地方創生コンサルティングとは?仕事内容や必要な資格、事例を紹介

最終更新日:2025/08/15
作成日:2023/01/31

地方創生コンサルティングとは、人口減少や地域経済の衰退といった課題の解決策を提案し、地域の持続的な発展を支える仕事です。

 

地域課題の調査・分析、戦略立案、プロジェクト企画から実行支援まで、多岐にわたる業務を通じて、地域に具体的な変化をもたらします。

 

本記事では、地方創生コンサルティングの仕事内容や必要な資格、具体的な事例を紹介します。転職やフリーランスとしての働き方も含め、地方創生に関わるキャリアを考える際の参考にしてください。

 

目次

■地方創生とは?

 

■なぜ地方創生が必要なのか
(1)人口減少と少子高齢化の進行
(2)経済・産業の衰退
(3)地域資源の未活用

 

■地方創生コンサルティングの主な仕事内容
(1)地域課題の調査・分析
(2)戦略立案とプロジェクト企画
(3)実行支援と効果測定

 

■地方創生コンサルティング会社と事例
(1)PwCコンサルティング:いまばりワーケーション推進事業
(2)NTTデータ経営研究所:京都市タクシー改善プロジェクト
(3)デロイトトーマツコンサルティング:スマートシティ実証プログラム
(4)アクセンチュア:イノベーションセンター福島
(5)船井総合研究所:地域活性化プロジェクト

 

■地方創生コンサルタントにおすすめの資格
(1)中小企業診断士
(2)宅地建物取引士(宅建士)

 

■未経験から地方創生コンサルタントになれるのか

 

■まとめ

 

地方創生とは?

宮崎県の村の風景

地方創生とは、人口減少や少子高齢化、東京圏への人口集中といった日本の課題に対応し、それぞれの地域が持つ魅力や活力を最大限に引き出し、持続可能な社会を築くための取り組みを指します。

 

2014年の「まち・ひと・しごと創生法」の施行をきっかけに、地方創生が重要視されるようになりました。

 

「まち・ひと・しごと創生法」では、「まち・ひと・しごと」の3つの要素を推進することで、地域が自立し、活力ある社会を築くことを目指しています

 

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なぜ地方創生が必要なのか

手を繋ぐ三世代の家族

地方創生の必要性は、日本全体が直面している構造的な課題と深く結びついています。

 

ここからは、地方創生が重要視される理由と背景を一つずつ見ていきましょう。

 

人口減少と少子高齢化の進行

日本では、世界でも類を見ないスピードで人口減少と少子高齢化が進んでいます。地方ではこの影響が特に大きく、生産年齢人口の減少による働き手不足が経済基盤を直撃しています。

 

さらに、医療・介護などの社会保障費がの増加や、自治体の財政圧迫の原因は高齢化です。若い世代の流出も続き、伝統文化や地域コミュニティの維持が難しくなっていす。

 

こうした悪循環を断ち切るには、若者が定住しやすい就労環境や、子育て環境を整えることが欠かせません

 

経済・産業の衰退

少子高齢化や人口減少によって、地方では労働力不足が深刻化しています。地域の企業や商店街は縮小を余儀なくされ、若者の流出がさらに進むという悪循環が生まれています。

 

産業基盤の衰退は、地域経済の停滞だけでなく、地域社会の存続そのものを脅かしています。

 

こうした流れを食い止め、地域経済を再び活性化させるために、地方創生が必要とされています。人口減少に対応しながら、新たな産業や雇用を生み出す仕組みづくりこそが急務なのです。

 

地域資源の未活用

地方には、観光資源や特産品、歴史・文化、自然環境など、地域ならではの魅力が数多く存在します。しかし、地域特有の資源が十分に活用されず、埋もれてしまっているケースが少なくありません

 

例えば、豊かな農産物や工芸品があるにもかかわらず販路開拓が進まず、都市部や海外に広く知られていない地域があります。

 

観光においても、知名度の高い観光地に比べて情報発信が弱く、訪問者数の伸び悩みにつながっている地域もあります。

 

