「不安がすべての原動力」自身の市場価値を確かめた先にあった独立コンサルタントという生き方

“先々が不安だったから独立した”―。この言葉の意図するところをあなたは理解できますか?

「コンサルタントのワークスタイル」、今回のインタビューは堀江正輝さん。
SEからコンサルタントへとキャリアを重ねつつ、一貫してIT関連の仕事に携わってこられた堀江さんは、現在、中小企業診断士としてもご活躍中。どのような経緯でITの世界に入り、何がきっかけで中小企業診断士の道に足を踏み入れたのか、終始穏やかな口調でざっくばらんにお話しくださいました。

堀江 正輝

今回のインタビューにご協力いただいたプロフェッショナル人材・コンサルタント

関西大学在学中よりITベンチャーにてシステム開発に従事。大学卒業後、10数年に渡り、上場会計ソフトウェアメーカー、ITベンチャー、大手コンサルタント会社等、複数の企業で一貫してITプロジェクトに従事した後、2013年に独立しコンサルタント業「堀江中小企業診断士事務所」を開業。中小企業向けIT導入支援・経営支援、IT企業向け研修、公的機関の経営相談対応など幅広に活動し、2015年にザイルパートナーズ株式会社を設立し代表取締役に就任。 ザイルパートナーズ株式会社:http://seilpartners.jp

堀江 正輝

転職は自分の市場価値を確かめるための手段

-SEからITコンサルタントへとキャリアアップした後にコンサルタントとして独立なさった堀江さんですが、キャリアを変えるタイミングではどういうことを考えていらっしゃったのでしょうか?

堀江さん(以下、敬称略):新卒で就職してから独立するまで3社にお世話になったのですが、キャリアを変えるきっかけは毎回同じで、その会社での仕事をだいたい覚えたかな、成長曲線が緩やかになってきたかな、というタイミングで転職してきました。転職することで、自分が市場にちゃんと通用するのか確認したかったという面もあります。

-新卒の時にSEを選択なさった理由は何だったのでしょうか?

堀江:もともと中学生くらいの頃からコンピューターをいじっていたので、自然に選んだという感じがあります。叔父からいらなくなったコンピューターをもらったのをきっかけに、プログラムのコードが書いてある本を買って、そのまま打ち込んでゲームを作ったりするような遊びをやっているうちに、そういうものが好きになりました。大学も情報系でしたし、そんなに深くは考えずに業界に入りました。

-では現在も、IT関連のお仕事は楽しんで取り組んでいる面が多くあるのでしょうか?

堀江:そうですね。たまにVBAのコードを書いたりする仕事があるのですが、それはコンサルティング業務の息抜きのような感じでやっています。やっぱり自分の考えた設計でモノがきれいに動くことや、そういうモノが作れるということは面白いので、楽しいというか、ストレスにならない仕事ではありますね。

-SEからコンサルタントに転職すると、コードをバリバリ書くような仕事ではなくなると思うのですが、仕事内容が変わることに抵抗はなかったのでしょうか?

堀江:確かに、3社目のコンサルティングファームに転職した当初は未経験のSAPのプロジェクトに研修もなくアサインされたので、すごく苦労しました。でもスクラッチのプロジェクトとか部下の面倒を見るとかいう場面では、コードを書けるっていうのはすごくやりやすい要素になりますね。私が所属していたコンサルティングファームでは、当時も入社1、2年目の社員にはコードを書かせたり設計書を書かせたりするので、そういう場で教える時にはSE時代の経験がすごく役に立ちました。

-SEからコンサルタントに転身しようと思った理由は何だったのでしょうか?

堀江:我々の世代には同じように思っている方も多いと思うのですが、ひとつには「ITの中でもコンサル業界に行きたい」という憧れを抱いていたという理由があります。もうひとつは、お客さん側の業務まわりを知ってからシステムに落とし込むという、設計書ありきではない発想で仕事ができるというのが魅力でした。新卒で入社したTKCという会社には会計ソフトのポジションで入ったので、プログラムをゴリゴリやるなんて考えてもいなかったのですが、研修でコードを書かされた時に、周りはほとんどコードなんて書いたことがない人たちだったので、その中ではよくできてしまいました。そのせいで基盤系の難しいプログラミングをする部隊に入ってしまったので、転職することでキャリアを少しずつ業務寄りに戻してきたという面もあります。

“不安だからこそ”の独立

-コンサルティングファームから独立・起業なさったきっかけを教えてください。

堀江:もともといずれは独立しようという思いがあったというのが、まずひとつの大きな理由です。あとは、独立前に勤めていたコンサルティングファームでは成長の余地もまだまだあったと思うのですが、在籍していた5年間非常に忙しかったことに加えて、一度怪我をして会社を何ヶ月か休んだ時期にそれまでの働き方を見つめなおして、「ずっとこのままの形で働き続けるのだろうか?」という疑問を感じたというのも独立を考えるようになったきっかけのひとつですね。

-いずれは独立しようと思っていたとのことですが、それはなぜですか?

