プロジェクトファシリテーションを用いてチーム力を最大化!
作成日:2017/01/06
メンバーひとりひとりの能力を有機的につなぎあわせ、1+1を2以上にすること、その結果としてコンサルプロジェクトを成功に導くこと、それがプロジェクトファシリテーションの目的です。そこで今回は、このプロジェクトファシリテーションの考え方について、簡単にご紹介します。
プロジェクトファシリテーションとは
プロジェクトマネジャー(PM)に必要なスキルは数多くあると思いますが、中でも最も重要なスキルのひとつとして、コミュニケーションスキルがあげられるのではないでしょうか。プロジェクトマネジャー(PM)の担う作業のうち、実に90%がプロジェクト関係者とのコミュニケーションに占められているという説もあります。
これはプロジェクトマネジャー(PM)に限った話ではなく、プロジェクトメンバーにも当てはまります。周囲と円滑なコミュニケーションができ、それによって個々人の持っている能力以上の相乗効果を生み出すことができるスキルは、コンサルプロジェクトを成功に導く大切な要因のひとつであると考えられます。
プロジェクトファシリテーションとは、プロジェクトメンバー間のコミュニケーションに着目し、個々のメンバーの力を最大限に引き出すことによってチームの機能を活性化させる手法を意味します。
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プロジェクトマネジメントとプロジェクトファシリテーションの違い
プロジェクトメンバーのモチベーションマネジメントという観点では、プロジェクトファシリテーションもプロジェクトマネジメントの一部なのではないか、という意見もあるかもしれません。
プロジェクトマネジメントが計画の立案と遂行、および遂行中の差分管理に重きを置くのに対し、プロジェクトファシリテーションではそうした活動を円滑化し、モチベートすることが重視されます。プロジェクトマネジメントがトップダウン型でプロセスを管理する手法であるのに対し、プロジェクトファシリテーションはボトムアップ型で場の協調を促す手法であるともいえます。
簡単にいえば、プロジェクトマネジメントをスムーズに行うために役立つのが、プロジェクトファシリテーションなのです。
プロジェクトファシリテーションで重視される価値観とは
メンバー個々人の力を最大化するための環境づくりを目的とするプロジェクトファシリテーションでは、次の4つの価値観が大切にされます。
(1)対話・・・メールや電話よりも対面での話し合いを重視する
(2)行動・・・机上での思考よりも具体的な行動を重視する
(3)気づき・・・気づきを意識しチーム内に共有する
(4)信頼関係・・・チームメンバー間で相互に信頼しあう
要は、プロジェクトファシリテーションではチームの雰囲気をよい状態に保つことが重視され、プロジェクトマネジャー(PM)と各メンバーとの間、あるいはメンバー間で、不要な対立や衝突が起きないよう、こうした価値観に重きを置くという共通認識をプロジェクトチーム内で共有するのです。
プロジェクトファシリテーションで行われる具体的な取り組み事例
こうした価値観のもと、具体的には下記のような取り組みが行われるのがプロジェクトファシリテーションの特徴です。
1.“良いこと”の共有から始める定例ミーティング
定例ミーティングによる情報共有や進捗共有は、プロジェクトマネジメントにおいては一般的ですが、常に効率化を求められるプロジェクトの現場では、解決すべき問題や繰り返してはいけない失敗の共有の方が優先され、うまくいったことや良かったことの共有は、後回しになるか、もしくは行われないことも多いのではないかと思います。
チームメンバー間の協調を促すことを目的とするプロジェクトファシリテーションにおいては、こうした定例ミーティングでは、まず“良かったこと”の共有から始めることを推奨しています。良かったことやうまくいったことをまず認識し、ミーティングの初めに小さな達成感をチームで共有することにより、その後に向き合わなければならない難しい問題や振り返りづらい失敗に対し、前向きに取り組みやすくなるという効果があるとされています。
2.物理的な可視化による情報共有
コンサルプロジェクトを円滑に進めるためには、その時々の進捗状況や課題の解決状況などの様々な情報をタイムリーに共有することが必要不可欠です。しかし、たくさんのメンバーが関わり、細かく分業がなされているコンサルプロジェクトでは、こうした丁寧な進捗共有は簡単なようで難しいのが実情ではないでしょうか。特にフリーランスや個人事業主として稼働している独立コンサルタントの方の場合、プロジェクトで初めて顔を合わせる場合が大半なためコミュニケーションも難しく、可視化による情報共有は大事になります。
プロジェクトファシリテーションでは、こうした情報を物理的な手段で可視化することを推奨しています。具体的には、例えば、「サーバーに格納しているので各自見るように」という内容をメールで一斉送信するだけで終わりにせず、模造紙やホワイトボードなどを使ってプロジェクトメンバー全員が見ることのできるところに掲示するという手段をとります。このようにして、“この場所に行けばコンサルプロジェクトの状況がわかる”という状態を作り出すことが、プロジェクトファシリテーションの特徴です。
これにより、チーム全体に当事者意識が醸成され、全員参加型の協調態勢を生み出しやすくなると考えられているのです。
3.チームの合意に基づくプロセス改善
定期的なミーティングでの情報共有や物理的な可視化による進捗共有を行うと、プロジェクトメンバー全員がお互いの状況やプロジェクトのゴール、計画の変更などを認識しやすくなり、問題が起こった場合の対策を現場で検討および実行することが容易になる、とプロジェクトファシリテーションでは考えられています。
具体的には、例えばプロジェクトの一部の作業が停滞していることが明らかになった場合、余力のあるメンバーがフォローに入るといった対応策が必要になると思いますが、物理的な可視化によりチームメンバーの当事者意識が高まっていれば、プロジェクトマネジャー(PM)の指示ではなくプロジェクトチーム全体の合意のもとで、そういった対応を行いやすくなると考えられているのです。
これにより、問題解決の構造が「プロジェクトマネジャーVS.プロジェクトメンバー」、あるいは「プロジェクトメンバーVS.プロジェクトメンバー」ではなく、「問題VS.プロジェクトチーム」になり、チーム内に対立構造が生じることを避けられる点も、プロジェクトファシリテーションのメリットのひとつです。
プロジェクトファシリテーションはプロジェクト外でも活用できる
プロジェクトファシリテーションとは「チームの雰囲気を悪くしないように」と意識したり、そのために重視する価値観を共有したりといった精神面だけではありません。物理的な可視化やチームの合意に基づくプロセス改善など、実際にプロジェクトチームの雰囲気の良好な維持が可能になるような取り組みの実践を推奨こそが特徴です。
プロジェクトマネジメントだけでなく組織のマネジメントにも活用でき、考え方の一部はあらゆる組織で働く個人のマインドマネジメントにも応用できる内容なので、コンサルプロジェクトに関わる人もそうでない人も、マネジメントを担う人もそうでない人も、一度試してみる価値があるでしょう。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)