して下さった方が組織改編によって私の入社当日にいなくなってしまい、私は当初の予定と全然違う業務にアサインされてしまったのです。その業務では国家事業や大手企業の案件を経験でき、前述のようなデザインスキルを生かす体験もできましたが、不満は不満でした。会社員として働く限り、自分の仕事は企業の都合で決められてしまう。それなら、自分がしたいと思う仕事を選べる働き方にシフトしたいと考えたわけです。

 

独立当初はフリーランスとして活動されました。

 

倉嶌:最終的に独立の決め手となったのは、グロービスでみらいワークスの方と知り合い、大企業とフリーランスのコンサルを繋ぐサービスを介して業務委託案件を請けるという道を具体的に紹介してもらったことでした。これまで5社のコンサルティング案件に携わりました。特に、直近の案件ではAIの先端的な技術にもかかわれているのと、お客様の声を聞いて「こういうことをするといいのではないか」といったアイデアを出すアイディエーションもできる環境があり、やりがいを強く感じています。

 

独立には収入増を図りたいという狙いもあり、実際そうなりました。独立当初はそこまでの増加ではありませんでしたが、案件を経るごとに単価も上がり、実績とともに結果もついてくると実感しています。

 

2018年には株式会社Focus on​を設立。「AI活用の“悩み”と“社会実装”を繋ぐ」をミッションとして、AI活用に関するコンサルティングやトレーニングをはじめ幅広い領域のコンサルティングを展開しておられます。AIに関する知識をどのように身につけたのか教えてください。

 

倉嶌:2015年に、AIベンチャー社長とAIを研究する経済学者の講演でシンギュラリティの話を初めて聞き、そこから徐々に情報を収集するようになりました。

 

本格的に勉強したのはグロービス在学中。「GLOBIS Venture Challenge」というビジネスプランコンテストに向けて、私は友人と「漫画家のためのAIサービス」を企画しました。その過程でAIについてかなり勉強し、自分で「手書き文字認識AI」をつくったのです。コンテスト自体は残念ながら最終選考で落選。でも、この経験でAIに関する理解がものすごく深まりました。

 

他方、AIのことをよく知らない方は多く、グロービスの友人の中にもそれで困っている人が少なからずいるとわかりました。そこでグロービスの講義のあとに教室を借りて、友人たちにAIの原理や事例を教え、自分の頭で事業アイディアを作る3時間のワークショップを何回か開催していました。これは困っている友人を助けるためのものなので無償で行なっていました。教えることが私自身のAIの知識を深めることにもなりましたし、このときのワークショップの内容が、のちに執筆する書籍の原型になりました。

 

ということは、独立時点ではAIに特化した経験があったわけではなかったと。コンサルティングの業務委託案件では過去の実績が重視されがちですが、倉嶌さんはご自身の努力でそれを乗り切り、AIの領域で案件を獲得することができました。未経験での初案件で不安はありませんでしたか?

 

倉嶌:やはり不安は強かったです。でも進めていくうちに経験値がつき、それが最終的に実績となって、自分の自信になりました。今お請けしている案件はAIの案件として2件目ですが、最初の案件で「こうやって考えればいいのか、こうすればいいのか」とキャッチアップし、コツを掴むことでスキルの幅を広げ、実践できるようになっているのを実感しています。

 

クライアントから求められたことの中に、自分ができるかどうか多少グレーな部分があったとしても、「できます」と答える。すると背伸びをする必要が生じ、そのために必死で学ぶことで「できる」ようになるものです。反対に、できるかどうかわからないからと尻込みしていると、今の自分から“跳ねる”ことができません。これは私が意識していることの一つで、“跳ねる”ための勇気を大事にしています。

 

独立とほぼ同時期に結婚され、その後東京から軽井沢に移住なさいました。

 

倉嶌:東京での暮らしも気に入っていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きかったです。子どももおり、深刻な事態を前にきちんと対策しようと思うと難しさを感じるところも多くなりました。そんななか、軽井沢に従来型の学校教育とは異なるユニークな方針の学校ができたことを知り、妻とも相談して移住を考えはじめました。私は東京出身ですが、両親が軽井沢から近い上田市と東御市の出身で小さいころから軽井沢にはなじみがありました。そうして幸い、いい物件も見つかったので、引っ越しを決めました。

 

軽井沢での暮らしは常に車での移動ですし、冬の寒さも厳しく、不便はあります。でも、家から少し行けば森があり、週末には温泉でリフレッシュすることもできます。東京にもすぐに行けますから、ビジネス上の問題もありません。家族と一緒にリフレッシュも意識した生活スタイルにできているのはよかったと思います。

