インサイドセールスのメリット・デメリット|導入に適したビジネスモデルとは

作成日:2022/01/28

さまざまな課題を解決する施策として、インサイドセールスを導入する企業が近年増えていますが、インサイドセールスの導入検討にはメリット・デメリットの見極めが必要不可欠です。企業規模やビジネスモデルによってはインサイドセールスが向かない業種もあるでしょう。インサイドセールスのメリット・デメリット、導入がおすすめのビジネスモデルなどを紹介します。

目次

 

■インサイドセールスとは

■インサイドセールスのメリット
(1)少人数で営業組織運営が可能
(2)営業担当者の負担軽減
(3)根拠のあるKPI設定が実現
(4)営業コストの節約
(5)顧客育成(リードナーチャリング)
(6)効率的な人材育成

■インサイドセールスのデメリット
(1)組織の連携が必須
(2)KPIばかりが注目されがち
(3)設備投資が必要

■インサイドセールス導入がおすすめのビジネスモデル

■インサイドセールス導入が不向きなビジネスモデル

■インサイドセールスはメリット・デメリット、ビジネスモデルを検討して導入を

 

インサイドセールスとは

インサイドセールスで活躍する男女

 

インサイドセールスとは、メールや電話、オンラインチャット・会議ツールなどを使った非対面での営業活動のことです。施策や担当者、担当部門のことをインサイドセールスと呼ぶのが一般的です。

 

導入している企業の方針にもよりますが、多くの見込み客のなかから確度を見極め、受注につながりそうなリードをフィールドセールスにつなげたり、見込みの低いリードに対しては相手の興味や関心が高まるまでコミュニケーションを取りながらつなぎとめたりするのがインサイドセールスの主な業務です。顧客に対してのアフターフォローや次回の取引まで継続的な関係づくりもインサイドセールスの大事な使命です。

 

インサイドセールスのメリット

インサイドセールスオフィス

インサイドセールスは地方の中小企業から都市部の大企業までさまざまな企業が導入を検討、もしくは実行しています。うまくインサイドセールスを活用しメリットを最大限活かせれば、企業の課題解決や事業再生の糸口となるでしょう。

まずは、インサイドセールス導入のメリットを見ていきましょう。

(1)少人数で営業組織運営が可能

営業に関する業務が多岐にわたる場合、人員不足は大きな痛手です。しかし、インサイドセールスと分業することで効率よい営業活動が実施できるようになり、人員の数より質に焦点を当てた営業活動ができる可能性が高いでしょう。

 

インサイドセールスを導入する企業の多くでは、インサイドセールスがマーケティング部門と連携してアポやリード獲得を担うため、フィールドセールス担当者は確度の高い商談に注力できるようになります。結果として営業組織人員を少人数におさえることにつながります。

 

従来の営業スタイルでは顧客の掘り起こしや商談時間・場所の設定など、訪問以外にも営業担当者が時間を取られる業務は少なくありません。インサイドセールスがアポやリード獲得を担当し、その際に商談の設定だけでなく、顧客や見込み客が関心を寄せる分野・商品をしっかりヒアリングしておくことが将来の商談の成功、さらにはカスタマーサクセスにつながります

(2)営業担当者の負担軽減

先述したようにインサイドセールスは、営業担当者の業務を細分化し、対面不要の業務に対応しますインサイドセールスを導入することで、営業担当者の労働時間やアポ・リード獲得への責任といった負担を分散できます。

 

従来の営業手法では、1人の営業担当者が既存の案件を抱えながら新規にも営業活動をおこなうため、新規開拓や顧客へのフォローが手薄になりがちです。実際にこうした点を営業課題としてあげる企業も少なくありません。こうした手薄になりがちな部分をインサイドセールスが担当することでフィールドセールス担当者と営業組織全体の負担を軽減できます。

 

また、インサイドセールスが営業活動の一端を担えれば、フィールドセールス担当者が顧客のもとを訪れたり、確度を図るために何度も接触したりする必要がなくなります。商談の内容も、あらかじめどこに重点を置くか検討できるため「無駄になるかもしれない資料やアポイントメント」準備の手間が省けます

(3)根拠のあるKPI設定が可能

KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、企業目標の達成度を可視化・評価するための「重要業績評価指標」のことです。たとえば、KPI指標の具体例としては「訪問回数」や「顧客からの引き合い件数」などが挙げられます。日次、週次、月次など一定期間ごとの数値が確認できるため、営業の進捗状況の管理がしやすくなります。

