【DMU(Decision Making Unit)とは】BtoBマーケティングの購買プロセスを解説

作成日:2022/04/07

DMUは、効率的なマーケティング活動をするうえで知っておかなければならない顧客側の意思決定者です。特に、BtoBマーケティングにおいては、DMUの種類とそれぞれの意思決定段階、購買プロセスをふまえたアプローチが不可欠です。この記事ではDMUの特徴や主要なタイプ、複雑な購買プロセスと役割について解説します。

 

 

目次

 

■DMUの意味とは?
(1)BtoCのDMUの特徴
(2)BtoBのDMUの特徴

 

■DMU分析が必要な背景
(1)DMUは複数になる
(2)DMUのニーズが立場によって異なる
(3)DMUは基本的には縦に増える
(4)横に増えることもある

 

■BtoBにおけるDMUのタイプ
(1)使用者(ユーザー)
(2)担当者(ゲートキーパー)
(3)起案者
(4)関与者(インフルエンサー)
(5)購買者(バイヤー)
(6)チェッカー
(7)承認者(ディサイダー)

 

■商談の全体像を把握に必要なDMUマップとは

 

■DMUを意識して商談成約につなげる!

 

 

DMUの意味とは?

ゲートキーパーと電話で談笑する営業マン

 

DMUとは「Decision Making Unit」の頭文字を取ったマーケティング用語で、購買・成約するうえで意思決定に関与した者、つまり「意思決定者」のことです。

 

 それぞれのDMUによって関心事や考え方が異なるため、各場面で的確にアプローチすることがマーケティングの成功率を上げる重要なポイントです。BtoCとBtoB、両方の営業活動におけるDMUを紹介します。

 

(1)BtoCのDMUの特徴

一個人に対して営業を行うBtoCでもDMUは1人ではなく、複数と考えることが大事です。例えば世帯主に営業する際には、その家族が想定されます。

 

家族がDMUに含まれる代表的な商品は、家や車、保険です。ほかにも冠婚葬祭に関するサービスや製品、教育などライフステージ上の大きな買い物には、配偶者の意向は無視できません。また、間接的に子どもや夫婦それぞれの実家が影響することもあるでしょう。

(2)BtoBのDMUの特徴

BtoBビジネスでは、購買プロセスが複雑化する傾向のため、さまざまなDMUが存在します。成約率を高めるためには、DMU分析が非常に重要です。

 

たとえば、ある企業で商談した際、ほとんどのケースで窓口となる社員から上司へのエスカレーションが必要になるでしょう。商談金額が大きければ、上司はさらに経営層へ承認を求める必要性があり、必然的にDMUが増えていきます。BtoBビジネスでは、商談の規模に応じたDMUの把握が大切です。

 

 

DMU分析が必要な背景

DMUのイメージ図

 

DMUは、購入の意思決定に関与した者を指すため、人数に制限がありません。基本的には、DMUの「Unit」が集合体という意味であることから、関与した者たちと考えられます。ただし、企業や案件によっては、最終的な意思決定者のみをDMUと位置付けているケースもあるようです。 

 

(1)DMUは複数になる

先述している通り、BtoBビジネスの大原則として「DMUは複数」になります。それぞれのDMUが重視するポイントは、立場の違いから異なるがあります。

 

法人営業で、商談中は確かな手応えを感じたのになぜか成約にならなかった、というケースの裏側には、DMUを把握しきれていなかったケースが多いです。まずは、DMUの範囲がどこまで広がる可能性があるか、情報収集することが重要といえます。DMUが増えるプロセスを紹介します。 

(2)DMUのニーズが立場によって異なる

顧客企業の窓口担当者と、エンドユーザーが異なるケースも、BtoBビジネスでは頻繁に見られます。このようなケースでは、DMUとして窓口の部署とユーザーの部署が関与することは間違いありません。両者には考え方や重視するポイントに微妙な差異が生じがちです。

 

窓口担当者は価格を重視し、ユーザーは利便性を重視する、といった具合です。どちらかに偏ったものを販売しようとすれば、もう一方にとっては魅力的ではないと捉えられるリスクがあります。 

 

DMUが増えるほど、ニーズは多様化していきます。マーケティングの成約率を上げるには、それぞれのニーズを見極め、適切なアプローチを行なうことが大切です。

(3)DMUは基本的には縦に増える

BtoBの購買プロセスは、窓口担当者を皮切りに、決裁の権限を持つ上司へとエスカレーションする傾向があることから、DMUは基本的に縦に増えていきます。商談の金額が大きくなるほど増加していくのが普通です。

 

たとえば、ある企業では、課長が10万円・部長が100万円・本部長が1,000万円まで決裁権を持っていると仮定します。この場合、1,000万円の購入には、窓口担当者を含めて4人のDMUが縦に存在することになります。

(4)横に増えることもある

縦に増えるのがDMUの基本ですが、横に増えることも少なからずあります。たとえば、複数の部門に関わってくる商品であれば、部長が上司へ話を上げる前に、別部門の部長へ確認することもあるのです。

 

