【フリーランスと副業の違い】法整備や確定申告は?起業前の始め方とメリット

最新更新日:2022/07/15
最新作成日:2022/07/15

 

2018年に政府が打ち出した「働き方改革」に伴い、副業をしている人が増えています。ちなみに「副業」では、会社員であっても「フリーランス」として仕事を受注します。両者の違いが分かりにくいといった声や副業を取り巻く政府や企業の考え方、法整備はどうなっているのかといった疑問もあります。今回は副業について政府発表の資料を参考にしながら詳しく解説します。

 

目次

 

■フリーランスと副業の違い
(1)フリーランスとは
(2)副業とは

 

■副業についての法整備

 

■副業の始め方
(1)副業専門サイト
(2)人脈
(3)クラウドソーシングサービス
(4)マッチングエージェント

 

■フリーランスとして副業をするメリットとは
(1)起業前の人脈づくり
(2)時間の有効活用
(3)実践的なスキルアップ

 

■副業を禁止する理由や罰則について
(1)副業を禁止する企業の理由とは
(2)副業禁止の企業では副業はバレる?バレない

 

■副業を始めたら個人事業主として確定申告が必要?

 

■起業前に副業でフリーランスを体験しよう

 

 

フリーランスと副業の違い

副業コンサルタント

 

 

働き方改革に伴い、ビジネスシーンでは「フリーランス」や「副業」がキーワードとして注目を集めています。フリーランスと副業の定義や両者の違いを詳しくお伝えします。

 

(1)フリーランスとは


フリーランスとは、一つの「働き方」を指す言葉です。一つの企業と雇用契約を結ぶのではなく「独立した立場として委託業務や自営業を行う働き方」をフリーランスと呼びます。会社の規則に縛られず、自分で仕事を選べる立場としてフリーランスを目指す人が増えています。

(2)副業とは

副業とは、特定の企業や団体・組織と雇用契約を結んで就業中の従業員が、所属先とは別の企業や組織で担う業務を指します。自分自身のスキルや資格、得意分野などを活かした働きができることから、終業後や週末にフリーランスとして副業をする人が増えています。

 

 

副業の始め方

副業を始めようとする人

 

 

副業としてフリーランス活動をしている人はどのようにして副業を見つけているのでしょうか?代表的な4つの副業の見つけ方を紹介します。

 

(1)副業専門サイト

現在「ココナラ」「タイムチケット」など副業専門のサイトが注目を集めています。サイトによって時間単位でスキルを売り買いしたり、成功報酬型やジョブ型だったりといった特色があります。

 

副業専門サイトを利用するときは、自分のライフスタイルに合わせて無理のない範囲で価格を設定し受注するよう心がけましょう。ほかの出品者(受注者)のプロフィールなどを参考にして価格設定や自己PRを行うのも大切です。

 

また、副業専門サイトの中には、高額な手数料や登録料を徴収するサイトもあります。運営元がしっかりしていて有名なサイトのほうがトラブルが少なくおすすめです。利用前に規約をよく読みこみましょう。

出典:ココナラ
出典:タイムチケット

(2)人脈

副業を始めたきっかけが「周囲からの声かけ」という人は多いです。人脈から開始した副業を足がかりにして完全なフリーランスとして独立したり、実績としてアピールに利用し新たな副業を獲得したりと次のステップにつなげています。

 

特に、異業種交流会やセミナー、ビジネススクールなどでつながった人脈から副業を獲得するケースが多く、こうした機会があれば積極的に参加したいところです。

 

ただし、人脈を介して副業案件を獲得するケースでは、契約関係で書類を交わさないケースもあり「約束より報酬が少ない」「報酬を払ってもらえないまま音信不通になった」などのトラブルがあるのも事実です。副業を発注する側からしても「想定していたレベルに達していない」「納期が守られない」などといった声が聞かれます。

 


受注する側からすると「仕事を安請け合いしないこと」、発注側は「求めるクオリティを可視化する」よう意識しましょう。どちらにとっても契約書をしっかり取り交わし、報酬金額や納期・稼働時間・成功とするクオリティなど、業務開始前にすり合わせるのが大事です

(3)クラウドソーシングサービス

「ランサーズ」「クラウドワークス」といった、クラウドソーシングサービスのプラットフォームも副業の手始めとしておすすめです。さまざまなジャンルの仕事が紹介されています。

