セキュリティエンジニアとは? 仕事内容・求められるスキル・将来性について詳しく解説します
作成日:2024/01/15
デジタル社会の進展に伴い、サイバーセキュリティの重要性が増しています。
本記事では、企業や組織のデジタル資産を守るセキュリティエンジニアについて、仕事内容や求められるスキル、将来性まで詳しく解説します。サイバー攻撃の脅威が高まる中、セキュリティエンジニアの需要は急速に拡大しており、目指す方に役立つ情報をお届けします。
目次
■情報セキュリティの重要性が高まっている背景
企業の機密情報や顧客の個人情報保護
企業の信頼性と競争力の向上
法的リスクの回避と事業継続性の確保
社会インフラの安定
■セキュリティエンジニアの仕事内容
企画
設計
実装
テスト
運用
■セキュリティエンジニアに求められるスキルと知識
システム基盤(インフラ、OS、ネットワーク)に関する知識と脆弱性対策スキル
セキュリティマネジメントルールの策定・運用スキル
セキュリティ監視の構築スキル
プログラミング言語に関する知識・スキル
最新のセキュリティ対策の教育・啓蒙スキル
暗号・認証に関する知識と設定スキル
■セキュリティエンジニアの将来性は?
需要の急増
攻撃の高度化
新たな脅威
人材不足
法規制対応
セキュリティエンジニアとは?
セキュリティエンジニアとは、企業や組織のネットワーク、システム、情報資産を外部のIT攻撃やサイバー攻撃から守る専門のエンジニアです。業務は「企画・提案」「設計」「実装」「テスト」「運用・保守」などのフェーズに分かれており、情報セキュリティに特化した領域を担っています。
インターネットの普及に伴い、企業は常にサイバー攻撃の脅威にさらされているため、セキュリティエンジニアの役割は非常に重要になっています。企業の機密データや個人情報を守り、社会の安全と信頼を支える重要な存在なのです。
情報セキュリティの重要性が高まっている背景
企業活動のデジタル化やDXの加速により、サイバー空間における脅威が日々増大しています。多様化・巧妙化するサイバー攻撃から企業の機密情報や個人情報を守り、法令を遵守し、社会インフラを安定的に運用するため、情報セキュリティの確保は現代社会における喫緊の課題となっています。
こうした背景から、高度な専門知識を持つセキュリティエンジニアの需要も急速に拡大しています。
企業の機密情報や顧客の個人情報保護
情報セキュリティは、企業の機密情報や顧客の個人情報が外部に漏えいすることを防ぎ、企業の信用失墜や損害賠償リスクを回避します。昨今のデジタル化の加速に伴い、取り扱う情報量が増大する中、サイバー攻撃の手法も高度化・巧妙化しており、一層の対策強化が求められています。
組織における情報資産の適切な管理体制の構築は、事業運営における最重要課題となっているのです。
企業の信頼性と競争力の向上
適切な情報セキュリティ対策は、顧客や取引先からの信頼を獲得し、ビジネスチャンスの拡大につながります。また、技術情報の流出を防ぐことで、市場における競争力を維持することが可能です。
グローバル化が進む現代のビジネス環境において、堅牢な情報セキュリティ体制の構築は、取引先の選定基準としても重視されており、新規事業展開や業務提携の際の重要な判断材料となっています。
法的リスクの回避と事業継続性の確保
個人情報保護法などの法令違反を防ぎ、罰則や賠償金のリスクを軽減します。また、システムの安定稼働を通じて事業継続性の確保にも貢献します。
近年、データ保護に関する法規制は世界的に強化される傾向にあり、GDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとする国際的な法令遵守も必要不可欠です。セキュリティインシデントの発生は、業務停止や多額の損害賠償請求につながる可能性があり、企業経営に深刻な影響を及ぼす要因となります。
社会インフラの安定
エネルギー、交通システム、医療機関などの重要インフラのセキュリティを確保することで、社会全体の安定に寄与します。デジタル社会の発展に伴い、重要インフラへのサイバー攻撃は国家の安全保障にも関わる重大な脅威となっているのです。
医療システムや金融ネットワークなどの基幹システムが停止した場合、市民生活に甚大な影響を及ぼすだけでなく、経済活動全体が麻痺する可能性も考えられます。
セキュリティエンジニアの仕事内容
セキュリティエンジニアの仕事内容は、主に「企画」「設計」「実装」「テスト」「運用」の5つのステップに分かれています。
企画
システムのコンサルティングを行い、必要なセキュリティを提案します。組織の業務内容や規模、取り扱う情報の機密度を考慮しながら、最適なセキュリティ対策の方針を策定。また、予算や人員配置などの経営資源を考慮しつつ、実現可能な対策計画を立案します。
設計
セキュリティに配慮したシステム設計を行います。アクセス制御、暗号化、認証機能など、必要なセキュリティ機能を洗い出し、システムのアーキテクチャに組み込みます。
また、将来的なシステムの拡張性や運用性も考慮しながら、セキュリティ要件を満たす設計を行います。
実装
ネットワーク機器やOSの設定、プログラミングを行います。ファイアウォールやIDS/IPS、WAFなどのセキュリティ製品の導入・設定に加え、アプリケーションのセキュアコーディングも実施します。さらに、システムの可用性を確保しながら、セキュリティパッチの適用も担当します。
テスト
実装したシステムの脆弱性をテストします。脆弱性診断ツールを使用した自動診断に加え、擬似的な攻撃を行うペネトレーションテストも実施。発見された脆弱性については、リスク評価を行い、必要な対策を講じます。
運用
システムを安全に運用し、最新の情報を入手してアップデートを行います。セキュリティ監視による不正アクセスの検知や、インシデント発生時の対応、システムログの分析を行います。
また、新たな脅威に対応するため、常に最新のセキュリティ動向をキャッチアップし、必要な対策を実施します。
セキュリティエンジニアに求められるスキルと知識