さらに、地元の人々がその価値を再認識できていない場合、地域資源が持続的に活用されにくくなる点も課題です。

 

こうした「眠れる資源」を掘り起こし、現代のニーズに合わせて付加価値を高める取り組みは、地方創生に欠かせない視点です。

 

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地方創生コンサルティングの主な仕事内容

ビジネス街でパソコンを手にするビジネスパーソン

ここでは、地方創生コンサルティングの業務の流れや仕事内容を、3つのステップに分けて解説します。

 

地域課題の調査・分析

地方創生コンサルティングの第一歩は、対象となる地域の現状と課題を正確に把握することから始まります。

 

人口構成、産業構造、観光資源、交通インフラ、住民のニーズなど、多岐にわたるデータを収集し、詳細な分析を行います。

 

例えば、人口減少の要因が若年層の流出にあるのか、あるいは出生率の低さにあるのか、その地域の特性に応じて課題の根源を特定します。

 

また、経済状況では主要産業の衰退度合いや新たな産業の育成可能性を検討します。さらに、住民や企業、自治体担当者など多様な関係者からヒアリングを行い、表面的な問題だけでなく潜在的な課題や地域の強みも明らかにします。

 

初期段階での丁寧な調査・分析が、その後の最適な解決策立案の土台となります。

 

戦略立案とプロジェクト企画

次に、地域の特性や将来的なビジョンを踏まえ、中長期的な目標設定を行います。

 

例えば、観光振興を目指す場合はターゲット層の設定、観光コンテンツの開発、プロモーション戦略を策定します。新規事業創出であれば、市場調査に基づいた事業モデルの構築や資金調達、人材確保計画を練ります。

 

実行支援と効果測定

戦略と企画が整ったら、それを実際に形にするための実行支援に入ります。コンサルタントはプロジェクトマネジメントを担い、進捗管理、課題解決、関係者間の調整などを行います。

 

例えば、観光振興プロジェクトでは施設改修やイベント開催、販路拡大のためのプロモーション支援が考えられます。事業支援では、販路開拓や資金調達、人材育成などを伴走します。

 

並行して、定期的な効果測定を行い、目標達成度を確認しながら、戦略や施策の見直しを行うのも重要な役割です。

 

 

地方創生コンサルティング会社と事例

タブレットを使い分析するビジネスマンの手元

ここからは、地方創生に取り組む代表的なコンサルティング会社と、その具体的なプロジェクト事例を見ていきましょう。

 

各社の強みやアプローチの違いを知ることで、地方創生コンサルティングの多様な役割や可能性がより具体的にイメージできるはずです。

 

PwCコンサルティング:いまばりワーケーション推進事業

PwCコンサルティングは、愛媛県今治市から「いまばりワーケーション推進事業」を受託し、都市部で働く個人や企業、フリーランスを対象にしたワーケーション実証事業を支援しました。

 

いまばりワーケーション推進事業の目的は、単なる観光ではなく、業務と地域体験を組み合わせた「人とつながるワーケーション」を通じて、関係人口を創出することです。

 

都市部の人材と今治市の地場産業(海運・造船業、今治タオル)を結び付け、デジタル分野など、新たな産業連携を促す取り組みとして注目されました。

 

NTTデータ経営研究所:京都市タクシー改善プロジェクト

NTTデータ経営研究所は、京都市との公民連携事業の一環として、四条通周辺で問題となっていた違法客待ち停車の削減に取り組みました。

 

行動科学の「ナッジ」手法を活用し、心理的に望ましい行動を促す看板設置などの施策を実施。その結果、違法停車時間を約9割減少させるなど顕著な効果を上げ、規制や罰則に頼らない新しい社会課題解決アプローチを示しました。

 

デロイトトーマツコンサルティング:スマートシティ実証プログラム

デロイトトーマツコンサルティング(DTC)は、株式会社エクサウィザーズと協業し、スマートシティ構想の策定から実証までを一貫して支援しました。

 