 

ただし、クラウドソーシングサービスは成功報酬型が多く手数料や振込料が高いといったイメージが強いです。報酬面は、こうした経費をしっかり加味した上で設定するようにしましょう。

出典:ランサーズ
出典:クラウドワークス

(4)マッチングエージェント

副業専門のマッチングエージェントや弊社、株式会社みらいワークスのサービス「フリーコンサルタント.jp」のような人材と企業を結ぶマッチングエージェントに登録するのも一つの手です。スキル次第では、副業でも満足いく報酬を得られるでしょう。

 

また、登録者一人一人に担当エージェントがつくため、履歴書や自己PRの添削やウィークポイントの相談などもできるのが魅力です。フリーコンサルタント.jpでは、独立まで担当エージェントが伴走するサービスも行っています。

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副業のメリット

委託業務にいそしむ女性フリーランス

副業を始めるのは収入源を増やしたいからという人もいるでしょう。副業には、ほかにもいくつかメリットがあります。

 

(1)起業前の人脈づくり

独立の足掛かりとして副業を始める際は、独立後の取引につながる人脈として副業で知り合った発注元を大切にしましょう。副業を通して知り合った人や企業から、独立直後の受注につながった人が多いからです。

 

 

また、本業とは無関係の業界を知るチャンスにもなります。起業にあたって新しいビジネスのアイデアとそのためのネットワークづくりに役立てられるでしょう。

(2)時間の有効活用

コロナウイルス感染拡大以降、気軽に外出したり人と会ったりするのを躊躇している人もいるでしょう。現在、終業後の時間の使い方に悩んでいる人は多いそうです。こうしたスキマ時間を副業に充てることで、副収入を稼げるのはもちろん、タイムマネジメント能力や計画性を磨けるでしょう。

 

 

慣れ親しんだ所属先とは別の人間関係を構築する必要があるため、おのずとコミュニケーション能力向上にもつながります。スマホやテレビで溶かしてしまいがちな時間を自分の能力向上のために有効に使える自覚から、ビジネスパーソンとして自信もついてくるかもしれません。

(3)実践的なスキルアップ

副業では、さまざまなことを経営者目線で判断する必要性があります。副業の種類によるものの「作業に対する報酬のバランス」「経費に対して利益はどのくらいになるか」など経営者特有のバランス感覚が磨かけます。また、税務処理も自分で行うため税金に対する知識が身につき、ビジネスパーソンとして世界が広がるでしょう。

 

また、副業によっては、本業の就業先でも役立つ実践的なスキルを磨けます。たとえば、就業先で営業をしている人が、商品紹介サイトのライティングの副業をしているケースでは、商材を冷静に見つめ、長所と短所をロジカルに言語化する癖がつき、本業の営業活動でも役に立ったといった体験談もあります。

 

コンサルタントとしてコンサルティングファームや企業に所属している人だと、本業とは異なる分野でスポットコンサルとして副業しているケースも目立ちます。経験領域や知見を増やす絶好の機会といえるでしょう。

 

 

副業についての法整備

副業コンサルタント

 

副業解禁の動きは進んでいるものの、副業禁止の就業規則のある企業や組織は少なくありません。中には副業についてはグレーゾーンとして明確に就業規則に乗せていない企業もあります。こうした場合の法律はどのようになっているのでしょうか?

 

厚生労働省は、2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しました。このガイドラインは企業や働く人に向けて、現行の法律のもとで副業に取り組むポイントを解説したものです。2022年7月には改訂版も発表されました。閣議においても「労働者の多様なキャリア形 成を促進する観点等から、副業・兼業の拡大・促進に取り組んでいくことが決定された」と明記されています。

 

2018年度版ガイドラインを見ると「副業・兼業自体への法的な規制はない」と記載されています。さらに2022年度版では「副業・兼業を希望する労働者が、適切な職業選択を通じ、多様なキャリア形成を図っていくことを促進するため、ガイドラインを改定し、企業に対して、副業・兼業への対応状況についての情報公開を推奨していく」と明記されています。

 

つまり、従業員に副業を禁ずる法律は「実質ない」ということです。ただし、就業先の規則や業種・業界によっては副業禁止が致し方ない企業や職業もあります。こうした企業や組織に勤める場合の対応策について、次の項で見ていきましょう。

