バッファを管理 “クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント”とは?

作成日:2017/01/13

 

クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントとは?

クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントとは?

 

プロジェクトマネジメントに欠かせないツールといえばコレといっても過言ではない「WBS」。プロジェクト全体の工程を細かいタスクに分割した構成図であるWBSは、やるべきタスクを漏れなく洗い出すためにも、それらのタスクを整合性のとれたスケジュールに落とし込むためにも必要不可欠で、ほとんどのプロジェクトでWBSを使っているのではないでしょうか。

そんなプロジェクトの成否を左右するといってもいいWBSに少し手を加えることで、納期の厳守、さらには納期の短縮をも可能にするのが、クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントと呼ばれる手法です。規模の大きいプロジェクトや長期にわたるプロジェクト、あるいは複数のプロジェクトが同時に走る環境で、特にその効果を発揮するといわれているクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントですが、通常のプロジェクトマネジメントと何が違うのでしょうか。

今回は、このクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントについて、その中身や特色、具体的な取り入れ方を簡単にご紹介します。

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“バッファをまとめて管理する”という考え方

“バッファをまとめて管理する”という考え方

 

クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントとは、WBS作成時にプロジェクトの各タスクの所要期間を必要最低限に抑え、一方で、「プロジェクトバッファ」と呼ばれるプロジェクト全体に共通する猶予期間を設定し、タスクの進捗と共にプロジェクトバッファの残量も管理していく手法です。

通常、WBSを作成するために各タスクの所要期間を設定する際には、何らかの問題が生じてもそのタスクが終えられる期間、つまりいくらかのバッファを含んだ長めの期間を見積もっておくケースが多いのではないかと思います。

これに対し、クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントでは、このバッファを除いた必要最低限の期間が積み上げられたWBSを作成します。そのうえで、各タスクから除いたバッファをすべて足し合わせた期間を「プロジェクトバッファ」としてWBSとは別に管理し、各タスクで実際に遅延が発生した場合には、このプロジェクトバッファから適宜必要な期間を補充する、というふうに考えるのです。

この方法のメリットは、バッファを各タスクに属するもの(=そのタスクの担当者が自由に消費できるもの)ではなくプロジェクト全体の共有物と位置づけることで、バッファをあてにせずにタスクを完遂させなければならないという意識をプロジェクトチーム全体に醸成できる点にあります。自分のバッファは安心して使えても、全体のバッファには手を出しづらい、という人間の心理をうまく活用した手法であるといえます。

なお、このプロジェクトバッファはプロジェクトが進むにつれて減っていくことが想定されるため、クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントでは、タスクの進捗管理と同時にプロジェクトバッファの残量管理も行われます。各タスクの所要期間に内包されているとなかなか把握しづらいバッファを、可視化し一括管理することでリスクマネジメントのツールとしても活用しているところも、クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントの特徴のひとつといえます。

 

クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントを取り入れてみよう

クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントを取り入れてみよう

 

では、実際にクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントを取り入れる場合、WBSの作成やプロジェクトバッファの管理はどのように行えばいいのでしょうか。

まずWBSについては、下記の手順で作成します。

(1).通常の方法でWBSを作成する
(2).各タスクからバッファを除いた必要最低限の期間から成るWBSを作成する
(3).(1)と(2)の差分をプロジェクトバッファに設定する

ここで大切なのは、(2)において、各タスクに含まれるバッファを可能な限り正確に見積もり、所要期間から削除することです。このためには「必要最低限の所要期間」をかなりの高い精度で見積もらなければなりませんが、この点は突きつめると個々人によって感覚が異なるため、目安としては「各タスクが何の問題もなく順調に進んだ場合の所要期間」を見積もることになります。

次にプロジェクトバッファの管理ですが、よく使われるのは、バッファの残量を縦軸、タスクの進捗を横軸に設定し、残量をグラフ化する方法です。グラフがなだらかな右肩下がりになっていれば、プロジェクトの進行に応じてバッファが減っているということを意味します。反対に、例えばプロジェクトの前半で急激な右肩下がりになっている場合は、早い段階で想定以上のバッファを消費してしまっていることを意味します。これをWBSとあわせて定期的に確認することで、納期に対する遅延のリスクを把握しやすくなるのです。

 

いかがでしたでしょうか?

クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントには、WBS作成時の「必要最低限の所要期間」の見積もりが難しいというデメリットはありますが、プロジェクト全体ではなくタスク単位で都度遅延に気づくことができるため、問題が発生した場合には早めに手を打てるというメリットもあります。プロジェクト管理だけではなく、組織としての売上・利益目標の管理などにも応用でき、個人のスケジュール管理にも活用できるクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント。あなたも一度、ご自身の仕事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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