「絵に描いた餅を食べられる餅に」幅広い経験を活かして中小企業の海外事業支援に奔走

名だたる大企業で事業立ち上げを経験した末に選んだのは、独立し地元の中小企業を支援する道だった―。

「コンサルタントのワークスタイル」、今回のインタビューは溝口浩司さん。
横浜ゴムをはじめ、JTB、ソフトバンク、EMIミュージック、ローソンなど、名だたる企業で新規事業立ち上げや事業再生を手掛け、2011年にはご自身の会社を設立しコンサルタントとして活動中の溝口さんに、独立に至るまでの思いや、現在のお仕事において大切にしていらっしゃることなど、たくさんのお話を伺ってきました。

溝口 浩司

今回のインタビューにご協力いただいたプロフェッショナル人材・コンサルタント

大学卒業後、横浜ゴムにて北米事業マーケティング戦略を担当後、JTB新規事業企画室にて同社初の社内ベンチャー立ち上げに参画したほか、郵政省/IBM社とのJV事業を推進。その後はソフトバンク、AOLジャパン、EMIミュージック、ローソン等にて各種新規事業立ち上げ・事業再生・事業転換をプロジェクトヘッドとして展開。2011年に株式会社シー・イー・ユナイテッドを設立し、SNS・オウンドメディアマーケティングによるEC・広告・アフィリエイト等の新規収益モデルを構築・拡大、また海外マーケティングや販路開拓等も展開中。 株式会社シー・イー・ユナイテッド:http://ceu.co.jp/index.html

溝口 浩司

名だたる企業でのライフスタイルマーケティングの経験を元に、コンサルタントとして独立

-多彩なキャリアをお持ちの溝口さんですが、エンターテインメント業界を軸とした海外事業やマーケティングのご経験が多いのでしょうか?

溝口さん(以下、敬称略):自分としては雑食系ですね(笑)。もちろん、ある業界や業種やポジションを追求なさっている方のことはすごく尊敬しているものの、自分の場合は、キャリアをスタートしたちょうど30年前、横浜ゴムというタイヤメーカーで北米のマーケティングや事業戦略に携わって以降、ライフスタイルマーケティングという軸をベースに、自分が素晴らしいと思った商品やサービスのマーケティングをやってきたつもりですね。マーケティングというと4Pとか6Pとか言われますが、結局はある商品やサービスをどういうターゲットにリーチしていくかという話で、最終的には売るためのステップがマーケティングであって、自分はずっとそこに携わってきたと思っています。

おかげさまで、ソフトバンク以降はほとんど先方からお声がけいただいた仕事で、すべて新規事業の立ち上げか事業再生だったのです。かつ短期で外資の場合も多く、結果を出さないと厳しい状況でもあったので、その時々で新たに移った会社の商品をどういう人たちにリーチして短期で複合的な収益につなげることができるかというのを考えながらやってきました。

-そのキャリアを経て独立・起業に至った背景には、どのような思いがおありだったのでしょうか?

溝口:2011年4月に会社を立ち上げたのですが、50歳を迎える前に自分でやってみようかな、本当の意味での、実経験に基づいたハンズオンのスキルが重要なんじゃないかなと思ったのが大きなモチベーションです。もちろん、そういう観念的な理由だけではなくて、ビジネスチャンスとしても自分が今迄培ってきたスキルや経験を活かせるフィールドがあるのではないか、と考えたのも大きな理由のひとつなのですが。

私がそれまで勤めていた会社は、規模の大小は別にしても、世界的に名前が知られていたり、単体で売上が何兆円という会社ばかりだったのですが、インターネットの登場以降かなり事業環境が変わって、いまや大企業であってもその波に乗り遅れたり方向を間違えたりすると大変なことになってしまいますよね。私が思ったのは、大企業でさえそうなのだから、中小企業レベルの会社さんはもっと厳しい状況なのだろうなと。英語もできて海外事業の実績もあってネットリテラシーもあってネット事業も展開できるという三拍子も四拍子も揃った人を社員として雇おうと思っても、スペックが高くて雇えないというジレンマが中小企業にはきっとあるのだろうなと。非常に生意気ながら自分が外注のコンサルタントとして、機能・貢献させて頂ければ、と思ったのです。

