フリーランスでも住宅ローンは組める?審査に通るコツと事前準備を解説
最終更新日:2025/07/07
作成日:2016/07/29
- ・「フリーランスになると住宅ローンって組めないの?」
- ・「審査が厳しいって聞くけど、マイホームは諦めるべき?」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
実際、住宅ローンの審査では収入の安定性が重視されるため、会社員に比べてフリーランスは不利になりやすいと言われています。
この記事では、フリーランスが住宅ローン審査でチェックされる項目や注意点を解説します。ローン審査に通るためのコツや事前準備についても紹介しますので、将来マイホームの購入を検討されている方は参考にしてみてください。
目次
■フリーランスが住宅ローン審査でチェックされる項目
(1)資金準備の状況(自己資金・頭金)
(2)他社の借り入れ状況などの信用情報
(3)収入の継続性と独立年数
■フリーランスが住宅ローンの審査を受ける際の注意点
(1)自宅兼事務所は住宅ローンの対象外になる場合もある
(2)元本は経費に計上できない
■フリーランスが住宅ローン審査に通るためのコツ
(1)審査に通りやすいローンを選ぶ
(2)仮審査は2〜3社に申し込む
(3)無理のない返済計画を立てる
■住宅ローンを検討するフリーランスがやっておくべき事前準備
(1)借り入れできる金額を把握する
(2)住宅ローン以外の借り入れを整理する
(3)クレジットカードの返済遅延や年金未納がないようにする
(4)過去3年間利益を出し続ける
(5)確定申告での申告額を少なくしすぎない
■フリーランスがローン審査に落ちた場合の対処法
(1)借り入れ希望額を見直す
(2)銀行を変更する
(3)共同名義や連帯保証人を検討する
■フリーランスのローン審査に関するよくある質問
(1)住宅ローンの借り入れ可能額の目安はどれくらい?
(2)フリーランスは車のローンを組める?
(3)個人事業主でもローンは組める?
フリーランスでも住宅ローンは組める

フリーランスの方でも住宅ローンを組むことは可能です。
しかし、会社員と比較するとローンの審査基準が厳しくなる傾向があります。これは、フリーランスは収入の変動が大きく、安定性が低いと判断されるケースがあるためです。
金融機関は、「住宅ローンの返済が安定して行われるか」を重要視するので、フリーランスの場合は収入の継続性や事業の安定性をより慎重に審査します。
フリーランスが住宅ローンを組む際は、事前の準備や対策を行い、審査通過の可能性を高めることが重要です。
フリーランスが住宅ローン審査でチェックされる項目

フリーランスが住宅ローンを組むには、いくつかの重要な審査項目をクリアする必要があります。
(1)資金準備の状況(自己資金・頭金)
フリーランスが住宅ローンの審査を受ける際は、自己資金の準備状況も重要な審査項目です。
自己資金が多ければ借り入れ額が減り、返済負担が軽くなるため、審査でもリスクが低いと評価されやすくなります。資金管理能力の高さを示す意味でも、十分な貯蓄があることはプラスに働きます。
一般的には、物件価格の10~20%程度を頭金として準備するのが理想的です。
住宅ローンを組む予定の金融機関で定期預金などを活用し、計画的な貯蓄実績を示しておくと良いでしょう。
(2)他社の借り入れ状況などの信用情報
住宅ローンの審査では、信用情報や他社での借り入れ状況も見られます。
借り入れが多い場合や、返済履歴に問題があると、返済能力に不安があると判断され、審査に不利になる恐れがあります。
具体的には以下のような項目をチェックされるため、自身の利用状況を把握しておきましょう。
- ・クレジットカードのキャッシング枠や利用状況
- ・カードローンや自動車ローンの残債
- ・過去の返済遅延や滞納の履歴
日頃から信用情報を良好に保つことが、住宅ローン審査においてプラスに働くポイントです。
(3)収入の継続性と独立年数
フリーランスの場合、住宅ローンの審査において、収入の継続性と独立年数を見られます。
多くの金融機関では、直近3期分の確定申告書の提出を求められるのが一般的です。平均で300万円以上の所得(経費控除後)を求める銀行もあるため、収入の一つの基準として押さえておくと安心です。
特に以下の点がチェックされるため、あらかじめ準備しておきましょう。
- ・独立から3年以上経過しているか
- ・直近3期分の確定申告書は安定した収入か
- ・毎年の収入に大きな変動や赤字がないか
また、確定申告書に記載された所得金額は返済能力を判断する材料となるため、事業の継続性だけでなく、一定水準の利益を出していることも重要です。
フリーランスが住宅ローンの審査を受ける際の注意点

