20代・30代から親の介護に備える!仕事と介護を両立するコツ

作成日:2018/10/15

 

介護離職者は10万人!政府が仕事と介護の両立を支援する時代

介護離職者は10万人!政府が仕事と介護の両立を支援する時代_1

 

政府が2015年から掲げている「1億総活躍社会」。この実現に向けた対策の一つが、親の介護などで仕事を辞める「介護離職」をゼロにする取り組みです。実際に年間で介護離職をする人は約10万人というデータもあり、日本の社会全体の大きな課題となっています。

介護が必要になる病気と言えば、認知症を思い浮かべる方も多いと思います。内閣府によると認知症を患う65歳以上の方は、2025年になんと700万人にも達するという予測もあります(※2)。今後ますます介護に関わる方が増えることは、間違いないようです。

 

こうした状況を見ると、ビジネスパーソンにとって仕事と介護の両立はもはや他人事ではありません。とはいえ20代・30代の方は「うちの親は元気だから、まだまだ介護は先かな」と思う方が多いのではないでしょうか?

 

介護は、ある日突然やってきます。両親が遠方にいるため会う機会が少なく、気づいたら認知症が進行していたということも起こり得ます。他にも家族が転倒したり、脳疾患を患ったりして、急きょ介護が必要となるケースもあります。準備もなく突然介護に直面すると、仕事と介護の両立は大変なものです。キャリアや収入にも大きな影響が出るかもしれません。

20代・30代の方こそ、今のうちから仕事と介護の両立に関する基礎知識をおさえておけば、いざというときに慌てずに対処できます。

出典: 総務省 平成24年就業構造基本調査(P72)より

出典: 内閣府 平成28年版高齢社会白書(概要版)より

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仕事と介護の両立には、まずは介護保険の基本を知っておく

仕事と介護の両立には、まずは介護保険の基本を知っておく_2

 

両親に介護が必要になった場合、仕事をしている家族が身の回りの世話をすべてするのはおそらく無理ではないでしょうか。まずは国の介護保険制度を使い、さまざまなサービスを利用することが介護の基本です。

 

介護保険とは、40歳以上の国民全員が加入する保険制度。介護保険を使えば条件はありますが、さまざまな介護サービスを利用することができます。介護保険のサービスなら利用者は一定の自己負担額を払えばよいので、費用をおさえることができます。

介護保険で利用できるサービス

自宅で過ごす方向けの訪問介護サービスでは、ホームヘルパーが自宅に訪問して、入浴や着替えの介助のほか調理や洗濯など身の回りのことをサポートしてくれます。

 

とはいえ「昼間は仕事でいないので、親を自宅にひとりにしておけない」というケースもあります。こんなときには、介護施設を日帰りで利用するデイサービスというものもあります。デイサービスでは食事や入浴のほか、リハビリテーションを行なうこともあります。ほかにも宿泊できるショートステイなど、さまざまなサービスが選べます。

 

介護用品のレンタルや、介護のために自宅をリフォームするときにも介護保険を利用して費用負担を減らせるケースもあります。

 

ただし、介護保険は利用者の状況によって使えるサービスが制限されていたり、費用の上限が決まっていたりするので、注意が必要です。

介護保険サービスを使う流れ

介護保険は、健康保険のように保険証があればいつでも使えるわけではありません。利用するためには手続きが必要です。どのくらい介護が必要かを判定する「要介護(要支援)認定」を受けたり、専門家による介護サービス計画(ケアプラン)を作成したりという手順を踏む必要があります。

介護保険の仕組みはかなり複雑。そこで介護保険を使いたいときは、介護全般の相談窓口であれる市区町村の「地域支援包括センター」へ相談しましょう。無料で相談でき、平日夜や土日も開いているところも一部あります。まずは、ご両親の住むエリアの地域支援包括センターの連絡先をチェックしておくと安心です。

介護保険でかかる費用

健康保険なら医療機関にかかった際に、会社員の方は窓口で治療費のうち3割を支払っていますよね。介護保険も基本は同じ。費用の1割または2割を支払います(利用者の年収などによって負担額が異なります)。なお、サービス利用料とは別に、加入者は保険料として毎月一定の額を支払います(保険料は地域によって異なります)。

