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「著者のために働きたい」 その想いに忠実に己の道を歩む“フリーランス編集者“に迫る

フリーランスという新しい働き方が増え続けている昨今、まだその働き方を選択する人が少ない業界や職種も存在します。「書籍編集者」もフリーランスという働き方がまだまだ少ない職業の一つでしょう。出版社から独立し、活躍される“フリー編集者”の想いとは?

みらいワークスがお届けする「プロフェッショナリズム」、今回のインタビューは鹿野哲平さん。
出版社勤務を経て独立し、現在はフリーランスの編集者としてビジネス書をはじめとするさまざまな書籍を世に送り出していらっしゃいます。編集者にはまだ比較的少ないフリーランスという働き方を、鹿野さんが選択した理由は何なのか。その背景には、著者の方々への熱い想い、そして今後の出版業界への冷静な眼差しがありました。

今回のインタビューにご協力いただいたプロフェッショナル人材・コンサルタント

コンサルタント・プロフェッショナル画像
鹿野 哲平(しかの てっぺい)
1983年生 / 東京都在住

フリーランスのビジネス書編集者。ビジネス書以外にも、自己啓発書、実用書、実務書、女性エッセイ、美容・ダイエット本などを幅広く手掛ける。まだ世界に出ていない書き手の発掘を行なう出版プロデューサーとしても活動中。

 

◆SHIKALABO:http://shikalabo.com/profile/
◆ブログ:https://profile.ameba.jp/ameba/supershikax-vook

 

「著者のために働きたい」という想いからフリーの編集者に転身

「著者のために働きたい」という想いからフリーの編集者に転身

 

フリーランスの編集者として活動していらっしゃる鹿野さんですが、書籍編集という職種でフリーランスという働き方をしている方は、まだ世の中には少ないのではないかと思います。独立に至るまでは、どのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?

 

鹿野さん(以下、敬称略)22歳でビジネス書を手掛ける日本出版社に入社し、20代はそこでお世話になりました。中小企業向けのビジネス書や自己啓発、語学関連の書籍を中心に出版している会社だったのですが、当時業界でも有名な編集長がいらっしゃり、その方に多くのことを教えていただきました。

 

その後、ビジネス書以外の分野を経験できればという想いから、漫画やタレント本をメインで取り扱っていた出版社に転職しました。ところが実際には1社目での実績を買われて「ビジネス書を作ってほしい」と言われてしまい(笑)。結局そこでもビジネス書を担当することになりました。

 

ただ、日本の出版界では「自社の得意分野以外の書籍を作っても売れない」というのが現実です。本が“売れる”ためには書店の良い場所、良い棚にたくさん置いていただく必要があるのですが、そのためには出版社の営業による日々の努力が欠かせません。つまり、新たな分野の新刊を突然書店に持っていっても、以前からその分野で実績のある出版社には太刀打ちできない構造になっています。理屈では分かっていましたが、2社目でビジネス書を作るようになって初めてその現実を実感させられました。その反面、社員として出版社にいる以上は著者の方に対して「うちのビジネス書の営業は弱い」とは言えません。そんなジレンマを感じる中で、次第に著者の方に申し訳ないという気持ちが大きくなっていき、結局そこは1年で辞めてしまいました。

 

フリーになったのは、退職後に知り合いの編集者との会話の中で「企画を出してほしい」と声をかけられたことがきっかけでした。書籍の編集からは一旦離れて別のことをしようかとも思っていたのですが、始めてみたらニーズもあり徐々に忙しくなってきたので、そのまま続けて今に至ります。

 

 

初めから「フリーの編集者になろう」と思っていたわけではなく、出版社を辞めた後に「こういう働き方があるのか」と気づいてフリーランスになったということですね?

鹿野:そうですね、意図して独立したわけではなく「結果的にこうなった」というのが正直なところです。転職も考えなかったわけではないのですが、編集以外にもやりたいことがいろいろあり、構想を練っている間に半年くらい経ってしまい(笑)。「まずは自分の得意分野で結果を出そう」、「とりあえず生活できる状態にしなければ」という気持ちから、結果的に今の働き方になりました。

 

 

なるほど。とはいえ、フリーランスがまだまだ少ない業界で独立するには迷いや不安もあったのではないですか?