独立する前は会社員でしたが、外資だと正社員であっても2年ターム3年タームで年収が決まっていて、「これだけミッションを果たしたらインセンティブでさらにこれだけ支払います」という契約だったので、ある意味、助っ人外人みたいな感じでしたね(笑)。転職も多かった分、国内外の人脈もあったので、そもそも独立前から会社勤めというよりは「次の移籍先はここか」という感じでした(笑)。

一方で、自分の強みと弱みというのを考えた時に、いろんなところからお声がけいただいたのは確かに自分の強みかもしれないけれど、社長として呼ばれたことは一度もないし、大企業の名前やブランドがあったからこそできた仕事なのではないかと思って、その点は弱みだと感じていました。そういうものを取り払った時にノンブランドでどこまでやれるのか、50歳になる前にチャレンジするべきではないか、と思ったのも独立のきっかけの一つでした。

「絵に描いた餅を食べられる餅に」 企画から実行までを請け負う“オペレーショナルコンサルタント”としての今

-独立当初から事業は順調だったのでしょうか?

溝口:法人を立ち上げたのが東日本大震災の20日後だったので、会社設立のタイミングとしては大変でした。もちろん、想像を絶する様な大変な目に遭われた方が多くいらっしゃい方いますので、で、そんなことを理由には出来ません。

実は独立前から営業活動は始めていて、立ち上げの時点で外資系のプロジェクトが2、3件決まっていたのですが、大震災の影響でその話が全部なくなってしまって。それでまた、過去のキャリアで中心としてやってきた音楽関係のビジネスを4年やりました。音楽ももはやコンテンツだけでは売れないと感じていたので、ソーシャルを中心としたオウンドメディアを世の中に先んじて作って、レコード会社を介さずに利益率をいかに上げるかという方向性で。おかげさまでECやアプリ、アフィリエイト、それからアーティストの海外公演もやらせていただきました。

-そういった音楽中心の状態から他業種向けのビジネスに移行したきっかけは何だったのでしょうか?

溝口:私はサッカーが大好きで、4年タームでワールドカップごとにいろんなことを考えるのですが(笑)、2014年のブラジルワールドカップで日本が惨敗した時、ちょうど音楽関連のビジネスを始めて4年経ったタイミングで、「海外と日本のハブになるライフスタイルマーケティングを軸にしていこうと思っていたのに、結局音楽中心で来てしまったな」と振り返りし、2015年以降は他業種のプロジェクトもやっていこうと決めました。ただやっぱり、ある程度色がついていたので方向転換といっても、簡単ではありませんでした。

でもこの時にまたラッキーなご縁があったのです。私は犬を飼っているのですが、その犬のレインコートを買った会社さんと仕事をすることになって、そのプロジェクトの中で経産省が主催している中小企業向け海外事業支援の補助金のことを知って、出してみましょうということになったのです。安倍政権になってからいろんな補助金が出ていて、基本的には「使った経費の3分の2まで支給」とか「事業が終わった後に支給」とかそういうものが定番なのですが、その補助金だけは位置づけが別格で、全額支給で規模もすごく大きかったのです。ただ、前年の事例がいわゆるクールジャパンというか、伝統的な日本文化をテーマにした事業が多かったので、犬の服じゃひっかからないかもしれませんね、なんて言いながらダメもとで出したのですが、結果的には数ある応募の中から11社くらいに選んでいただけたのです。

このプロジェクトにはもうひとつユニークなところがあって、それは「事業者」と呼ばれる会社と「プロデューサー」と呼ばれる人がペアを組んで申請して海外事業をがんばってください、というところでした。要するに、中小企業には海外事業を展開できる人が自社の中にいないですよね、だから外部と組みましょう、というのが前提になっているわけです。企業側にはコンテンツはあるけれど海外ネットワークがない、一方プロデューサーと呼ばれるコンサルタントにはネットワークはある、ということで、そこをマッチングしてやりましょうと。

そういった経緯で経産省の海外事業支援のプロデューサーに採択いただいて、おかげさまで2015年は北米をターゲットに、メディアも15社くらいのパブリシティに載せてもらって、ニューヨークとロスの販路開拓もでき、会社の事業も音楽中心の状態からトランジットできました。その実績をもって、それ以降は赤ちゃんブランドの海外展開のための市場調査とか、ネームタグの海外開拓の調査とか、あとは製造業企業の金属加工技術を使って作られた、自動で焼き鳥の櫛を刺す機械の海外展開とか、いろいろな会社さんのお手伝いをさせていただいています。

-中小企業向けのコンサルティングを行う上で大事にしていらっしゃることは何でしょうか?

