コンサルは営業ができない人には難しい?実態や営業力の上げ方を解説

最終更新日:2025/10/21
作成日:2016/07/15

コンサルタントは、高い給与やキャリアアップの可能性から人気ですが、「営業ができないと難しいのでは?」という不安を抱える方も少なくありません。

 

結論から言えば、営業ができなくてもコンサルタントとして活躍することは可能です。

 

本記事では、営業が苦手でもコンサルタントとして貢献できる理由を、企業所属とフリーランスという2つの視点から解説します。

 

営業が苦手なコンサルタントが、自分の強みを活かして案件を獲得し、成功するための戦略的な方法も解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

 

< 監修者プロフィール >
大野 晴司(おおの せいじ)

東京都立大学(現首都大学東京)卒業後、日産自動車で国内のマーケティング部門や系列ディーラーでの営業マンや本社販促部署長などを経験。中小企業診断士資格取得のために退職、2003年3月資格取得。その後、マーケティングリサーチ会社、自動車関連メーカーを経て、2008年にビズ・エキスパート株式会社を設立。神奈川・東京の中小・中堅企業の営業力・マーケティング力支援のほか、経営企画業務、新規事業支援を主な事業として活動中。また、企業向けセミナー講師なども務める。

ビズ・エキスパート株式会社:http://b-ex.biz/index.html
プロフェッショナリズムインタビュー:https://freeconsultant.jp/workstyle/w020

 

目次

■営業ができなくてもコンサルタントになれる理由
(1)コンサルファームはマネージャー以上が営業を担当
(2)フリーランスのコンサルはつながりで仕事を獲得

 

■営業できないコンサルタントが成功するためのポイント
(1)「SWOT分析」で事業コンセプトを構築する
(2)「4C」で事業コンセプトを具体化する

 

■コンサルタントの営業力を構成する6つの能力
(1)人間力
(2)常識力
(3)知識力
(4)接触力
(5)質問力
(6)提案力

 

■営業できない会社員コンサルタントが営業力を上げる方法
(1)先輩コンサルタントから学ぶ
(2)引き合いを増やす
(3)顧客向けの営業ネタをストックする

 

■営業できないフリーコンサルタントが仕事を得る方法
(1)人脈を大切にする
(2)地域の商工会議所・経済団体とつながる
(3)クラウドソーシングサイトを活用する

 

■まとめ

 

営業ができなくてもコンサルタントになれる理由

手書きのダイアグラムを背景に腕を組むスーツの男性
コンサルタントは、営業が苦手な方でも十分に活躍できます。

 

「営業ができないとコンサルタントになれない」「コンサルタントは高収入だが、高い営業ノルマがありそう」というイメージもありますが、必ずしもそうとは限りません。

 

ここでは、企業所属のコンサルタントと、フリーランスのコンサルタントそれぞれの違いから、営業スキルに自信がない方でもコンサルタントとして貢献できる理由を解説します。

 

(1)コンサルファームは役職によって関わり方が違う

企業に所属するコンサルタントは、高い営業スキルがなくても、自身の専門性を活かしたクライアントの課題解決に集中できる傾向があります。

 

コンサルティングファームでは、外部のクライアントとの交渉や、案件の獲得といった営業活動は、マネージャークラス以上の役職者が担うケースが多いです。

 

マネージャークラスと若手コンサルタントの分業体制により、若手コンサルタントは実務分析や実行支援に専念し、コンサルティングのプロとして成長しやすくなります。

 

昇進を見据えると営業能力は必要になりますが、キャリアの序盤では、案件を遂行してクライアントの問題を解決することで、コンサルタントとして貢献できるでしょう。

 

(2)フリーランスのコンサルはつながりで仕事を獲得

フリーランスのコンサルタントは、営業に自信がない場合でも、人脈と過去の実績をもとに案件を獲得できます。

 

フリーランスの仕事は、新規開拓営業よりも継続的な関係性に依存する案件が多いためです。

 

過去のプロジェクト関係者や、コンサルタント特化のエージェントとのつながりの維持から、継続的に案件を獲得できます。顧客からの紹介や相談を通じて、新たな仕事の機会を広げることも可能です。

 

既存の信頼関係と高い専門性の維持が、フリーランスのコンサルタントとして安定的に活動するための鍵となります。

 

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営業できないコンサルタントが成功するためのポイント

電球がついたオレンジ色の鉛筆
コンサルタントは、営業が苦手でも活躍できる仕事ですが、セールスのやり方はコンサルティング業務そのものに役立つスキルです。

 

特に、コンサルティングファームでの昇進を目指す方や、戦略コンサルを専門とする方、新規案件の獲得を目指すフリーランスコンサルタントの方は、「自身の営業力を高めたい」と感じる場面があるでしょう。

 

以下では、営業ができないコンサルタントが成功するために、まず押さえるべきポイントを解説します。

 

(1)「SWOT分析」で事業コンセプトを構築する

営業ができないコンサルタントの方は、まずは事業コンセプトを明確にしましょう。

 