鹿野:確かに初めは「編集者は出版社にたくさんいるのだから、フリーの編集者のニーズなんてないのでは?」と思っていました。僕自身も、出版社にいた頃に外部から企画をもらったことはありませんでしたしね。ところが実際にフリーになってみると、意外と多くの出版社が企画や編集のできる人材を求めていることがわかり、ビジネスとして成立するなと感じました。

 

僕は「著者のことを第一に考えたい」という気持ちが強いのですが、「独立したほうが著者のために働ける」ということがわかったのも、フリーランスという働き方を続けてみようと思った理由の一つでした。出版社の中にいると、企画を考えても会議で通らなければ終わりです。でもフリーの編集者であれば、一つの出版社で通らなくても別の出版社に提案することができる。あるいは、初めから著者の方の得意分野に強い出版社を選ぶことで、“売れる本”により近づけることができる。著者の方の専門性や意向を考慮し、出版社とのマッチングの最適化を図ることによって、その書籍がより多くの人の手に渡る可能性があるという点が、フリーの編集者ならではの面白さだと今では思っています。

 

“売れる本”を生み出す、著者と編集者のマッチング

“売れる本”を生み出す、著者と編集者のマッチング

 

フリーランスになったほうが著者のために仕事ができる、というのは興味深いお話ですね。

鹿野:編集者にとっては、読者、そして書店だけでなく、著者もお客様になります。フリーランスになると、ここに出版社も加わります。直接やり取りする出版社や、本を読んでくれる読者も大切ですが、何より著者のために力になりたいと考えています。もちろん、それが読者にとっていかに役に立つのかという点で考えなければいけないと思っています。

 

 

弊社も「個人のために活躍の場を作る」という理念を掲げている一方で、お金は法人のお客様からいただいているので鹿野さんのお気持ちには非常に共感を覚えます。登録コンサルタントの方々と法人のお客様との相性を見極めることで、双方にとってより良い成果が期待できるという点も、弊社のビジネスに近いものを感じます。

鹿野:本を出すためには企画の考え方や企画書の作り方が大事だという話をよく耳にするのですが、個人的には企画書自体はそれほど重要ではなく、結局は著者と編集者、出版社との相性ではないかと思っています。最終的に結果に結びつくのは、やはり著者と編集者の人間同士のつながりや本気度なのではないかなと。

 

例えば同じ著者が同じようなテーマの本を書いても「この編集者が担当の時はなぜか売れる」といったことが実際に起こるので、著者にとっても「いい編集者と出会えるかどうか」が重要であり、編集者にとっても「人として応援したくなる著者に巡り会えるかどうか」が肝なのだと思います。そういう意味では、体裁のいい企画書にこだわりすぎることはあまり本質的ではないと思いますね。

 

 

編集というのは“人を見る”仕事だということですね。非常に面白いです。そうすると、著者に惚れ込んで執筆を依頼するというケースが多いのでしょうか?

鹿野:僕の場合は、熱い想いや隠された苦労話を持っている方に出会い、その方の人柄や考え方に惹かれて「この人を応援したい」、「こんなに面白い人がいること、こんなに面白い考え方があることを世の中の人にも伝えたい」という思いから企画を立てることが多いですね。仕事術や営業スキルなどをテーマにした、どちらかといえば著者の個性が強く出る書籍を担当することが多いからかもしれません。

ただ、他の編集者の皆さんも基本的にはセミナーや講演会を聞きに行って面白いと思ったら企画を立てるという流れで動いていると思うので、相手がどういう人なのかを見るというのはどの編集者も共通なのかなと思います。「ベストセラーにできなければ自分の仕事に価値はない」とは常々思っているので、著者の方に惚れ込む情熱と、売れる見込みがあるかを見極める冷静さ、その両立がなかなか難しい場面もありますね。

 

フリーランス編集者のロールモデルとして

フリーランス編集者のロールモデルとして

 

会社員時代とフリーランスになった現在とで、一番違うのはどういった部分でしょうか?

