【監修】フリーランスに必要な営業力とは?人脈づくりや交渉力がカギ
最終更新日:2020/02/05
作成日:2018/12/10
「フリーランス」を本気で目指すと、その先には難題が待ち受けているものです。たとえば、ほとんどのフリーランサーはスタートアップ期に仕事がない厳しい現実を経験します。「仕事がない」という現実を如何に克服するか。まずは、フリーランスに必要な営業力についてしっかり理解し、失敗しないフリーランサーを目指しましょう。
目次
■フリーランスを続けるために必要な「営業力」
(1)総務、経理、営業、マーケティング・・・すべてを担う
■取引先の窓口を広げてリスク分散
(1)日頃から多くの“クライアント候補”との接点を持つことを意識
■価値を正しく提供するための交渉力をもつ
(1)技術や時間の“安売り”は長続きしない
■技術や動向をキャッチアップする時間の使い方
(1)あらゆるビジネスは環境の変化を逃れられるものではない
※本コラムは、営業力・マーケティング力支援、経営企画業務支援などを行なうコンサルタントが監修しています。
フリーランスを続けるために必要な「営業力」
(1)総務・経理・営業・マーケティング……すべてを担う
フリーランスという働き方には、さまざまなメリットがある反面、いろいろな不安要素もあります。そのなかでも大きな不安要素の一つといえば「仕事が安定して入ってくるかどうか不安」ことが挙げられますが、そもそも会社員時代は、どうしていつも仕事があったのでしょうか。
会社組織では「こんなことができます」「当社のサービスにはこのような利点があります」と対外的に訴求する「広告宣伝」や、クライアントと交渉して案件を獲得する「営業」といった部署・人材・ノウハウが確保されていたからです。総務、経理、営業、マーケティングといった業務は、フリーランサーとなると、すべての業務を自分自身が担います。
しかも、フリーランスというだけで「信用」「知名度」が劣る。「実績」が1から。とみられることがあり、フリーランスが自分自身で多くの課題を克服しなければなりません。
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取引先の窓口を広げてリスク分散
フリーランスが仕事をしていくために必要となる「営業力」とはどういうものなのか、どのような取り組みや能力が必要となるのか、考えてみましょう。
(1)日頃から多くの“クライアント候補”との接点を持つことを意識
フリーランスとして仕事を始める際、まずクライアントになってもらいやすいのは「退職した会社」や「会社員時代に仕事をした取引先」でしょう。円満退職で会社との関係が良好であることや、互いにwin-winの関係が築けるという前提はありますが、技術や人柄への理解がある分、仕事を頼んでもらいやすい相手ではあります。
しかし、それだけで生計を立てられるほど容易ではありません。加えて、1社、2社といった限られたクライアントの仕事で生計を立てるのはリスクが大き過ぎます。そのクライアントの状況はいつ変わるとも知れず、ある日突然仕事の依頼がなくなることも大いにあり得るからです。したがって、仕事を安定して獲得するためには、日頃からできるだけ多くの“クライアント候補”との接点をつくり、間口を広げておくことが大切です。
そのための方法はいろいろあります。たとえば、クラウドソーシングサイトに登録しておくのもその一つ。仕事を依頼しようと考えるクライアントから見て魅力的に映るプロフィールを登録したり、実際に提案して仕事を請け負いその実績を積むことで、多くのクライアントからの引き合いが増すことでしょう
そのほか、ブログを作って実績をアピールしたり、TwitterやFacebook、職種によってはInstagramといったSNSを活用して広範囲に自分の存在を知らしめるのも有効です。エンジニアやコンサルタントの場合、フリーランスのマッチングサイトに登録することで人材会社から業務委託を受けられることもあります。
そして、人脈づくりも営業活動の一つです。Webを介した関係よりもFace to Faceの関係を重視する会社は、今も少なくないものです。人と会う機会を逃さず、幅広い人に自分の存在と得意分野を伝えましょう。その過程で仕事を紹介してもらえることもあれば、そこからさらに別の人に紹介してもらうことで人脈を広げることもできます。
価値を正しく提供するための交渉力をもつ
(1)技術や時間の“安売り”は長続きしない