 

 

仕事と介護の両立には外せない、介護休業法の基本を知っておく

仕事と介護の両立には外せない、介護休業法の基本を知っておく_3

 

介護保険のサービスを活用していても、それだけでは仕事と介護の両立に無理がでることもあります。働きながら介護をする方向けの支援制度についても知っておきたいところです。

国では介護休業法にて以下のような休制度を定めています。まずは概要だけでも知っておきましょう。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

介護休暇: 1年のうち、介護目的で5日間休暇が取得できる制度(半日単位でも取得可能)
介護休業:対象家族一人につき、介護目的で通算93日間休暇が取得できる制度(3回まで分割可能)休業中は条件にあえば給付金が支給されます。
労働時間の制限:介護が終わるまで、残業や時間外労働を制限する制度
時短勤務などの制度:短時間勤務やフレックスタイム制度などを利用できる制度

出典:厚生労働省 育児・介護休業法の解説

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

実際には企業によって対応が異なることも多いので、まずは勤務先の就業規則を確認しておきましょう。中には介護休業法で定めている制度以上に、手厚い支援策を行なっている企業もあります。

こうした制度以外にも支援する取り組みは少しずつ増えていて、例えば自治体主催で仕事と介護の両立に関するセミナーを行なっているところもあります。まずはセミナーに参加してみるだけでもOK。

なお介護保険とは別に、自治体が独自で介護支援サービスを提供している場合もあります。たとえば横浜市では、介護が必要な高齢者向けに玄関までゴミ収集に来てくれるサービスなどを実施しています。

利用するには条件がありますが、こうしたサービスを積極的に利用すれば介護の負担を減らせます。両親が住む地域がどんな介護支援サービスを提供しているか、チェックしておくと安心です。

 

 

介護と仕事を両立するコツ

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親など家族の介護に直面すると、育児と同じように急に会社を休まなければならないことが増えます。急に親の具合が悪くなって通院することもあれば、介護施設や区役所の窓口へ急きょいかなければならないケースも。

 

先ほどご紹介した介護休暇などを利用することになりますが、一方で仕事が滞ってしまい周囲に迷惑をかけてしまうことを気にする方も多いようです。普段から業務に関することを周囲と共有しておき、自分が不在のときでも周囲に迷惑をかけないような工夫が必要です。

 

評価への影響を心配して、上司や人事部に介護中であることを伏せている方もいるようです。ただし、理由を伝えないまま急に休んだり早退したりすることが増えると、かえって悪い印象を与えてしまいます。介護はいつ終わるかわからず、長期になることもあります。仕事と介護の両立を続けていくためには、周囲にオープンにすることも大きなポイントです。ある会社では、介護や育児などそれぞれ個人的な事情をオープンにする機会を設けて、ワークライフバランスの実現に取り組んでいるそうです。

 

ポイントは、介護や育児だけではなく、趣味など個人の事情をオープンにするという点。それぞれに考慮する体制を組むことで不公平感が軽減され、チームワークが向上する効果が見込めます。

 

フリーランスの方は取引先へ個人的な事情をすべて伝える必要はありませんが、急に連絡が取れなくなると、取引先との信頼関係に影響が出てしまいます。急な不在時にも影響が少なく済むよう、グループウェアで情報共有を常にしておく、外出時でも状況を把握できるようスマートフォンにアプリを入れておく、など普段からリスク対策をしておきましょう。

 

 

 

現実には仕事の介護の両立を図るためは、周囲の理解が得にくいなどさまざまな課題があるのも事実です。まずは、今のうちに介護保険や介護休業法などの支援策の基本について、おおまかにでも把握しておくことが大切です。帰省した時に家族と相談してみる、介護に関するセミナーに参加してみる、など気軽にできるところから始めましょう。

 

なお介護保険制度や介護休業法などは、今後も社会状況にあわせて改訂されます。定期的に情報収集しておくこともポイントです。あわせて、普段の働き方についても見直す良い機会かもしれません。効率的な働き方や、リスクに備えた働き方を目指しましょう!

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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