セキュリティエンジニアには、システム基盤やプログラミングなどの技術的スキルに加え、マネジメントや教育に関するソフトスキルまで、幅広い知識と能力が求められます。特に近年は、技術の高度化と脅威の多様化に伴い、継続的な学習と実践を通じた専門性の向上が不可欠です。
システム基盤(インフラ、OS、ネットワーク)に関する知識と脆弱性対策スキル
サーバーやネットワーク機器、各種OSの仕組みを理解し、適切な設定と運用管理を行うスキルが必要です。また、システムの脆弱性を特定し、対策を実施できる専門的な知識も求められます。
日々新たに発見される脆弱性に対して、適切なパッチ適用やセキュリティ設定の最適化を行う必要があります。
セキュリティマネジメントルールの策定・運用スキル
組織全体のセキュリティポリシーや具体的な実施手順を策定し、従業員への周知・徹底を図るスキルが重要です。情報資産の管理方法、アクセス権限の設定、インシデント対応手順など、包括的なセキュリティ管理体制を構築・運用する能力が必要となります。
セキュリティ監視の構築スキル
不正アクセスや情報漏洩などのセキュリティインシデントを検知・分析するための監視体制を構築できる能力が求められます。SIEM(Security Information and Event Management)などのセキュリティ監視ツールの導入・運用や、ログ分析、アラート対応などを適切に行うスキルが必要です。
プログラミング言語に関する知識・スキル
セキュアなシステム開発のために、主要なプログラミング言語とセキュアコーディングの手法を理解している必要があります。また、スクリプトを活用した自動化ツールの作成や、セキュリティテストの実施にもプログラミングスキルが活用されます。
最新のセキュリティ対策の教育・啓蒙スキル
従業員向けのセキュリティ教育プログラムを企画・実施し、組織全体のセキュリティ意識を向上させる能力が重要です。最新のサイバー攻撃手法や対策について、技術的な内容を分かりやすく説明し、実践的な対策を指導できるスキルが求められます。
暗号・認証に関する知識と設定スキル
データの暗号化技術や認証方式について深い理解を持ち、適切な暗号アルゴリズムの選択や認証システムの構築ができる能力が必要です。多要素認証やアクセス制御など、セキュアな認証基盤の設計・実装・運用管理を行うスキルが求められます。
セキュリティエンジニアの将来性は?
セキュリティエンジニアの将来性は非常に高いと言えます。サイバー攻撃の脅威が増大し、企業や組織がセキュリティ対策に投資を惜しまない状況が続いているためです。
需要の急増
2024年の国内サイバーセキュリティ市場規模は1兆円を超え、2027年までに1兆2488億円に達すると予測されています。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速やテレワークの普及により、セキュリティ投資は今後も拡大傾向が続くと見込まれているのです。
特にクラウドセキュリティやエンドポイントセキュリティの分野で大きな成長が期待されています。
参照:2024年の世界セキュリティ市場は2,385億米ドル、国内市場は初の1兆円超えの支出額を予測 ~IDC Worldwide Security Spending Guide を発行~
攻撃の高度化
AIを駆使した高度なサイバー攻撃が台頭し、2025年にはAIがサイバー犯罪の中核的存在になると予測されています。従来の対策では防ぎきれない新種のマルウェアや標的型攻撃が急増しており、AIや機械学習を活用した高度な防御技術の開発と運用が不可欠となっています。
新たな脅威
2023年1〜2月の2カ月間のIoT機器を標的とした1組織当たり週平均サイバー攻撃数は、2022年と比べグローバルで41%増加、国内で68%増加しました。
コネクテッドカーやスマートホームなど、IoTの普及に伴い、保護すべき対象は急速に拡大しています。
参照:PRTIMES チェック・ポイント・リサーチ、IoT機器を狙うサイバー攻撃の世界的急増に警鐘 2023年初頭2カ月間の週平均においてグローバルで前年比41%増、日本国内では同68%増加
人材不足
サイバー攻撃が複雑化する一方で、対応できる高スキルの専門家が不足しています。NRIセキュアテクノロジーズの2019年調査では、日本の約9割の企業がセキュリティ人材が不足していると回答しており、特に高度な専門知識を持つセキュリティアーキテクトや、インシデントレスポンスの専門家の不足が深刻化しているのです。
参照:【レポート公開】企業のセキュリティ実態調査2019|国内約1800社を徹底調査
法規制対応
GDPRや日本の個人情報保護法などの法規制遵守のため、セキュリティ専門家の役割がさらに重要になっています。データローカライゼーションの要求や越境データ移転規制の強化により、グローバルでのセキュリティコンプライアンス対応が必須です。
また、重要インフラのセキュリティ強化を求める法規制も各国で整備が進んでいます。
セキュリティエンジニアに関するまとめ
サイバーセキュリティ市場は2027年までに1.3兆円規模まで成長すると見込まれており、DXの加速やIoTの普及に伴い、新たな脅威も次々と出現しています。一方で、高度なスキルを持つセキュリティ人材は不足しており、約20万人規模の人材ギャップが存在します。
このような状況下で、セキュリティエンジニアには、システム基盤やプログラミングなどの技術力に加え、セキュリティ管理体制の構築・運用力、最新技術動向のキャッチアップ、組織全体のセキュリティ意識向上など、幅広い役割が期待されています。継続的な学習と実践を通じて専門性を高めることで、デジタル社会の発展に貢献できる、やりがいのある職種と言えるでしょう。
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(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)