法人登記前にチェック!「本店所在地」を決める時に気を付けるポイント

作成日:2016/10/12

 

独立・起業して法人登記を行う場合、本店所在地、つまりは会社の住所を決めなければなりません。本店所在地は、オフィスとして借りた場所だけでなく、自宅の一室やレンタルオフィスでも設定することができますが、注意すべきこともいくつかあります。今回は、そんな「本店所在地」に関する注意点を、簡単にご紹介します。

 

賃貸オフィスを本店所在地にする場合

インサイドセールスとは

 

最も一般的なのは、設立した会社で賃貸物件のオフィスを借り、そこを本店所在地に設定するというケースではないでしょうか。

 

この場合、問題になるのは賃貸借契約を交わす際の名義をどうするかという点です。会社のオフィスなので、設立予定の会社名義で契約したいところですが、登記が完了していない法人の名義では契約することができません。しかし、オフィスの場所、つまり本店所在地が決まらなければ登記もできないため、どうすればよいのか、という問題です。

 

一番オーソドックスな方法は、取り急ぎ個人名義で契約し、法人登記が完了した後で名義を会社のものに変更するというやり方です。しかし、この方法では、仲介会社から名義変更の手数料を請求される場合があります。このため、仮契約が可能な場合は、仮契約を行ってから登記を行い、その後本契約を行うという流れで契約するといいでしょう。

 

 

自宅を本店所在地にする場合

 

Webデザイナーなど仕事をする場所を選ばないフリーランスや個人事業主の方は、自宅でも仕事をすることができます。最近はクラウドソーシングの普及もあり、このような在宅ワークをするフリーランスのコンサルタントも増えているかもしれませんね。 そのような人の中には、自宅をオフィスにしているというフリーランスの方もいるでしょう。しかし、自宅を本店所在地にする場合も注意すべき点が1つあります。

 

自宅が持ち家ではなく賃貸物件の場合、登記を行う前に、必ず賃貸借契約書を確認しましょう。場合によっては、「事業所に使ってはならない」という内容が書いてあることがあります。契約書にそのような条文があるにも関わらず、知らずに自宅を本店所在地にしてしまって、後々大家さんと揉めたりといったことは避けたいですよね。一軒家かマンションかに関わらず、賃貸物件の場合は事前に契約書・規約をしっかりと確認しましょう。

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レンタルオフィスやバーチャルオフィスを本店所在地にする場合

業務に必要な設備があらかじめ整っていて短期賃借もできる「レンタルオフィス」や、住所・電話番号など事業を行うためのサービスのみを受けられる「バーチャルオフィス」などの新しいサービスも近年増えていますが、これらの住所を本店所在地に設定することも、場合によっては可能です。自宅をオフィスにする方法の次にコストを抑えられますし、住所も一等地にできるので、金銭面やその他の面でもメリットが多いように思え、フリーランスのコンサルタントの方もご利用されている方はいらっしゃるようです。

 

しかし、この場合にもいくつか注意点があります。代表的なものは次の2点です。

1.労災保険に加入できないリスク

当初はフリーランスや個人事業主として独立・起業し、事業が波に乗ってきたのでいざ従業員を雇おう、ということになった場合、労災保険への加入が義務付けられていますが、レンタルオフィスやバーチャルオフィスが本店所在地になっていると、加入できないことがあります。というのも、労災保険に加入する際には、従業員が実際に働いている住所を申請しなければならないからです。レンタルオフィスやバーチャルオフィスの場合、そこで実際に働くわけではないので、加入できない場合があるのです。

2.会社名義の銀行口座が開設できないリスク

登記が完了した後は法人名義の銀行口座を開設することになると思われます。しかし、近年増えている振り込め詐欺や投資詐欺の影響で銀行の審査は厳格化が進んでいるため、登記住所地、つまり本店所在地での業務実態がない場合、法人口座の開設が認められないケースが増えてきているのです。フリーランスや個人事業主の方にとっては悩ましい問題です。

 

せっかく登記をしたとしても、従業員を雇った時に労災保険に加入しないという選択肢はありえませんし、会社名義の銀行口座も作れないとなると、本店所在地を変更せざるをえなくなるかもしれません。しかし、一度登記してから本店所在地を変更すると、手数料を含めて10万円近くかかる可能性があります。後々、手間とコストがかかることにならないように、フリーランスや個人事業主の方がレンタルオフィスやバーチャルオフィスを本店所在地にする際、上記2つの点に注意が必要です。

 

本店所在地の決定は慎重に

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いかがでしたでしょうか?

賃貸オフィスを借りて、そこを登記するのは手間とコストこそかかりますが、それ以外のデメリットは少なく、フリーランスで活躍される方にとって、長い目で見れば不安の少ない方法であると言えます。 とはいえ、独立・起業したばかりのフリーランスや個人事業主の方にとっては、初期費用を抑えられて一等地の住所も使えるレンタルオフィスやバーチャルオフィスが魅力的なのも事実です。

一方、レンタルオフィスやバーチャルオフィスによる一等地の住所は、一見顧客に安心感を与えそうですが、そこに実態がないという点では逆に不安を煽る要素にもなりかねません。 どれを選んでもメリット・デメリット双方がある本店所在地。先々のことまで考えて、自社の状況に合った選択をしたいものですね。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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