フリーランス人材の悩みとは?業務委託の雇用形態とメリットデメリットを解説

最新更新日:2022/06/20
最新作成日:2022/06/20

 

働き方改革やコロナ禍のリモートワーカー需要に伴い、フリーランスに注目が集まっています。しかし、精神的・金銭的プレッシャーなど悩みも少なくありません。フリーランスのデメリットを軽減するには事前準備と覚悟、そして知識が必要です。本記事では、フリーランスの契約・業務形態・メリット・デメリットなどについて紹介します。

 

 

目次

 

■フリーランスの雇用契約「業務委託」とは
(1)請負契約
(2)委任契約(準委任契約)
(3)請負契約と委任契約の違い

 

■フリーランスの働き方「常駐型」と「リモート型」
(1)常駐型
(2)リモート型

 

■フリーランスのメリット
(1)自分に合った仕事を選ぶことができる
(2)スキルや成果によって高い報酬が得られる

 

■フリーランスのデメリット
(1)労働法が適用されない
(2)税務関連の対応が難しい
(3)額面が同じでも手取りは会社員より低い
(4)常に仕事があるとは限らない
(5)ローンやカードの審査が通りにくい

 

■フリーランスあるある?悩みの対策方法は
(1)不安定な働き方には自分で対策を
(2)確定申告や保険関連は相談相手を決めておく
(3)横のつながりを大切に
(4)大手のマッチングエージェントに登録を

 

■悩みやデメリットもあるが、やりがい重視ならフリーランス

 

 

フリーランスの雇用契約「業務委託」とは

働き方に悩むフリーランス

 

会社の従業員として、入社時や仕事を始める際は、一度直接雇用契約を結べば継続的に雇用勤務できます。しかし、フリーランスは、企業と何らかの契約を交わします。フリーランス人材向けの求人では「業務委託契約」という言葉がよく用いられます。

 

しかし、民法上では「業務委託契約」と呼ばれる契約は存在しません。民法で規定されているのは「請負」「委任(準委任)」「雇用」の3種類で、一般的に業務委託契約と呼ばれるのは、「請負」と「委任(準委任)」の2種を指します。フリーランスとして仕事を請け負う際に用いられる契約、「請負」と「委任」の特徴と違いについて解説します。

 

(1)請負契約

請負契約とは「約束した期日までに完成した物を納品すること」で完了する契約です。この契約の場合は、請け負った業務を完成させることが義務です。

 

納品状態や納期遅れに関する判断の詳細は、契約内容により異なりますが、請け負った業務を約束した状態に仕上げられず納期までに納品できないと、報酬が支払われないことがあります。過程よりも結果を求められる契約といえるでしょう。

(2)委任契約(準委任契約)

委任契約とは「約束した業務を約束した期間行うこと」で完了する契約です。
成果の可否や優劣は関係なく、あくまでも行った業務に対して報酬が支払われます。万が一、発注側の望むレベルに到達できなかったとしても、契約違反にはなりません。

 

委任と準委任の違いは、業務内容が法律行為か否かによります。たとえば、弁護士など特定の士業が行う業務は委任になり、法律行為に関係しないコンサルタントなどは準委任となります。

(3)請負契約と委任契約の違い

結果の責任を問われる請負契約で契約するのか、結果を問われない委任契約(準委任契約)で契約をするかは、とても重要です。請負契約と委任契約の違いについてわかりやすい例が弁護士です。弁護士は訴訟委任契約を結んだ際、依頼人のために最善を尽くしますが、裁判で勝てなかったからといって責任を問われることはありません。

 

フリーランスの場合、できる限り請負契約は避け、委任契約(準委任契約)を心掛けるのが一般的です。契約書のタイトルは、業務委託契約でも書面内にいずれの契約かわかるように記す必要があります。

 

クライアントの期待に応える成果があれば、業務委託料の支払いで揉めることは、まずありません。しかし、結果について話し合いになった場合には、契約書の内容はその判断の基準になるため、契約内容に請負契約・委任契約のどちらが書かれているか、細心の注意を払わなければなりません。

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フリーランスの働き方「常駐型」と「リモート型」

業務委託契約で職務を全うするフリーランスコンサルタント

 