事業コンセプトとは、「誰に」「何を」「どう提供するか」を定める、事業の土台となる考え方です。事業コンセプトを明確にすると、提供するサービスと顧客ニーズのミスマッチを防げます。

 

成功の可能性が高い事業コンセプトを構築するには、「SWOT分析」が有効です。

 

SWOT分析とは、あなた自身の「強み(Strength)」や「弱み(Weakness)」といった内部環境と、「機会(Opportunity)」や「脅威(Threat)」といった外部環境を客観的に分析する手法です。

 

戦略策定やマーケティングの意思決定、経営資源の最適化などに活用されているフレームワークであり、個人のキャリアプランニングにも応用できます。

 

SWOT分析を通じて、自身の強みを活かせるターゲットとサービスが明確になり、顧客に響く提案の立案に役立つでしょう。

 

(2)「4C」で事業コンセプトを具体化する

SWOT分析で策定した事業コンセプトを、より具体的なサービスとして展開するためには、サービス業のマーケティングで多く活用されている「4C」の実施が有効です。

 

4Cとは、マーケティング活動を以下の4つの要素に分解して、分析・実行するフレームワークです。

 

  • ・顧客価値(Customer Value):顧客が求める価値に合ったサービスになっているか
  • ・顧客コスト(Cost):顧客が納得できる価格・手間・時間になっているか
  • ・顧客利便性(Convenience):顧客がサービスを利用しやすい仕組みになっているか
  • ・コミュニケーション(Communication):顧客に適切な情報や提案を届けられているか

 

4Cを意識することで、提供するサービスの方向性が明確になり、営業スキル以前に必要となる戦略の基盤を固められます。

 

☆あわせて読みたい
『知っておいて損はない ビジネスにおける問題解決の手法』

 

コンサルタントの営業力を構成する6つの能力

外で会話しながら歩くスーツを着た2人の男性
コンサルタントの営業力は、単なる話術ではなく、さまざまな能力が組み合わさってできています。

 

ここでは、コンサルタントの営業力を形作る能力の代表例として、「人間力」「常識力」「知識力」「接触力」「質問力」「提案力」をご紹介します。

 

(1)人間力

コンサルタントにとって、自分自身を魅力的に感じてもらう「人間力」が、営業力の土台として極めて重要です。

 

目に見える商品を持たないコンサルティング業では、コンサルタント自身が信頼という名の「商品」になります。

 

たとえ高いデリバリー能力や戦略構築能力があったとしても、自分に魅力を感じてくれる人脈やクライアントがいなければ、長期的な成果につながりません。

 

顧客に「この人となら一緒に仕事がしたい」と思われる人間力を持つコンサルタントを目指しましょう。

 

(2)常識力

コンサルタントの営業力を構成する要素として、「常識力」は欠かせません。常識力は、仕事につながる人脈を築くための土台となります。

 

ビジネスにおける人脈は、単なる知り合いの数ではなく、お互いの尊敬や信頼があり、安心して仕事を任せられる状態で初めて成立します。

 

顧客との間に信頼を築く過程では、TPOをわきまえた振る舞いや、相手の立場を理解しようと務める常識的な姿勢が不可欠です。

 

「この人に任せたい」と言ってもらえる人脈を得るためには、高い常識力を発揮し、専門性以前の信頼を得る能力が重要です。

 

(3)知識力

コンサルタントにとって、「知識力」は新しい人脈づくりのきっかけを作り、活躍の場を広げるための必須要素です。

 

業界知識や最新情報は、新たな顧客との関係構築におけるきっかけや話題提供の材料となります。

 

幅広い知識力をもって新しい出会いを創出する意識が、営業成果につながる人脈形成の第一歩です。

 

(4)接触力

コンサルタントの営業における「接触力」とは、顧客との接点を絶やさず、面談や商談の機会を最大化する行動量です。

 

顧客に対して自ら積極的に接する努力をしなければ、コミュニケーションの場も商談の機会もなかなか訪れません。

 

対面での面談だけでなく、電話、メール、SNSなど、あらゆるチャネルを通じて顧客との接点を作る行動を心がける姿勢が大切です。

 

顧客と接触する行動量は、コンサルタントの営業成果を左右します。

 

(5)質問力

「質問力」は、顧客の要望や潜在的なニーズを正確に引き出すために必要な営業能力の1つです。

 

自分の提案やアピールに終始し、質問が欠けているコンサルタントは、顧客の真の課題に関心を示せておらず、本質的な問題の解決策を提示できません。

 

コーチングサイクルを応用するなど、質問を通じて顧客の要望を正確に理解することで、初めて課題解決につながる提案が可能になります。

 

顧客の抱える課題を深く掘り下げ、顧客の立場に立った提案を行うためにも、高い質問力を磨く必要があります。

 

☆あわせて読みたい
『質問力を高めるメリットとは?コミュニケーションを変える鍛え方のコツ』
『コーチングはコンサルの基本スキルになりつつある?』

 

(6)提案力

「提案力」は、質問力で得られた情報をもとに、顧客のニーズにマッチした解決策を提示する能力です。

 

課題への深い理解や、問題を的確に解決できるスキルを顧客に伝えられるため、提案の質が受注に直結します。

 