ライスワークとライフワークがすべてつながる生き方

倉嶌さんは本業としてコンサルティングに従事しながら、さまざまな活動をされていらっしゃいます。

 

倉嶌:今回改めて書きだしてみたところ、5つありました。

 

①iPhoneアプリの開発・販売

最初につくったのは、建築士である父のリクエストで開発した単位換算アプリ。これまでの8年間で10個のアプリをリリースし、すべて合わせて世界50カ国ほどで合計約10万ダウンロードされています。

 

リリース中のiPhoneアプリ群
https://apps.apple.com/jp/developer/yosuke-kurashima/id806702002

 

②YouTuberとしての情報発信

グロービスや実際の仕事で学んだビジネスモデルやテクノロジーに関する知識を生かし、テクノロジーやビジネスモデルに関する話をかみくだいて発信しています。

 

リリース中のTech×ビジネスの解説動画群
https://www.youtube.com/channel/UCTu3O4WbNUNY9hEbRx-hvAw

 

③オンライン学習プラットフォーム「Udemy」の講師

YouTubeで発信している情報をさらに深くしたものを、Udemy講師として有償で発信しています。

 

リリース中のコース
https://www.udemy.com/course/ai-quick-course/?instructorPreviewMode=guest

 

④自然の写真撮影

写真を撮って自分のHPやInstagramで公開したり、個展・グループ展に参加したりしています。今年はWEB3が熱いので、NFTを理解するためにも、写真作品のNFTでの出品も始めました。

 

写真作品のHP
https://www.focuson-products.com

 

⑤書籍の執筆

これまでに『AIで変革する仕事の未来』(2019年/Amazon Kindle ダイレクトパブリッシング、https://amzn.to/3jsZR8d)と、『AI時代のキャリア生存戦略』(2022年/発行元:BOW&PARTNERS、発売元:中央経済グループパブリッシングhttps://amzn.to/3sJevNF)の2冊を出版しています。

 

好きなことを追求する「ライフワーク」と生活のための「ライスワーク」という軸でいうと、これらはライフワークで、コンサルティングはライスワークです。でも、コンサルの仕事ではマッキンゼー出身やBCG出身のような非常に聡明な方と働くことで、彼らの考え方やテクニックに触れて吸収できたり、水面下で進む最先端のビジネス領域に深く関わり、今後の社会が進む方向性を知ることができます。ここで手に入れることができることは、WEBや書籍、学校では決して学べないものでもあります。

 

そのため、もしコンサル以外の活動で今の収入を全て賄えるようになったとしても、稼働は減らすかもしれませんが、コンサルの活動も続けていくと思います。

 

お父様のためにアプリを作ったり、MBAの学友のためにAIワークショップを開いたり、人のための活動が印象的です。お忙しい日々を送る中でなぜ人のためになることを始めることができたのでしょうか?

 

倉嶌:小学生の頃、阪神淡路大震災があり、東京中の小学生が励ましの手紙を書いて被災者へランダムに配る活動をしており、被災者の何名かは東京の小学生に返信を送っていました。

 

私にはたまたま被災者のお婆様から返信が来て、それ以来、その方が亡くなるまでの約10年間、文通や父の実家のりんご狩りに招待するなどの交流をしておりました。通信手段が今ほど豊かでない時代だったので、遠くにいる人と近況や心情を手紙や電話でやりとりする経験で、打算的なギブアンドテイクとは真逆のことを学んだように思います。

 

また、これとは別に、小学生の頃、仲の良い友人6名ほどと、自分の父親と日曜の朝に近所の大きな公園のゴミ拾いの活動を3年ほど行なっておりました。ゴミ拾いを友達とする時間が楽しかったのと、公園は綺麗な方が気持ちがいいため続けることができました。

 

そういった打算のないボランティア的な活動を小さな時からしていたからこそ、大人になって本来お金になることも人のために無償で始められるのかもしれないと感じています。

 

仕事をしながら子育てもなさって、多くのライフワークもおもちで、当然ご多忙と思いますが、どのようにバランスをとっておられますか?