 

個人や数名の営業担当者だけでなく、インサイドセールスがアポやリード、カスタマーサービスを管理することで、より客観的で根拠の高いKPIが設定できるでしょう。

 

ちなみにインサイドセールスのKPIを設定する場合、業界や商材によって異なりますが「クロージング率」や「商談発生件数」「電話した件数」「メールした件数」などがKPI目標となるでしょう。従来の営業スタイルのアポ取りからアフターフォローまで一括して管理するスタイルより、細かく目標設定ができ、結果の評価もしやすくなります

(4)営業コストの節約

従来の営業手法である飛び込み型営業や訪問型営業は、交通費や出張費などコストがかかりました。企業文化にもよりますが、訪問のたびに手土産や食事会などの費用がかかることもあります。

また、企業は移動中の人件費なども負担しています。非対面型のツールを使ってアポやリード獲得、ヒアリングなどを担うことで、こうした営業活動にかかる経費はかなりの削減できるでしょう 

特に単価が安い商品やサービスを販売している企業にとっては、インサイドセールス導入により経費削減に大きな効果が見込めると言われています。

(5)顧客育成(リードナーチャリング)

リードナーチャリングとは、見込み客を顧客へと育成するマーケティング方法です。インサイドセールスをリードナーチャリングに活用する企業は多いです。

 

フィールドセールスとインサイドセールスの分業により、従来の営業スタイルでは手が回らなかった見込み客へきめ細やかなアプローチができるからです。特に大切なのが、マーケティングとカスタマーサクセス・インサイドセールスの連携です。

 

インサイドセールスにカスタマーサクセスも含まれる企業もありますが、基本的には「顧客の満足度」を高め、より強固な顧客と企業の関係性を作るのが、カスタマーサクセスの業務です。

 

対してインサイドセールスは「見込み客」を対象に非接触型のコミュニケーションツールを活用しながら内勤型営業をおこないます。カスタマーサクセスは「顧客」、インサイドセールスは「見込み客」と対象が異なるため、部門を分けている企業も少なくありません。

 

マーケティングも加えて連携することで、ニーズの読み取り、見込み客の発掘とアプローチ、既存客へのケアまでより手厚いケアができます。一つの部門や個人の営業担当者の力だけでは難しかったリードナーチャリング成功が期待できるでしょう。

(6)効率的な人材育成

従来の営業手法では、1人の営業担当者を育てるために労力も時間も掛かりました。企業によっては人材が不足する要因は人材育成の不備にあるとも考えられています。

 

インサイドセールスを導入し、営業プロセスを分業化・可視化することで、「まずはアポ・リードの獲得のインサイドセールスから」「ルート訪問のフィールドセールスから」といった具合に、スモールステップで的を絞った教育が可能です。

 

「担当業務一つ一つの意味・フローが伝わりやすい」「タスクの整理がしやすい」「責任感が生まれやすい」などの理由から、新卒や未経験者であっても自信をもって業務に取り組めたり、業務に愛着が湧いたりして効率的に人材育成できます。こうした側面もインサイドセールス導入の副産物といえるでしょう。

 

 

インサイドセールスによるデメリット

インサイドセールスのデメリットに悩む女性

 

インサイドセールス導入にはメリットばかりが注目されがちです。反面、一人や少数の営業担当者がすべての営業活動をするスタイルより、制約が生まれる部分もあります。それをインサイドセールスのデメリットととらえる企業もあるでしょう。

 

インサイドセールス導入の効果を最大限引き出すには、こうしたデメリットへの対応策をしっかり練っておくことが重要です。インサイドセールスの主なデメリットととらえられがちな2つのポイントを紹介します。

(1)組織の連携が必須

従来の営業手法だと、1人の営業担当者が全てのリード獲得からアフターフォローまでの営業活動を一貫して担当していました。この場合、組織内で情報を共有する必要はありません。

 

しかし、インサイドセールスでは、一つの案件、一人の顧客に対して多くのスタッフが携わります。そのため、インサイドセールスを成功させるためには情報をしっかりと共有できる組織運営が求められるのです。

 

