タイムマネジメントとは?本当の意味や必要な能力・方法を解説
最終更新日:2025/11/06
作成日:2020/04/10
日々の業務に追われ、「時間が足りない」と感じることはありませんか。
タイムマネジメントは、単にスケジュールを管理するだけでなく、限られた時間で成果を最大化し、仕事と生活の質を高めるための重要なスキルです。
この記事では、タイムマネジメントの本当の意味から、実践的な方法、得られるメリットまでを網羅的に解説します。
明日から活用できる具体的なステップや注意点も紹介するので、自身の働き方を見直すきっかけとしてください。

< 監修者プロフィール >
大野 晴司(おおの せいじ)
東京都立大学(現首都大学東京)卒業後、日産自動車で国内のマーケティング部門や系列ディーラーでの営業マンや本社販促部署長などを経験。中小企業診断士資格取得のために退職、2003年3月資格取得。その後、マーケティングリサーチ会社、自動車関連メーカーを経て、2008年にビズ・エキスパート株式会社を設立。神奈川・東京の中小・中堅企業の営業力・マーケティング力支援のほか、経営企画業務、新規事業支援を主な事業として活動中。また、企業向けセミナー講師なども務める。
ビズ・エキスパート株式会社:http://b-ex.biz/index.html
プロフェッショナリズムインタビュー:https://freeconsultant.jp/workstyle/w020
目次
■あらゆるシーンで重要なタイムマネジメントとは
(1)タイムマネジメントの意味
(2)タイムマネジメントに求められる能力
■「仕事が早い人」がやっているタイムマネジメントのポイント
(1)減らす・任せる
(2)順序を変える
(3)簡単にできるようにする
■タイムマネジメントで得られるメリット
(1)労働力不足を補える可能性がある
(2)ワークライフバランスを大切にできる
(3)さまざまなスキルが身に付く
■6ステップでタイムマネジメントを実践する方法
(1)仕事を見える化する
(2)タスクの工数を確認する
(3)優先順位をつける
(4)業務の最適化を行う
(5)スケジュール設定と管理を行う
(6)進捗管理とフィードバックを実施する
■タイムマネジメントの注意点
(1)スケジュールにはバッファ(余裕)が必要
(2)クライアントとの共有が重要
(3)チームメンバーとの共有も大切に
あらゆるシーンで重要なタイムマネジメントとは

タイムマネジメントとは、単なるスケジュール管理の技術ではありません。
与えられた時間を有効に活用し、目標達成や成果の最大化を目指すための考え方や手法全般を指します。
仕事だけでなく、プライベートにおいてもその考え方は応用でき、生活全体の質を向上させる力を持っています。
ここでは、タイムマネジメントの基本的な意味と、それを実践するために求められる能力について掘り下げていきます。
(1)タイムマネジメントの意味
タイムマネジメントとは、簡単に言うと「時間管理」のことです。
主にビジネスのシーンでは、時間を目標達成のための資源と捉え、その使い方を計画し、コントロールすることで成果を高める考え方や一連の活動を指します。
多くの人は、時間を節約するためのテクニックや、タスクを効率的にこなすスケジュール管理術だと考えがちですが、本質は異なります。
目的は、単に作業を速く終わらせることではなく、最も重要なことに時間を使い、価値ある成果を生み出すことにあるのです。
そのためには、何に時間を使うべきかを見極め、目標を設定し、それに基づいた行動を計画的に実行するプロセスが欠かせません。
(2)タイムマネジメントに求められる能力
タイムマネジメントを効果的に実践するには、次のような能力が鍵となります。
- ・分析力
- ・計画立案能力
- ・優先順位設定能力
- ・対応力やコミュニケーション能力
- ・自分の行動を調整するセルフマネジメント力
ここで重要なのは、これらの能力は状況に応じて総合的に働くということです。
計画を立てる段階では分析力が中心になりますが、実行に移れば優先順位の判断が求められ、進行中には必ず何らかの変更や調整が発生します。
その際に必要となるのが、柔軟な対応力と関係者とのコミュニケーション能力です。
これらの能力を総合的に発揮する力こそ、タイムマネジメント力の礎となるのです。
「仕事が早い人」がやっているタイムマネジメントのポイント