話を受けた部長は、専門的な意見をもらうためにさらに別の部門へ相談する可能性も考えられます。こうしてDMUの範囲がどんどん広くなり複雑化するケースも多いです。商談のときには、横にも広がるDMUの範囲をある程度想定しておきましょう。

 

 

BtoBにおけるDMUのタイプ

エスカレーションのイメージ図

 

BtoBでのDMUは、関与者や意思決定者のタイプによって分けられます。それぞれの特徴を把握しておくことで、マーケティングや営業活動が効率良く進められるようになるでしょう。

 

複雑な購買プロセスでも、誰がどのように関与しているかが見えてきたら、DMUのタイプにあわせた適切なアプローチが成約への近道となります。購買プロセスの順にDMUのタイプを紹介します。

 

(1)使用者(ユーザー)

まず、DMUにあげられるのが使用者(ユーザー)です。ユーザーは文字通り商品を実際に使用する人を指します。

先に述べたように、BtoBではユーザーと購買者や承認者は別であるケースが多いです。ユーザーが重視するのはサービスや製品の機能性や利便性です。

(2)担当者(ゲートキーパー)

担当者(ゲートキーパー)は、顧客企業の窓口として、最初に交渉することになる相手です。他のDMUのニーズや希望を伝えてくれる存在なので、しっかりとヒアリングする必要があります。納期の相談や値段交渉などは特に重要事項といえるでしょう

また、ヒアリングだけではなく、商談を持ち掛ける企業の情報をユーザーや起案者に伝えたり、承認者までエスカレーションするべきか判断したりすることもあります。商談やプレゼンテーションのスケジュール管理まで任されていることも多く、担当者とは良好な関係を築くことが大切です。関心を得るためにも積極的にコミュニケーションを取り、関係づくりから始めましょう。

(3)起案者

起案者は、ユーザーのニーズを基に、経営全体を考慮して実現可能な提案をする部門を指します。次に紹介する関与者(インフルエンサー)に含まれることもあります。商品によって担当する部門は異なることが想定されるでしょう。外部コンサルタントが担うこともあるようです。

ユーザーとの大きな違いは、さまざまな面から商品を使うメリットと課題を見極め、承認を目指して現実的に起案することです。そのため、営業活動では起案者がイメージしやすい具体的なアプローチが必要となります。

(4)関与者(インフルエンサー)

関与者(インフルエンサー)は、購買の承認に影響を与える情報提供者を指します。直接購買の決断を下すのではなく、さまざまな立場から商品の情報を提供するのです。商品に関連する部門や管理部の社員などが想定されます。

 

関与者の関心事は、立場や考え方によって大きく異なるため、それぞれに合ったアプローチが重要です。関連部門の社員には専門的な情報を、管理部にはコスト面のメリットなどを伝えるといいでしょう。

(5)購買者(バイヤー)

購買者(バイヤー)は、価格や取引条件など具体的な話を進める最終的な営業相手です。主に購買部門が該当します。つまり、購買者の関心事は、商品そのものよりも価格をはじめとしたコストパフォーマンスです。

 

単純に商品の良さだけをアプローチしていても、購買者には魅力が感じられないかもしれません。価格に納得して購入に踏み切ってもらえる条件が提示できれば、今後の継続的な関係に繋がります。

(6)チェッカー

チェッカーは、購入する商品の情報をまとめ、購入の最終決定権を持つ承認者に最終決定をはたらきかける人のことです。購買者が兼任する場合もあります。承認者から指名された部門長や、熟練した現場担当者などが該当します。

 

チェッカーは承認者の意思決定に大きく関与する重要な役割なため、営業では商品の価値を感じてもらえるような具体的なアプローチが大切です。さらに、承認者が商品に求める機能やコストパフォーマンスを意識しながら、ポイントを押さえた情報提供を行いましょう。

(7)承認者(ディサイダー)

承認者(ディサイダー)は、最終的な意思決定者を指します。部門長から役員、社長まで、購入する金額や企業の考え方によって承認者の役職は異なるでしょう

 

承認権限を持っているとはいえ、商談と承認者は企業や本人の考え方によって関わりの深さが異なるものです。商談についてどの情報を重要視しているか、も同様にケースバイケースとなるでしょう。事前に窓口担当者にしっかりヒアリングすることで、適切な情報を準備できます。 

 

 

商談の全体像を把握に必要なDMUマップとは

マップをながめるビジネスマン

 

DMUマップとは、商談の意思決定に関与していると想定される人や部署を図にしたものです。DMUの関係性が整理できるので、顧客の全体像を掴むうえで必要となります。

 

DMUマップがあれば、それぞれのDMUに対して、ニーズに合った効果的なアプローチがしっかり対策できるでしょう。BtoBビジネスの特徴である購買プロセスの複雑さの解消にも役立ちます。

 

 

 DMUを意識して商談成約につなげる!

商談成立

DMUを把握することで、複雑化するBtoBビジネスでポイントを押さえた営業活動につながり、意思決定者の特定ができるようになるでしょう。そのために、DMUマップを準備し、エスカレーションを可視化した事前準備をするのがおすすめです。DMUを意識しながら、営業の成約率を高めましょう。

 

 

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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