2019年4月より施行された働き方改革関連法案によりワークライフバランスに注目が集まる中、新型コロナウイルスの影響をうけ「働き方」そのものが話題になる機会が増えました。フリーランスは、ノマドワーク(時間と場所にとらわれない働き方)でどこでも働けるというテレワーク(リモートワーク)の先駆けというイメージを持つ人も多いでしょう。

 

実際は、参画する案件の内容によって、フリーランスにも「常駐型」と「リモート型」、その両方を採用している場合などさまざまな働き方があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

(1)常駐型

「常駐型」とは、企業のオフィスに常駐し、そこで働く社員と同じように出社する形の働き方です。プロジェクトによっては、専用の席が設けられ、チームメンバーと共に仕事をすることもあります。クライアント企業の関係者と対面でコミュニケーションが取れるため、確認事項や相談ごとがスムーズに解決でき、業務を進めやすいのがメリットです。

 

オペレーション改善やシステム導入、新規事業立ち上げのように、クライアントと細かくコミュニケーションを取る必要がある場合や、現場で直接的に改善・支援をする必要がある場合に向いています。セキュリティ対策が厳格な企業では、情報漏洩を防ぐために常駐型を採用しているケースが目立ちます。

 

通常、常駐型の場合、契約期間中はクライアント企業の稼働日には出勤を求められるケース(=稼働率100%)が多いです。契約期間中の稼働率は安定するものの、会社員と同じような働き方を求められる点では、窮屈さを感じやすいことがデメリットです。

 

常駐型の場合、クライアント企業に入り込んで支援を行うため、や関係者の生の情報・生の声を得やすいため今後プラスになるでしょう。反面、常にクライアントから見られる状態になるため、どんなときでもプロフェッショナルとしての振る舞いが求められます。

(2)リモート型

本来、コンサルタントなどのハイクラス人材向けのフリーランス求人では、常駐型のニーズが比較的高い傾向がありました。しかし、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言以降、リモート型が増えている傾向です。

 

「リモート型」は、場所を問わない働き方です。比較的小規模な案件やチーム体制をとらないプロジェクトでは、リモート型が多いでしょう。勤務時間については、コアタイム以外は裁量型だったり、完全フレックスや「与えられた仕事を完了させれば何時間働こうが自由」という考え方のジョブ型など、さまざまです。

 

現在は「ポストコロナ」といえるほどコロナウイルスの猛威は収まっています。しかし、現在でも直接雇用契約・業務委託契約のいずれの従業員にもリモート型を採用する企業は少なくありません。

 

リモート型で勤務時間も自己裁量型やフレックスの場合、求められる仕事をこなしていれば、あとは自由なので、常駐型より家事や育児・介護や趣味などにさける時間が増え、ワークライフバランスを整えやすいのがメリットです。こうした背景により、フリーランスとして独立する女性も増えています。

 

本来であれば通勤にかかる時間を業務や自身の勉強に充てることができたり、企業側からするとオフィスを維持するための家賃や光熱費を抑えられ、浮いた経費を従業員に還元できたりといったメリットもあります。

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フリーランスのメリット

委託業務にいそしむ女性フリーランス


企業に所属する雇用契約の会社員にもリモート型が普及している現在、フリーランスとして働くことにメリットが感じられない人もいるようです。改めて、フリーランスのメリットを紹介します。

 

(1)自分に合った仕事を選ぶことができる

会社員として雇用される働き方の場合、上司または会社から割り当てられた業務をこなすのが一般的です。しかし、業務委託の場合は、プロジェクト単位で契約を結ぶため、その仕事を受けるか否かは自分で判断できます。業務内容や契約内容によって、交渉したり断ったりという選択肢もあります

 

「自分に見合った案件なのか」「自分のスキルやキャリアプランに合う仕事なのか」などを基に案件を選べるため、自分の強みを発揮でき、スキルを高いレベルまで磨けるような仕事や働き方を実現しやすいです。

(2)スキルや成果によって高い報酬が得られる

業務委託の魅力の一つは、報酬の高さです。スキルやキャリアにもよりますが、パフォーマンス次第で高い年収を実現できます。

 

弊社、株式会社みらいワークスのサービス「フリーコンサルタント.jp」で紹介している案件をもとに、会社員とフリーランスの報酬の違いをみていきましょう。たとえば、現在ニーズが非常に高いSAPコンサルタントの場合、企業所属の会社員SAPコンサルタントの年収は、700万~1000万円ほどです。

