Pros & Cons(プロコン)の考え方とは?選択の局面に活かす具体例も解説

最終更新日:2024/01/18
作成日:2022/04/01

 

「Pros & Cons」とは、日本では「プロコン」と略称される思考法です。ビジネスシーンで使う際は「メリットとデメリット」「賛成意見と反対意見」など、ロジカルに議論を戦わせるための2つの比較検討材料をさし、議論そのものを「プロコン」と表現することも多いです。「Pros & Cons」の使い方や、日常で「Pros & Cons」思考を鍛える方法などを紹介します。

 

目次

 

■そもそも「Pros & Cons(プロコン)」とは何か

 

■実際のビジネス現場での「Pros & Cons」の使われ方

 

■「Pros & Cons」はファシリテーションのツールとしても応用可能

 

■「Pros & Cons」で比較検討する際のコツと留意点
(1)意見出しはロールプレイで
(2)ファシリテーターはムード醸成を
(3)結論は残った意見をもとにまとめる

 

■「Pros & Cons」思考法はプライベートで磨ける

 

■「Pros & Cons」はより納得できる答えを見つける思考法

 

そもそも「Pros & Cons(プロコン)」とは何なのか

プロコンでディベート調整をするコンサルタント

 

「Pros & Cons」は、一般的には英単語として認知されていますが、ラテン語が起源で、日本語に直訳すると「賛成と反対」となります。英語では「プロウズ アンド コンズ」と発音しますが、日本では「プロコン」と略称されがちです。コンサルティングファームや一部の外資系企業に勤務する方には耳慣れた言い回しかもしれません。

 

「Pros & Cons」とは、本来ディベート用語であり、賛成ポジション・反対ポジションに分かれて、ロジカルに議論を戦わせることを意味しています。ビジネス用語としては、比較検討すべきという前提の上で「メリットとデメリット」、もしくは「賛成意見と反対意見」を表します。

 

実際のビジネス現場での「Pros&Cons」の使われ方

握手するビジネスマン

 

「Pros & Cons」は、戦略コンサルティングの現場などでしばしば利用されますが、身に付けるとビジネスシーンのみならず、プライベートでも大いに活用できる比較検討の思考法です。特に「トレードオフ」を前提とする決断の局面では、極めて有効です。

 

たとえば「高品質と低コスト」など、双方が並立不可能な状態である局面は「トレードオフ」の関係です。「Pros & Cons」は、一方を追求すれば、他方を犠牲にしなければならない二律背反状態の状況下で納得できる決断が下せる思考法といえます。

 

例を上げると、大手SIerにおいて、受注したITシステム構築プロジェクトを「自社SEで内製」するのか、「協力会社に外注」するのか、のどちらにするべきかプロジェクトマネージャーの判断が必要になったとします。このような際は「Pros & Cons」の比較検討手法が有効です。

 

「自社SEで内製」する場合のPros(メリット)は、「自社内にスキル・ノウハウを蓄積しやすい」、「自社の若手エンジニアに実装経験を積ませることができる」などでしょう。Cons(デメリット)の観点では、「SE単金が高いので開発コストが嵩む」、「未経験領域の技術的リスクを抱える」などがあり得ます。

 

一方で、「外注する」選択をした場合、Pros(メリット)は「SE単金が安いので開発コストを抑制できる」、「技術的リスクを抱えなくて済む」などが挙げられるでしょう。Cons(デメリット)の観点からは、「自社内にスキル・ノウハウを蓄積するのが困難」、「自社の若手エンジニアに実装経験を積ませることができない」などが予想できます。

 

上記のケースでは、「自社SEで内製」・「協力会社に外注」のいずれを選択しても、ProsとConsは並存しています。前者にとってのPros(メリット)が、後者にとってのCons(デメリット)となります。この事実を踏まえて分析してこそ、どちらの選択をするのが自社にとって現時点でベストなのかをしっかり考えられるのです。

 

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「Pros & Cons」はファシリテーションのツールとしても応用可能

企業のファシリテーションの様子

 

ファシリテーションの場面では、参加するメンバー全員で、課題の「賛成意見と反対意見」を、ロールプレイの要領で順番に出していくスタイルが効果的です。参加メンバー全員が個人の見解とは異なる視点を認識・共有するため、課題を多面的に捉えて分析し、建設的な議論を戦わせるのに「Pros & Cons」の考え方は有効なのです。