フリーランスとして仕事を受注するためには、仕事の内容や料金、納期などについてクライアントと交渉をして、契約を結びます。フリーランサーになって最初のうちは、仕事の声がかかること自体をありがたく感じるもの。そのため、料金や納期についての要望も「締め切りがギリギリだけど、どうにかなるだろう」「本当はもう少し料金をもらわないと合わないけど、最初だからしょうがない」といったことを思いながらも、クライアントの言うことをそのまま受け入れてしまいがちです。
もちろん、経験・実績を積むためのテストと割り切って、期間・件数を限定して、ある程度安価で引き受けることはアリといえます。しかし、フリーランスとして仕事を続けていくためには、自分の技術と提供する価値、それを提供するための期日をきちんと見積もり、提供価値に見合う報酬を得るということが活動の原則です。仕事欲しさが先行して、むやみに自分の技術や時間を“安売り”していては長続きしませんし、同じ職種の報酬水準にも悪影響を及ぼしてしまいます。
無茶な要望をそのまま飲み込むことは、廻り回ってフリーランスとしての寿命を縮めてしまいかねません。“安売り”しない意識を堅持すること、そのうえで仕事を獲得するための交渉する能力、コミュニケーションする能力は、フリーランスに求められる「営業力」の重要な要素です。
技術や動向をキャッチアップする時間の使い方
(1)あらゆるビジネスは環境の変化を逃れられるものではない
現在の日本におけるフリーランスは、残念ながら企業に比べて信頼されづらいのが実状です。そうした状況でクライアントの信頼を勝ち取り仕事を続けていくためには、クライアントの要求に自信をもって応えるだけの技術、能力、専門性をもち、一つひとつ実績を重ねていくことが大切です。こうしたこともまた、フリーランスの「営業力」を強化することにつながります。
そのなかで特に留意しておくべき点は、市場や技術の最新動向をキャッチアップし、自分の技術もアップデートしていく努力を怠らないということでしょう。フリーランスは1人での作業が多く、会社員時代には自然と受けていた外からの刺激も減りがちです。さらに、目の前の仕事に懸命に取り組むあまり、それ以外のことに時間を使えなくなることも。
あらゆるビジネスは環境の変化を逃れられるものではなく、フリーランスも「これさえできていれば将来も安泰」ということはないと考えるべきでしょう。インターネットや書籍などで最新の情報を収集したり、セミナーや勉強会に参加するなどして勉強を重ねるといった努力に、時間やお金を積極的に使えるようなペース配分を意識しましょう。
時間の使い方という観点では、スケジュールを自分できちんと管理すること、納期を守ることは信頼の醸成に不可欠です。仕事を遂行するためには健康や体力の確保も必須ですから、睡眠や食事の時間を守ることや運動の時間をつくることも大切といえます。
まとめ
「営業力」というと、電話営業やメール営業、人脈づくりや広告宣伝といった要素を思い浮かべることも多いかもしれません。実際、事業を軌道に乗せるのに必要な要素の一つではあります。しかし、フリーランスとしての営業力のベースとなるのは、「自分にはどういうことができるか」ということを相手に伝え、依頼された内容を与えられた時間内に正確に成し遂げるといった誠実な仕事の積み重ねです。
そのために必要なのは、スケジュール管理や社会人としてのビジネスマナー、規則的な生活で健康を保つことといった、本当に基礎的なことでもあります。労働基準法の適用外である個人事業主は、働こうと思えばいくらでも仕事することができますが、無理は長続きしないものです。
自分自身が続けられる仕事のスタイルを確立し、その上でクライアントや仕事の幅を広げるための営業スタイルをつくる。それが、途切れることなく仕事をこなせる「フリーランス」という働き方を手に入れる一歩となるかもしれません。
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)
< 監修者プロフィール >
大野 晴司(おおの せいじ)
東京都立大学(現首都大学東京)卒業後、日産自動車で国内のマーケティング部門や系列ディーラーでの営業マンや本社販促部署長などを経験。中小企業診断士資格取得のために退職、2003年3月資格取得。その後、マーケティングリサーチ会社、自動車関連メーカーを経て、2008年にビズ・エキスパート株式会社を設立。神奈川・東京の中小・中堅企業の営業力・マーケティング力支援のほか、経営企画業務、新規事業支援を主な事業として活動中。また、企業向けセミナー講師なども務める。
ビズ・エキスパート株式会社:http://b-ex.biz/index.html
プロフェッショナリズムインタビュー:https://freeconsultant.jp/workstyle/w020
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