顧客の課題解決に向けた道筋を具体的に示し、納得感と信頼を与えることが、高い提案力につながります。

 

営業できない会社員コンサルタントが営業力を上げる方法

手元を見ながら対話する男性3人と女性2人
コンサルティングファームに所属して2年、3年が経過すると、昇進や転職を見据えて「そろそろ営業力を身につけたい」と感じるコンサルタントは少なくありません。

 

ここでは、営業経験の少ない会社員コンサルタントが、営業力を高めるための具体的な方法を紹介します。

 

(1)先輩コンサルから学ぶ

コンサルティングファームでは、先輩コンサルタントが担当している営業活動を通じて、実践的なノウハウを学ぶ機会があります。

 

先輩コンサルタントの商談に同席することで、議論の流れや顧客の反応を間近で感じ取り、営業プロセスを深く理解できます。顧客へのヒアリングや提案の組み立て方を観察し、自身の営業スキル向上につなげましょう。

 

(2)引き合いを増やす

営業力を上げるには、自身の専門性と実績を高め、顧客からの問い合わせである「引き合い」を増やすことが効果的です。

 

専門家としてのブランドを確立し、顧客側から依頼が舞い込む状況を作れれば、積極的な新規営業活動が不要になります。

 

特定分野の専門家としてセミナーに登壇したり、業界誌に寄稿したりする機会があれば、潜在顧客へのアプローチにつながります。また、ブログやSNSで知見を発信することも有効です。

 

専門性を高める努力を続け、「選ばれるコンサルタント」となる方針も、営業に苦手意識を抱く方にとって、営業戦略の1つとなるでしょう。

 

(3)顧客向けの営業ネタをストックする

顧客向けの営業ネタをストックすることは、コンサルタントが営業力を高めるうえで非常に重要です。

 

具体的な資料や提案事例、成功体験談などを体系的にまとめ、いつでも活用できるように準備すると、スムーズな提案が可能となります。

 

定期的に持っている情報を更新し、専門知識や実績を可視化しましょう。

 

営業できないフリーコンサルタントが仕事を得る方法

机でパソコンを開きながら対話する5人の男性
フリーランスのコンサルタントは、企業所属のコンサルタントとは異なり、安定した仕事量が保証されていません。

 

仕事量が減ると年収や生活にも影響が出るため、時には自ら営業活動を行う必要があります。

 

以下では、「営業ができない」と感じているフリーランスのコンサルタントが、案件を獲得しやすくなる方法を解説します。

 

(1)人脈を大切にする

フリーランスのコンサルタントとして安定的に案件を獲得するためには、人脈を大切にすることが不可欠です。

 

お世話になったクライアントや同業者、関わりのあった人との関係性を良好に保ち、日頃から気持ち良いコミュニケーションを心がけましょう。

 

質の高い人脈は、過去の案件からの継続依頼や、信頼に基づく紹介案件へとつながります。

 

また、困ったときに相談できる人や、最新の業界ネタなどを共有してくれる人とのつながりも大切です。お互いに協力し合える関係性を築くことが、長期的な活動の基盤となります。

 

☆あわせて読みたい
『人脈を広げるには何をすべき?具体的な方法と注意点をわかりやすく解説』

 

(2)地域の商工会議所・経済団体とつながる

フリーランスのコンサルタントは、地域の商工会議所や経済団体とのつながりを持つことも有効です。

 

日本商工会議所や日本青年会議所、中小企業家同友会といった地域に根差した経済団体には、地元の名士や経営者が多く参加しており、地場の人脈を築く貴重な機会を提供しています。

 

会費は発生しますが、人脈づくりや自己成長への先行投資として捉えて積極的に活用することで、案件獲得につながるケースもあります。

 

「交流の場をいかに自分のビジネスに活かすか」を意識して、ぜひ参加を検討してみましょう。

 

(3)クラウドソーシングサイトを活用する

クラウドソーシングサイトでは、データ入力やライティング案件が多く、「コンサルタントとして直接的な案件は見つけにくい」と感じる方もいるかもしれません。

 

しかし、実際には市場調査やマーケティングリサーチ、事業計画や補助金計画の作成支援、経営や新規事業の助言など、コンサルタント業務に近い案件が存在します。

 

一方で、案件単価の幅が大きかったり、戦略性の高い案件は数が少ない傾向もあったりするため、条件を慎重に確認し、専門領域に合う案件を選別するのがおすすめです。

 

コンサルタントの案件は、クラウドソーシングサイトだけではなく、コンサル業界特化のエージェントからも検索可能です。案件を探している方は、以下の情報をチェックしてみてください。

 

 

まとめ

握手をしようとしているスーツの男性

コンサルタントは、営業ができないと感じている方でも十分に貢献できる職種です。

 

一方で、コンサルティングファームでキャリアアップを目指したり、フリーランスのコンサルタントとして安定的に活動したりするためには、営業力を高める必要があります。

 

ぜひ、自身に合った営業力向上の方法を実践し、コンサルタントとしての活躍の場を広げていきましょう。

 

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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

 

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