フリーランスが住宅ローンを申し込む際は、会社員と異なる点に注意が必要です。
(1)自宅兼事務所は住宅ローンの対象外になる場合もある
自宅兼事務所や店舗併用住宅を考えている場合は、住宅ローンの対象外になる場合もあるため、ローンを組みたい金融機関が対応しているかどうかを事前に確認しておきましょう。
住宅ローンでは、以下のような対象・用途の条件が設けられているケースが多く、併用住宅の場合は、住居部分が延床面積の50%以上であることが求められます。
- ・対象:住居専用または併用住宅(例:自宅+事務所)
- ・用途:自己使用に限られ、第三者への賃貸は対象外
住宅ローン控除を利用したい場合は、「床面積50㎡以上かつ、その半分以上が自己の居住用であること」という条件も満たす必要があります。
事務所部分が広くなりすぎないよう、用途と面積配分には十分注意しましょう。
☆あわせて読みたい
『【個人事業主の常識】確定申告でおなじみ住宅ローン控除の方法とは?』
(2)元本は経費に計上できない
住宅ローンの返済額を経費に計上する際は、注意が必要です。
返済は「元金」と「利息」に分かれており、経費として計上できるのは利息部分のみです。元金は借り入れ金の返済であり、事業にかかる実費とはみなされません。
たとえば、毎月10万円を返済していて、うち利息が2万円・元金が8万円なら、経費にできるのは利息の2万円だけです。
さらに、自宅兼事務所として利用している場合は、事務所として使用している面積割合に応じて利息を按分する必要があります。事務所部分が30%であれば、利息2万円のうち6,000円のみが経費対象となります。
どれだけ経費にできるかを正しく理解し、審査や確定申告に臨みましょう。
フリーランスが住宅ローン審査に通るためのコツ

ここでは、審査をスムーズに進めるために押さえておきたいポイントや具体的な対策を紹介します。
(1)審査に通りやすいローンを選ぶ
フリーランスが住宅ローン審査の通過を目指すには、ローン選びも重要なポイントです。
たとえば、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する「フラット35」は、比較的審査が通りやすい選択肢の一つとして挙げられます。
また、配偶者や親などと「ペアローン」を組むことや、収入を合算して申し込むことも、借り入れ可能額を増やし審査に有利に働く可能性があります。
ただし、ペアローンにはそれぞれがローン契約を結ぶため諸費用がかかる点や、収入合算には連帯保証人が必要になる場合がある点に注意が必要です。
金融機関によって審査基準や条件が異なるため、自身の状況に合ったローンを選ぶことが大切です。
(2)仮審査は2〜3社に申し込む
住宅ローンの仮審査は、1社に絞らず2〜3社に申し込んで比較するのが効果的です。
金融機関ごとに金利や手数料、審査基準が異なるため、複数社の条件を比較することで、自分に合ったローンを選びやすくなります。
仮審査を複数社に申し込んでも、信用情報に悪影響はありませんが、申込履歴は6ヶ月間残るため、申し込みすぎには注意が必要です。また、手続きの手間もかかるため、現実的には2〜3社程度にとどめておくのが妥当です。
各社の条件を比較しながら、本審査に進む金融機関を慎重に絞り込みましょう。
(3)無理のない返済計画を立てる
フリーランスが住宅ローン審査に通るためには、無理のない返済計画を立てることが欠かせません。
一般的に、年間返済額が年収の20~30%以内に収まる「返済比率」が目安とされており、これを意識した借り入れ金額の設定が重要です。
借り入れ希望額が年収や自己資金と見合っていれば、返済能力に説得力が生まれ、金融機関からの信頼にもつながります。
特にフリーランスは収入に波があるため、過去の実績や今後の見通しをもとに、現実的な返済シミュレーションを作成しましょう。
返済期間や月々の負担、金利変動リスクなども考慮し、余裕を持ったプランを立てることが、審査通過と安定した返済の鍵になります。
住宅ローンを検討するフリーランスがやっておくべき事前準備