業務効率が高い人材とそうでない人の差は、作業の熟練度や処理能力だけで決まるわけではありません。
成果を出す人は、時間を有効活用するためのタイムマネジメントの考え方を実践しています。
ここで「仕事が早い人」がやっているタイムマネジメントのポイントを見ていきましょう。
(1)減らす・任せる
成果を最大化するには、まず「やらないこと」を明確にする視点が欠かせません。
すべての業務に均等な労力を費やすのではなく、目標達成への貢献度が低いタスクや、付加価値の少ない作業を見極めて削減することが重要です。
また、自分でなくても対応可能な業務は、積極的に他の人に任せることで、本当に集中すべき重要な業務に時間とエネルギーを集中させられます。
このような視点を取り入れ、定期的に業務内容を棚卸しして必要性を問い直す習慣が、「仕事が早い」と評価されるタイムマネジメントにつながります。
(2)順序を変える
タスクに取り組む順序を変更し最適化することも、タイムマネジメントの重要な要素です。
多くのタスクを抱えていたり、不確定だった仕事が飛び込んできたりする場合、手当たり次第に着手するのではなく、戦略的に順序を決めなければなりません。
タイムマネジメントが上手で仕事が早い人は、このようなときにも臨機応変に、タスクの順序を変えて対応しています。
また、集中力が高まる時間帯を理解し、思考を要するタスクはその時間に配置するなど、自身の特性に合わせて仕事の順序を工夫する人も多いです。
(3)簡単にできるようにする
各タスクをより少ない時間と労力で簡単に完了できるよう、業務プロセス自体に工夫をするのも、仕事が早い人が取り組んでいるポイントです。
例えば、繰り返し発生する作業は手順をマニュアル化したり、テンプレートを作成したりする、いわゆる「仕組み化」をすれば、毎回ゼロから考える手間を省けます。
また、ファイル整理のルールを決めたり、便利なITツールを導入したりすることも、作業を簡単に済ませる効率化に直結します。
仕事が早い人は、業務に潜む非効率な部分を解消し、各作業をスムーズに進められるようにして、全体の生産性の向上を図っているのです。
タイムマネジメントで得られるメリット

タイムマネジメントによって実際に仕事が早くなれば、業務効率の改善と生産性の向上、コストの削減にもつながっていくでしょう。
一方で、タイムマネジメントの実践は、単に仕事が速くなる・生産性が上がる以上の多様なメリットをもたらします。
組織や個人はもちろん、ひいては社会にも良い影響を与えるタイムマネジメントのメリットを見ていきましょう。
(1)労働力不足を補える可能性がある
日本では少子高齢化が進み、労働力不足が懸念されていますが、効果的なタイムマネジメントがこの対策につながる可能性があります。
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」では、生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少しており、2070年には4,535万人にまで減少する予測が示されました。
このような状況において、企業が事業の生産性を維持・向上させるには、従業員一人ひとりの時間当たりの生産性を高める力、すなわちタイムマネジメントが不可欠です。
タイムマネジメントを実践することで、個々の時間の使い方を見直し、無駄な作業を削減し、付加価値の高い業務に集中できるようになります。
結果として組織全体の生産性が向上し、限られた人員でも競争力の維持が可能になるため、労働力不足を補える可能性につながるのです。
参考:内閣府「令和6年版高齢社会白書」
(2)ワークライフバランスを大切にできる
近年は、政府が推進する働き方改革の影響もあり「長時間労働を是正して仕事と私生活の調和を図る」という考え方が社会に浸透しつつあります。
このような考え方のもとで、仕事と私生活の調和を図ることをワークライフバランスといいます。
ワークライフバランスが大切にされる現代のビジネス環境において、タイムマネジメントのスキルは非常に役立ちます。
タイムマネジメントスキルを身に付けられると、限られた勤務時間内で効率的に仕事を進め、高い生産性を実現できるためです。結果として、不要な残業を削減し、プライベートな時間を十分に確保することが可能になります。
(3)さまざまなスキルが身に付く
タイムマネジメントを意識して実践する過程では、ビジネスパーソンとして重要な時間管理の技術以外のスキルが同時に磨かれます。
例えば、タスクの優先順位を判断する際には「論理的思考力」や「意思決定力」が必要です。
また、計画通りに仕事を進めるためには「自己管理能力」が、他者に業務を依頼する際には「交渉力」や「コミュニケーション能力」が養われます。予期せぬトラブルに対応する場面では、「問題解決能力」も向上するでしょう。
このように、タイムマネジメントは時間管理だけでなく、個人の総合的な能力開発につながります。時間コントロールの上達によって仕事に追われる感覚も減り、自分の選択に手応えが生まれ、前向きな行動につながっていくでしょう。
6ステップでタイムマネジメントを実践する方法