東京都のMaaS社会実装支援や、新潟県の医療・介護分野の情報基盤構想策定など、全国各地での実績を活かし、AI・IoTを活用した都市インフラや住民サービスの高度化を推進しています。

 

アクセンチュア:イノベーションセンター福島

アクセンチュアは、福島県会津若松市に「アクセンチュア・イノベーションセンター福島(AIF)」を開設し、震災復興と地方創生の両立を目指した活動を展開

 

行政のデジタル化支援や、地元製造業向けの生産性向上プラットフォーム「Connected Manufacturing Enterprises」の提供などを通じ、地域経済活性化と雇用創出に貢献しています。

 

船井総合研究所:地域活性化プロジェクト

船井総合研究所は、地域固有の長所を発見し、それをブランド化するコンサルティングを展開。シティプロモーション計画の策定支援、道の駅活性化、行政向けプロジェクトマネジメントなど、幅広い支援を行っています。

 

中小企業の売上100億円達成を目指す「100億企業化プロジェクト」も推進し、地域の経済基盤強化に取り組んでいます。

 

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地方創生コンサルタントにおすすめの資格・スキル

「SKILL」とかかれたブロックが積まれている

地方創生コンサルタントとして活動するうえで、必須となる資格はありません。ただし、業務をスムーズかつ効果的に進めるために役立つ資格は数多くあります。

 

資格は、地域課題を多角的に分析し、実行可能な解決策を導くための知識やスキルを補強し、クライアントや自治体からの信頼性を高める助けとなります。

 

ここでは、特に地方創生の現場で活かしやすい資格を紹介します。

 

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営課題を診断・助言できる唯一の国家資格です。

 

地方創生では地域経済を支える中小企業の活性化が鍵となるため、経営戦略、財務分析、マーケティング、生産管理、IT導入など幅広い知識を持つ中小企業診断士は、プロジェクトの即戦力となります。

 

強み・弱みを的確に把握し改善策を提案できる力は、産業振興や新規事業創出の現場で大いに役立ちます

 

また、補助金制度や自治体施策にも精通しているため、資金調達や制度活用の支援も可能です。

 

宅地建物取引士(宅建士)

宅地建物取引士は、不動産取引の専門知識を証明する国家資格で、地方創生の現場では空き家活用や遊休地の再生、観光施設や商業施設の開発などで強みを発揮します。

 

法規制や市場価値評価、契約実務、権利調整まで対応できるため、クライアント企業からの信頼を得やすくなります

 

例えば、空き家を移住促進の拠点や観光交流施設にリノベーションする際、宅建士の知見は、計画の実現可能性を高める大きな武器となります。

 

 

未経験から地方創生コンサルタントになれるのか

パソコンを前に作業するビジネスマン

地方創生コンサルタントへの就職・転職は、未経験からでも十分に挑戦可能です。多くの企業は、業界経験よりも地域課題への関心、企画力、プロジェクト推進スキルを重視しています。

 

実際、地方創生に特化したコンサル会社や大手総合コンサルでは、M&A支援や自治体向けDX推進など、異業種出身者が活躍するポジションもあります。社会貢献性の高い仕事に挑戦したい意欲があれば、大きなチャンスがあります。

 

ただし非公開求人が多いため、転職エージェントを活用した情報収集や選考対策が重要です。自治体勤務や地域活動の経験があれば、即戦力として評価されやすくなります。

 

まとめ

ビジネス街をジャンプしながら進むビジネスパーソン

地方創生コンサルタントは、人口減少や少子高齢化、地域経済の衰退といった課題に、経営コンサルタントとしての知見で挑む社会貢献性の高い仕事です。

 

地域課題の調査・分析から戦略立案、プロジェクト実行まで幅広く関わり、地域の未来をつくります

 

中小企業診断士や宅地建物取引士などの資格は専門性を強化し、未経験からでも挑戦可能です。失敗を恐れず一歩踏み出せば、新たなキャリアのチャンスが広がります。

 

地方創生に関わる仕事を通じて、自分自身の成長と地域活性化を同時に実現しましょう。

 

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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

 

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