鹿野:先ほどの話と重なりますが、やはり“作りたい本を作れる”という部分が一番大きいですね。もう一つ、企画を考えたり本の編集をしたりといった“本業”に集中できるようになったことも独立してよかったポイントです。

 

編集者といえども出版社にいれば会社員ですから、純粋な編集業務以外の仕事というのもたくさんあります。領収書精算や契約書作成に追われたり、余計な会議に招集されたり、社内稟議に時間がかかったり・・・。それがフリーランスになってからは、逆にそういう業務を出版社側に外注できているような感覚で(笑)、本当にやりたいことだけに集中できるようになりました。

もちろん「家計を回さなければ」とか「税金どうしよう」といったフリーランスならではの心配事は新たに発生しますが、仕事という面だけで言えばしがらみもなく随分と働きやすくなりました。時には会社員時代のどうでもいい雑談が恋しくなることもありますけどね(笑)。

 

 

ご自身が価値を提供できる仕事に集中できるようになったというのは素晴らしいことですね。当面はこの働き方を続けるご予定なのですか?

鹿野:今のところはそう考えています。食いっぱぐれそうになったらまた会社員に戻るかもしれませんが(笑)。

 

今現在はフリーの編集者はまだまだ少ないものの、出版界がシュリンクしてきていることを考えると遅かれ早かれ業界再編は起こると思っています。出版社間の買収も増えるでしょうし、リストラも避けられなくなり、結果的にフリーランスの編集者も増えていく。そう考えると、結局のところ、今フリーになるか後々フリーになるかの違いだけなのかなと。それなら今のうちから、フリーランスとして営業力を磨いたり稼ぎ方を身に付けたりしておいたほうがいいというのが僕の考えです。著者の方々にとってもフリーの編集者が増えるのはプラスなことだと思うので、僕がロールモデルの一人になれればという気概でやっています。

とりあえず今のところ食べていけるくらいは稼げていますし、自分でコントロールできる範囲が増えて楽しく働けているので、このまま続けていきたいですね。

 

 

自分で自分のことをマネジメントできるというのは、気持ちよく働くために大切な要素なのかもしれませんね。

鹿野:リラックスした状態で働けるというのが大事だと思っているので、自分のメンタルマネジメントという意味でもフリーランスという働き方は自分に合っているなと感じています。もちろん、意識してそういう状態を作り出す努力も必要ですし、「60歳になっても同じ働き方ができるだろうか」といった不安があるという点では、完全にリラックスしているわけではないのですが(笑)。

 

以前『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』(青春出版社)という本を作ったのですが、その本の著者の方がおっしゃっていた「モチベーション云々よりも、気分のコントロールをいかにできるかのほうが大事である」というお話がとても印象的でした。本当にやりたい仕事・職場で働いていても気分の状態が悪いと、人はやる気が出なかったり、行動できなくなったりする。逆に、気分のいい状態なら本来嫌なことでもサクッとできたり、頑張れたりする。モチベーションを高く持つことよりも心を良い状態に保っておくことのほうが重要だということです。

僕の場合も、それを意識するようになってからより仕事がうまくいくようになってきた気がします。お金の面や家族との関係性も含めて、すべてが一番いいバランスになるように、これからも頑張っていきたいですね。

 

 

本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。鹿野さんが世に送り出す書籍を読むのが更に楽しみになりました!

「著者のために働きたい」という想いを大切にする一方、出版業界の現実からも目を背けず、市場の変化を前向きに乗り切っていくためにフリーランスという道を選択した鹿野さん。笑いを交えた語り口の背後には、著者の方々への熱い想いや今後の業界動向に対する冷静な考察、編集者という仕事に対する覚悟が見え隠れし、時間を忘れて引き込まれるインタビューとなりました。

これまで働き方の多様性が見られなかった業界にも変化が訪れているということに、私たちみらいワークスも勇気づけられました。すべてのビジネスパーソンが“自分らしい働き方”を選べる社会が1日も早く訪れることを願っています。

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