タイムマネジメントの重要性を理解しても、具体的に何から始めればよいか分からない人もいるかもしれません。
実は、ここで紹介する手順を踏めば、効果的なタイムマネジメントを簡単に実践しやすくなります。
ここで、タイムマネジメントを日々の業務に落とし込み、習慣化するための具体的な6つのステップを解説します。
効果的なタイムマネジメントに取り組むため、一つずつ着実に取り組んでいきましょう。
(1)仕事を見える化する
タイムマネジメントの最初のステップは、業務内容を詳細に把握し明確にすること、つまり「仕事の見える化」です。
仕事の見える化は、客観的な把握や、その後の工数見積もり、スケジュールの立案に役立ちます。
まずは1週間分の業務を詳細に記録し、各タスクにかかった時間を正確に把握しましょう。
例えば「企画に3時間」のように具体的な数値を記録すると、どの業務にどれだけの時間を費やしているのかが明確になります。
次に、業務フローを図式化して、業務の流れや各タスクの関連性を視覚的に理解できるようにしましょう。
例えば、次のような形で視覚化すると、全体の流れを把握しやすくなります。
- (1)企画を立てる
- (2)上司の承認を得る
- (3)資料を作成する
- (4)顧客へプレゼンする
加えて、月次・四半期・年間単位で発生する業務も洗い出しましょう。
(2)タスクの工数を確認する
仕事の見える化をしたら、タスクごとの工数の見積もりをしましょう。
まず、各タスクを完了するまでにどれくらいの時間がかかるかを予想し、所要時間を設定します。
次に、実際に記録した1週間分の業務の実測時間と、予想所要時間とを比較分析し、どのタスクで大きなずれが生じているのかを特定します。
大きなずれが見つかったタスクについては、原因を考察し、効率化できる業務や時間配分を見直すべき業務を具体的に洗い出せます。
予想以上に時間を要しているタスクがあれば、作業工程を見直したり、ツールを活用したりして効率化を図る余地がないかを検討しましょう。
1週間だけでなく、1カ月ごとや四半期ごとなど、定期的に発生する長期的なタスクについても同様の工数確認を行いましょう。
(3)優先順位をつける
タイムマネジメントの次のステップは、それぞれの作業への優先順位をつけること。このときに役立つのが、「時間管理マトリクス(アイゼンハワーマトリクス)」です。
「重要性」と「緊急性」の二軸をもとに、次の4パターンのうち、各タスクがどれに分類されるのかを確認しましょう。
- (1)「重要性」高い×「緊急性」高いものは即実行
- (2)「重要性」高い×「緊急性」低いものは時間をかけて実行
- (3)「重要性」低い×「緊急性」高いものは最小限に実行または他に任せる
- (4)「重要性」低い×「緊急性」低いものは実行しない
今、抱えているタスクを上記の(1)~(4)に割り振り、まずは(1)の「重要性」も「緊急性」も高いタスクから取り組むようにしていきましょう。
マネジメントの計画書にも優先度を記載しておくと、全員に情報が渡り、全体の流れがスムーズになる可能性が高まります。
(4)業務の最適化を行う
優先順位付けによって分類したタスクは、「任せる」「捨てる」「効率化」の3つの観点から最適化を進めましょう。
まず「任せる」場合、他のメンバーへの業務移管や、ツールを活用した自動化を検討してください。
定型的な業務を外部に委託することで、メンバーはより創造的で重要な業務に集中できるようになります。
IT業界などで複数のプロセスを経てプロジェクトを完成させる場合は、メンバーの得意分野を考慮した人材配置も大切です。
次に「捨てる」場合、不要な業務を思い切って廃止し、無駄な時間を削減するよう努めましょう。定期的に業務内容を見直し、現在も必要性が高いかどうかを判断してください。
「効率化」を図る際は、手間がかからず大きな効果が見込める業務の改善に取り組みましょう。
(5)スケジュール設定と管理を行う
これまで実施したステップをもとに、具体的な実行計画であるスケジュールを設定していきます。スケジュール設定では次の項目を明確に定義しましょう。
- ・誰が
- ・いつからいつまでに
- ・どのタスクを担当するのか
設定したスケジュールは、ガントチャートなどを活用して全体像を可視化し、関係者間で共有して進捗状況の認識を統一しましょう。
また、スケジュールは一度作成して終わりではありません。計画通りに進んでいるかを日々確認し、必要に応じて柔軟に調整していく必要があります。
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(6)進捗管理とフィードバックを実施する
スケジュールを立てたら、計画と実際の進捗状況を定期的に比較し、その差異を管理・修正するフィードバックが重要です。
週次ミーティングなどの進捗確認の場を設けて、課題や問題点、現状を定期的に共有しましょう。
遅延が発生している場合は、原因を速やかに特定して対策を講じなければなりません。
ミーティングの際は、単なる進捗報告で終わらせず、「なぜ遅れたのか」「なぜうまくいったのか」を振り返り、原因と要因を明確にすることが重要です。
そうして得た知見を次のタスクの進め方やチームの動きに反映させ、改善を継続していきましょう。
進捗管理とフィードバックは、一方的なタイムマネジメント管理ではなく、現場と計画をつなぐ実践的プロセスでもあるのです。
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タイムマネジメントの注意点