 

倉嶌:基本的には月曜から金曜まで毎日8時間以上本業で働いて、それ以外の時間を家族との時間やライフワークの活動に充てています。今はコンサルの仕事は稼働10割から11割というところですが、今後は8割稼働にすることも検討しています。そのようにワークライフバランスを自分で決めて調整できるのも、独立して働くことのメリット。非常にありがたいです。

 

書籍の出版もすばらしいですね。

 

倉嶌:デュアルライフ(2拠点生活)の実践者である本田直之さんや四角大輔さんにかねてからあこがれがあったのですが、彼らは共通して本を執筆なさっています。彼らの本を学生の頃から読んでおり、旅行先のニュージーランドの空港で偶然、四角さんにお会いしたりした経験から、場所に縛られない生き方をするには執筆をしたほうがいいのではないかと考え、1冊目はKindleのセルフ出版でリリースしました。

 

2冊目は、NewsPicksのNewSchoolが開催した著者養成集中講座「次世代ビジネス書著者発掘プロジェクト」を通じて出版が実現しました。このプロジェクトでは「何のために本を書くのか」を定義するプロセスから始まり、自分の生き方や仕事を俯瞰して見つめることで、自分がどう生きたいかを改めて考える機会になりました。紙の本は修正がきかないので緊張感もありましたが、アウトプットが形になるのはうれしさも格別でした。

 

倉嶌さんがこれまで仕事の内外で得てきた多様な学びや経験の数々は、最終的にすべてつながって本業に生かされているのですね。スキルを身につけ評価を上げていくための努力は無駄にならないのだなと勇気付けられます。

 

倉嶌:本当に、無駄なことは何もないと実感します。活動や学びの一つひとつも、最初からお金目当てで始めたというよりは、自分や家族、友人など、身の回りの人の助けになりたいという思いが起点になっていることが多かったです。そうするとWhy(目的)が明確で自分もがんばれますし、周りの人も共感してくださり、いいスパイラルが生まれるような気がします。

 

コンサルタントとして今後実現されたいことはありますか?

 

倉嶌:引き続き、領域横断的な案件に携わることができればと考えています。私はコンサルティング領域の一つとして「BTCコンサル」を掲げており、今はビジネスとテクノロジーの領域を横断するような案件を中心にお引き受けしております。組織において領域横断的な案件というのは難しく頓挫しやすいものですが、そこに入って部署間・レイヤー間で“翻訳係”をしながらも、従来なかったようなアイデアを提言し社会に実現させていく、というような仕事が引き続きできればと思っています。

 

「先行き不透明な時代」「AI時代」「人生100年時代」などといわれる今、生き抜くために身につけるべきこと、行動すべきことなどがありましたら、アドバイスをお願いします。

 

倉嶌:将来に対して感じる不安を細かく見ていくと、「とるべき選択肢は見えているが、その実現が難しい」ケースから「選択肢自体が見えておらず、どうしたらいいのかわからない」ケースまで、グラデーションがあります。

拙著『AI時代のキャリア生存戦略』でも解説していますが、こうなるのには明確な理由があって、未来は大きく分けて4種類あることと関係していると考えられます。

 

4種類の未来

  • ①確実に見通せる未来
  • ②いくつかの選択肢が見えている未来
  • ③選択肢までは見えないが、方向性だけ見えている未来
  • ④まったく先の読めない未来

 

これは当然と言えば、当然ですが、どの程度将来が見通せているか、その段階によって不安感の大きさや質が変わってくるのです。

 

どうしたらいいのかわからない状態にある方には、「世の中で何が起こっているのか」と「自分は何がしたいのか、何ができるのか」、つまり自分の外と自分の内を理解することが必要だと思います。この2つの理解があれば、「今自分がどこにいるか」という現在地を確認できるようになります。現在地を確認できると、進むべき方向、とるべき選択肢が少しずつ見えだしてきます。とるべき選択肢が明確になれば、埋めるべき不足スキルも明確になり、そこに向かって不安感を少なくしながら着実に前に進んでいくことができるようになるはずです。私はそう実感しています。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

スティーブ・ジョブズ氏の有名なスピーチの一つに、「connecting the dots(点と点をつなげる)」というものがあります。2005年のスタンフォード大学の卒業式で語られたその内容の一端を要約すると、「私たちは、将来を見越してあらかじめ点(行動)と点(行動)をつなぎ合わせることはできない。今行なっていることの数々がいずれどこかでつながって実を結ぶと信じるしかない」というようなものです。

 

倉嶌洋輔さんのキャリアは、まさにこの「connecting the dots」。学んだことの数々がすべてつながって本業に生かされることを予期していたわけではなく、あとから見れば全部つながった、無駄なことは一つもなかった、というわけです。

 

SEとして仕事をしながら大学院に通う生活は一見ハードルが高そうに思えますが、倉嶌さん曰く「(学校に行かなければならない時間など)デッドラインがあると、人はがんばってそのラインを守るための策を実行できるもの」だそう。目的と意識のもち方次第で自分の未来は変えられる——それを体現した方から実体験としてうかがうことができ、非常に勇気付けられるインタビューとなりました。

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