フリーランスが住宅ローンの審査をスムーズに通過するためには、事前準備が大切です。
ここでは、審査をスムーズに進めるために押さえておきたい事前準備のポイントを解説します。
(1)借り入れできる金額を把握する
住宅ローンを検討する際は、自分がいくらまで借りられるかを把握しておくことが重要です。
借り入れ限度額は金融機関ごとに異なり、申込者の年収や年齢、既存の借り入れ状況なども影響します。
目安を知る方法としては、金融機関のホームページにある簡易シミュレーションの活用がおすすめです。年収・返済期間・金利などを入力すれば、借り入れ可能額や毎月の返済額の目安が手軽にわかります。
借り入れ上限を把握しておくことで、物件価格の目安や必要な頭金の金額も明確になり、現実的な資金計画が立てやすくなります。
また、頭金を多めに用意しておけば、返済負担が軽くなるだけでなく、審査での印象も良くなるでしょう。
(2)住宅ローン以外の借り入れを整理する
住宅ローンの審査を控えている場合は、現在の借り入れ状況を見直し、整理できるものは早めに返済しておきましょう。
フリーランスや個人事業主の場合、事業資金としての借り入れがあるケースも少なくありません。
しかし、たとえ事業用であっても、住宅ローンの審査では個人の借り入れとして見なされることがあります。金融機関は、事業の状態を個人の返済能力と結びつけて評価するためです。
特に開業から間もない方は、借り入れ状況が審査に与える影響が大きくなる傾向があります。
返済できるものを事前に整理しておけば、返済負担が軽減されるだけでなく、審査での印象も良くなるでしょう。
(3)クレジットカードの返済遅延や年金未納がないようにする
住宅ローン審査では、クレジットカードの支払い状況や、各種ローンの利用履歴などが信用情報機関を通じて確認されます。
これらの情報には返済の遅延や滞納も記録されており、履歴に問題があると、返済能力に不安があると判断され、審査で不利になる恐れがあります。
所得税や住民税、社会保険料などの納付状況は、信用情報機関には登録されませんが、金融機関は提出された確定申告書や納税証明書、領収書などから確認が行われます。
未納の税金や保険料があると、信用力に対する評価が下がる可能性があるため注意が必要です。
こうした審査リスクを避けるためにも、日頃から支払いの遅れがないよう、計画的に管理しておくことが大切です。
(4)過去3年間利益を出し続ける
住宅ローンの審査を見据え、確定申告で3年連続の黒字を維持しておくことが重要です。
フリーランスの場合、審査時に過去3年分の確定申告書の提出が求められることが一般的です。継続的に利益を出しているかが重視され、赤字があると返済能力に不安があると見なされる恐れがあります。
たとえ本人が「返済できる」と考えていても、金融機関は事業の収支を個人の信用力と判断するため、赤字が続くと審査に通らない可能性もあります。
金融機関によっては、減価償却費を除外して実態に近い所得を算出する場合もあります。こうした審査基準の違いも、事前に確認しておくと安心です。
(5)確定申告での申告額を少なくしすぎない
住宅ローンを見据えるなら、確定申告の内容にも注意が必要です。
フリーランスは税負担を抑えるため、経費を多めに計上し、所得を低く申告するケースが少なくありません。
しかし、金融機関は確定申告書に記載された所得金額を「年収」とみなして審査するため、実態よりも収入が低く見えると、審査に不利に働く恐れがあります。
実際には十分な返済能力があっても、申告上の所得が少ないと、希望額の融資を受けにくくなる可能性もあるため、注意しましょう。
住宅購入を視野に入れるのであれば、税金対策だけに偏らず、審査に通りやすい申告内容となるよう、所得と経費のバランスを見直しておくことが大切です。
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フリーランスがローン審査に落ちた場合の対処法

