誰もが憧れる『週休4日制』 究極のワークライフバランスを実現した独立コンサルタントの処世術(後編)

作成日:2016年10月24日(月)
更新日:2018年8月10日(金)

過労死が話題になる昨今、週に3日だけ働き、残りの週4日は趣味に没頭する夢のようなライフスタイルを実現した人がいます。

「コンサルタントのワークスタイル」、今回のインタビューは村上アシシさん。
「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを提唱し、独立コンサルタントとして働きながら、「プロサポーター」と称してサッカー日本代表およびJリーグの北海道コンサドーレ札幌のサポーターとしても活動し、世界中、日本中を旅しながら執筆活動やメディア出演なども行っている村上さん。現在の働き方や独立した時の経緯、リスクへの考え方、今後挑戦したいことなど、盛りだくさんのお話を伺ってきました。

今回は特別編の後編としてお送りします。

村上 アシシ

今回のインタビューにご協力いただいたプロフェッショナル人材・コンサルタント

東京理科大学卒業後、2000年にアクセンチュア(当時アンダーセンコンサルティング)に入社、2006年に退社し、個人コンサルタントとして独立。それ以降、「半年仕事・半年旅人」のライフスタイルを継続中。2009年から丸1年かけて、南アフリカワールドカップ出場32カ国を巡る「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍(共著)を出版。その後も執筆活動を続け、計4冊の書籍を上梓。2013年、コンサル事業・メディア事業を法人化し、For Japan LLC.を設立。 Endless Journey(ブログ):http://atsushi2010.com/ 最新電子書籍『ロジ旅』:http://amzn.to/1QegHTI

村上 アシシ

スーツケースに入らないものは買わない

(前編はこちら

-インタビューの後半は「半年仕事・半年旅人」における半年旅人の期間について伺います。肩書きの移住地が「住所不定」となっていますが、現在はどこにお住まいなんですか?

村上さん(以下、敬称略):今は都内のプロジェクトで働いているので、お客さんのオフィスから徒歩圏内のマンスリーマンションに住んでいます。2006年に脱サラした時にベッドや冷蔵庫、テレビなどのあらゆる家具や家電製品を売ったり友人にあげたりして、都内の物件を引き払いました。それ以降10年間、僕は1カ所に半年以上定住したことがないんです。

プロジェクトに就く際はクライアント先から徒歩圏内のマンスリーマンションに引っ越して、海外に旅に出る際はそのマンスリーマンションを引き払って、日本と海外でダブルコストが発生しないように工夫しています。マンスリーマンションの1日当たりの賃貸料は通常の賃貸物件より割高ですが、僕のように年に何度も長期で海外に行く場合はトータルで考えると、賃貸物件を1年中借りるより、マンスリーマンションに都度入居した方が住居コストは安くなるんです。

 

-なるほど。住民票はどこに入れてあるんですか?

村上:本来、転居したら住民票を速やかに移動しなくてはいけませんが、短期のマンスリーマンションの場合、契約時に「住民票の移転は禁止」などのルールがあって住民票を移せないことがあるので、最近はずっと札幌の実家に入れてあります。

今年8月にリオ五輪に行く際も、スーツやYシャツなどの仕事着は実家に段ボールで送って、都内のマンスリーマンションを退去してからブラジルに渡りました。この10月もバーレーンにAFC U-19選手権というサッカーの大会を観に行くので、またマンスリーマンションを引き払う予定です。

 

-数カ月に1回のペースで引越しをするのは大変ではないですか?

村上:もう慣れましたね。この10年間、僕は「スーツケースに入らないものは買わない」というポリシーを貫いてます。引越しは段ボールやスーツケース、合わせて3個くらいにパッキングするだけで済むので、意外とラクなもんです。

リスクはコインと同じでひっくり返ったらチャンスになる

 

仕事の話に戻りますが、新卒でコンサル業界に身を置き、今の働き方になっていますが、仮にもう一度新卒で会社選びをするとしたらどういうところを選びますか?