 

Pros(賛成)・Cons(反対)の理由を、参加メンバー全員で共有する形になるため、決定事項に納得しやすく、当事者意識をもたせる効果が期待できます。

 

たとえばA社では「営業部門をフリーアドレス化する」という改善提案が総務部門から挙げられました。フリーアドレス化されると、個人のデスクや固定電話がなくなり、私物を置くスペースも限られることから「営業メンバーが組織に対して帰属意識が低くなる」と提案に反対意見が続出しました。

 

このように、Cons(反対)の意見・理由のみが声高に叫ばれる際、「Pros & Cons」の考え方がファシリテーションツールとして有効です。反対意見を持つメンバーで、あえてPros(賛成)の理由も捻り出してみるのです。

 

「部門固定費の削減分をリモート環境整備に充てることができる」「直行直帰が認められれば顧客対応の生産性が高まり、かつ家庭で過ごすプライベートな時間も増える」など、営業部門をフリーアドレス化する利点も共有できます。総合的な判断では、営業部門としては、総務部門からの提案を受け容れた方がベター、というメンバー全員の賛成を得られる可能性が生まれるのです。

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「Pros & Cons」で比較検討する際のコツと留意点

プロコンをホワイトボードに書き出す様子

 

「Pros & Cons」を用いる際のコツ、留意点などを押さえておきましょう。

(1)意見出しはロールプレイで

まず、ホワイトボードや模造紙などを左右等分に仕切りましょう。関係者全員が参加して、時間を区切って「Pros(賛成)」・「Cons(反対)」それぞれの立場になりきって意見を出し、ホワイトボードや模造紙に箇条書きにしていきます。自身の本音や立場とは無関係に、参加メンバーがその時点での役回りになりきることがポイントです。

(2)ファシリテーターはムード醸成を

ファシリテーターは上位役職者である必要はありません。むしろ、若手メンバーや社外のコンサルタントなどの方が好ましいでしょう。ファシリテーターは、個人的には「Pros」「Cons」のどちらかの意見を持つ参加メンバーでも、ロールプレイの中ではその反対の意見を徹底的に出し切れるかが大切なのだ、というムード醸成をすると効果的です。

(3)結論は残った意見をもとにまとめる

「Pros」「Cons」双方の意見を見比べて、対応関係(比重が同レベル)と思われる意見を、それぞれの側から消しましょう。そして、残った意見を眺めながら結論をまとめます。もし、結論が上手にまとまらないようであれば、最終的には「Pros」・「Cons」のどちらを今回は採るのか、参加メンバー全員で多数決をしても構いません。

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「Pros & Cons」思考法はプライベートで磨ける

家族会議

 

「Pros & Cons」は、戦略コンサルティングなどのビジネスシーンで用いられる思考法ですが、プライベートでも使ってみると身につきやすいでしょう。

 

たとえば、引越し先を決める際に「都心部のファミリー向けタワーマンションか、湘南地区の一戸建てか」、休暇の過ごし方を決める際に「正月休みは家族揃って九州の実家へ帰省するか、子供に異文化体験をさせるためボストンの友人を訪ねるか」など、真逆ともいえるような2つ以上の選択肢で比較・検討する癖をつけるとよいでしょう。

 

家族のいる方は家族を巻き込むことで家族間でのコミュニケーションにもなり、一人では考えつかなかった良い選択肢を見つけられたり、子どもの思考力や分析能力が伸びたりするかもしれません。

 

 

 「Pros & Cons」はより納得できる答えを見つける思考法

proscons を活用する人の手帳

 

 比較検討の思考法、「Pros & Cons」略して「プロコン」を使う場合、自分の意見に近い選択肢だけでなく、自分の意見とは真逆の選択肢についても、メリットを考える必要があります。そのため、自分の世界が広がったり、思いもよらないアイデアが浮かんだりすることもあるでしょう。「Pros & Cons」が意味する2つに限らず、本来の自分にはない多様な選択肢の中から最善の策を見つけ出せる思考法として、トレードオフの議論やファシリテーションに活かしましょう。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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