インサイドセールスで各担当者のコミュニケーションが不足すると、営業成果が出ないばかりか、顧客と信頼構築が難しくなったり、営業成果が上がらなかったりといった事態を引き起こす危険性もあります。

(2)KPIばかりが注目されがち

インサイドセールスを導入すると、営業活動のプロセスを分業化することになります。そのため、アポ獲得や訪問件数など営業活動の各段階でKPIが細かく設置されるケースが多いです。そうなるとKPI達成率ばかりが注目されることになりかねません。どれほど素晴らしい営業スクリプトや顧客との関係性を築いていても「数字」と「約束」につながらない限りは評価されない面があります。

 

こうしたことから、確度が低い顧客からのアポイントメントをインサイドセールスが強引に取り、フィールドセールス担当者が訪問してみると望まれていなかったなど「無駄な営業活動が増えた」という声もあるようです。企業全体としてみれば、受注件数や金額が重要なのですが、インサイドセールスの担当者が自分のノルマや評価だけを気にしてしまうとこうした事態を引き起こしかねません。

 

また、一人で一貫した営業活動をする従来型の営業スタイルに比べて、顧客の温度感が伝わりにくく、インサイドセールスとの分業に慣れない営業パーソンにとっては苦痛に感じることもあるでしょう。

(3)設備投資が必要

効果的なインサイドセールスを実現するためには、適正な人材を雇い入れ、営業支援ツールの準備などの設備投資も求められますおもな営業支援ツールとして、Web会議システムや営業管理システム、MAツールなどさまざまな種類があり、それぞれ月額や契約料など費用がかかります

 

また、業界や商材、企業によって最適な営業支援ツールはなにか見抜くことも大切です。インサイドセールスを導入するためだけにスポットでコンサルタントを雇う企業やインサイドセールス部門ごとアウトソーシングする企業もあります。

 

こうしたツールや人材への投資にかかる金額とインサイドセールスを導入することで「浮くコスト」「得られそうな利益」をよく比較しましょう

 

 

インサイドセールス導入がおすすめのビジネスモデル

インサイドセールスで成果を伸ばす女性

 

インサイドセールスが適しているビジネスとして、サブスクリプション型ビジネスモデルを採用している企業があげられます。サブスクリプション型とは「月額〇〇円使い放題」という料金形態を提案するタイプで、インターネット上で申し込みをしてアカウントやライセンスを取得し、サービスを利用するシステムです。顧客側からすると手続きが簡単。企業側からすると能動的なSDR型のインサイドセールスで十分な利益を見込めます。

 

インサイドセールスは都市部の大企業だけでなく、人員確保が困難な製造業や地方の中小企業の課題解決にも適しています。営業コストを抑えながらオンライン上で問合せから受注まで完結できるからですこうした小規模なビジネスの場合、インサイドセールスと生産管理の連携も重要になるでしょう。

 

 

インサイドセールス導入が不向きなビジネスモデル

フィールドセールスに向かう男性

 

インサイドセールスが、自社のビジネスに適しているかどうか十分に検討する必要があるでしょう。インサイドセールスでは、各段階で対応する部署、担当者が変わるため、顧客との信頼構築が難しいケースがあるからです。

 

インサイドセールスは「高額商品」「ターゲットが保守的」なビジネスは向いていないと考えられていますこうした商材では商談が複雑だったり運用までに何度もすり合わせが必要だったりするため、一人の担当者が責任を持って最初から最後まで顧客と伴走するスタイルのほうがカスタマーサクセスにつながりやすいでしょう。

 

カスタマーサクセスを第一に考えると、冠婚葬祭やライフステージに関連する事業、toB向けのロジスティックサービス事業などは、インサイドセールスをどの営業プロセスに導入するか、慎重な検討と調整が必要です。

 

インサイドセールスはメリット・デメリット、ビジネスモデルを検討して導入を

メリット・デメリット、ビジネスモデルの検討

 

インサイドセールス導入は、人員不足の解消やワークシェア、多様な働き方につながるなどのメリットがあります。コストの削減や不安定な情勢でも営業活動ができるため、今後も多くの企業がインサイドセールスを活用していくと見られています。

 

ただし、インサイドセールスの導入には、組織の連携や顧客とのコミュニケーションが希薄になりがちといった問題点もあります。導入には人員や設備に投資もしなければなりません組織間のコミュニケーションを円滑にするフロー、費用対効果をしっかり検証する事が重要です。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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