溝口:個人的に「コンサルティング」という言葉の響きがあまり好きではないのです。別にコンサルタントの方を否定しているつもりはもちろん、まったくないのですが、自分の動きとしてあは違和感があるな、と。

中小規模の会社さんからすると、もちろんプランニングも戦略も大事なのですが、彼らは絵に描いた餅を食べられる餅にしてくれる人がいないから困っているわけです。素晴らしいシナリオを書いて持っていっても、じゃあ誰がこれを動かすのだろう?という段階で止まってしまう。だから、私は自分では「オペレーショナルコンサルタント」と称して、頭だけじゃなく手も足も動かしますというやり方でお客様の支援をさせて頂いております。

例えば先程の犬のレインコートを手掛ける会社の場合も、自分で商品を持ってマンハッタンの街を歩いて、一部飛び込みも含めて開拓したのですが、たぶんそこがほかの人と違うところかもしれません。。戦略コンサルタントと呼ばれる方はプランニングをすることがすべてだと思いますが、今私がやっているのは、運用できる人もいないところに道筋まで作って「オペレーションはお任せします」ではなく、実行も請け負うというコンサルティングです。

人と人の掛け合わせで創るクリエイティブな仕事を目指して

-営業活動はどのようになさっているのでしょうか?

溝口:基本的に今は口コミが多い状態です。自分自身で動くだけではリーチできる範囲にも限界があるので、まさにみらいワークスさんのようなエージェントとコラボレーションできるとよりその範囲が広がるのではないかなと思っています。

-今後の事業展開についてお考えのことがあればお聞かせください。

溝口:日本は今後、露骨な高齢化とそれによる人口減少が既に予測されています。だからこそ日本の企業からすると海外に出ていかなければという話になるのだろうと思うのですが、海外から日本に人が来るというビジネスニーズもまだまだあると思っています。その点では今後、アジア圏の企業だけではなく欧米の国も日本に進出してくるでしょうし、そうやって進出してきた国々が日本からアジアパシフィックに進出するタイミングでも、オペレーショナルコンサルティングのスキームを提供する機会が出てくるのではないかと思っています。

過去の案件では、クライアントは中小企業だけれどもアライアンス先として引っ張ってきた会社は国際的な会社だったというケースもあるのですが、なぜ私にそういうことができたのかというと、両方の経験があったからだと思います。大企業のノリもわかるし、ベンチャーの空気もわかるし、外資系にもいたし、国内企業にもいたので。音楽関連ビジネスでの経験も、世代間を結ぶハブとしての機能を経験できたという意味で、すごく今に活きている気がします。

-最後に、溝口さんが仕事をする上で最も大切にしていらっしゃることを教えてください。

溝口:仕事はクリエイティブであることが大事だと思っています。クリエイティブといっても、別に音楽を作ったり映画を作ったりCMを作ったりすることばかりがクリエイティブな仕事というわけではなくて、事業創造とかビジネス創造だってクリエイティブだと思います。私の場合ですと、音楽関連プロジェクトでアーティストのビジネスプロデュースをやった時も、製造業の海外展開を支援した時も、結局考えることは同じで、相手方のアーティストや社長さんをどうプロデュースしたら引き立つかという観点が大事だと思っています。そういう場合のクリエイティブというのは人と人の掛け合わせだからこそ発揮されるクリエイティブなので、方程式がないわけです。仮に同じスペックの人であっても、相性によって結果が出たり出なかったりする。だからこそ、人と人との仕事って面白いと思います。

 

-本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました!

「餅の絵を描き、さらにそれを食べられる餅に変える人」として、さまざまな中小企業で企画から実行までを請け負う溝口さん。名だたる企業で新規事業の立ち上げや事業再生を手掛けてこられた溝口さんならではの多岐にわたるご経験を、人材不足の中小企業の飛躍に存分に活かしていらっしゃるというエピソードの数々は、独立コンサルタントの新たな在り方を示唆しているとも言えるのではないでしょうか。

独立したいけれども営業活動に割く時間がない、あるいは独立したものの新たな顧客の開拓が進まない、そういった方々を支援することを通して、みらいワークスは未来に向けて挑戦する方を一人でも多く応援していきたいと考えています。

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