 

フリーコンサルタント.jpの公開案件では、SAP領域のコンサルタントの報酬は、100%稼働と仮定して月額80万~200万円、平均すると120万~150万円程度の月額報酬を提示する求人が目立ちます。1年間フル稼働と仮定すると平均1400万~1800万円程度の年収が見込めます。

 

PMOや戦略パートナー、財務、SCM、ESG、医療といった分野のコンサルタント案件でも会社員の給与より、高めの報酬が設定されています。

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フリーランスのデメリット


「フリーランス」は、会社員より様々な面で自由な一方、業務委託だからこそのデメリットも伴います。「フリーランスあるある」ともいえるデメリットについても見ていきましょう。

 

(1)労働法が適用されない

雇用契約に基づく労働者の場合、労働法による保護の対象となりますが、業務委託契約の場合は、労働者でなくあくまで個人事業主。いわば自営業なので労働法が適用されません。そのため、1日8時間・週40時間以内の法定労働時間の制約がなく、有給休暇や残業の概念がありません。また、企業は業務委託契約者であるフリーランス人材に対しては賃金規制や解雇規制も問われません

 

さらに、労働保険をはじめとするセーフティーネットがありません。企業から(契約条項が法令に基づいた形で)突然、契約を解消されて仕事がなくなったとしても、失業保険は受けられません。女性や妊娠中の女性のパートナーでも、出産・育児休暇がなく、その間収入の保障がないことなどは会社員に比べて不利な点といえるでしょう。

 

さらに、全てが自己責任となるため、自分自身が不利になるような契約を結ばないように契約書の内容には注意する必要があります。

(2)税務関連の対応が難しい

フリーランスの場合、個人事業主として税金や社会保険の処理を全て自分でやらなければなりません。税金に関しては、個人事業主の場合、1月から12月までの1年間の事業成績に基づいて2月中旬から1カ月以内に確定申告をする必要があります。確定申告には、事業期間中の資金の動きを正確に記録する必要があり、かつ申告業務を怠ることはできません。

 

社会保険に関しては、会社員であれば、所得額に応じて負担すべき年金保険料と健康保険料が給与から天引きされているので、自分自身で面倒な計算や申請をやる必要はありません。しかし、個人事業主の場合は、自ら年金保険料と健康保険料を計算し申請をした上で、指定の出納機関に支払わなければなりません。

 

また、会社員の場合、年金保険料や健康保険料は会社が半分負担してくれていますが、個人事業主では全て自己負担になるので、保険料の負担が重くなることもあらかじめ覚悟しておきましょう。

(3)額面が同じでも手取りは会社員より低い

フリーランスの場合、会社員時代と同等の経済的安定を得ようとすると約1.2倍の収入が必要だといわれています。理由としては、国民健康保険料や国民年金、個人事業税、消費税(現行では年間売上1000万円までは非課税)などの負担があるからです。

 

また、働く場所やパソコンなどの機器にかかる費用も実費となるため、同じリモートワークであっても会社員より経費が掛かります。将来受給できる年金額にも違いがあり、会社員よリ貯蓄を意識する必要があると考えると、会社員時代の1.5倍ほどの収入が必要だという意見もあります。

(4)常に仕事があるとは限らない

毎月、お給料日に決まった額が口座に振り込まれる雇用契約とは異なり、業務委託の場合、契約ごとの報酬が手元に入ります。経済的に安定するためには、常に稼働している状態が望ましいですが、参画できる案件が必ずあるかはわかりません

 

参画中の案件があっても、本人のスキル不足やプロジェクトの中断などにより、安定的に仕事が確保できないこともあります。生きていくための収入を得ることと、キャリアプランのバランスをとることも必要でしょう。

 

特に独立したて、起業したてのスタートアップ時期は事業が軌道に乗らず、人脈も少なく案件獲得が難しいという声がよく聞かれます。

(5)ローンやカードの審査が通りにくい

フリーランスは「毎月収入に変動があるもの」として、ローンやカードの審査が厳しい場合があるようです。

 