堀江:もともと自分のキャリアに関していつも不安を感じていまして、例えば、会社員の時も良い評価を受けている時でも、会社や先輩のお陰じゃないかとか、チームと相性が良いだけなんじゃないかとか考えてしまい、このまま居て環境に慣れると危ないんじゃないかなどと考えてしまいます。先ほども少し触れたとおり、転職した動機のひとつも自分が市場に通用するのか知りたいという気持ちでした。独立して働くというのは、ある意味常にその状態に身を置くということなのですが、攻撃は最大の防御ではないですけれど、その市場で仕事をいただけるということは、自分の力で生きていく能力が備わっているということの証明にもなるわけです。

あくまで私の場合ですが、例えば企業に勤めていて「あの上司とうまくやらないと食えなくなる」という不安を抱えるよりは、開かれた市場にいた方が実は安心だという発想から独立した部分もあります。今は直接お客さんと仕事をしていて、「ダメだったら次はないし、良かったら次もある」っていうある意味わかりやすい評価をいただくわけですが、組織に属しているとやっぱりそういうドライなことじゃなくて、いろんな関係性とかコネとか人脈みたいなものも関係してきますし、アピール上手な人もいたりしますよね。私はそれほどアピール上手でもありませんし、企業の中で自分の持っている実力をそのまま見せられるのかと言うとそうでもなさそうだなと思いまして。それならもう市場に出てしまい、直接評価された方がいいなと。

-実際に独立なさってみていかがでしたか?

堀江:今お話しした点に関しては正しかったというか、自分の思っていた通りでした。例えば、組織にいれば「これを売ってください」という指示が来ればお客さんに一生懸命売り込まなきゃいけませんが、今はお客さんに要らないって言われれば引くこともできますし、必要になったら呼んでくださいと言うこともできます。「このまま付き合っていたらお客様のためにならないことをしてしまいそうな気がする」というような時も、自分から手を引くことができますし(笑)。

-そういうふうにお客さんを選べるようになったのは独立してどれくらい経った頃でしたか?

堀江:コネもなく独立したので、始めは怪しい同業者からの紹介案件など後で思い返すと不本意な付き合いもありましたが(笑)独立して半年くらい経った頃からは、フリーのコンサル業として周りが見えるようになってきたことと、みらいワークスを含むエージェントさんからいただいた仕事もあって、一定の収入の目途が立つようになったので、選ぶ立場になる事ができました。幸い、いざとなったら設計やプログラミングもできるので、3~4ヶ月SEの仕事に入って収入を得れば、何とか1年ぐらいは食っていける。そういう見込みが立てばやりたくない仕事は避けられるので、そこはやはりよかったなと思います。

新たな事業の展開も見据え、自らの長所を活かしたビジネスを模索

-営業活動はどのようになさっていますか?

堀江:実はほとんどしていません。新人研修の講師の仕事もしていまして、これに関してだけは自分で研修会社に応募しましたが、ITコンサルに関してはみらいワークス経由で受けるプロジェクトくらいですし、中小企業診断士関連の仕事は商工会議所の方や先輩診断士の方からやってみないかとお声がけいただいたものがほとんどです。診断士も2~3年やっているとそういうつながりができてきました。

-先輩診断士の方とはどういう場でお知り合いになるのでしょうか?

堀江:私の場合、参加している診断士の研究会や、週2回ほど担当している葛飾区の経営相談という仕事を介しての出会いがほとんどです。経営相談というのは、毎日3人くらいの中小企業診断士が葛飾区役所に常駐して融資の相談や中小企業経営・起業の相談を受けるという取り組みです。いずれのルートでも、たぶん僕が中小企業診断士としては比較的若い頃に独立したので、周りのベテランの方にかわいがっていただいて、「補助金の件があるよ」とか「商工会議所の専門家派遣の案件やってみないか」とかお声がけいただくようになりました。

-独立してもうすぐ4年とのことですが、今後はどのようなステップをお考えですか?

堀江:自分でサービスを提供する時間に対してお金をもらう、いわば時給でお金をもらうというやり方もいいとは思うのですが、今後を見据えると、長時間働き続けることも難しくなってくると思うので、自分が動いた時間やかけた労力の何倍も返ってくるような、レバレッジの効く仕組みを採り入れる必要があると思っています。5年後や10年後のことを考えると今でも不安になりますが、でもそれが逆に原動力にもなっていますね。

私は世の中の流れを見てアイデアがポンポン出てくるようなタイプではないので、今自分が持っているものを活かして何ができるかという方向性になると思うのですが、そういった新しいビジネスの種を模索中です。今はフリーのITコンサルタントや中小企業診断士としてのサービス提供と並行して、ふたつの取組みを始めています。ひとつは、需要予測の分野で、大阪で大企業向けの需要予測ソフトを扱っている会社にお声がけいただき、中小企業向け需要予測サービスを当社で扱いはじめました。またもう一つは、まだ話せる段階ではないですが、あるIT分野の新たな事業を立ち上げ中です。特に活発に営業活動をしていなくても、独立して数年やっているといろんな縁ができてきました。そういう縁を大切にしながら、今後は仕組み化やレバレッジを意識した働き方をしていきたいと思っています。

 

-本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました!

インタビューの終盤、堀江さんは「昔から“不安”が原動力になってきた」とおっしゃっていました。「不安だからこそ独立した」という堀江さんの選択は、一見矛盾しているようにも思えますが、大企業に勤めていても先行きはわからない時代である今、同じような思考に至る人はこれからもっと増えるかもしれません。

先行きがわからないからこそ、今にしがみつかなくてもいいし、挑戦してもいい。そのように考え、新たな働き方にシフトするための第一歩としてみらいワークスの扉を叩いてくださる方が一人でも多く現れることを期待しています。

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