タイムマネジメントは多くのメリットをもたらしますが、実践方法を誤ると期待した効果が得られないこともあります。
効果的にタイムマネジメントを機能させるため、タイムマネジメントの注意点を把握しておきましょう。
ここでは、タイムマネジメントを成功に導くために、特に意識しておきたいポイントを解説します。
(1)スケジュールにはバッファ(余裕)が必要
タイムマネジメントにおいて、スケジュールにバッファ、つまり予備の時間や余裕を持たせることが非常に重要です。
もしすべての時間をタスクで埋めてしまうと、予期せぬ問い合わせや急な依頼、システムトラブルなど、突発的な事態が発生した際に、計画が容易に破綻してしまいます。
バッファは、単に時間を空けておくだけでなく、あらかじめ計画に織り込んでおくようにしましょう。
例えば、タスクの所要時間を見積もる際は、過去の類似業務にかかった時間を参考にし、無理のない妥当な数字で設定することが重要です。
各タスクに10~20%程度の余裕時間を設けることも有効です。
柔軟な対応が可能な計画こそが、現実的なタイムマネジメントの実現や精神的な余裕につながります。
(2)クライアントとの共有が重要
タイムマネジメントは、個人の努力だけで完結するものではありません。特にプロジェクトをチームで推進する際には、関係者との密な情報共有が不可欠です。
プロジェクトの進捗状況は、クライアントと定期的に共有し、認識の齟齬を防ぎ、スムーズな連携につなげましょう。
情報共有が不十分だと、手戻りが発生したり、予期せぬ問題につながったりするリスクが高まります。
例えば、プロジェクトの進捗に遅れが生じているにもかかわらずその情報が共有されていないとどのようになるでしょうか。
遅れが判明したときにクライアントからの信頼を損なう上、最終的には納期の遅延を招く可能性もあります。
一方で、スケジュールや抱えている課題をオープンにしておけば、情報の透明性が確保され、信頼関係を維持しやすくなります。
万が一、問題が発生した際でも、協力して迅速に対処できることもあるでしょう。
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(3)チームメンバーとの共有も大切に
チーム間で週次や日次の進捗確認の場を設け、現状や遅延・リカバリー案について共有することも重要です。
単にスケジュール表を共有フォルダに置くだけでなく、対話を通じて状況を「自分ごと」として捉えてもらうように努めましょう。
このような取り組みがメンバーとの協力体制を強化し、プロジェクトの円滑な推進につながります。
まとめ

タイムマネジメントは、単なる時間管理の技術に留まらず、自身の潜在能力を引き出し、仕事と生活の質を向上させるための手法です。
本記事では、タイムマネジメントの基本的な意味から、得られるメリット、具体的な実践ステップ、そして実践する上での注意点までを網羅的に解説しました。
まずは、自身のタスクを「見える化」し、優先順位を設定した上で、具体的な計画を立てることから始めてみましょう。
実際に取り組み、継続することで、タイムマネジメントのスキルは着実に磨かれていきます。完璧を目指す必要はありません。
ぜひ今日からタイムマネジメントを日々の習慣に取り入れ、自身の可能性を広げ、より充実した毎日を実現してください。
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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)
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