出典・引用:厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン

 

 

副業を禁止する理由や罰則について

副業禁止企業

 

 

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では5割を超す企業が「副業を容認している」と回答しています。一方で4割強の企業が副業を禁止しているということです。その理由や副業禁止企業に所属している場合、副業がバレるとどうなるのかを解説します。

 

(1)副業を禁止する企業の理由とは

 

法律上副業や兼業が問題ないとしても、本業に影響が出るのではないかと危惧する企業は少なくありません。先に紹介したガイドラインでも、企業から見た副業や兼業のデメリットとして「長時間労働を助長する」「自社の業務がおそろかになること」「情報漏洩などのリスクがあること」「競業・利益相反になること」などがあげられています。

副業や兼業がNGという職種もあります。よく例にでるのが公務員です。内閣人事局の「国家公務員の兼業について」によると、国家公務員法によって、国家公務員は許可なく副業や兼業を行うことを禁止されています。とはいえ、この状況も変わりつつあり、政府は国家公務員に対しても一定の条件つきで副業解禁する方向を打ち出しています。地方公務員では、すでに副業を解禁している自治体もあります。

 

出典: 内閣官房内閣人事局 国家公務員の兼業について(概要)

(2)副業禁止の企業では副業はバレる?バレない

副業を容認している企業でも、会社の規定によっては、副業開始前に上司や企業に報告する義務があります。副業を報告したくない場合や副業禁止の企業に勤めている場合、副業がバレるのか、どうか気になるところでしょう。

 

副業を持つことで就業先に悪影響を与えていないとしても、会社の規定に沿うことが大切です。副業が「バレる、バレない」でいうと、税金の処理などで「必ずバレる」と考えておくとよいでしょう。副収入を得ることで年収が企業から受け取る給与より上がり、住民税も上がるからです

 

年末調整の時期になると企業で雇用契約を結んでいる人は全員「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」を提出します。「給与所得者の基礎控除申告書」には、「給与所得」を記載しなければなりません。給与所得とは副業分の報酬との合算です。副業での副収入を給与として記載しなくても「給与所得以外の所得の合計額」欄に副業での収入を記載する義務が生じるということです。

 

また、社会保険で副業がバレるケースもあります。社会保険については厚生労働省より企業に対して「パート、アルバイトでも、1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の分の4分の3以上あれば加入させる必要があります」と規定されています。企業の規模によっては、従業員に106万円以上の収入がある場合、加入させる義務があります。

 

社会保険は、一人につき1組合しか加入できません。そのため、社会保険加入義務要件を満たす勤務先が二つ以上ある場合には「被保険者所属選択届・二以上事業所勤務届」を提出し、給与を合算した額で社会保険料が決まります。この書類のやり取りで副業がバレてしまうのです。

こうした税務処理などが原因で報告していない、もしくは禁止されている副業がバレると、ひどい場合には懲戒処分を受ける恐れがあります。

 

 

副業を始めたら個人事業主として確定申告が必要?

青色申告用紙

 

副業で得た収入額が、年間20万円を超す場合は確定申告が必要です。月額にして1万7千円弱以上をコンスタントに稼げそうであれば、あらかじめ開業届と青色申告申請書を出しておくのがよいでしょう。副業にかかる経費を控除申請できます。

確定申告を行わないでいると、脱税の容疑がかかる場合もあります。詳しいことは税務署に確認するとよいでしょう。

 

 

起業前に副業でフリーランスを体験しよう

副業中のコンサルタント

2020年、日本のみならず世界中で新型コロナウィルスが蔓延しました。2022年現在では「人類がコロナウイルスと共に生きていく時代になる」といわれています。コロナ禍は、長期休業の対応策としての副業推奨やリモートワークといった働き方に急な舵取りが求められ、世の中に多大な変化をもたらしました。今後も副業解禁に対する企業の考え方に、大きな変化が生まれるでしょう。

 

副業は、副収入ばかりがメリットとして捉えられがちですが、実際には「個人事業主を体験できる」というメリットがあります。副業を通じて、自分が起業する際にどんな課題があるのか、も見えてくるのではないでしょうか。本業と副業の両立は大変な面もありますが、将来起業するときにきっと大きなプラスになるでしょう。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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