仮に体調の悪化などから一定期間働けなかったとしても、会社員が傷病手当等で一定の収入が保証される一方、フリーランスには民間企業の保険に入る以外に収入が保証される方法がありません。本人が働けなくなったら収入が途絶えてしまうため、フリーランスはローンやカード審査が通りにくいといわれています。

 

 

フリーランスあるある?悩みの対策方法は

 

こうしたフリーランスのデメリットには、独立前や順調に案件に参画できている時から備える必要があります。フリーランスの悩みの解決方法を紹介します。

(1)不安定な働き方には自分で対策を

独立・企業のめどが立ったら、フリーランスになる前から運転資金を蓄えましょう。政府や自治体の補助金制度を利用することなども視野に入れておくのがおすすめです。個人事業主向けの就業不能保険や特別労働災害保険などへの加入も検討しましょう。

 

また、独立後に必要なスキルやノウハウは、独立前に身につけるのが得策です。特に資格がいらないとされている、コンサルタントやエンジニアなどITに関連する職種でも取得資格によって受けられる案件やオファーの量が異なる場合があります。独立前から試験の要件に当てはまっている資格はできるだけ取得しておきたいところです。

出典:ミラサポplus 補助金・助成金中小企業支援サイト 経済産業省

(2)確定申告や保険関連は相談相手を決めておく

税務申告や社会保険料の申請にはある程度の時間と手間がかかります。業務を効率化する工夫と知識が必要です。経済的に余裕があれば、税理士をつけるのも一つの手です。

 

「freee」「やよいの青色申告オンライン」「マネーフォワードクラウド」など、一定の機能を無料で使える会計ソフトも相談チャットなどの機能を備えています。

 

また、労働災害などに備えて労災保険加入が可能です。特別加入制度に加入し、保険料の支払いを行なえば、業務中の怪我の治療費や休業補償の給付などは受けられます。

出典:freee
出典: クラウド青色申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」
出典:マネークラウドフォワード
出典:労災保険への特別加入 - 厚生労働省

(3)横のつながりを大切に

今の仕事と同じもしくは近い業種で独立する場合、独立後の取引先や情報収集先になることを想定して、あらかじめ人脈を作っておきましょう。独立する業種にもよりますが、副業を認めている会社に勤務している場合は、週末起業などのステップを踏むことも有効です。

 

独立前からセミナーや異業種食事会などに顔を出したり、昔の知人や友人にフリーランスとして起業を考えているとアピールしたりするのも大切です。

(4)大手のマッチングエージェントに登録を

フリーランス向けのマッチングエージェントでは、会員のフリーランス人材の中から各企業が求めるスキルを備えた人物を企業に紹介し、条件の交渉を行います。会員は登録制でレジュメの提出や担当エージェントとの面談を終えた後、参画案件求人につなぐ流れが一般的です。こうしたマッチングエージェントに登録しておくと自分のスキルや希望に合う案件を紹介してもらえるため、登録しておいて損はありません

 

弊社、株式会社みらいワークスのフリーコンサルタント.jpでは、スムーズに業務を遂行できるようプロジェクト完了まで伴走もします。報酬や業務内容の詳細などを担当エージェントが登録者本人の代わりに企業と交渉するので、ミスマッチが起こりにくく、フリーランス人材にとって有利な条件の求人が揃っています

 

また、登録者からの悩み相談に乗ったり、現在の業界トレンドについて情報を共有したり、登録者を集めたセミナーを開いたりと、登録中のフリーランス人材にとってのよきパートナー・つながり作りの場としても活用いただけます

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悩みやデメリットもあるが、やりがい重視ならフリーランス

若手フリーランス

 

フリーランスは、自分自身が積み上げてきたキャリアやスキルが報酬に直結しやすい仕事です。契約内容によっては、会社員より自由度が格段に高く、挑戦しがいのある働き方だといえます。

 

一方で、すべては自己責任という厳しい世界。デメリットを受けやすく悩みが絶えない働き方でもあります。まずは、税金や保険のことをしっかりと把握し、フリーランスとして継続的な業務委託契約を結ぶには自分に何が必要か独立・起業前によく考え、準備したいですね。

 

会社員時代の年収とフリーランスになった際の報酬を比較し、クライアント側と業務内容、期間や関わり方、報酬額などの詳細を契約時に明確にすることも意識しましょう。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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