村上:難しいな…。広告業界って羨ましいなってちょっと感じます。コンサルティング業界って守秘義務があって、自分がこういうプロジェクトでこんなビジネスの立ち上げに関わったとか言えないじゃないですか。お客さんの社名も伏せなきゃいけない。それは、情報発信が好きな自分にとってはけっこう苦痛ですね(笑)。それに対して広告業界って、特にクリエイターとか「俺はこのCM作った」と公言できるじゃないですか、そしてそれが売り込みになるでしょ。あれ見てるといいなぁと思います。でも単なる憧れなので、もう一度新卒で会社選べと言われたら、やっぱりアクセンチュアかな。あの会社で培った人脈がなかったら、僕は独立しても食っていけてませんから。

 

-次に村上さんがチャレンジしていきたいと思っていることはなんでしょうか?

村上:独立してちょうど10年経ったので、個人コンサルとして食っていく術みたいなのを系統立ててまとめて、ノウハウ本を出版したいなと考えています。最近過労死が話題になっているじゃないですか。コンサルティング業界でも、ファーム在籍時代には鬱になる同僚をたくさん見てきました。個人コンサルでも鬱になる可能性は少なからずありますが、さっき言ったように個人コンサルの場合は単発勝負なので、仮にひとつのプロジェクトで過度のプレッシャーを受けても、逃げ道はいくらでもあります。

そういう意味で僕は、死んじゃいそうなくらいに多忙なコンサルタントに対して、自分のペースで働くためのノウハウを提供して、皆がハッピーな人生を送れるようになれればいいなと。アクセンチュア時代にそんな優秀な部類じゃなかった僕ですら、この生活が10年できてるんですから、コンサルティングファームでそれなりに実績積んでいる人なら、やろうと思えば誰でもできると思ってます。その一歩を踏み出すための指南本を近いうちに出版できたらいいなと思ってます。

 

-最後に、独立を考えている人にメッセージをお願いします。

村上:僕が10年前に独立した時には、みらいワークスが提供するフリーコンサルタント.jpみたいなプラットフォームはありませんでした。昔は個々の人脈を頼りに、プロジェクトを探さなくてはいけなかった。それが今やインターネットで情報を登録するだけで、プロジェクトが見つけられるようになった。これは画期的な変化だと思います。仕事を独自に見つけられないと、コンサルタントが独立しても行き詰まる可能性があったわけですが、今やそんな心配は無用で、スキルさえあればみらいワークスが仕事を取ってきてくれる。

会社員を辞めることをリスクと捉える人が多いと思いますが、みんなリスクをネガティブに捉えすぎなんですよ。リスクなんて世の中にいくらでもあって、でもそれってひっくり返すとチャンスなんですよ。コインと同じなんです。ピンチはチャンスだってよく言うじゃないですか、映画でも絶体絶命のピンチになったら逆にそれがきっかけとして起死回生の一発逆転とかよくありますよね。それと同じように、何かネガティブなことが起こってもそれをポジティブにとらえて、そこからV字回復を狙う。リスクテイクしない人生なんて、僕にとってはありえません。そういう人生こそ面白いと思うし、それでこそ人生だと思うんですよね。

 

-本日はお忙しい中、貴重なお話ありがとうございました!

ご自身を「ワークライフバランス型」とおっしゃる村上さん。好きなサッカーに没頭できる環境を自ら作り出し、独自のライフスタイルを実践し続ける村上さんのお話は、「やりたいことなんてそうそう見つからない」、「見つかったとしても、それに没頭する時間なんてない」という言葉がはばかられるくらい圧倒的で、独立を迷っている人も思わず勇気づけられてしまったのではないでしょうか。チャレンジしたい気持ちのある人が一人でも多くリスクテイクできるよう、みらいワークスはこれからも、未来に向けて挑戦する皆さんを応援します。