ここからは、住宅ローン審査に落ちてしまった場合の具体的な対処法を3つご紹介します。
(1)借り入れ希望額を見直す
住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、まず見直したいのが借り入れ希望額です。
希望額が年収に対して高すぎると、返済負担率が上がり、金融機関からの評価が下がる可能性があります。
たとえば、返済負担率が年収の30%に達している場合は、25%程度に抑えるよう借り入れ額を見直すことで、余裕のある返済計画とみなされ、審査通過の可能性が高まります。
頭金を増やす、物件価格を見直すなど、「いくら借りたいか」ではなく「いくらなら無理なく返せるか」の視点で資金計画を立て直すことが重要です。
(2)銀行を変更する
住宅ローンの審査に落ちた場合でも、他の金融機関に申し込めば通過できる可能性があります。なぜなら、審査基準は金融機関によって異なるためです。
ある銀行で否決された場合でも、別の銀行では問題なく借り入れできるケースは少なくありません。
メガバンクや地方銀行、信用金庫、ネット銀行など、それぞれに特徴があります。金利や手数料、審査基準などを比較しながら、自分に合った金融機関を探しましょう。
1社にこだわらず、選択肢を広げることが審査通過への近道です。
(3)共同名義や連帯保証人を検討する
フリーランスが住宅ローン審査に落ちた場合は、配偶者や親と「共同名義」で申し込む、または「連帯保証人」を立てる方法も有効です。
共同名義では、申込者と配偶者などの収入を合算して審査を受けられるため、借り入れ可能額の増加が期待できます。ただし、双方に返済義務が生じるため、将来の売却や相続で手続きが複雑になる恐れがあります。
一方、連帯保証人を立てる方法では、保証人が返済義務を担うことで、金融機関の不安を軽減できます。ただし、保証人にも契約者と同等の責任があるため、信頼関係を前提に慎重な判断が必要です。
どちらの方法も有効ですが、リスクとメリットを理解したうえで選択することが大切です。
フリーランスのローン審査に関するよくある質問

フリーランスがローン審査に申し込む際によくある質問について回答します。
(1)住宅ローンの借り入れ可能額の目安はどれくらい?
住宅ローンの借り入れ可能額は、申込者の年収や年齢、勤務先、既存の借り入れ状況、購入予定の物件の担保評価など、さまざまな要素をもとに金融機関が判断します。
一般的には「年収の5〜7倍程度」が借り入れ可能額の目安とされており、概算金額は以下のとおりです。
- ・年収300万円:1,500万〜2,100万円
- ・年収400万円:2,000万〜2,800万円
- ・年収500万円:2,500万〜3,500万円
- ・年収600万円:3,000万〜4,200万円
- ・年収700万円:3,500万〜4,900万円
なお、審査基準は金融機関によって異なります。自分にとっての正確な借り入れ可能額を知るには、事前審査やシミュレーションの活用が有効です。
(2)フリーランスは車のローンを組める?
フリーランスでも車のローンを組むことは可能ですが、会社員に比べて審査はやや厳しくなりがちです。
住宅ローンと同様に、安定した収入があるかどうかが重視され、確定申告書や課税証明書などで事業の実績や継続性が確認されます。
また、車のローン特有の注意点として、ディーラーローンの金利が高めであることが挙げられます。手続きが簡単な反面、銀行ローンより金利負担が大きくなるケースが多いため、比較検討は必須です。
加えて、ローンの審査では車が担保になる場合があり、支払いが滞ると引き上げのリスクもあります。
他にローンを抱えている場合は、返済計画全体を見直し、不要な借り入れがあれば整理しておくと安心です。
(3)個人事業主でもローンは組める?
個人事業主でも住宅ローンを組むことは可能です。
なお、「フリーランス」は働き方を示す言葉で、開業届を出さずに活動している人も多くいます。一方で、「個人事業主」は税務上の区分を指し、開業届を提出していることが前提です。
住宅ローンの審査では、フリーランスも個人事業主も自営業者として扱われ、確定申告書や収入の安定性、自己資金の有無などを厳しくチェックされます。
審査通過を目指すには、無理のない返済計画を立てた上で、自営業者への融資実績が豊富な金融機関を選ぶこともポイントです。
まとめ

フリーランスや個人事業主は、住宅ローンの審査において会社員と比べて不利になりやすいのが実情です。
だからこそ、将来のマイホーム購入を見据えて、早めの準備が重要です。節税に偏りすぎず、申告所得や資金計画のバランスに配慮することが審査通過のカギになります。
また、金融機関ごとに審査方針は異なるため、条件に合った住宅ローンを選ぶ工夫も必要です。
日頃から情報を集め、マイホーム購入に向けて着実に準備を進めていきましょう。
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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)
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